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【リソースベースドビュー】VRIO分析のやり方を解説します!/企業経営理論/中小企業診断士試験

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はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!

今回はVRIO分析を解説していきたいと思います。
VRIO分析は価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの観点で自社の経営資源を分析し、持続的な競合優位性を確保できているかを把握するフレームワークです。
組織だけではなく、個人の能力にも当てはめて考えることのできるフレームワークですので、この分析フレームワークは僕のお気に入りです。

そこまで難しい論点ではないので、要点だけサクッと確認していきましょう。

YouTube動画でも解説中!

VRIO分析とは?

VRIO分析は、自社の経営資源を分析して、持続的な競争優位での源泉を見つける手法のことを言います。

経営資源とは企業の中にある人・モノ・金・情報のことを言いますが、VRIO分析では特に技術力やノウハウといった情報資源に着目することが多いですね。

具体的には自社の経営資源を価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの観点で分析していきます。これら4つの観点の英語表記の頭文字をとるとVRIOとなるので、VRIO分析と呼ばれています。

それぞれの観点で何を分析するのか確認してみましょう。

VRIO分析の分析項目
  • 価値
    自社の経営資源が、外部環境の変化である機会や脅威に対応できる経営資源であるか
  • 希少性
    その経営資源を持つ企業はごく少数であるか
  • 模倣困難性
    その経営資源を獲得しようとするとコスト面で不利が生じるかどうか
  • 組織
    最後に組織の観点では、その経営資源を十分に活用する組織になっているか

全ての質問にYESと答えることができれば、その経営資源は持続的な競争優位を獲得できる経営資源だと言えるわけですね。

競争優位の判定方法

VRIO分析では、自社の経営資源がどれだけ競争優位を築けているか評価することができます。

実際に以下の表を使って判定方法を確認していきましょう。

VRIO分析では、価値に関する質問から順番に質問に答えています。

価値がないケース

まず最初に価値があるかという問いに対して、NOの場合は、その経営資源はそもそも価値がないことになりますので、競合企業と比べると劣っているということになります。
優位性の判定では、この状態を競争劣位と言います。

希少性がないケース

2つ目に、価値の問いに対してYESと答えた上で、希少性があるかについてはNOの場合を考えてみましょう。
価値はありますが競合企業も同じように持っている経営資源ですので、その経営資源を持っているだけでは、競争優位を築くことはできません。
ですので、優位性の判定としては競争均衡という呼び方をします。他の企業と肩を並べている状態ですね。

模倣困難性がないケース

3つ目に、価値も希少性もありますが、模倣困難性が無い場合を考えてみましょう。
この場合は価値があり、他の企業が持っていない経営資源ですが、真似をしようと思ったらすぐに真似できる状態であるので、真似をされるまでは一時的に競争優位を築くことができます。
この状態を一時的な競争優位の源泉があると呼びます。

組織的に活用されていないケース

4つ目に、価値があり希少性があり、模倣困難性もありますが、組織的に活用されていない場合を考えてみます。

例えば、中小企業診断士に登録している人材が自社に勤めていたとしましょう。
この中小企業診断士は、外部環境の変化に対する指南を与える能力がありますので、価値があります。他の企業では中々採用できないような優秀な人材ですし、診断士の資格はすぐに取得もできないので、模倣困難性も高いです。

そんな優秀な社員に与えられている役割が、オフィスの清掃係だったらどうでしょうか?
せっかくの人材も宝の持ち腐れですよね。ですから、優れた経営資源もしっかり活用する体制でないと、意味がないわけです。

一方で、組織的に活用されていないだけで、優れた経営資源を持っていることには変わりないので、持続的な競争優位の源泉があると表現します。

価値・希少性・模倣困難性があり、組織的に活用されている

最後に、この全ての問いに対してYESと答えられた時だけ、持続的な競争優位を持っていると言うことができますね。

VRIO分析の論点では、上の表がしっかりと頭に入ってれば、大抵の問題は答えられるかと思います。
超重要ですので、自身がない方はこの機会にしっかりと覚えてください。

模倣困難性獲得の要因

続いて、模倣困難性の獲得要因について確認してみましょう。

どういう状態であれば、もう困難性を獲得できるとかと言いますと、
歴史的条件・因果関係の不明性・社会的複雑性・特許の4つに分けられます。

模倣困難性の獲得要因

歴史的条件

歴史的条件では、その経営資源を手に入れるまでにかなりの長期間が必要になる場合は、模倣困難性が高くなります。

真似しようとしても、こちらも相当の時間をかけなければいけないので、なかなか簡単に真似できないということになります。

因果関係の不明性

続いて、因果関係の不明性ですが、これはどの経営資源で競争優位を築けているか、社内外の人間で把握できない状態のことです。

なぜ競争優位が築けているかがわからないので、何を真似すればよいかすらわからない状態ですね。

社会的複雑性

続いて社会的複雑性は経営資源の成り立ちが複雑で、マニュアル化できていない状態のことを言います。

例えば、会社の企業文化などがこれにあたりますね。
我々日本人は、勤勉で真面目だという評価を海外からもらうことが多いですが、こういった文化的な側面は、なかなか真似しようとしてもできないですよね。
また、アメリカのように失敗を恐れない文化を、リスクに敏感な日本人が真似しようとしてもなかなか難しいものがあります。

特許

最後に特許ですね。
これは単に法的に守られているので、真似しようと思っても法律上真似することができません。

以上の観点から、模倣困難性があるかどうかを判定する問題が、過去に出題されたこともありますので、頭の片隅に入れていただければと思います。

過去問を解いてみよう (平成29年度 第3問)

それでは過去問を解いて復習をしてみましょう。

企業の経営資源に基づく競争優位性を考察するVRIOフレームワークに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 外部環境の機会を適切に捉え脅威を無効化する経営資源は、業界内において希少でないときに、企業の一時的な競争優位の源泉となる。

イ 希少で価値がある経営資源を保有する企業は、他の企業がその経営資源を別の経営資源で代替するコストが小さい場合、持続的な競争優位を確立する。

ウ 組織内の事務作業を効率化する固有のノウハウは、業界で希少でない場合、企業の一時的な競争優位の源泉となる。

エ 独自に長い年月をかけて開発した価値ある経営資源を保有する企業は、その資源が業界内で希少でないとき、資源をいかす組織の方針や体制が整わない中でも持続的な競争優位を確立する。

オ 予測が困難な環境変化が起きない場合は、希少で価値があり模倣が難しい経営資源は企業の持続的な競争優位の源泉となる。

中小企業診断士試験 企業経営理論 平成29年度 第3問

VRIO分析について、オーソドックスな問題となっています。

✅選択肢ア
その経営資源が業界内において、希少でない時に企業の一時的な競争優位の源泉になるとあります。
VRIO分析の問題はどういった状態であれば、競争優位性が築けているかといった観点で出題されます。先ほど解説に利用した以下の表と照らし合わせながら考えていきましょう。

競争優位の判定方法

設問文には、業界内において希少でないとありますので、表の上から二番目のケースですね。価値があって希少性がないときは、競争均衡を表しているので、この状態を一時的な競争優位の源泉となるする選択肢アは誤りとなりますね。

✅選択肢イ
その経営資源を別の経営資源で代替するコストが小さい場合、持続的な競争優位を確立するとありますが、別の経営資源で代替するコストが小さいということは、模倣は容易であると言い換えることができますね。
ですので、表の上から3番目の状態に当たります。

模倣困難性がない場合は、一時的な競争優位の源泉になるのでしたね。ですので、選択肢イも誤りとなります。

✅選択肢ウ
業界で希少でない場合、企業の一時的な競争優位の源泉となるなりますが、こちらも先ほど確認した通り、希少性がなければ競争均衡となりますので誤りとなります。

✅選択肢エ
こちらも希少でない時に持続的な競争優位を確立するとありますので、先程までと同様、希少性がないときは競争均衡と当たりますので、誤りとなります。

✅選択肢オ
希少で価値があり、模倣が難しい経営資源は、企業の持続的な競争優位の源泉となるとあります。
設問文からは組織的に活用されているかまでは読み取れませんが、少なくとも表の上から4番目の状態であると言えます。

模倣困難性がある場合は、持続的な競争の源泉となりますので、選択肢オが正解となりますね。

この表が頭に入っている人からすると、そこまで難しい問題ではなかったかと思います。
設問文から価値があるか、希少性があるか、模倣困難性があるかといったことを、丁寧に読み取っていって、正解選択肢を選べるようになりましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。

VRIO分析は、自社の経営資源を分析して、持続的な競争優位の源泉を見つけるためのフレームワークなのでした。

具体的には価値・希少性・模倣困難性、組織的に活用されているかといった4つの問いに
順番に答えていくことで、その経営資源を評価する
のでしたね。

そして、それぞれの問いにいくつYESと答えられるかで、優位性の判定が変わるのでした。

表では優位性の区分が5つありますが、試験対策上、優先的に覚えたのは以下の赤枠で囲った部分です。

競争優位の判定方法_優先的に覚えたい項目

希少性があって模倣困難性がない場合は、一時的な競争優位の源泉になって、模倣困難性まで獲得していると、持続的な競争優位の源泉になるという点を少なくとも覚えておけば、たいていの問題は対応できるかと思います。

少し細かい論点として、模倣困難性を獲得できる要因についても解説しましたので、余裕がある方はそちらも覚えておくと良いでしょう。

解説でも少し触れましたが、僕自身、中小企業診断士という資格は、企業にとっても、自分自身に対しても、持続的な競争優位をもたらす資格であると信じています。

頑張ってこの資格を取得して、ご自身の人材価値を高めていきましょうね。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています!!

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