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【市場均衡】ワルラス的・マーシャル的調整過程の考え方・覚え方をわかりやすく解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

ワルラス的・マーシャル的調整過程アイキャッチ
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はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!

今回はワルラス的・マーシャル的調整過程について解説していきたいと思います。

この論点を学習する時は、市場均衡状態を理解することが何よりも重要です。 供給曲線が右肩上がり、需要曲線が右肩下がりになっていることを、納得感を持って理解するようにしてください。

その上で、均衡点から外れたときに、市場均衡価格や均衡取引量に調整される様子を学習いただければと思います。途中でよく分からなくなってしまったら、少し前のパートに戻って、じっくりと理解を積み重ねることをおススメします。

直近の出題頻度はそこまで高くない論点ではありますが、市場均衡状態を理解するためには、ぜひ覚えておきたい論点となりますので、この機会にしっかりと内容を理解しましょう。

YouTube動画でも解説中!

市場均衡とは?

市場均衡状態とは、需要と供給が等しくなるような価格が成立している状態のことを言います。
文字だけだと分かりにくいので、グラフを使って内容を確認していきましょう。

市場均衡とは?

横軸に需要量・供給量、縦軸に価格を取ったグラフを描いてみます。

この時、供給曲線は右肩上がりの直線として表すことができますね。
商品の売り手は価格が上がれば供給量を増やして、価格が下がれば供給量を減らすという関係が表されています。

一方で、需要曲線は右肩下がりの直線となります。
商品の買い手側は価格が下がれば、それだけ多く買いたいと思うわけですね。

改め2二つのグラフを見てみますと、点Aで交わっていることがわかります。
この点Aのことを市場均衡点と呼んで、その時の価格を市場均衡価格、取引量を均衡取引量といいます。

市場均衡点は需要と供給が等しい状態ですので、市場均衡と呼ぶわけですね。

以上で、需要と供給が一致している状態は理解頂けたと思いますが、ここで考えたいのは需要と供給が一致していない時はどうなのかということです。

これを説明するためにワルラス的・マーシャル的調整過程という考え方があります。

ワルラス的調整過程とは?

それではワルラス的調整過程から見ていきましょう。
ワルラス的調整過程は、価格変化によって需要量と供給量が調整されるという考え方です。

先ほどと同じ供給曲線と需要曲線で考えていきましょう。

ワルラス的調整過程 (価格が高い場合)

今、市場均衡価格Pより高い価格のP1を考えていきたいと思います。
価格がP1の時の供給量はS1で、需要量はD1であることが読み取れます。

グラフから需要量よりも供給量の方が大きいということがわかりますね。
この状態を超過供給といいます。

実際に売っている商品数よりも、それが欲しいと思う数が少ないわけですから、商品は売れ残っているような状態ですね。
この価格だと在庫が増えていく一方ですので、生産者は価格を下げることで売れ残りを処分しようとします。

結果として、価格はP1から市場均衡価格に落ち着くわけですね。
ワルラス的調整過程では、このように価格が変化することで市場均衡が達成されます

念のため、市場均衡価格よりも低い価格のP2についても考えていきましょう。

ワルラス的調整過程 (価格が低い場合)

この時、需要量はD2で、供給量はD2であることが読み取れます。

先ほどと違って、供給量よりも需要量の方が、大きいことがわかります。
この状態を超過需要といいます。

実際に生産された数よりも、欲しがる人が多いため、常に在庫不足が発生している状態ですね。ですので、生産者側は商品の値上げを行うことで、より多くの利益を得ようとします。

結果的に、価格は市場均衡価格で落ち着くわけですね。

ワルラス的調整過程では、価格が高くても低くても、結局は市場均衡価格で落ち着くことがわかりました。

このように、価格変化によって需要量・供給量が調整されて、市場均衡価格に落ち着くことを、「ワルラス的に安定している」と言います。

ワルラス的に不安定な状態

ワルラス的に不安定な状態についても確認していきましょう。
ワルラス的に不安定とは、価格調整によって市場均衡に戻らない状態です。

先ほどとは違って、需要曲線が右肩上がり、供給曲線が右肩下がりなグラフで確認してみましょう。

ワルラス的に不安定な状態(価格が高い場合)

このグラフで、市場均衡価格よりも高いP1を考えてみると、需要量はD1、供給量はS1だと読み取れます。

供給量よりも需要量が多く、超過需要が発生していますね。
ワルラス的調整過程では、超過需要の時ときは価格が上昇していくのでした。

ですので、価格は市場均衡価格とは反対方向に向かっていくこととなります。
このような状態をワルラス的に不安定と呼びます。

一方で、市場均衡価格よりも低い価格のP2を考えてみても、需要量はD2、供給量はS2となりますので、超過供給が発生していることがわかります。

ワルラス的に不安定な状態 (価格が低い場合)

超過供給のときは、価格が低下していくのでしたね。
ですので、ここでも価格は市場均衡価格とは反対方向に向かっていくこととなります。
低価格でもワルラス的に不安定な状態であると言えそうですね。

ワルラス的に安定か不安定かを見極めるためには、超過需要や超過供給の際に価格がどのように変化するかを理解しておく必要がありますので、この点をしっかりと覚えるようにしましょう。

マーシャル的調整過程とは?

続いてマーシャル的調整過程です。
マーシャル的調整過程とは、供給量の変化によって価格が調整されるという考え方を言います。

まずは右肩上がりの供給直線と、右肩下がりの需要曲線について考えていきたいと思います。

マーシャル的調整過程 (供給量が多い場合)

マーシャル的調整過程では供給量を見ていきますので、均衡取引量よりも供給量の多いS1を考えていきます。

この時の供給者価格はPS1で、需要者価格はPD1と読み取れます。
需要者価格よりも供給者価格が高い状態ですね。

消費者の希望価格よりも、生産者の希望価格が高いので、これだと商品が売れません。
商品が売れないので、供給量を減らしていきます。
結果的に、供給量は均衡取引量で落ち着くわけですね。

供給量が均衡取引量よりも少ないS2の場合も同じです。

マーシャル的調整過程 (供給量が少ない場合)

この時は需要者価格はPD2で、供給者価格はPS2ですね。
供給者価格より需要者価格の方が高いと読み取れます。

今度は消費者の希望価格よりも、生産者の希望価格が低いので、商品が飛ぶように売れていきますね。
生産者はより多くの生産することで、利益の最大化を目指すこととなります。

結果的に、供給量は均衡取引量で落ち着くことになるわけですね。

供給量が多くても少なくても、結局は均衡取引量で落ち着くというのがマーシャル的調整過程となります。

このように、供給量の変化によって価格が調整されて、均衡取引量に落ち着くことを、「マーシャル的に安定している」と言います。

マーシャル的に不安定な状態

ワルラス的に不安定な状態があったように、マーシャル的にも不安定な状態があります。
これは供給量の調整によって市場均衡に戻らない状態を言うわけですね。

先ほどとは反対に、需要曲線を右肩上がり、供給曲線を右肩下がりとして描いてみました。

マーシャル的に不安定な状態

取引量が均衡取引量よりも多いS1の時は、供給者価格よりも需要者価格が高く、取引量が少ないS2の時は需要者価格よりも供給者価格が高くなります。

需要者価格の方が高いときは、供給量をより多くする力が働いて、供給者価格の方が高いときは、供給量をより少なくする力が働くので、いずれの場合でも均衡取引量とは反対方向に向かう力が働きます

このような状態をマーシャル的に不安定と呼ぶわけですね。

マーシャル的に不安定な状態であれば、均衡取引量に向かわないということを覚えていただければと思います。

ワルラス的・マーシャル的調整過程の覚え方

それではワルラス的・マーシャル的調整過程の覚え方を解説したいと思います。

まずワルラス的調整過程においては、市場均衡価格よりも価格が高く、超過供給が起きている場合には、価格は市場均衡価格に向かって下がっていく力が働くのでした。

価格が下がる力が働くので、ワルラス的調整過程の「ワ」の字が下方向を向いていると覚えていただければと思います。

ワルラス的・マーシャル的調整過程の覚え方

一方で、マーシャル的調整過程においては、均衡取引量よりも供給量が多く、供給者価格の方が高い場合には、取引量は均衡取引量に向かって少なくなる力が働くのでした。

取引量が少なくなる力が働くので、マーシャル的調整過程の「マ」の字が左方向を向いていると覚えていただければと思います。

試験問題を解く上でもワルラス的・マーシャル的に安定している状態を思い出せることが重要となりますので、まずはこの形を正確に覚えてください。

過去問を解いてみよう (平成28年度 第14問)

それでは過去問を解いて、ここまでの内容を復習してみましょう。

経済学過去問(平成28年度 第14問)

ワルラス的・マーシャル的に安定しているのは、どの選択肢かを選ぶ問題ですね。

この論点を解くときは、まずは問題用紙の余白にワルラス的・マーシャル的に安定してる状態を描いてみると答えやすいです。

右肩上がりの供給曲線と右肩下がりの需要曲線を描いてみますと、市場均衡価格よりも高い価格の場合、価格が下がる力が働くのがワルラス的調整で、均衡取引量よりも供給量が多い場合、取引量が下がる力が働くのがマーシャル的調整なのでしたね。
この点を念頭において、各選択肢を見ていきましょう。

経済学過去問(平成28年度 第14問)_解説

✅選択肢ア
ワルラス的調整を通じて点Eに収束する力は働かないとあります。
実際に市場均衡価格よりも、高い価格の赤い直線を引いてみると、超過供給が起こっていることがわかりますね。

右側のグラフで確認したように、この状態では価格が下がる力が働きます。
結果として、点Eに収束すると考えられますので、選択肢アは誤りとなります。

✅選択肢イ
蜘蛛の巣理論による調整を通じて、点E収束する力は働かないとあります。
蜘蛛の巣理論はかなり細かい論点となりますので、この記事では解説しません。

結論を言うと、蜘蛛の巣理論による調整でも、点Eに収束する力は働くので選択肢イも誤りとなりますが、本試験で出てきたら、この選択肢は保留としておきたいところですね。

✅選択肢ウ
交点よりも価格が高い時は、価格調整を通じて点Eへ収束する力が働くとあります。
選択肢アで確認した通り、価格が高いときは点Eに収束する力が働きますので、選択肢ウが正解となりそうですね。

✅選択肢エ
交点よりも数量が少ない時、マーシャル的な数量調整を通じて点Eへ収束する力が働くとあります。

実際に数量が少ない時を考えてみると、需要者価格よりも供給者価格の方が高いことがわかります。右側のグラフでも確認した通り、供給者価格の方が高いときは数量が少なくなる力が働きますので、点Eとは反対方向に数量が調整されることがわかります。

数量が少ないときは点Eへ収束しないと分かりますので、選択肢エは誤りとなります。

選択肢イはやや悩ましい内容ではありますが、選択肢ウが間違いなく正しいと分かりますので、ワルラス的・マーシャル的調整過程がしっかりと理解できれば正解できる問題となっていますね。
間違えてしまった方はよく復習しておきましょう。

まとめ

それでは最後まとめです。

ワルラス的調整過程は、超過供給が起こっているときに価額が下がっていく力が働いて、マーシャル的調整過程は、供給者価格が高い場合に均衡取引量が少なくなる力が働くのでした。

ワルラス的・マーシャル的調整過程の覚え方

試験問題を解く時は、実際にご自身でこのグラフを描いてみて価格が高い時や数量が多い時にどのように調整されるのかを確認してから問題にあたると良いかと思います。

過去問や問題集にはワルラス的に不安定な状態やマーシャル的に不安定な状態の問題が複数掲載されているかと思いますので、色々なパターンを解いてみて、より理解を深めてください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています!!

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