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【余剰分析】消費者余剰と生産者余剰の読み取り方、政府余剰と死荷重の関係を解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回は余剰分析をテーマに解説していこうと思います。
本試験では様々なパターンの問題が出題されますが、今回解説する余剰分析の基礎的な内容を理解していないと、どうしても理解が追いつかなくなってしまいます。

逆に、この動画の内容さえしっかりと押さえておけば、大きな得点源にできる論点でもありますので、ぜひ最後までご覧ください。

YouTube動画でも解説中!

需要曲線と供給曲線の読み取り方

まず最初に、学習する「余剰」ですが、余剰とは取引による利益であると捉えていただければと思います。

この余剰を分析することで、社会全体の利益となる余剰を最大化するにはどうしたら良いのか、そして政府による政策は市場へどのように影響するのか、といったことを考えるのに役立てます。

ここではまず、需要曲線と供給曲線の読み取り方について確認していきたいと思います。

需要曲線の読み取り方

まずは需要曲線ですね。

横軸に需要量、縦軸に価格を取ると、需要曲線は以下のような右肩上がりの直線として表されます。

需要曲線とは?

名称に曲線と付いていますが、数学的には直線も曲線の一部と考えますので、ここはそういうものだと捉えておいてください。

グラフを読み取ってみますと、例えば価格が300円だったときの需要量は2個といったように読み取ります。
価格が300円だったら市場全体で2個分の需要があるというわけですね。
これがもし、価格が100円になった場合は、需要量は6個にまで増加します。

このように需要曲線では価格が下がれば、需要量がそれだけ増えるということが読み取れますね。
安ければ安いほど欲しがる人が多くなるという当たり前のことを、図で表しているだけですね。

供給曲線の読み取り方

続いて供給曲線について見てみます。
供給曲線は、横軸が供給量、縦軸が価格で考えます。

供給曲線はこのように右肩上がりの直線として表されます。

供給曲線とは?

同じように図の中身を見てみますと、価格が100円だった時は、供給量は2個であると読み取れますね。
100円でしか売れないのであれば、生産者は2個分しか生産したがらないというわけですね。
これが価格が300円まで上がると、供給量は6個にまで増えます。
供給曲線では価格が上がれば供給量が増えるということが言えますね。

価格が上がるほど企業側にとっては儲けが増えるので、これも当たり前のことを図で表しているだけですね。

ここまではそう難しい話はではないことがわかるかと思います。

消費者余剰と生産者余剰の読み取り方

続いて消費者余剰と生産者余剰の読み取り方を確認してみましょう。

消費者余剰の読み取り方

先ほど使った需要曲線で消費者余剰を確認してみます。
ここでは、りんごの市場価格が1個100円であるケースを考えてみます。

消費者余剰の考え方

需要曲線を見てみると、仮にりんご1個が300円だったとしても、2個の需要があることが読み取れます。
つまり、市場の中には300円でも買っても良いと考える人がいるわけですよね。

ただ実際は、市場価格100円で取引されているので、この300円で買っても良いとは考えている人にとっては、このギャップである200円分の得をしていると考えることができます。

他にも市場における市場価格よりも高く買っても良いと思っている人全員が、お得感を得ていると考えることができますね。

このお得感が消費者側が受け取っている利益、すなわち余剰であると考えることができます。

ですので、以下の赤の三角形で塗りつぶした面積が、消費者の余剰であると考えることができます。

消費者余剰とは?

これを消費者余剰と呼ぶわけですね。

生産者余剰の読み取り方

同じように生産者余剰についても確認してみましょう。
ここでは市場価格が300円であったとします。

生産者余剰の考え方

先ほどと同じように、市場では仮に価格が100円であったとしても、2個分は生産しても良いと考えている生産者がいます。

実際の市場価格は300円ですので、この生産者にとっては200円分が追加的な利益として換算できますね。
その他にも300円以下で生産しても良いという生産者は数多く市場います。

ですので、市場価格が300円だった場合は、以下の青で塗りつぶした部分が生産者側の利益
つまり、生産者余剰
と考えることができるわけですね。

生産者余剰とは?


消費者余剰は需要曲線の下側の領域に、生産者余剰は供給曲線の上側の領域にそれぞれできるということを、ここでは覚えていただければと思います。

消費者余剰と生産者余剰の読み取り方

それでは先ほどの2つのグラフを合わせた形で、市場均衡価格とそれぞれの余剰を確認してみたいと思います。

市場均衡価格とは需要と供給が一致するときの価格のことを言います。

横軸に需要量と供給量、縦軸に価格をとると、需要曲線は右肩下がりの直線で、供給曲線は右肩上がりの直線で表されるのでしたね。

消費者余剰と生産者余剰

市場均衡価格は、この需要と供給が一致するときの価格ですので、この時の市場均衡価格は200円、取引量は4個であったとしましょう。

そして消費者余剰は需要曲線と市場価格の間で表され、生産者余剰は供給曲線と市場価格の間で表されるので、消費者余剰と生産者余剰は上記のような形で表されます。

ここまでが余剰分析の最も基本的な内容となりますので、考え方も含めて理解していただければと思います。

課税と政府の余剰

ここからは少し応用を利かせて、課税と政府の余剰について確認してみたいと思います。

例えば今、政府が生産量1個あたり50円の課税を行うと発表したとしましょう。
このとき、市場にどのような影響があるのか分析してみたいと思います。

生産量に対して課税を行うということですので、まずは供給曲線に対する影響を見ていきたいと思います。

例えば今、市場均衡価格が200円、そのときの生産量は4個だったとしましょう。
ここで生産量1個あたり50円の課税を行うと、供給曲線は上方向に50円分だけ平行移動します。

課税時の供給曲線の変化

市場に4個供給するための価格が200円から250円に引き上がるわけですね。
なぜこうなるのかというと、生産者にとってみれば課税された分の値上げをしないと、同じ利益が確保できないと考えるためです。
他の生産者も同じように考えるので、市場全体として供給曲線が上方向に平行移動するわけですね。
以上で、課税による供給曲線への影響がわかりました。

ここに需要曲線を引いてみて、さらに考えを進めてみたいと思います。

課税時の消費者余剰・生産者余剰

需要曲線を引いてみると、新しい供給曲線との交点が変わっていることに気づくかと思います。

この時の消費者余剰・生産者余剰を確認してみると、消費者余剰は需要曲線と市場価格の間ですので、赤色で塗りつぶした部分、生産者余剰は供給曲線と市場価格の間でですので、青で塗りつぶした部分となります。

それぞれの余剰は以上の通りですが、市場の中でもう1人利益を得た人がいますね。
それは誰かというと、税金を徴収した政府となります。

政府は50円×取引量の税収があるので、この分が政府にとっての利益となります。
ですので、50円×3個で表される以下の緑で塗りつぶした領域が、政府の余剰と考えることができます。

政府余剰と死荷重

ここで改めて思い出していただきたいのです、政府が課税をする前は、上図の黒で塗りつぶした部分までが消費者と生産者の余剰に含まれていたはずです。

政府が税金を課したことによって、この余剰は市場から失われていることになりますよね。
この市場から失われた黒三角形のことを死荷重と呼んでいるわけですね。

また、経済学では市場全体の余剰のことを社会的余剰という言い方をします。
この社会的余剰は、消費者・生産者・政府のそれぞれの余剰の総和であると考えることができるわけですが、課税を行った場合は、この社会的余剰が死荷重の分だけ減ることになりますので、

課税によって社会全体の利益が失われるということが、数学的に示されているわけですね。
政府はむやみに課税をすべきではないという根拠が、このように数学的に示せるのが経済学の面白いところだと思います。

政府余剰の読み取り方

ここで、政府余剰の読み取り方を、もう少し深掘りして説明したいと思います。

政府余剰は平行四辺形で表され、平行四辺形の面積は底辺×高さで表されるので、50円×3個で計算できます。
ここから少し数学的な話になりますが、この50円×3個は、このような長方形の面積としても表すことができます。
こちらも横の長さが3個、縦の長さが50円の長方形なので、先ほどと面積の大きさは変わらないはずですよね。

政府余剰の読み取り方

政府の余剰をこのように表すことで、どういうことが言えるかというと、この政府余剰のうち、もともとの消費者余剰にあたる部分は消費者の税負担分、もともとの生産者余剰に当たる部分は生産者の税負担分であると考えることができます。

課税時の消費者・生産者の負担分

つまり、生産者に対する課税であっても、実質的には消費者も負担しているということが、この図読み取れるというわけですね。

このように政府余剰を読み変えるやり方が、本試験の対応上は非常に重要となるので、この内容もしっかりと覚えておきましょう。

過去問を解いてみよう (令和元年度 第10問 改題)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみたいと思います。

市場取引から発生する利益は、「経済余剰」といわれる。この経済余剰は、売り手にも買い手にも生じ、売り手の経済余剰は「生産者余剰」、買い手の経済余剰は「消費者余剰」と呼ばれる。
下図に基づき、需要曲線または供給曲線のシフトに伴う余剰の変化に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から2つ選べ。なお、点E が初期の均衡を示している。

中小企業診断士試験_経済学_第10問

[解答群]
a 所得の増加によって需要曲線が右方シフトすると、生産者余剰は減少する。

b 技術進歩によって供給曲線が右方シフトすると、消費者余剰は増加する。

c 好みの変化によって需要曲線が左方シフトすると、生産者余剰は減少する。

d 原材料費の上昇によって供給曲線が左方シフトすると、消費者余剰は増加する。

中小企業診断士試験 経済学・経済政策 第10問 改題


図の説明として適切なものを2つ選ぶ問題ですね。
選択肢を一つ一つ見ていきましょう。

✅選択肢aです。
所得の増加によって需要曲線が右シフトするとありますので、ここは素直に需要曲線を右方向にシフトさせてみましょう。
シフトをすると、もともとの生産者余剰より面積が大きくなっていることが読み取れますので、生産者余剰は減少ではなく増加しているということが読み取れます。
ですので、選択肢aは誤りとなりますね。

✅選択肢bです。
今度は供給曲線が右方向にシフトとありますので、実際にシフトしてみます。
シフトすると、ももともとの消費者余剰と比べて、余剰は増加していることが読み取れますので、選択肢bは正しい記述となりますね。

✅選択肢c
今度は需要曲線が左方向にシフトがありますので、素直に左方向にシフトさせた上で、生産者余剰を分析してみます。
今度は生産者余剰が減少していることが読み取れますので、選択肢cも正しい記述となりますね。
ですので選択肢b,cがこの問題の答えとなります。

✅選択肢d
今度は供給曲線が左側にシフトしたときの消費者余剰を分析するわけですね。
シフトすると、消費者余剰は減少していることが読み取れますので、選択肢dは誤りとなりますね。

以上の通り、余剰分析の問題では、問題文に記載されてある通りに実際にグラフを動かしながら、選択肢の内容を検討するというステップを踏みます。

間違っても需要曲線が右にシフトすると生産者余剰は増加するということを、丸暗記して乗り越えようとしないようにしてください。
本試験で入れ違いで答えてしまったら一発アウトですし、応用問題が出されたら途端に対応ができなくなってしまいます。

しっかりと内容を理解できていれば、どんな応用問題も答えが導き出せるようになっていますので、ぜひ内容理解を重視するようにしてください。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した余剰とは、取引による利益のことを言うのでした。

横軸に取引量、縦軸に価格を取ると、需要曲線は右肩下がりの直線、供給曲線は右肩上がりの直線として表され、生産量1個に対して定額の課税が行われると、供給曲線は上方向にシフトするのでしたね。

政府余剰と死荷重

このとき、消費者余剰は需要曲線と新しい均衡価格の間の領域として示され、生産者余剰は供給曲線と市場価格の間の領域で示されるのでしたね。

それから政府も利益を受け取っていますので、この緑の領域が政府の余剰と考えることができます。
課税によって失われた社会的余剰は黒の三角形で示され、この領域のことを死荷重と呼ぶのでした。

是非一度はご自身の手で、今の流れでグラフを描いてみて、どの領域が誰の余剰であるのかと、死荷重がどの部分になるのかを確認いただければと思います。

というわけで、今回は余剰分析をテーマに解説してみました。

この今回解説した動画の内容をベースとして、本試験では様々な応用論点が出題されることとなります。
経済学では理解の積み上げが重要ですので、今回の内容はしっかりと押さえていただければと思います。

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ABOUT ME
たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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