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相乗効果・相補効果・範囲の経済性の違いを解説!/企業経営理論/中小企業診断士試験対策

相乗効果・相補効果・範囲の経済性_サムネイル
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中小企業診断士のたかぴーです。

今回は相乗効果・相補効果・範囲の経済性の違いについて解説していきたいと思います。
これらの用語は意味が似ているので、本試験で出てくると紛らわしいです。

ひっかけ問題に惑わされないためにも、この機会にしっかりと内容を押さえておきましょう。

YouTube動画でも解説中!

相乗効果(シナジー)とは?

まず相乗効果とは、複数事業を行うことで、それぞれ単独で事業を行うよりも大きな成果を得られることをいいます。

診断士受験生の皆さんにとっては、予備校のTACとTAC出版の例がわかりやすいかもしれませんね。

相乗効果とは?

資格の学校TACの校舎に行くと、TAC出版から発売された問題集が販売されています。
TAC出版からすると、書店やネットショップ以外の流通網が確保できていると見なすことができますね。

また、実際に講義をしている先生から受講生の理解度などといった情報が、TAC出版側に一部共有されているものと想像ができます。

また、TAC出版から資格の学校TACに対しては、テキストや過去問題集を提供したり、質の高いテキストや問題集、過去問集を作ることで、TACブランドの信頼性向上につなげていると見なせますね。

こういった形でお互いが相互に影響し合うことで、売上拡大やコスト削減効果を生み出していると読み取ることができます。

こういったものを相乗効果 (シナジー効果) と呼ぶわけですね。

相補効果とは?

相補効果とは、互いに足りてない部分を補うことで、より大きな効果を得られることを言います。

こちらの具体例としては二毛作がわかりやすいかと思います。

相補効果とは?

二毛作では、例えば夏にじゃがいもを栽培して、じゃがいもを収穫し終わった秋には、ほうれん草を栽培するといった形で農作物の生産を行います。
季節に合った農作物を栽培することで、土地を有効活用しているわけですね。

その他の例としては、スキー場もありますね。
冬は営業のピークとなるスキー場は、夏に営業が行えません。雪がないですからね。
このスキー場の土地を生かして、夏はキャンプ場を行うような施設があります。
こうすることで、年間の施設稼働率を上げることができますね。

以上のように、二毛作やスキー場の事例では、互いに生産やサービスを行えない時期に、その他の生産やサービスを行うことで、売上が増加していることがわかるかと思います。

このような効果を、相補効果と言うわけですね。
相補効果のポイントは、2つの事業に直接的な相互効果がない点です。

二毛作で言えば、ほうれん草でなくても他の農作物の栽培で、ある程度同じ効果が得られますし、スキー場の例もキャンプ場ではなく、イベント会場として開放しても良いわけです。

これが、スキー場でキャンプ場を運営しているからこそ、本業のスキー場の来客数が増えるといった効果が出てくると、相乗効果に分類されるイメージですね。

この違いについては、しっかりとイメージできるようにしておきましょう。

範囲の経済とは?

範囲の経済性とは、複数事業を行うことで、それぞれ単独で行うよりも、より経済的に事業が行えることをいいます。

わかりやすい例としては本社機能ですね。

範囲の経済性とは?

例えば、ある会社がA・B・Cの3つの事業を行った時に、本社は東京にある自社ビルだけだったとします。
こうすることで、本社建屋が1棟で済みますし、本社スタッフとして雇用している人事・経理。総務等の人材もそのまま活用できますよね。
それぞれの事業を別々の会社で行う場合と比べて、はるかに施設も人材も少なくて済むことが分かるかと思います。

また、範囲の経済性の対象は、人材や物的資源だけではありません。
技術等の情報資源に対しても活用ができます。

例えば、ある会社が優れた液晶技術を持っていて、その技術を活用して、PC・テレビ・スマートフォンといった製品を開発していたとしましょう。
この液晶のに関する技術だけで言えば、製品を開発するごとにゼロから液晶技術を開発する必要は無いので、経営資源を有効活用していると言えますね。
このように、もともと所有していた経営資源の有効活用によって、効率的な事業運営を実施できることを範囲の経済と言うわけですね。

範囲の経済性は、売上向上よりも、どちらかというとコスト効率の観点に着目している点がポイントとなります。

相乗効果・相補効果・範囲の経済の違い

それではここまで解説した3つの用語の違いについて、改めて確認したいと思います。

ここまでご覧いただいて分かる通り、この3つの効果は、同時に起こり得ます。
ある2つの事業が、シナジー効果を発揮しているし、相補効果もあり、範囲の経済性もあるといった具合ですね。

それぞれの意味の違いを意識しながら、用語の内容を確認してみると、相乗効果 (シナジー効果) は直接的な相互作用で売上UPやコスト削減につながっていることを言います。
相乗効果は1+1が2以上になるようなイメージですね。

相乗効果・相補効果・範囲の経済性の違い

一方で、相補効果は互いを補う関係で売上UPをしている状態を指します。
相乗効果は1+1が2以上になるのに対し、相補効果は1 +1が単純に2なるイメージですね。

最後の範囲の経済性は、経営資源の有効活用で効率性が上がっている状態を指しています。
こちらは売上UPと言うよりは、コスト効率が上がっているようなイメージですね。

これらの用語は内容も似ていて、曖昧に覚えていると勘違いしやすいので、こちらの記載とともに具体例も一緒に覚えておくことで、本試験の引っかけ問題にも惑わされずに済むと思います。

参考にしてみてください。

過去問を解いてみよう (平成26年度 第5問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみたいと思います。

シナジー効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 動的なシナジーよりも静的なシナジーをつくり出せるような事業の組み合わせの方が望ましい。
イ 範囲の経済の効果とは別個に発生し、複数事業の組み合わせによる費用の低下を生じさせる。
ウ 複数事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果を指す。
エ 複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補い合うことで、企業全体として売上の季節変動などを平準化できる。

中小企業診断士試験 企業経営理論 平成26年度第5問


✅選択肢ア
動的なシナジーよりも静的なシナジーの方が望ましいと記載があります。
動的なシナジーとは時間経過とともに、その効果が大きくなっていくことで、静的なシナジーとは、その一時点でのシナジー効果を指しますね。
どちらかと言えば、動的なシナジーの方が、その効果は大きくなる傾向がありますので、静的なシナジーを追求すべきとする選択肢アは誤りとなります。

✅選択肢イ
範囲の経済の効果とは、シナジー効果と別個に発生し、費用の低下を生じさせるとあります。
後半の記述は正しいのですが、シナジー効果と範囲の経済は、先ほど解説した通り、同時に起こり得るものなので、選択肢イも誤りであると分かります。

✅選択肢ウ
シナジー効果は、複数の事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果を指すとあります。
この記述は範囲の経済性を言ってるように読み取れますが、情報資源の同時利用は、シナジー効果でも発生し得るものです。
本試験では保留としておきたい記述ですね。

✅選択肢エ
複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補うことで、売上の季節変動などを平準化できるとあります。
この記載は明らかに相補効果だとわかりますね。
ということで、シナジー効果のに関する記述として、選択肢の中から最も適切なものを選ぶとしたら、選択肢ウが適切と判断できますので、こちらが正解となりますね。

このように意味が似たような用語は、説明を入れ替えるなどして、受験者を惑わそうとしてくるので、意味を正確に覚えて、しっかりと正解選択肢を選べるような力を身に付けましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回は3つの用語を解説しました。

相乗効果・相補効果・範囲の経済性の違い

シナジー効果は直接的な相互作用で売上UPやコスト削減につながる効果を言います。
1 +1が2以上になるようなイメージですね。

相補効果は、互いを補う関係によって売上向上を目指します
こちらは単純に1+1が2になるようなイメージです。

範囲の経済性は、経営資源の有効活用で効率性が上がることを指します。
売上UPではなく、どちらかと言うとコスト効率の観点なのがポイントなのでしたね。

具体例としては、シナジー効果はTAC、相補効果は二毛作、範囲の経済性は液晶技術を取り上げましたので、この具体例も頭の片隅に入れながら、用語の内容を覚えていただければと思います。

というわけで、今回は経営理論でよく使われる相乗効果、相補効果、範囲の経済性の3つの用語を解説してみました。

特に相乗効果は、二次試験でも実際に利用することの多い用語ですので、しっかりと内容を押さえておきましょう。

これからも紛らわしい用語を中心に、企業系理論の解説記事を作っていこうと思いますので、リクエストがありましたらぜひコメント欄でお知らせ下さい。

それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次回の解説記事でお会いしましょう。勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!!

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