はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回はM&Aをテーマに解説していきたいと思います。
M&Aは一次試験の頻出論点の1つですが、令和5年度の二次試験では経営統合した事例企業も出題されたので、二次試験までしっかりと覚えておきたい知識となりますね。
今回はそんなM&Aで出題される可能性がある各種論点をできるだけ幅広く解説していこうと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
M&Aのメリット・デメリット
今回学習するM&Aとは、企業の合併・買収のことをいいます。
M&Aと言えば企業買収を連想されるかと思いますが、正確には企業合併も含まれる点に注意ですね。
合併は、合併先の企業を法的に消滅させて一つの企業になることを基本的に指します。
企業買収でも、買収先のB社がなくなることもありますが、B社はそのまま残し、子会社化するというケースもありますね。
続いて、M&Aのメリット・デメリットを確認していきましょう。
- 短時間で必要な経営資源を確保できる
- 相乗効果発揮により、単独で事業展開する以上の利益創出が期待できる
まずはメリットですね。
M&Aのメリットは短時間で必要な経営資源を確保できるという点です。
特に買収においては、カネでヒトやモノの他に、技術力やノウハウといった情報資源を入手することができます。
本来長い年月をかけて習得する技術力を、即座に自社のものにできるというのは魅力的ですね。
それから相乗効果を発揮することによって、単独で事業を展開する以上の利益が生まれる期待が持てるというメリットもあります。
以上のように、M&Aにはスピーディーに強みの強化、弱みの補強ができるというメリットがあるわけですね。
- 短時間で必要な経営資源を確保できる
- 相乗効果発揮により、単独で事業展開する以上の利益創出が期待できる
一方で、デメリットは、調査が不十分で期待していたほどの効果が得られないという場合や、人事労務面で問題が発生することがあります。
理由は様々ありますが、新しい企業の文化が合わなかったり、もともとの会社に強い思い入れがあるが故に、どうしても買収が受け入れられずに退職してしまうというケースもあります。
これらはデメリットというよりM&Aにおける留意点とも言えますが、以上を考慮の上、M&Aは慎重に進める必要があるわけですね。
M&Aの形態
そんなM&Aにはどんな種類があるのか確認してみましょう。
M&Aには経営権の移転があるケースと、移転のないケースがあります。
それぞれ確認していきましょう。
合併
まず経営権の移転があるケースの1つ目は合併です。
合併は2つ以上の会社の資本・組織が一体化します。
先ほどのように、合併先のB社を消滅させてA社に吸収する吸収合併や、A社とB社の両方を消滅させてしまい、新しくC社という新しい会社を作る新設合併などがあります。
これらの詳しい違いは、経営法務で学習するので、ここでの説明は割愛します。
企業経理論としては、合併にも色んな種類があるんだなと覚えてもらう程度で充分です。
株式会社
2つ目は株式買収ですね。
買収先の企業の株式を購入して自分のものにする形態です。
吸収合併と同じように、買収先の企業を完全に消滅させるケースもあれば、その買収先企業は残しておいて、子会社化するケースも存在します。
必ずしも買収先企業が消滅するわけではないという点が、合併とは異なるポイントのひとつとなりますね。
ここまではM&Aと聞いて皆さんがイメージしやすい内容かと思います。
ここからはM&Aを広い意味で捉えた場合の形態を2つご紹介します。
合弁 (ジョイントベンチャー)
3つ目は合弁・ジョイントベンチャーですね。
合弁は2つ以上の会社が共同出資によって新しい会社を設立することを言います。
お互い資金や人材、技術・ノウハウを融通しあって、新しい会社を作り、これまでできなかった事業を共同で実施するようなイメージですね。
戦略的提携 (アライアス)
それから最後に戦略的提携・アライアスです。
戦略的提携は、契約による協力関係ですね。
2つ以上の会社が契約を結び、特定領域において協力関係を結ぶというものです。
今回ご紹介する中で最も緩やかな結びつきとなりますね。
協力関係を築くことで、お互い足りていない経営資源を補完できるというメリットもありますが、一方で、技術力やノウハウが流出してしまうリスクもありますので、この点に留意する必要があるということも、しっかりと押さえておきましょう。
M&Aの手法と覚え方
続いてM&Aの手法と覚え方について解説していきたいと思います。
代表的な手法は4つあります。
TOBの意味と覚え方
1つ目はTOB(Take Over Bid)です。
これは株式市場を通さずに株主から直接、株を買い取る方法を言います。
例えば今A社が、株価1,000円のB社を買収しようとしたとしましょう。
このB社の経営権を得るには、株価1,000円で全発行株式の50%以上を取得する必要がありますが、この株式を買い集める際、株式市場を通さずにB社の株主に直接、「期間限定で1株1,500円で買い取ります」というオファーを出すようなイメージですね。
こうすることで、株主としては市場価格よりも高く株が売れるので、利益を得やすいというメリットがありますし、A社にとっても確実に素早くB社の株を集められるというメリットがあります。
株式市場を通して株価1,000円で株式を集めた方が安く済むようにも思えるのですが、大量の株を買い集めることで株価が急激に上昇し、想定以上の株価がつく場合がありますので、買収の際にはこういった手法が取られるケースが多いようです。
TOBの覚え方としては、頭2文字を取って、「TOおさず (通さず) 買い取る」と覚えましょう。
株式市場を通さずに株を買い取る手法なので、この覚え方でバッチリかと思います。
LBOの意味と覚え方
続いてLBO(Leveraged Buy Out)ですね。
こちらは買収される側の資産や収益力を担保に、借入等を行って買収する手法のことをいいます。
例えば負債があって、現金をほぼ持っていないA社が、小規模で負債がほぼなく、高収益なB社を買収したいとします。
本来はそこそこ負債があるので、これ以上の借入ができないA社ですが、返済見込みの高いB社の買収資金であれば銀行側も貸し出せるわけですね。
財務面だけでなく、買収によって明らかにシナジーが発揮させるような買収であれば、なおさら銀行側は貸出しやすくなると思われます。
こうしてA社は銀行から買収資金を借り入れてB社に買収を仕掛けることを、LBOと言うわけです。
LBOの覚え方としては、「Loan(ローン)で買い取る」と覚えましょう。
ローンは英語で借入のことですね。
本来LBOのLはLeverageを表しますが、このように覚えると覚えやすいかと思います。
MBOの意味と覚え方
続いてMBO(Management Buy Out)です。
MBOは経営陣が自社の株を買って、経営権を取得することをいいます。
特に上場企業においては、A社とその経営者がいて、その経営者とは別に株主が存在します。
いわゆる所有と経営の分離というやつですね。
この場合、A社は誰のものかと言うと、法的にはA社株主のものとなりますね。
A社の経営者からすると、重要な意思決定の際には株主総会等で株主の同意を得る必要があります。
一般的に株主は、短期的な利益を追い求める傾向にありますので、経営者としては長期的な取り組みを実行しにくい状態なわけですね。
そこで経営者自身が株主から株を買い集めて、自分のものにすることをMBOといいます。
MBOは、上場企業が非上場化にする際に、よく実施されます。
比較的有名なのはTSUTAYAやTポイント事業を展開しているカルチュア・コンビニエンス・クラブがMBOを実施して非上場になったケースです。
興味がある方は調べてみてください。
MBOの覚え方としては、所有権を自分のものにするので、MBOのBOとって、「BOく (僕) のもの」にすると覚えていただければと思います。
MBIの意味と覚え方
最後に、MBI(Management Buy In)について確認しましょう。
MBIは第三者が企業買収を行い、新経営陣を送り込んで経営再建を図ることをいいます。
例えばA社の業績が悪化してしてしまったときに、金融機関や投資ファンド等がA社の株主から株式を取得して経営権が握り、その上でA社に経営の専門家を送り込んで、業績改善を図るようなイメージですね。
これによってA社の業績改善が成功し、株価を上がったタイミングで、A社の株式を売却して利益を得るということを狙った手法ですね。
MBIの覚え方としては、A社が経営に「BIビって (ビビって) 手放す」と覚えていただければと思います。
くだらないゴロ合わせではありますが、用語の内容を理解していれば比較的覚えやすいかと思いますので、参考にしてみてください。
代表的な買収防止策
それでは最後に代表的な買収防止策について確認してみましょう。
ポイズンピル
1つ目はポイズンピルですね。
こちらは一定割合の株式が買われたら、自動的に新しい株式を発行して、買収した企業の所有割合を下げる仕組みのことをいいます。
この仕組みがあることによって買収企業は当初想定した以上の株数を取得する必要があるので、買収を諦めさせると言うわけですね。
クラウンジュエル
続いてクラウンジュエルです。
こちらは買収されそうになったら、わざと重要な経営資源を切り離す等をして、
買収者の意欲をそぐ防止策となります。
例えば、非常に高いブランド力の商品を持つ企業が買収されそうになったときに、その商品の権利を他の企業に譲ってしまうことで買収を逃れるようなイメージとなりますね。
ゴールデンパラシュート
続いてゴールデンパラシュートです。
買収によって解任される取締役には、巨額の退職金を支払うように、あらかじめ定めておくことで買収を防止するという方法ですね。
万が一買収されたとしても、取締役は多額の退職金を受け取れるので、経営陣にとってはどう転んでも美味しい買収防止策になるかもしれませんね。
ホワイトナイト
最後にホワイトナイトです。
敵対的な賠償を仕掛けられたら、他に友好的な企業に買収を求める方法です。
どうせあの会社に買収されるくらいだったら、友達の会社に買収してもらった方がマシ、と考えるイメージですね。
それぞれ買収防止策にはそれぞれ特徴的な名前が付けられていますので、先ほどのM&Aの手法よりは覚えやすいかと思います。
名称と意味を紐づけながら内容を覚えてみてください。
過去問を解いてみよう (平成26年度 第4問)
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
A社は、現社長が高齢化したために、家族や親族以外の者への事業承継を MBI(management buy-in)によって行うことを検討している。MBIに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 現社長と役員は、投資ファンドから資金を調達し、現経営陣を支援してもらう。
イ 現社長は、社外の第三者に自社株式を買い取らせ、経営を引き継いでもらう。
ウ 現社長は、投資ファンドに自社株式を買い取ってもらい、経営を外部から監視してもらう。
エ 現社長は、長く勤めた営業部長に自社株式を買い取らせず、経営を引き継いでもらう。
オ 現社長は、長く勤めた営業部長や経理課長に自社株式を買い取らせ、営業部長に経営を引き継いでもらう。
中小企業診断士試験 企業経営理論 平成26年度 第4問
MBAに関する記述として最も適切なものを選ぶ問題ですね。
MBIの覚え方は「BIビって (ビビッて) 手放す」でしたね。
第三者に自社の株式を買い取らせ、専門化に経営を任せることを言うのでした。
こちらの内容を表している選択肢イが正解ですね。
選択肢アとウは、第三者に経営権を渡していないため誤りとなります。
また選択肢オのように、従業員に株を買い取らせて経営を引き継いでもらうことをEmployee Buyout = EBOと言いますので、
こちらの用語も念のため覚えていただければと思います。
M&Aでは、ここで確認した以外でも様々な観点で作文されています。
この動画を見終わったら、ぜひ他の過去問にもトライしてみてください。
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回学習したM&Aとは、企業の合併や買収のことを言うのでした。
一次・二次対策共通で重要なのは、メリット・デメリットを覚えておくことです。
以下画像に記載されてある内容は、最低限覚えていただければと思います。
それからM&Aの手法として4つの用語とその覚え方を解説しました。
M&Aの論点は、このアルファベット3つの用語を覚えるのが1番苦労するかと思いますので、今回ご紹介した覚え方を参考に対策していただければと思います。
はい、というわけで、今回はM&Aについて解説をしてみました。
M&Aだけを専門にして活動している中小企業診断士の先生がいるほど、M&Aは奥の深い論点となっています。
ですが、診断士試験対策としては浅く広く内容を覚えておけば、十分に対応できるケースが多いので、最低でも今回動画でご紹介した内容をしっかりと押さえた上で本試験に臨んでいただければと思います。
それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次回の解説記事でお会いしましょう。勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!!