一時期は脚光を浴びた製品も、いつかは廃れ、最後には消えてしまいます。
今回はそんな製品ライフサイクルの衰退期について考えていきます。
おさらいとして、製品ライフサイクルの曲線を確認してみましょう。
ご覧の通り、衰退期には売上も利益も減少していくのです。
そして、最終的には製品そのものが市場から消えてしまいます。
(言い換えれば、全ての企業が撤退してしまいます。)
このような製品ライフサイクルの衰退期にはどのような戦略が望ましいのでしょうか?
1.製品ライフサイクル衰退期の特徴・課題
その前に、導入期・成長期・成熟期のそれぞれの特徴は覚えているかな?
導入期の消費者は、製品の存在をほとんど知らず、売上・利益ともにほとんど出ない時期でした。
成長期に入ると、製品の認知度が上がって、売上・利益が爆発的に伸びるんでしたよね。
そして成熟期になると、ほとんどの消費者が製品の購入を一度は検討したことがあり、利益の成長が止まってしまうのでした。
そして、衰退期に入ると、売上や利益が減少し始めるんだ。
そうすると、いち早く市場から撤退するのがいいのでしょうか?
ただし、撤退のタイミングや方法については慎重に判断する必要があるんだ。
ただ撤退すればいいという問題ではないのですね!
具体的にはどのような問題があるのでしょうか?
1-1.衰退期の特徴
衰退期の特徴は、以下の3つの側面からと捉えることが出来ます。
②代替品の登場
③消費者の態度
①売上・利益の成長
衰退期には売上・利益の減少が始まります。
価格を低下させても、需要が伸びない為、みるみる利益率が下がっていくのです。
②代替品の登場
そもそもなぜ衰退期は起こるのでしょうか?
それは、より優れた代替品が登場する為です。
例えばビデオテープが廃れたのは、DVDが登場した為だと言えます。
このように、消費者が達成したい目的を、より効果的に実現できる製品が登場した時、衰退期に移行するのです。
③消費者の態度
衰退期における消費者は強固に保守的であると言えます。
製品に対する理解と、それに製品の質に見合うと感じられる価格設定がされていて、初めて購入に至ります。
また、保守的であるので、先に述べた代替品に対して懐疑的なため、仕方なく既存製品を購入する場合もあります。
1-2.衰退期の課題
衰退期には利益が生まれないので、企業として市場に残り続ける理由がありません。
したがって、衰退期の課題は撤退のタイミングをいつにするのかです。
しかし、市場から撤退するとしても企業として配慮しなければならない点が2つあります。
②既存顧客の問題
①雇用の問題
市場から撤退するという事は、それに関わる全ての仕事が無くなるということです。
つまり、従業員の大規模なリストラを決行しなければいけません。
企業は雇用を継続させることに、社会的責任を負っている面もありますので、安易にリストラをすべきではありません。
また、大規模リストラは現在の従業員だけでなく、将来の就職希望者へも不安を与えます。
したがって、有望な人材を確保できなくなるリスクがあるのです。
その為、他の事業部への人事異動や、関連会社への再雇用のサポートなど、出来るだけ現従業員の生活を守る手を尽くした上で、市場から撤退することが望ましいでしょう。
②既存顧客の問題
現在顧客へのサポートにも配慮しなければなりません。
例えば現在使用しているパソコンのメーカーが突然市場から撤退し、パソコンの不具合が発生した場合の問い合わせサポート一切行わないと発表したらどうでしょう?
そのメーカーへの信頼度は地に落ちるでしょう。
他の事業を行っているのであれば、そちらへの影響も免れません。
その為、撤退するにしても、既存顧客へのサポート体制はある程度の期間残し続ける必要があるのです。
2.衰退期の最適な戦略とは
例えば、フィルムカメラはデジタルカメラ、蒸気機関車は電車に取って代わってしまったよね。
衰退期はどんな製品にも免れないのかもしれません。
いつでも製品が衰退期に入ってもいいように、前もって準備をしておくわけですね!
このリスク分散の考え方によって出来上がったのがプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)なんだ。
これは次回に解説するとして、今回はあくまでいざ衰退期に入った時の最適な戦略についてだったよね。
これらを踏まえて戦略を決定すべきなのでしょうか?
だから、すぐに撤退できる場合と、そうでない場合に分けて戦略を考える必要があるね。
2-1.早期撤退が可能な場合の戦略
製品が明らかに衰退期に入った場合、企業としては速やかにその事業から撤退することが望ましいです。
しかし、撤退する際には先に挙げた
①雇用の問題
②既存顧客の問題
を解決していることが必須条件と言えます。
雇用の問題を解決するには、市場を撤退しても雇用を維持し続けられるだけの、別事業を所有している必要があります。
それは従来とは全く異なる製品かもしれませんし、衰退期の原因となった代替品に関する事業かもしれません。
既存顧客の問題を解決するためには、サポート体制を整える必要があります。
できるだけ最小コストで抑え、それを支える資金を用意しましょう。
以上の準備が出来ていれば、早期撤退が可能となります。
もし準備が出来ていないのであれば、以下の戦略を選択することとなります。
2-2.早期撤退が不可能な場合の戦略①残存者利益の確保
衰退期には次々と企業が撤退していくので、残された利益を少数の企業に集中できます。
成熟期までのように、新たな設備投資や大々的な販売促進活動を行わなくても、消費者はいい意味で”仕方なく”自社製品を選択してくれるのです。
このように、製品が完全にこの世から消えてしまうまでの残存者利益を確保しながら、撤退の準備を進めていくのが望ましいでしょう。
2-3.早期撤退が不可能な場合の戦略②市場の再拡大
最後に、市場から撤退をせず、市場の再拡大を狙うという選択があります。
これには以下の2つの方法が考えられます。
②新市場の開拓
①製品の再定義
製品の再定義とは製品に求められる価値を転換することです。
機械時計とクオーツ時計を例に解説します。
時計には主に、機械式時計とクォーツ式時計があります。
機械式時計は何百年前代から製造されている伝統的な時計に対し、
クォーツ時計は1969年から製造された、水晶振動子を用いた時計です。
クォーツ時計は機械時計よりも性能がよく、メンテナンスもかからず、安価な製品として瞬く間に市場を広げていきました。
100万円の値段のする機械時計も、100円ショップのクォーツ時計に正確に時刻を刻むという性能では、劣ると言われたほどです。
当然、機械式時計は過去の遺産として市場から消えかけたのです。
しかし、機械時計を伝統的に製造してきたメーカーや職人たちは、機械式時計を高級品として販売する戦略に切り替えました。
機械式時計は作り込もうとしれば細部まで丁寧に製造しようと思えば、職人たちが無限に時間を費やすことができ「贅沢な伝統工芸品」というポジションを確立しやすかったのです。
一方クォーツ時計は、電化製品と似ており、機械による大量生産が可能なので高級品として売り出しても説得力に欠けます。
こうして機械式時計は、一度市場から消えかけても、現在に至るまで生産され続けているのです。
このように、製品の定義を変えることによって、衰退期の脱却が可能なのです。
②新市場の開拓
もう一つの戦略は新市場の開拓です。
具体的には、海外市場を開拓するということです。
例えば、発展途上国に日本の洗濯機を販売しようとしてもなかなか売れません。
彼らは未だ手洗いによる洗濯が主流で、日本の洗濯機のような高価で機能の複雑なものの価値がわからないのです。
そのような発展途上国では、ペダルを回転させることにより洗濯するような単純な洗濯機がよく売れるのだそうです。
このように、最先端技術でなくても、その国・地域の状況に合わせた販売で成功する事例はいくつもあります。
そうしたニーズを求めて、海外に競争の場を移すのは有効な戦略の一つでしょう。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
4回に渡って、製品ライフサイクルの各段階における最適な販売戦略について考えてきました。
このように各段階において、消費者の態度が変わり、それに合わせて販売戦略を変えていかなければならないのです。
大切なのは、今現在製品ライフサイクルのどの段階なのかを見極めること、
その上で最適な販売戦略を選択すること、
最後に、常に未来を見据えた経営を行っていくことだと、筆者は考えます。
関連記事:
製品ライフサイクル:導入期における最適な販売戦略とは
Hello, i think that i saw you visited my web site so i came to “return the favor”.I’m attempting to find things to improve my website!I suppose its ok to use a few of your ideas!! http://udhec.com.br/index.php/component/k2/itemlist/user/141355
Thank you for your comment. I’m happy if my website is useful for you. I’m looking forward to seeing you again.