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ドメインとは?企業ドメインとドメインの違いやエーベルの3次元枠組みを解説します!_企業経営理論_中小企業診断士試験対策

ドメインとは?‗アイキャッチ
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はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!

今回はドメインについて解説していきたいと思います。
この論点は毎年のように出題されていますので、是非押さえておきたい論点となります。過去10年分の本試験の問題に対応できるような内容を全てご紹介したいと思いますので、是非最後までご覧ください。

YouTube動画でも解説中!

ドメインとは?

ドメインとは、事業領域のことを示します
これによって、企業が持つ事業の生存領域を示していくということになります。

具体的な例を一つ見てみましょう。

ドメインとは?

ドメイン関連の話では富士フイルムが有名です。
この会社はもともとフィルムカメラ事業や印刷事業などを手がけていた企業でありましたが、デジタルカメラの台頭によって経営が厳しくなったことをきっかけに、これまで培ってきたフィルムカメラの技術を応用して、医療品や化粧品事業を、新たに始めました。

このようにして、自社がいう事業領域を再定義して、今でも日本を代表する企業として存続し続けているわけですね。

ドメイン定義のメリット

そんなドメインを定義するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
3つ紹介したいと思います。

ドメイン定義のメリット

1つ目は、経営層の注意の焦点が定まるということがあります。

先ほどの富士フイルムの例で言うと、新しく医療・化粧品分野をドメインとして定義したのであれば、その業界の動向をしっかりとウォッチしていかなければいけないという意識が芽生えますよね。

それから2つ目に自社に必要な経営資源(人・モノ・金・情報)がわかるようになります

具体的には医学部出身の人材を採用しようであるとか、医療品を開発するのに必要な設備を導入するであるとか、医療関係の企業とのパイプ作りをして情報が集まるようにするといったように、どのような経営資源を集める必要があるかがわかるようになるわけですね。

最後に企業全体として一体感を作ることができます

今まではフィルムカメラを売っていた会社ですが、新しく医療分野もドメインとして定義することによって、人々の健康を支える企業になるんだというように、従業員の方人たちも動機づけられるようなイメージですね。

ドメイン定義にはこのようなメリットがあるため、自社のドメインが明確に定まっていない企業は、基本的には決めてた方がよいと言われています。

ドメイン定義の方法

そんなドメインを定義する方法には、物理的定義と機能的定義の2つがあります。

ドメインの物理的定義とは?

まず物理的定義から見ていきましょう。

ドメインの物理的定義とは?

物理的定義は、具体的な製品やサービスで定義していく方法となります

例えば、自社は医療用の薬を製造する会社ですと定義するようなイメージですね。

この物理的定義は、社内外の関係者に対してどんな会社なのかがわかりやすく伝わるというメリットがあります。

一方で、事業活動の幅が狭くなってしまう、現在行っている事業以外の展開が難しくなってしまうというデメリットがあります。

自分の会社が医療用の薬を製造していると定義してしまうと、例えば、健康用のサプリメントを作るということも、なかなか手を出しづらくなりますよね。

ドメインの機能的定義とは?

続いて、機能的定義について見ていきましょう。

ドメインの機能的定義とは?

機能的定義は、顧客ニーズで事業ドメインを定義していくものとなります。

例えば、人々を健康にする会社ですという定義をするイメージですね。

機能的定義のメリットは、将来的な発展可能性が感じられるというものがあります。
先ほどの例だと医療用の薬を作るだけでありましたが、人々を健康にする会社というような定義をしますと、医療用の薬を開発することもできれば、例えばフィットネスジムを運営するということも、このドメインからは外れなくなってきます。
このように色々な事業展開が考えられるようになるわけですね。

一方、デメリットとしては結局何をしている会社なのかというのが伝わりにくくなってしまいます。人々を健康にする会社と言われても、何をやってるかはあまりイメージがつかないですよね。

それから事業展開の幅が広がり過ぎるリスクがあります。
人々を健康にするには笑うことが重要と考えて、お笑い芸人の事務所を設立するといったことも考えられなくはないのですが、ここまで事業の幅を広げてしてしまうと、収拾がつかなくなってきますよね。

このように物理的定義と機能的定義は一長一短なので、メリット・デメリットを踏まえながら、自社のドメインを決定していく必要があります。

ドメインの階層

続いてドメインの階層についてです。
階層には企業ドメインと事業ドメインの2つがあります。

企業ドメインとは?

まず企業ドメインについて見ていきましょう。

企業ドメインとは?

企業ドメインは企業全体のドメインを定義することになります。

決め方としましては、企業全体にかかわることですので、企業戦略に基づいて決定していく必要があります。

また、既存サービスや製品との関連性を意識しながら決めていく必要がありますね。

さらに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を反映していく必要があります。

企業ドメインを決定することの効果の一つとして、企業のアイデンティティが確立します。自社を人々を健康にする会社なんだというように定義することによって、企業としての自我が生まれるわけですね。

続いて事業の組み合わせ、これを事業ポートフォリオと言いますが、これが決まることになります。また、それと似たようなことなのですが、どの程度多角化していくのかというのが決まっていきます。

自社の生存領域を決めることによって、どのような事業はやって、逆にどのような事業はやらないかを取捨選択していくイメージですね。

事業ドメインとは?

続いて事業ドメインについて見ていきましょう。

事業ドメインとは?

事業ドメインは個別事業のドメインを定義していくことになります。

決め方としましては、当然、事業戦略に基づいて決定していく必要がありますね。
また、企業ドメインを決めた後で事業ドメインを決めていくことになりますので、
企業ドメインを踏まえておく必要があります。

それから、具体的な手法としてエーベルの三次元枠組みというものが活用されます。
エーベルの3次元枠組みは次の章で詳しく説明します。

続いて効果ですね。
事業ドメインを決定することで、日常のオペレーション、日常的にどんな業務をしていくのかというのが、企業ドメインと比較してより具体的に決まっていきます。

また、個別企業個別事業の競争力や差別化の方針が決まっていることになります。事業ドメインを定義することによって、その事業ではどんな事業で、どんな業務をしながら差別化を図っていくかが、より具体的に決まっていくようなイメージですね。

企業ドメインに基づいて事業ドメインが決定されていくということ、それから企業ドメインがどちらかというと抽象的、事業ドメインがより具体的な競争戦略を決めていくようなイメージを持っておくと良いでしょう。

エーベルの3次元枠組

それではエーベルの三次元枠組みというワードが出てきましたので、こちらについて詳しく見ていきたいと思います。

エーベルの3次元枠組とは?

エーベルの三次元枠組みとは、事業ドメインを決めるためのフレームワークを言います。

具体的には顧客・技術・機能の3つの観点で事業ドメインを決めていきます

顧客では誰に、技術ではどんな技術で、機能ではどんな価値をといったことを考えていきます。

例えば富士フイルムの化粧品事業について考えてみると、顧客は40代女性、技術はコラーゲンに関する技術、機能は若々しい肌を取り戻すといった顧客価値を提供しています。

まとめると富士フイルムの化粧品事業は、40代女性にコラーゲンに関する技術を使って若々しい肌を取り戻す事業を行っていくという事業ドメインとなります。

エーベルの3次元枠組みでは、このように3つの観点で事業ドメインを定義していくわけですね。

ちなみにエーベルの三次元枠組の技術は、先ほどご紹介ご説明したドメインの物理的定義、
機能はドメインの機能的定義にそれぞれ相当します。

本試験でも問われたことがありますので、この点に関しても覚えていただければと思います。

過去問を解いてみよう (令和元年度 第1問)

多角化して複数の事業を営む企業の企業とメインと事業ドメインの決定に関する記述として最も適切なものはどれか。

ア 企業ドメインの決定は、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契機となる。

イ 企業ドメインの決定は、新規事業進出分野の中心となる顧客セグメント選択の判断に影響し、競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供する。

ウ 事業ドメインの決定は、将来手掛ける事業をどう定義するかの決定であり、日常のオペレーションに直接関連し、全社戦略策定の第一歩として競争戦略に結び付ける役割を果たす。

エ 事業ドメインの決定は、多角化の広がりの程度を決め、部門横断的な活動や製品・事業分野との関連性とともに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包括している存続領域を示す。

オ 事業ドメインの決定は、特定市場での競争戦略に影響を受け、将来の事業領域の範囲をどう定義するかについて、企業が自らの相互作用の対象として選択した事業ポートフォリオの決定である。

中小企業診断士 企業経営理論 令和元年度 第1問


それでは最後に過去問を解いて復習をしてみましょう。
企業ドメインと事業度面に関して正しいものを選ぶ問題ですね。

✅選択肢ア
企業ドメインについて聞かれていますね。
企業ドメインは、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映とありますが、実際の本試験ではこの記述が合ってるかどうか、判断に迷うかと思います。

最後の事業の定義を見直す契機となるというのは、確かに企業ドメインを決定することで、
事業ドメインの定義を見直すことになりますので、この記述は合っていそうですね。

✅選択肢イ
こちらも企業ドメインについて聞いていますね。
企業ドメインは、顧客セグメント選択の判断に影響するとありますが、ドメイン定義で顧客を決めていくのは、エーベルの三次元枠組でした。
エーベルの三次元枠組は、事業ドメインに関するフレームワークでしたので、この記述は事業ドメインに関する記述ですので、明らかに間違いとなりますね。

それから競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供するとありますが、ここの記述もどちらかというと事業ドメインに関する記述のように読めます。

✅選択肢ウ
今度は事業ドメインについて聞かれています。
将来手掛ける事業をどう定義するかの決定とありますが、事業ドメインは現在手掛けている事業も踏まえる必要があるので、少し悩ましい記述です。

その次の日常のオペレーションに直接関連するという記述は正しいですね。

最後の全社戦略策定の第一歩としてという記述は、これは明らかに企業ドメインに関する記述ですので、選択肢ウは誤りになりそうですね。

✅選択肢エ
こちらも事業ドメインについて聞いています。
事業ドメインの決定は多角化の広がりの程度、部門横断的な活動や製品・事業分野との関連性、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包括という、これらすべての記述は、企業ドメインについての説明となっていますので、選択肢エは明確に間違いであると言えるでしょう。

✅選択肢オ
事業ドメインについて聞いています。
事業ドメインは、特定市場での競争戦略に影響を受けるという記述は正しいです。
一方で、将来の事業領域の範囲をどう定義するかについては、選択肢ウと同様にやや悩ましい記述であります。

それから最後の事業ポートフォリオの決定であるとありますが、事業ポートフォリオを決めるのは企業ドメインでしたので、この記述が明らかに間違っていると分かりますね。

こうして見てみると選択肢イ~オに関しては明らかに間違っている部分がありましたので、
選択肢アが正しいということがわかりますね。

先ほどの解説では触れませんでしたが、企業ドメインは外部の利害関係者への影響も考慮しながら決めていく必要があるというわけですね。

企業経営論の過去問はかなり日本語が難しいのが特徴です。
このよう文節に区切りを入れながら一つ一つの項目が合っているかを判定して、総合的に無難な表現を選んでいくという解き方が試験本番では求められます。

それから企業ドメインと事業ドメインといったようなよく似た用語の説明を入れ替えて出題してくるのも王道パターンです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、一緒に勉強しながら慣れていきましょう。

まとめ

最後にまとめです。

今回は、大きく分けてドメインに関して4つのことを学習しました。

ドメインのまとめ

1つ目は、ドメイン定義のメリットですね。
経営層の注意の焦点が定まる、自社に必要な経営資源がわかる、企業全体として一体感を作ることができるといったメリットがあるのでした。

2つ目にドメイン定義の方法を学習しました。
具体的な商品サービスで定義する物理的定義と顧客ニーズで定義する機能的定義の2つがありました。

3つ目にドメインの階層について学習しましたね。
多角化や事業ポートフォリオを決める企業ドメインと、個別事業の差別化の方向性を決めるための事業ドメインの2つがあるのでした。

最後にエーベルの三次元枠組ですね。
事業ドメインを決めるためのフレームワークです。
具体的には顧客・技術・機能の3つで事業ドメインを定義するのでした。
技術はドメインの物理的定義、機能はドメインの機能的定義に相当しますので、この観点もぜひ覚えておいてください。

まずは以上のまとめを頭に覚えつつ、メリット・デメリットなどの細かい論点を少しずつ学習しておくと良いでしょう。
今後も企業経営理論の論点を解説してきますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
一緒に勉強して、本試験を乗り越えましょうね。

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