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【効用理論】限界代替率や無差別曲線の考え方を解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

効用とは?‗アイキャッチ
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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです!
今回は効用理論にをテーマに解説していきたいと思います。

今回のテーマは、後日解説す予算制約線などの論点を理解する上でも、非常に重要な論点です。
基礎的な内容ではありますが、だからこそしっかり理解していないと後で困ることになります。
経済学は理解の積み上げが大切ですので、今回の内容もきちんと理解するようにしましょう。

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効用とは?

効用とは、製品やサービスを表す財を消費することで得られる満足感のことを言います。

その製品やサービスを買うことで、どれだけ嬉しいかということを数値化して考えるわけですね。
具体的に図で表して確認してみましょう。

効用・限界効用とは?

横軸にビールの消費を、縦軸に効用を取りました。
今、ビール1杯を飲んだ時の効用が3ポイントだったとしましょう。
ビールは最初の1杯、何より最初の一口が何よりもおいしいですからね。

それでは2杯目になると、どうでしょうか?
2杯目になると1杯目ほどの満足感は得られないので、効用の値は5ポイントとなります。
さすがに3杯目になると効用の値は6ポイントとなって、追加的に得られる満足感は徐々に薄まっていくことがわかります。

グラフに描いてみると、ビールを1杯追加することで増加する効用の大きさがだんだんと小さくなっていることがわかります。

ちなみに追加的に増加する効用の大きさことを限界効用と言います。

また、このようにだんだん減っているというような現象を、経済学では限界効用が逓減していると言います。
この逓減・逓増という言い回しは、他の論点でもよく出てくるので覚えておきましょう。

無差別曲線とは?

続いて無差別曲線について説明します。
無差別曲線とは、2つの財を消費する際、同じ効用水準の組み合わせを結んだ曲線のことを言います。

言葉だけでは何を言ってるかわからないと思いますので、こちらも図を書いて確認してみましょう。

無差別曲線とは?

今度は横軸にビールの消費量を、縦軸につまみとして焼鳥の消費量を取りました。

今、ビール1杯に対して、焼き鳥を6本消費したとしましょう。
この時の効用は5ポイントとします。

無差別曲線では、全く同じ効用の5ポイントが得られるだけの、ビールと焼き鳥の消費量を考えていきます

例えば、ビール1杯のまま焼き鳥を10本としますと、効用は10ポイントにまで上がってしまいます。
ですので、効用5ポイントを保つためには、焼き鳥の消費量を減らす代わりに、ビールの消費量を増やす必要があります。

こうすることで、効用は同じ水準に保つことができますね。
このように、同じ効用を得られる組み合わせを線で結んだものを、無差別曲線というわけですね。

さきほど、焼き鳥の消費量を10本とした場合も考えてみましたが、当然、効用を10ポイントとする無差別曲線も考えられます。

ここでは、赤色の無差別曲線より、青色の無差別曲線の方が効用が高いのでした。
このことから、無差別曲線は右上の領域に行くほど、効用が高くなる読み取ることができます。

ここでは同じ無差別曲線上の組み合わせは効用水準は等しく、右上の領域に行くことに効用が大きくなるということを覚えていただければと思います。

限界代替率とは?

限界代替率とは、2つの財のうち、一方の消費量が変化する際、効用を保つために必要な、もう一方の財の変化量を言います。

例えば、先ほどのように横軸にビール、縦軸に焼き鳥の消費量をとって、このように無差別曲線が描けたとします。

限界代替率とは?

この時、ビールの1本追加した時の、焼き鳥の本数の変化量に着目してみましょう。

ビール1杯のとき、焼き鳥は6本でしたが、ビールが2杯になると、焼き鳥の本数は3本になっています。
ビール1杯追加した時の焼き鳥の変化量はマイナス3本ということになりますね。
さらにもう1杯追加すると、焼き鳥の変化量はマイナス1本となります。

この変化量のことを限界代替率と呼んでいるわけですね。
ここでは、ビールを追加するほど、焼き鳥の限界代替率が小さくなっていることが読み取れますね。

少し数学的な話になりますが、一単位あたりの変化量というのは、グラフに対する接線で表すことができます。

ビールの消費量1杯のところで、無差別曲線に接線を引いてみますと、上図の青の直線のように描くことができます。
この接線の傾きの大きさが、限界代替率を表しているのです。

同じように2杯のところで接線を引いてみると、このように描くことができますね。
2つの接線の傾きを比べてみると、ビールの1杯の時の方が、より傾きが大きいことがわかります。
ですので、この接線の傾きを見るだけで、限界代替率はビール1杯の方がより大きいことが直感的に読み取ることがわけです。

1単位あたりの変化量の大きさが接線の傾きから読み取れる理由は、機会があれば説明しますが、今回は限界代替率の大きさは、無差別曲線の接線の傾きの大きさで決まるという結論だけ覚えていただければと思います。

完全代替財と完全補完財について

最後に完全代替財と完全補完財について説明してしたいと思います。
まず、完全代替財とは2財の限界代替率が常に一定のものを指します。

具体的な例で考えていきましょう。
今、横軸に山形県で取れた水、縦軸に青森県で取れた水を取ってみました。

完全代替財とは?

皆さんはこの2つのお水のうち、どちらが欲しいでしょうか?

この県の出身者じゃない限り、ほとんどの方はこの水に大きな違いはありませんよね?

ですので、山形の水1Lに対して、青森の水2Lを消費しているとき、青森の水を1L減らすのであれば、山形の水をその分増やさないと、同じ効用を得えられませんね。
この時の無差別曲線を描いてみると、先ほどまでとは違って、このように直線で表すことができます。

先ほど、無差別曲線への接線の傾きが限界代替率を表すと言いましたが、無差別曲線が直線の場合、直線上のどの点で接線を引いても、接線の傾きは変わりませんので、限界代替率は一定であると読み取ることができます。

こういった特徴があるものを、完全代替財というわけですね。
試験対策上は、無差別曲線がこのような直線で表されていた場合、完全代替財と読み取ってしまって問題ないかと思います。

続いて完全補完財です。
完全補完財とは、2財の一定比率での増加によって効用が増加する財を言います。

こちらも文章だけだとわかりにくいので、図を使って説明しますね。
よく例に挙げられるのは、右足の靴と左足の靴です。

完全補完財とは?

今、右足と左足の靴を一足ずつ持っていたとしましょう。
ここで全く同じ靴をのうち、右足の靴だけ購入したとします。

この時、皆さんの効用は増加するでしょうか?
靴は両足そろって初めて意味を成すので、片方だけの靴が増えても、嬉しさの程度は変わりませんよね。
当然、左足だけが増えた場合でも同じです。

ですので、このような財の無差別曲線は、上図のようにL字型の直線として描くことができます。
片方の靴が一足の状態で、もう一方が増えても効用は変わらないことを表わしていますね。

このような財の効用が増えるのは、2つの靴が一足ずつ増えるときだけです。

この時の無差別曲線も青色の直線のように描くことができますね。
このように、2つの財の一定比率での増加によってはじめて、効用が増加する財のことを、完全補完財といいます
靴の場合は、右足と左足の靴が、1:1の比率で増加しないと、効用が増えないわけですね。

完全補完財の場合であっても、無差別曲線上の点は、どこでも効用は同じで、無差別曲線が右上の方向に移動したときだけ、効用が増加していると読み取ることができます。

この完全代替財と完全補完財の無差別曲線の形状を覚えているだけで解ける問題も一次試験では問われますので、しっかりと形を覚えておきましょう。

過去問を解いてみよう (平成24年度 第16問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみようたいと思います。

 下図は、X財とY財に対するある個人の無差別曲線 (U1,U2,U3) を描いたものである。U1,U2,U3は直線であるものとし、A点とB点は無差別曲線U1上にあり、C点は無差別曲線U3上にある。
 この図の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

経済学過去問_平成24年度第16問
平成24年度 中小企業診断士一次試験 経済学 第16問


グラフを読み取って適切な内容を選ぶ問題ですね。

✅選択肢ア
効用の飽和性が成り立つ場合、A点とC点の効用水準は等しいとあります。
効用の飽和性とは、消費量が大きくなるほど効用が高くなるという状態をいいます。
グラフに目を移してみますと、無差別曲線がU1~U3まで3本描かれていますが、無差別曲線は基本的に右上の方向に行くほど効用が大きいのでしたね。

財の中身によっては効用が大きくなるとは限らないのですが、少なくともA点とC点の効用水準は異なるということが言えるかと思います。
ですので、選択肢アは誤りとなりますね。

✅選択肢イ
無差別曲線の限界代替率は逓減しているとあります。
逓減とは、だんだんと小さくなることを言うのでしたね。
また、限界代替率は、無差別曲線に対する接線の傾きの大きさで表されるのでした。
今回の無差別曲線は直線ですので、どの点で接線を引いても、接線の傾きの大きさは一定となりますので、選択肢イも誤りであることがわかります。

✅選択肢ウ
2つの財が完全代替財であることを意味しているとありますが、これはその通りですね。
無差別曲線がこのように直線で表現される時は、完全代替財を表しているのでした。
ですので、この問題は選択肢ウが正解となります。

✅選択肢エ
完全補完財とありますが、形状が異なりますので、こちらも誤りであることがわかりますね。

✅選択肢オ
無差別曲線U1上でA点から得られる効用水準は、B点から得られる効用水準よりも高いとあります。
同じ無差別曲線上の点では全て同じ効用水準を得られるのでしたね。
ですので、A点とB点は効用水準が同じと言えますので、選択肢オも誤りとなります。

この問題は完全代替財の無差別曲線の形状を覚えているだけで、一発で正解することができる問題でした。
一次試験の過去問演習では、他の選択肢もどこが間違っているか、指摘できるような状態にしておくことが望ましいです。

ただし、効用の不飽和性という用語は、少し細かい用語ですので、無理に覚える必要はありません。
余裕のある方だけ、頭の片隅に入れていただければと思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した効用とは、財を消費することで得られる満足感のことをいうのでした。

また、2つの財XとYがあったときに、同じ効用水準を結んだ曲線のことを無差別曲線と呼ぶのでしたね。
同じ無差別曲線上の効用は全て同じと言えますので、この点はしっかりと覚えておきましょう。

また、一つの財の消費量を変化させたときに、同じ効用を得るためには、もう一方の財をどれだけ変化させる必要があるのかという割合をのことを限界代替率といい、限界代替率の大きさは、無差別曲線の接線の傾きの大きさで決まるのでした。

効用理論まとめ

そして最後に特徴的な無差別曲線の形状として、完全代替財と完全補完財を学習しました。
こちらはそれぞれの形状を覚えておくだけで、解ける問題が過去問に数多く出題されていますので、形状が作られる理由も合わせて理解することで、忘れにくくしておくと良いでしょう。

はい、というわけで、今回は効用理論の基礎的な内容を学習してみました。
経済学は数学色が強い学問なのにもかかわらず、人間が得られる満足感という、どこか非科学的な要素が出てくるのが面白いですね。
分かるようになると、意外と覚えることが少ない科目でもありますので、記事を通じて理解を深めながら、楽しく学んでいただければと思います。

それではここまでご視聴いただき、ありがとうございました。
励みになりますので、コメントやYouTubeチャンネルへ登録していただけれると嬉しいです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!

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