どうもたかぴーです!
前回は製品ライフサイクルの導入期における販売戦略を考えました。
導入期は売上・利益ともに小さく、非常に不安定な時期でした。
しかし、成長期に入るとこの状況が劇的に変わります。
※筆者作成
ご覧の通り、成長期には売上・利益ともに急速に伸びていくのです。
それに伴い、売り手の販売戦略も変えていかなければなりません。
今回は製品ライフサイクルの成長期における販売戦略を考えてきます。
1.製品ライフサイクル成長期の特徴・課題
成長期は売上・利益ともに伸びていく時期だったね。
実際どうなんでしょう?
ただし、この利益の大きさを享受しようと、新規参入企業が増加する時期でもあるんだ。
競合が激しくなってしまうんですね。
そうすると、企業は儲けが無くなってしまうのでしょうか?
そのためには、成長期の特徴をしっかり理解しないとね。
1-1.製品ライフサイクル成長期の特徴
成長期は急速に売上・利益が増大していく時期です。
市場としてのうまみが大きいので、新規参入企業も多くなる傾向にあります。
参入障壁とは、新規参入しようとする企業にとって障害となる要因を指します。
具体的には、技術力の高さ、初期投資のコスト、法規制の高さなどが挙げられます。
導入期には消費者は製品知識が全くなかったのですが、成長期にはどうなるのでしょう?
結論から言うと、製品の機能を理解している消費者が増加します。
この製品機能の理解を助けているのが、オピニオン・リーダーです。
成長期には消費者の中にオピニオン・リーダーと呼ばれる存在が市場に登場するのです。
オピニオン・リーダーは成長期の初期の段階で製品を購入し、その価値を「口コミ」によって他の消費者に伝えていきます。
この為、成長期は売り手から特に製品の機能を説明しなくても、消費者は製品の概要を掴んでいることが多いのです。
1-2.製品ライフライフル成長期の課題
特徴から導き出される、成長期における課題は以下の3点です。
②競合企業への対応
③スピード
導入期には限られた市場に受け入れられることが目標であったのが、
大衆向けに販売戦略をチェンジする必要があります。
また、これまでは競合企業に打ち勝つことよりも、
製品自体の存在や価値を消費者に認知してもらうことが最優先課題でした。
消費者の認知度が上がり、競合企業が増加するこの時期からは、
競合企業との差別化を意識していく必要があります。
最後に、近年製品ライフサイクルが短くなっていると言われています。
その一つの原因は、情報化社会に伴い、成長期が短くなってたことが挙げられます。
一度価値を認められた製品は、テレビ・ネットを通じて全世界に発信されるためです。
したがって、売り手側も素早く対応することが重要になります。
1-3.成長期に参入する際のメリット・デメリット
伸び盛りの市場は企業にとって魅力的でしょう。
ここで成長期に参入するメリット・デメリットについてまとめてみます。
・利益率が高い
新規参入企業は既に完成された製品を模倣、参考にすることができるため、
開発コストを抑えることができます。
導入期での様々な困難(消費者の製品知識の不足等)が省かれるという点でもメリットがあります。
また、成長期では利益が大きく増加するため、
新規参入企業は参入した当初から高い利益率を生み出すことが可能です。
②情報の不足
参入するだけの技術・知識・資金等があるのであれば、
成長期に参入するメリットが大きいです。
ここでは、導入期から事業を継続している企業と比較して不利な点を記しました。
まず既存企業はこれまで事業を継続したことによるブランド力が大きいです。
成長期には多くの消費者がブランド力に引きつけられる傾向にあるので、
新規参入企業はその他大勢と扱われてしまいます。
また、市場に関する情報が既存企業に比べて不足しています。
したがって、販売戦略が後手後手になってしまう恐れがあります。
入念な市場調査を行う手もありますが、
そのようなことをしている間に市場は成熟期を迎えるでしょう。
2.製品ライフサイクル成長期における販売戦略
課題については色々あるけど、今回は大切な3点に絞ってみたよ。
私が経営者だったら目が回ってしまいそうです。
確実に大きな利益を確保できるはずだ。
この成長期の立ち振る舞いによって、次の成熟期に優位性も決まるから、
ここは慎重に、かつ大胆に経営していきたいね。
創業者松下幸之助の「水道哲学」はまさに成長期に望ましい戦略そのものなんだ。
どういう考え方なんでしたっけ?
松下幸之助はこのように明言したわけではないけど、世の中には「水道哲学」として広まっていったんだ。
高度経済成長期には有効な考え方だったわけですね。
じゃあそろそろ成長期における販売戦略について説明していくよ。
宜しくお願いします!
2-1.成長期に最適な販売戦略
成長期には3点の課題がありました。
このそれぞれに対して打ち手を講ずるのが合理的と言えるでしょう。
②ブランド力の確保と付加価値の付与
③素早く、大胆な経営判断
まずは急速な市場拡大に対応しなければいけません。
その為に、販売網・流通経路の拡大は必要不可欠でしょう。
店舗数の増加、販売店の増加、卸売業者の増加がこれに当たります。
また、導入期では限られたターゲットに対するアプローチでしたが、
成長期では不特定多数の人間に製品や会社の存在を知ってもらうのが効果的です。
なぜなら、多くの消費者が製品の概要を知っているからです。
不特定多数の人間への宣伝には、テレビCMやWebを活用したマーケティングが有効でしょう。
導入期から事業を継続してきた既存企業は、
ブランド力と規模の経済や経験効果に裏付けされた価格競争力があります。
これらを用いて新規参入企業に対抗するのが王道といえるでしょう。
また、既存・新規参入企業にかかわらず、
新機能等の付加価値を加えるのも有効な差別化戦略です。
導入期では製品理解を重視するため、製品は簡素化しておくべきでした。
成長期では消費者の製品理解は十分なため、さらに機能を付けることで他社との差別化が可能となります。
最後に、早く多くの市場シェアを確保するために素早い経営判断が必要です。
基本的にトップダウン型の経営が体制が望ましいでしょう。
ボトムアップ型の経営だとしても、意思決定に関するプロセスはできるだけ簡素化しておくことが望ましいです。
社長・会長の意思決定を社員全員に従わせるタイプの経営手法のことボトムアップ:
社員一人一人が経営方針を考えるタイプの経営手法のこと
2-2.成長期の事例紹介 デジタルカメラ
下のグラフはデジタルカメラ市場の日本国内出荷台数と平均単価の推移です。
※一般社団法人カメラ映像機器工業会の統計データをもとに管理人が作成
1999年から2008年にかけて急速に市場が伸び、平均単価も下がり続けていますね。
ところが2008年から2012年まで横ばいになり、2013年からは出荷台数が減少しています。
今まで学んできた、製品ライフサイクルの特徴がよく表れたグラフだと思います。
ちなみに1999年から新規参入企業は増え続け、
2005年頃から京セラ、コダック、コニカミノルタ等の大手企業が
相次いでデジタルカメラ市場から撤退しています。
このことから、デジタルカメラ市場がうまみがあった時期は、
実質1999年~2005年の約6年間ということになり、
成長期の期間がいかに短いかがよくわかりますね。
この短い期間に大きな市場シェアを確保できた企業だけが生き残ることができるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
成長期は高い利益を得られるというメリットがある反面、競争が激化し、
素早く効果的な販売戦略を打たなければ、一気に市場シェアを他社に奪われてしまいます。
今一度、成長期における販売戦略をまとめると、
①販売網の拡大とマスコミの活用
②ブランド力の確保と付加価値の付与
③素早く、大胆な経営判断
以上を実行できる組織体制を作り上げるのが望ましいです。
次回は、製品のライフサイクルの成熟期に望まれる戦略について解説していこうと思います。
宜しくお願いします。
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