どうもたかぴーです!
今回から4回にわたって製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル)について解説していきます。
製品ライフサイクルは、製品は全て導入期・成長期・成熟期・衰退期という4つの段階を経て発展、消滅していくという理論です。
しかし、その概要をわかっていても、中身については詳しくわからないという人が意外と多いのではないでしょうか?
そこで今回から、製品ライフサイクルの各段階において効果的な戦略を実行する際のポイントについてまとめていきます。
この記事ではまず製品ライフサイクルのおさらいと、導入期の特徴について説明します。
1.製品ライフサイクルとは
経営学では基礎中の基礎の分野だね。
私も授業で何度も出てきました。
よくわからないですけど。
まず、製品ライフサイクルとは製品が市場に登場してから撤退するまでの期間を指した言葉だよ。
製品ライフサイクルはどんなサービスや製品も、いつかは消えてしまうという考え方をしているんだ。
それと同じと考えてよいのでしょうか?
製品ライフサイクルの考え方では、製品は全て導入期・成長期・成熟期・衰退期という4つの段階を通ると言われているんだ。
当然、それぞれの段階には特徴があるんだよ。
そこで次のグラフを見て欲しい。
※筆者作成
利益に関しては、導入期には損失が生まれているけど、成熟期にかけて上がっていき、衰退期に最後にはほとんどなくなっている。
このように段階によって売上高・利益の関係が大きく変わっていくんだ。
最終的には利益はほとんどなくなっちゃうんですね。
これを見ると成長期に一番うまみがあるような気がします。
じゃあ他の段階では参入すべきではないのかというと、そうではないんだ。
大切なのは、各段階の特徴に合わせて、最適な戦略を実行することなんだよ。
1-1.製品ライフサイクルは人生と一緒
人間が幼少期・青年期・成人・老後と経て、いつかは死んでしまうように、
製品も導入機・成長期・成熟期・衰退期と経て、いつかは消えていくという考え方が製品ライフサイクルです。
それぞれの段階の特徴をまとめると、以下のようになります。
・導入期:製品が導入され、売上・利益が少ない
・成長期:急速に売上・利益が増大する
・成熟期:売上成長が止まる
・衰退期:売上・利益が検証する
各段階に合わせて、最適な戦略を行うことがとても大切なのです。
1-2.製品ライフサイクルの汎用性
製品ライフサイクルは、製品以外にも応用が効きます。
具体的には、サービスや市場・産業についてです。
サービスも開始されてからいつかは消えてしまいます。
例えば電話交換手というサービスは、電話の発展とともに成長しましたが、今は見る影もありませんよね。
また、単一製品だけではなく、市場・産業に関しても製品ライフサイクルの考え方を応用できます。
例えばVHR(ビデオテープレコーダー)市場では様々なモデルが発売され、市場が発展・衰退しましたね。
この場合、各モデルに理論を当てはめるのではなく、市場全体に製品ライフサイクルの理論を応用した方が、その発展・衰退についてより深く観察できるのです。
1-3.製品ライフサイクルの注意点・問題点
製品ライフサイクルは性質上、大まかに2つ問題点があると言えます。
1点目は、全ての製品が同じような導入期~衰退期のパターンを経るわけではないという点です。
製品や産業によって、各段階の期間や、各段階の売上・利益はそれぞれ異なるのです。
したがって、製品ライフサイクルはあくまでモデルとして、各製品・産業に応用する必要があります。
2点目は、対象の製品・産業が、今現在どの段階にいるかは正確にはわからないという点です。
例えばiPhoneは今製品ライフサイクルのどの段階でしょうか?
さすがに導入期は過ぎたとしても、今後も伸び続けると思う人は成長と考えるでしょうし、
もう伸びる見込みはないと思う人は衰退期と答えるでしょう。
つまり、製品ライフサイクルのどの段階にあるのかは、結果論でしか語れないのです。
2.導入期における戦略
これはどういう理由からだろう?
作ったとしても売れないので、当然利益も少ないのだと思います。
導入期においては、消費者はそもそも製品の存在自体を知らないか、知っていたとしてもよく分からなかったりするんだ。
また、もし製品に関して詳しく知っていたとしても、あえて買わなかったりするんだよ。
値段が高いからでしょうか?
それから、新製品はどうしても不具合等がでやすいから、品質と信頼感が向上するまで待とうとする人もいるよね。
確かにスマホが出始めた頃も、少し様子を見てました!
ああいうのは人間の心理なんですね~。
2-1. 導入期に市場が大きくなりにくい理由
導入期には売上が少なくなり、利益が少ないか、あるいは赤字になってしまいます。
市場が大きくなるにつれ利益も増大しますが、この時期は市場が大きくなりにくいのです。
その理由は顧客側、生産者側にそれぞれ理由があります。
②用途や機能に関する詳しい知識がない
③将来に期待した買い控え
②不具合、不良に対する対応、製品改良が多い
導入期にはこうした事情により、市場拡大が緩やかになる傾向があります。
2-2.製品ライフサイクルの導入期に望まれる戦略
導入期には市場が拡大しにくい理由がありました。
従って、顧客側・生産者側の問題に対応した戦略を実行するのが合理的といえるでしょう。
-今その製品を強く要望している顧客に製品の存在を知ってもらいましょう。
誰かれ構わず宣伝するのは不効率です。
②製品はシンプルに、営業は製品説明に力を入れる
-現在その製品の魅力は誰も知りません。
何ができる製品なのかがわかりやすい、簡素な設計が望ましいでしょう。
また、営業する際も製品の魅力・機能が顧客に上手く伝わるようにする必要があります。
③価格の合理性を伝える
-導入期には価格が高くなりがちなので、顧客は値下げを要望するでしょう。
この場合、顧客は商品の価値を十分に理解できていない可能性があります。
その価格で買っても安いと思える程、製品購入のメリットを伝えましょう。
導入期における販売促進の方法は、製品説明を重視するプッシュ型を採用します。
注意すべき点は、安易な値下げを行わないこと、高機能にしないことです。
値下げは規模の経済が働く等の合理的な理由がなければ行うべきでありません。
特に開発費の回収等を行わなければならない段階の値下げは、事業の存続にかかわります。
また、売上高が伸びないからと高機能にするのもよくありません。
導入期の消費者は製品の魅力自体を理解できていないのです。
その段階での製品の複雑化は、売上高増加をさらに鈍化させてしまうでしょう。
-いたずらに生産・販売体制を拡大すればよいというわけではありません。
常に販売計画・生産計画に沿った体制作りを整えるべきです。
②不具合、不良に対応する組織体制を作る
-導入期の不具合等の発生は免れません。
大切なのは、発生したクレームに対応する組織と体力を残しておくことです。
クレームに誠実に対応できない企業は消費者からの信頼を失うでしょう。
販売促進では製品説明重視との説明を行いましたが、実は生産者自体も製品の真の価値に気づいていません。
消費者の要望に素早く、誠実に対応する組織体制が望ましいでしょう。
2-3.導入期に参入するメリット・デメリット
導入期はビジネスが生まれて間もない、非常に不安定な時期です。
この時期に参入するメリット・デメリットにはどういったことが考えられるのでしょうか。
・市場のパイオニアとしてのブランド力がつく
導入期を乗り切り成長期に入ると、業界のリーダーとしてのポジションを獲得できるのです。
つまり、成長期において最も利益を得られるのは、導入期に参入していた企業が多い傾向にあるのです。
・市場そのものが無くなってしまうリスクがある
導入期はあらゆる意味でリスクの大きい時期です。
実は開発した製品が、消費者に全く必要とされておらず、市場が無くなってしまうケースもあります。
2-4.導入期の事例 ロボット産業
最後に、ロボット産業における事例を見てみましょう。
人型ロボット産業のサービス分野はまだ製品のライフサイクルの導入期だと言えます。
次のグラフを見てみてください。
※経済産業省:2012年 ロボット産業の市場動向資料をもとに筆者が作成
ご覧のように、今後ロボット産業は大きく成長すると予測されていますが、市場としてはまだ小さいのです。
最近ソフトバンク社のコミュニケーションロボット「Pepper」が知られるようになりましたが、
本体価格:19.8万円 + 基本・保険プラン:2.46万円×36ヶ月 で 合計:約108万円 という販売価格です。
庶民の感覚からすると、高いと感じるのではないでしょうか?
そしてこのロボットがどんな機能を備えていて、何ができるのかを説明できる人はおそらく少数でしょう。
これらのことから、ロボット産業のサービス分野は製品のライフサイクルの導入期だと言えます。
この市場に求められる販売戦略を考えてみるのも面白いかもしれませんね。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
製品のライフサイクルには各段階に特徴・課題があります。
各々の段階に合わせた戦略を取らないと、足元をすくわれてしまうリスクがあるのです。
導入期には、製品の認知度がとても低いという課題があり、そのためには効率的なターゲット選定と、説明重視の営業が効果的だと述べました。
もし不適切な販売活動を行うと、事業の存続が危うくなるか、市場そのものが無くなってしまうことでしょう。
次回は、製品のライフサイクルの成長期に望まれる戦略について解説していこうと思います。
宜しくお願いします。
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