はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回はデジタルマーケティングの分野から、トリプルメディアをテーマに解説していこうと思います。
この論点は、マーケティング関連の仕事をされている方からすると、何ら難しくない論点ですが、使われる用語が聞き馴染みのない方にとっては、イメージしにくい内容だと思います。
とはいえ、本試験で出題されたら確実に正答しておきたい論点です。
この動画では、できるだけ具体例を用いながら説明したいと思いますので、苦手意識を持っている方は、この動画で克服していただければと思います。
また、僕自身も本業・副業でかかわりの深い領域ですので、より実践的な話が出来ればと思います。
ペイド・メディアとは?
まずはペイド・メディアですね。
ペイド・メディアとは、料金を支払って掲載するタイプの広告のことです。
「支払う」 という意味の 「Pay」 の過去分詞形 「Paid」 だと分かれば、用語の意味は思い出しやすいと思います。
デジタルマーケティングの世界では、代表的なペイド・メディアとして、次の3つがあります。
リスティング広告
まずはリスティング広告ですね。
検索連動型広告とも言われていて、検索ページに表示される広告です。
例えば、「中小企業診断士 勉強法」とGoogleで検索すると、検索結果の一番上には「スタディング」 のページが表示されます。
よく見ると、ページリンクの上側に 「スポンサー」 と表示されています。
これは、スタディングの運営会社が検索結果の上部を広告枠として購入しているわけですね。
このようにリスティング広告は、自社サービスの想定顧客が検索しそうな文字列を類推して、その文字列が検索されたときに、検索結果上部に自社サイトを表示させることができる広告です。
こうすることで、ニーズのある顧客を狙い撃ちして広告表示できるわけですね。
検索結果1位のサイトのクリック率はおよそ40%と言われています。
また、クリックされたときに初めて課金されますので良心的な料金体系です。
最近ではWeb広告をやるなら、まずはリスティング広告から始めてみるというのが鉄板となってきました。
バナー広告
続いて、バナー広告です。
バナー広告は、Webサイトに画像表示されるタイプの広告ですね。
例えば、僕が運営しているこのブログでも、画面の左右と下部、それから記事の途中でも広告が表示されているかと思います。
このようなタイプの広告がバナー広告と言われているわけですね。
バナー広告は、認知拡大の目的で使用されることが多いとされています。
もちろん広告をクリックされるのが一番ですが、広告が表示されるだけでも一定の宣伝効果が認められますので、表示回数に応じて課金されるタイプも存在しています。
どちらかというと、資金力のある大手企業が利用するイメージの広告となりますね。
アフィリエイト広告
続いて、アフィリエイト広告です。
アフィリエイト広告は、成果報酬型の広告となります。
例えば、僕がおすすめする診断士試験の市販教材たちは、Amazonのプラットフォームを利用してリンク集を公開していますが、こちらのサイト経由で教材を購入すると、販売した金額に応じて、Amazonから僕にお金が入ってくる仕組みになっています。
要は僕が勝手にAmazonの商品を宣伝して、Amazonは商品購入という成果に応じて、広告料金を支払ってくれるわけですね。
広告主からすると、商品やサービスが売れたときに初めて料金を支払えばよいので、金銭的なリスクをほとんど負うことなく宣伝できる仕組みとなっています。
非常に魅力的な広告タイプではありますが、媒体側に「宣伝したら売れる」 という確信が持ってもらえるほどの商品力がないと、そもそも取り扱ってもらえないというリスクもありますね。
以上のように、ペイド・メディアはいわゆる「広告」と呼ばれる媒体ですが、多様な種類と料金の支払い形態があることがお分かりいただけたかと思います。
オウンド・メディアとは?
続いて、オウンド・メディアです。
オウンド・メディアは、自社で保有するメディアのことを言います。
オウンドは、「所有する」 という意味の 「Own」 の過去分詞形ですね。
代表的なオウンド・メディアには、次の3つがあります。
コーポレートサイト
まずはコーポレートサイトです。
いわゆる自社サイトと言われるものですね。
トヨタのサイトのように、自社製品の紹介から企業概要、企業によっては決算情報まで公開していますね。
コーポレートサイトは自社に興味を持ってくれている顧客に制限なく情報を伝えることができます。
コーポレートサイトの内容が乏しいと、せっかく自社に興味を持ってくれた顧客から、逆に信頼を失ってしまうという事態になりかねません。
ある意味、会社の顔ともいえる存在なので、一定量のコンテンツは用意しておきたいですね。
ECサイト
続いて、ECサイトです。
ECサイトは、決算機能を備えたWebサイトですね。
たとえば僕が運営しているたかぴーSTOREもECサイトの一つです。
Sopifyのプラットフォームを利用して、僕自身で開発した教材を販売しています。
このように、ECサイトを作ることで、自社商品・サービスをWeb上で提供することができるようになります。
直販の流通網を持てることになり、成功すると企業の収益性は著しく改善します。
最近ではインターネットの知識があまり無くても簡単に導入できるようになってきていますので、中小企業にもぜひ導入を検討してほしいですね。
メールマガジン
最後にメールマガジンです。
自社で発行するメールメディアですね。
メールマガジンは、能動的に顧客アプローチができるメディアです。
メルマガ=ウザいという印象を持たれているか思いますが、個人的には使い方次第と考えています。僕も本業で見込客向けのメルマガ配信をしていますが、そのメルマガきっかけで問い合わせをもらい、今では数億円の取引になっている事例があります。
価値あるメルマガを配信することで、大きなビジネスチャンスを掴むきっかけになるわけで
すね。
以上のように、オウンド・メディアはペイド・メディアと比べて、コストをあまりかけずに顧客に情報を伝える手段となりますので、中小企業には広告費をかける前に取り組んでほしいメディアとなりますね。
最近ではYouTubeやX、インスタグラムなどのSNSを運営する企業も増えてきています。
これらのSNSもオウンド・メディアに含まれますので、試験対策の観点でも、覚えておくと良いでしょう。
アーンド・メディアとは?
最後にアーンド・メディアです。
アーンド・メディアは、第三者によって得られるクチコミやレビュー評価となります。
アーンドは、「得る」「稼ぐ」という意味の 「Earn」 の過去分詞形ですね。
クチコミ、評判を 「得る」 タイプのメディアだと覚えておきましょう。
例えば、YouTubeの商品紹介動画や、SNS上のクチコミなどが、アーンド・メディアに当たりますね。
また、Amazonなどでの商品レビューもアーンド・メディアとなります。
ちなみに、いわゆる案件動画は、企業側がYouTuberに対して料金を支払って宣伝してもらっているので、アーンド・メディアではなく、ペイド・メディアとなります。
アーンド・メディアは、あくまで消費者の自発的な行動というわけですね。
アーンド・メディアが上手く活性化する、いわゆる 「バズった」 状態になると、企業側は広告コスト無しで、とんでもない宣伝効果を得ることになります。
「バズマーケティング」 といわれる手法は、近年注目されるマーケティング手法の一つですね。
以上、ここまで紹介してきた3つのトリプルメディアを、上手く組み合わせながら自社のPR活動を検討することが重要です。
どこに力点を置くかは重要ではありますが、1つだけに偏らないようにするべきというわけですね。
試験対策としては、各用語と内容が何となくイメージできる程度で十分かと思います。
過去問を解いてみよう (平成23年度 第30問 設問2)
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
コミュニケーション戦略の考え方に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア CGM (Consumer Generated Media:消費者生成型メディア)の普及に伴って、消費者が企業のマーケティング活動の成果に及ぼす影響は大きくなっている。
イ インターネット広告は、成果に応じた報酬を支払う取引が行われるため、 費用対効果を追求する広告主のニーズに適合している。
ウ 検索サイトで検索されたときに、検索結果の上位に表示されるよう自社のウェブページの内容を調整することをアフィリエイト・プログラムという。
エ ニュースサイトやブログ、マスコミ報道や消費者のクチコミなどは、企業やブランドに対する信用や評判を得ることができるため、「アーンド・メディア (earned media)」と呼ばれている。
オ 複数の広告媒体を活用し、パソコンや携帯電話を通じてインターネットでの検索や購買といった効果を発揮させることを目的とした媒体戦略は、クロス・ メディアと呼ばれる。
中小企業診断士試験 企業経営理論 平成23年度 第30問 設問2
選択肢から誤った内容を選ぶ問題ですね。
✅選択肢ア
これはその通りですね。
CGMとは、SNSやブログといったメディアのことで、これらで発信される内容が企業のマーケティング活動に良くも悪くも影響するようになってきました。
✅選択肢イ
これはややましい選択肢ですが、正しい記述となります。
一般的に、成果に応じた広告はアフィリエイト広告を指しますが、ここではクリック課金やインプレッション課金のことを「成果に応じた報酬」と言っているのだと思われます。
✅選択肢ウ
これは明らかに誤りですね。
検索結果の上部に表示させる広告はリスティング広告 (検索連動型広告) というのでした。
選択肢ウがこの問題の正解となりますね。
ですので、選択肢エとオも正しい記述となります。
特に選択肢オのクロス・メディアの定義も念のため確認しておいてください。
用語の意味さえ理解していれば、簡単に正答できる問題でしたね。
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回はトリプルメディアについて学習しました。
ペイド・メディアは、料金を支払って利用する広告で、オウンド・メディアは、自社で所有するメディアで、アーンド・メディアは、第三者から得られるクチコミやレビューのことでしたね。
各メディアの代表例としては、上の画像のような内容があるのでした。
試験対策としては、各用語を見ただけで、どのような内容だったかをザックリとでも良いので、想起できるようにしてください。
記事の途中で紹介した具体例と一緒に覚えていただくのがベストですね。
はい、というわけで、今回はトリプルメディアをテーマに解説してみました。
試験対策というよりは、ついつい実務目線での解説になってしまいましたが、イメージが掴んでいただけたかと思います。
今回紹介した各メディアを上手く利用することで、人材不足が叫ばれている中でも、効率的なPR活動が可能となります。
まだまだ使いこなせていない中小企業は多く存在していますので、診断士になった暁には、ぜひ運用面で支援していただければ思います。