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比較生産費説とは?絶対優位と比較優位の違いと問題の解き方を解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

比較生産費説_サムネイル
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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回は比較生産費説をテーマに解説していきたいと思います。

経済学は複数の論点の理解を積み上げていくことが多い中で、今回の論点は単発で理解するだけで問題を解けるようになります。

比較的コスパの良い論点かと思いますので、この機会にしっかりと内容を理解しましょう。

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比較生産費説とは?

比較生産費説とは、比較優位財に特化して生産することで、貿易国全体の生産量が増えことを主張した理論です。

例えば、日本とアメリカで、お米の栽培と牛の家畜をしていたとしましょう。

比較生産費説では、それぞれの国で2つの財を生産するのではなく、それぞれの国が一方の財の生産に特化した方が、全体の生産量が増えると主張しています。

要は自国の強みを生かして、得意な方を伸ばしましょうと言っているわけすね。

本当にそうなのか、具体的な数字を使いながら確認していきましょう。

絶対優位とは?

比較生産費説を学習する上で、まず押さえておきたい用語は絶対優位です。

絶対優位とは、他国と比較して一人当たり生産性が高いことを言います。

例えば、アメリカと日本でお米の栽培と、牛の家畜をする場合、財を1単位生産するのに必要な人数は以下の表の通りだったとします。

絶対優位とは?

日本とアメリカを比較すると、お米を1単位生産するのに必要な人数は、アメリカが2人、日本は3人なので、アメリカの方が少ない人数でお米を生産できることがわかります。

また、牛で比較してもアメリカの方が少ない人数で生産ができるので、どちらもアメリカの方が生産性では優れていることがわかります。

この時、アメリカは日本に対して、どちらの財についても絶対優位を持つと言えます。
同じ財を同じだけ作るときに、必要な労働力が少なければ絶対優位を持つと言うわけですね。

ここでは、アメリカはどちらの財についても生産性が日本より高いので、アメリカはお米も牛も自国で生産をして、日本からは一切輸入したしない方が良いのでしょうか?

比較性費説では、そうではないと主張しているわけですね。
なぜそうなるのか、説明していきたいと思います。

比較優位とは?

比較生産費説を学ぶのに欠かせないのは、比較優位という考え方です。

比較優位とは、ある財を基準にした際、相対的な生産性が高い状態のことを言います。
言葉だけでは難しいので、数字を使いながら確認していきましょう。

先ほど同じように、アメリカと日本のお米と牛の生産について考えていきます。
比較優位を検討する際は、お米を1人で作れるとしたら、牛は何人で育てられるかということを考えていきます。

比較優位とは?

もし仮にアメリカでお米が1人で作れるとしたら、本来必要な人数は2人だったので、必要な人数が半分になっていますね。
そうだとすると、牛を育てるのに必要な人数も、本来必要な人数の半分である2人になるはずです。

同じように、日本でお米を1人で作れるとしたら、本来の人数よりも3分の1の人数で済むので、牛を育てるのに必要な人数も3分の1である、3人となるはずですね。
この時、牛を育てるのに必要な人数を比較してみると、アメリカの方が少ないので、アメリカは牛の生産に比較優位をもつと読み取ることができます。

それでは続いて、牛を1人で育てられるとしたら、お米は何人で作れるかということを考えていきましょう。

今度は牛を1人で育てられる場合を考えるわけですね。
本来アメリカで牛を育てるには4人が必要でしたので、これが1人になるということは、必要な人数が4分の1になっていることがわかります。

ですので、アメリカで牛を1人で育てられるとしたら、お米を作るために必要な人数も4分の1となって、2分の1人で済むと言うことになります。

日本についても同じで、牛を1人で育てられるとしたら、必要な人数は1/9となりますので、お米は本来必要な人数3人で、1/9をかけて1/3人で済むということになります。

ここで、お米の生産に必要な人数を比較してみると、日本の方が1/3人と、より少ない人数でお米を生産できるとわかります。
この場合、日本はお米の生産について比較優位を持つと言うことができるわけですね。

先ほど、どちらの財についてもアメリカが絶対優位を持つと確認しましたが、比較優位の考え方に基づくと、日本とアメリカでそれぞれ得意分野が異なることが読み取れます。

比較生産費説では、この得意な領域に生産を特化した方が良いと言うわけですね。

比較優位をもつ財に特化した場合

本当に比較優位を持つ財に生産を特化した方が良いか、念のため確認しておきましょう。

比較優位財をもつ財に生産を特化した場合

もし左の表の通りに、各国で労働力を投下した場合の生産量は、右上の緑表で表されます。

アメリカは米に2人、牛に4人、日本は米に3人、牛に9人の労働力が必要で、その生産に必要な人数をそのまま配置しているので、当然それぞれ1個ずつ生産できるわけですね。
生産数は合計で4個生産できるということがわかります。

それでは、同じ労働力を比較優位な財の生産に集中投下した場合はどのようになるでしょうか?

アメリカは牛、日本はお米の生産に自国の労働力を集中投下するわけですね。
計算してみると、右下の赤表の通りとなります。
これらは合計すると、生産量は5.5個となりますね。
緑の表と比較すると、両国の生産数の合計1.5個増えていることがわかります。

以上から、比較生産費説では、2つの国で分業して貿易をした方が、全体の生産数は増えるので、経済にとってプラスだと主張しているわけですね。

これを根拠に、政府は関税をかけるような保護貿易をするのではなく、自由貿易をして、積極的に貿易をした方が良いと言うように議論を発展させています。

もちろんこの表からも読み取れるように、牛の生産数そのものは本来より減少していますし、比較優位を持たない財の生産を一切行わないと、自国からその技術が失われると言う突っ込みどころはあります。

ですので、現実社会ではこのような極端な分業体制は発生しないのですが、貿易をすることのメリットを確認するためには、現代でも支持されている理論となっています。

過去問を解いてみよう (平成29年度 第20問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

 下表に基づき、国際分業と比較優位について考える。製品P1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では30人の労働が必要である。また、製品Q1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では60人の労働が必要である。
 このような状況に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A国B国
製品P1個当たりの
労働力
5人30人
製品Q1個当たりの
労働力
5人60人

ア A国では、製品Qの労働生産性が相対的に高いので、製品Qの相対価格が高くなる。

イ A国は製品Qに絶対優位があり、B国は製品Pに絶対優位がある。

ウ B国は、A国に比べて、製品Pについて、製品Qについてはの生産性なので、製品Qに比較優位を持つ。

エ 1人当たりで生産できる個数を同じ値とすると、A国では、製品P1個と製品Q1個を交換でき、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができる。

中小企業診断士試験 経済学 平成29年度第20問

見た目通り、比較生産費説についての問題ですね。
先ほどまで解説に使用していた表と、行列が入れ替わっている点に注意してください。

まず設問文を読む前に、表から絶対優位と比較優位を読み取ってみましょう。

中小企業診断士試験経済学_平成29年度第20問

まず与えられた表から読み取れる内容として、A国は製品P、製品Qともに5人で生産でき、
B国は30人以上の労働力を必要としているので、A国は製品P・製品Qともに絶対優位を持つことが読み取れますね。

その上で、比較優位についても検討していきましょう。

まず製品Pについて1人で生産できるとしたら、製品Qの生産に必要な人数は右上の青表のように表されます。
製品QはA国が1人、B国が2人で生産できますので、A国の方がより少ない人数で生産できることが読み取れます。
ですので、A国は製品Qに比較優位を持つと言えますね。

同じように、今度は製品Qを1人で生産できるとした場合に、製品Pの生産に必要な人数は、右下の赤表のようになります。
製品Pについては、B国が2分の1人で生産ができるので、B国は製品Pに比較優位を持つということが読み取れますね。

ここまで確認した上で、各選択肢を見ていきたいと思います。

✅選択肢ア
A国の生産性について見てみると、製品Qともに1個生産するのに必要な労働力は5人なので、生産性は異なりません。
ですので、製品Qの方が労働生産性が高いとする、選択肢アは誤りであることが読み取れます。

✅選択肢イ
先ほど確認した通り、A国はは両財について絶対優位がありますので、選択肢イも間違いであることがわかります。

✅選択肢ウ
こちらも先ほど確認した通り、B国は製品Pについて比較優位がありましたので、この記述を誤りであることがわかりますね。

✅選択肢エ
こちらは青色の表から読み取れる通り、製品Pも製品Qも1個作るのに必要な労働力は変わりませんので、これらの価値は変わらないと判断できますね。
ちなみに、比較生産費説の問題では、生産に投下した労働力に比例して、価格が増えると考えます。

続いて、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができるとありますが、B国は製品Qの半分の労働力で製品Pを作れる状態にありますので、製品Q1個で製品P2個と交換できるとする記述も正しいことがわかります。

というわけで、この問題は選択肢エが正解となります。

比較生産費説の問題は、このように行列が入れ替えられると少々混乱してしまいますね。
それから、選択肢エのような説明が出てくると、やや読み取りにくさを感じてしまうかと思います。

まずは絶対優位と比較優位を適切に読み取ることが重要ですので、頭の体操するような感覚で問題に取り組んでいただければと思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した比較生産費説とは、比較優位財に生産を特化することで、貿易国全体の生産量が増えるとする考え方なのでした。

そして、2つの財を生産する際、単純に1単位を生産するのに必要な人数が少なければ、絶対優位を持つと言うのでしたね。

それから、それぞれの1人で生産できるとしたときに、もう一方の財を生産するのに必要な人数を、比の考え方を使って計算するのが、比較優位の考え方でした。

比較優位とは?

このケースでは、アメリカが牛に比較優位を持ち、お米については日本が比較優位を持つのでしたね。

試験問題を解くときは、1つの国が全ての財について、比較優位を持つということはありません。

もし問題を解く中で、そのようなケースが現れてしまった場合は、自分の計算が間違っていないか、改めて確認するようにしましょう。

というわけで、今回は比較生産費説について解説をしてみました。

この理論自体は1度理解してしまえばそこまで難しくありませんが、ちょっとしたひっかけ問題が作りやすい論点でもありますので、本試験で出題された時は、どこかに罠が仕掛けられていないか、注意深く問題を解くようにしてください。

出題されたら絶対に取りたい論点でもありますので、この記事をご覧の皆さんは本試験で確実に得点をもぎ取って下さいね。

それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次回の解説記事でお会いしましょう。勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!!

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