はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回は口述試験対策について解説していきたいと思います。
口述試験は、筆記試験の合格発表の10日後に実施されますから、意外と対策の時間が少ないです。
何から始めれば良いか困っている方も多いのではないでしょうか?
この記事でご紹介する内容をしっかりと実践いただければ、今から対策を始めても合格は間違いないかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
口述試験の合格率推移
まずは直近約20年間の合格率について確認してみましょう。
診断協会から公表されいてる二次筆記試験の合格者数と、口述試験の合格者数データを集計していました。
年度 | 二次筆記合格者数 | 口述試験合格者数 | 口述試験合格率 | 不合格者数 |
---|---|---|---|---|
平成13年度 | 628 | 627 | 99.8% | 1 |
平成14年度 | 651 | 638 | 98.0% | 13 |
平成15年度 | 714 | 707 | 99.0% | 7 |
平成16年度 | 648 | 646 | 99.7% | 2 |
平成17年度 | 704 | 702 | 99.7% | 2 |
平成18年度 | 806 | 805 | 99.9% | 1 |
平成19年度 | 800 | 799 | 99.9% | 1 |
平成20年度 | 877 | 875 | 99.8% | 2 |
平成21年度 | 955 | 951 | 99.6% | 4 |
平成22年度 | 927 | 925 | 99.8% | 2 |
平成23年度 | 794 | 790 | 99.5% | 4 |
平成24年度 | 1,220 | 1,220 | 100.0% | 0 |
平成25年度 | 915 | 910 | 99.5% | 5 |
平成26年度 | 1190 | 1,185 | 99.6% | 5 |
平成27年度 | 944 | 944 | 100.0% | 0 |
平成28年度 | 842 | 842 | 100.0% | 0 |
平成29年度 | 830 | 828 | 99.8% | 2 |
平成30年度 | 906 | 905 | 99.9% | 1 |
令和元年度 | 1,091 | 1,088 | 99.7% | 3 |
令和2年度 | 1,175 | 1,174 | 99.9% | 1 |
令和3年度 | 1,605 | 1,600 | 99.7% | 5 |
令和4年度 | 1,632 | 1,625 | 99.6% | 7 |
口述試験の合格率を見てみると、ほとんどの年度で99%を超えています。
中には不合格者が1人もいなかった年度もあったようです。
このデータから読み取れる通り、口述試験は時間通りに試験会場へ行って、何か喋ってくれば合格できる試験だと言われています。
そうはいっても、毎回数人程度は不合格者が出ている点が気になりますよね。
どういった時に合格になってしまうか、その内容を確認してみましょう。
- 当日会場に行かない
- 試験中に何も話さない
最も多いのは当日行かないというパターンですね。
仕事の関係でどうしても試験会場に行けない場合や、養成課程に進むことが決まっていて、そちらで勉強したいからという理由で辞退する方もいらっしゃるようです。
その他、コロナやインフルエンザに罹ってしまう、当日寝坊して遅刻してしまう、といった理由も考えられます。
できる対策としては、体調管理を万全にして、朝早い場合はホテル泊などをして確実に試験会場に行ける準備を整えることですね。
この辺りは抜かりなく実施していただければと思います。
しっかりと対策が必要なのは、何も話さないパターンです。
例えば今から皆さんに令和5年度の事例企業に沿って、1つ問題を出したいと思います。
すぐに答えることができるか、確認してみください。
事例Ⅰから質問します。
A社はX社と経営統合を行いますが、この際、経営統合におけるメリットとデメリットには、どういった内容が考えられますか?
2分程度を目安にお答えください。
いかがでしょうか?
対策をしていないほとんどの方は、何の回答も浮かばなかったかと思います。
試験本番は少なからず緊張もありますので、頭が真っ白になって何も話せないということは起こりえます。
そうならないためにも、ある程度準備はしておいた方が良いというわけですね。
具体的な対策方法は、この後お話ししますのでご安心ください。
口述試験の概要
それでは口述試験の概要について改めて確認しておきましょう。
口述試験は面接官2人、受験生1人という体制で行われます。
面接室に入ると、手荷物を置く場所などが指示されますので、試験官の案内に従いましょう。
上図では受験生側に机を置いておりますが、この机がない場合もあるようです。
採用面接のような雰囲気だと考えていただければ差し支えないかと思います。
また、口述試験の概要は以下の通りです。
- 試験時間は約10分
- 最初に生年月日と名前を聞かれる
- 受験した事例Ⅰ~Ⅳに関連する質問が4問
- 1問あたり2分で回答
- 服装はスーツが無難
口述試験では筆記試験で受験した事例ⅠからⅣに関連する質問が4問出題されます。
多くの場合は、2つの事例から2問ずつ質問されるようですが、事例Ⅰ~Ⅳまで1問ずつ出題される場合もあるようですので、4事例の内容を網羅的に押さえておく必要がありますね。
服装は基本的に自由ですが、多くの方がスーツで行きますので、個人的にはスーツが無難かと思います。(中には私服の方もいらっしゃいます。)
試験官は実際に中小企業診断士として活動している先生方のようです。
とはいえ、外見は普通のおじさまと変わらない印象ですので、あまり緊張せずに臨むようにしましょう。
口述試験対策の4STEP
それでは具体的な口述試験の対策について説明していきたいと思います。
事例文の読み込み
まず最初に実施すべきなのは、事例文の読み込みですね。
とにかく与件文を繰り返し読むようにしてください。
本番までに毎日1回は与件文に目を通すことを目標にするくらいが良いかもしれませんね。
与件文を頭に入れるために、音読や写経などを取り入れる方もいらっしゃるようです。
それから、筆記試験で問われた設問とその回答を重要視する必要はありません。
筆記試験と同じ内容が問われて、その模範解答を答えなければいけないという試験ではないので、既に予備校から公開されている模範解答を参考までに目を通しておく程度で良いかと思います。
事例サマリシートの作成
事例文の読み込みと並行して、事例サマリシートを作成してみましょう。
これは僕が実践した中で、最も効果を感じた学習内容です。
与件文は試験用にあえてわかりにくい構造で文章が書かれているので、記載内容を整理するイメージですね。
事例企業の概要やSWOT、課題や求められる方向性を手元でまとめていただければと思います。
このサマリシートを作成することで、事例企業のポイントを暗記しやすくなります。
試験当日もファイナルペーパーとしても活用できますので、おススメです。
サマリシートの具体例はこの後お見せしたいと思います。
想定問答集の確認
事例文が頭に入ったら、想定問答集を確認してみましょう。
こちらは資格の大原やLECのHPから入手できます。
一部有料のものもありますが、受講生でなくても無料で入手できる場合もありますので、1~2社程度を手配しておくと良いでしょう。
想定問答集の中に予備校が考えた模範解答が記載されていますが、無理に暗記する必要はありません。
模範解答は参考程度に留めて、想定問題に対して自分なりの答えが2分程度で話せることが重要です。
模擬練習
最後に実施するべきは模擬練習ですね。
実際に声に出して、1問を2分間で回答する練習をしてみましょう。
こちらは予備校や受験支援機関等が無償で実施したりしていますので、まだ枠に余裕があれば申し込んでみていただければと思います。
もう既に枠がいっぱいになっていたり、地方で出席できないという方は、家族や友人に試験官役をお願いしても練習するのも手です。
僕は奥さんに想定問答集を手渡して練習しました。
それから個人的に1番オススメなのが、タキプロのYouTube動画ですね。
昨年はこの時期に、受験支援団体のタキプロのYouTubeチャンネル上で、口述試験の練習用動画がアップロードされていました。
タキプロメンバーが2分ごとに質問を読み上げてくれるという10分程度の動画ですね。
この動画が複数アップロードされたので、千本ノック的に活用して非常に役に立ちました。
動画の前で回答している時、試験官役の方が無表情で黙っているので、そこが妙にリアルで非常に良い練習となりました。
今年もアップロードされるかは分かりませんが、去年のものを代用しても、ある程度練習になるかと思います。
事例別サマリシート例
参考までに、サマリシートの作成方法をご紹介したいと思います。
サマリシートはこのようなイメージですね。
事業概要から強み・弱み・機会・脅威・課題を一覧でまとめています。
今回の事例Ⅰでは、経営統合先のX社についても、同じようにまとめておく必要がありそうです。
事例Ⅲについては、生産状況がわかりにくいので、改めて仕様決定から営業、生産計画、資材管理、生産・納品までの流れをまとめておいた方が良さそうですね。
右側に記載しているようにまとめた上で、問題点を整理すると理解が深まるかと思います。
最後に事例Ⅳについては、財務分析も忘れずに行うようにしましょう。
対前年でどの項目が増加・減少しているかを事前に把握したうえで、試験に臨むのが望ましいですね。
以上のような、サマリシートをご自身で作成することをお勧めします。
先ほども触れたとおり、本試験の与件文はあえて読みにくい構成で記載されているので、このように情報を整理することで、経営診断の方向性も検討しやすくなるわけですね。
作成する際はマインドマップの作成ツールを使っても良いですし、最悪、手書きやメモ帳への箇条書きでも良いかと思います。
上図ではマスクをしていますが、僕が作成した令和5年度の完全版は税込499円にて販売したいと思います。
サマリシートを作成する時間がないという方や、自分が書き出した内容に不安があるという方は、購入を検討してみてください。
中小企業診断士試験 二次口述試験対策用 事例別サマリシートです。
pdfファイルをそのままA4サイズで印刷可能です。
もちろんタブレット端末・PCでも閲覧できます。
サマリは各事例企業の現時点での情報をまとめています。
従って、過去の強み・弱み・機会・脅威等はサマリ対象外です。
必ず本試験の与件文で内容を補完しながらご利用ください。
商品情報
– 集計対象:令和5年度 二次筆記試験 事例Ⅰ~事例Ⅳ
– ファイル形式:pdf
– ファイルサイズ:540 KB
– 価格:税込み499円
クレジットカード情報入力による購入後、pdfファイルのダウンロードリンクが表示されます。
購入する場合、下の「今すぐ購入する」ボタンをクリックし、クレジットカード情報をご入力ください。
■注意事項
※ PCでのご購入・データダウンロードを推奨します。
※ 無断転載・譲渡を禁止します。
※ 入力したクレジットカード情報が作成者 (たかぴー) に伝わることはありません。
※ ダウンロードリンクはメールでも送信されます。受信できない場合、迷惑ボックスをご確認ください。
※ 作成には誤りのないよう細心の注意を払っていますが、本商品の購入者が行う一切の行為及び中小企業診断士試験結果について、何ら責任を負うものではありません。
これを自分で作ろうとすると丸一日程度かかりますからね、時間をお金で買うのは良いお金の使い方なんじゃないかと思います。
回答テクニック
続いて、回答テクニックをご紹介したいと思います。
これからいくつかのテクニックをご紹介しますが、結論、自分が答えやすいやり方が一番の正解と思っていますので、参考までにご覧いただけばと思います。
- 聞かれたことを復唱する
ex) 「はい、A社が企業統合する際の留意点についてお答えします。」 - 与件文の内容をそのまま話す
ex) 「B社には●●や▲▲という強みがあります。」 - 結論から話す
ex) 「取りうる施策は3つあります。1つ目は~」 - 具体例を話す
ex) 「例えば野球用品のレンタルサービスを始ると、×××な効果が得られます」
一番有名なのは、聞かれたことを復唱するというテクニックです。
黙ってしまうのが、最もやってはいけないことですので、とりあえず何か喋りながら回答の内容を検討するという方法です。
それから与件文の内容はそのまま話すというのも有効です。
「B社にはこういった強みがありますであったり、蕎麦屋として創業した後、様々なそば以外のメニューを開発していきました。」といったように、単純にその企業概要を説明しながら、回答を考えるイメージですね。
話しているうちに現状が整理できて答えが思いつく場合もありますので、困った際には取り入れてみてください。
それから、聞き手側の視点に立つと、やはり結論から話した方が良いかと思います。
例えば「取り得る策は3つあります。1つ目はこういったことです。」といったような話し方ですね。
とにかく結論は先延ばしにして永遠と喋り続けるような回答テクニックもありますが、普段の仕事で結論から話すことに慣れている方にとっては、この話し方が話しやすかったりします。
ご自身の普段の話し方照らし合わせて検討してみてください。
最後に具体例を話すというのも有効です。
結論として抽象的な話をした後で、例えば「野球用品のレンタルサービスを始めると、こういった効果が得られます。」といった話をするとことで、話が膨らみますし、2分間という時間を有効に使えます。
以上が代表的な回答テクニックですね。
とにかく試験中に黙ってしまい、何も話さないことが最も避けなければいけない事態ですので、こちらの内容を参考にしながら、是非ご自身の話しやすい方法を検討してみてください。
よくある質問
それでは最後に、よくある質問について回答したいと思います。
まず1つ目ですね。
事例Ⅳの筆記試験で出題された計算問題は回答できる状態にしたほうが良いでしょうか?
計算問題できる状態する必要はありません。口述試験で計算問題を解かせることは絶対にあり得ませんので、安心してください。それよりも与件文の内容と財務分析結果、それから各論点の関連知識を確認しておくようにしましょう。
続いて2つ目です。
回答後に追加質問されたり、他の回答があるか聞かれる場合があると聞きました。
2分未満の回答時に追加質問される場合があります。単純に答えが間違ってるから聞いているわけではなくて、単純に10分という試験時間を消化するために追加質問されているのだと捉えましょう。
理想は2分で回答できることではありますが、もし追加質問が来ても落ち着いて対応しましょう。
最後に、3つ目です。
二次筆記試験での自分の回答と整合する必要はありますか?
何を書いたか覚えていません。。
整合する必要は全くありません。
試験官の手元に受験生の回答用紙が置かれている様子もありませんでしたし、後から整合性をチェックするにしては、試験から合格発表までの期間が10日間とあまりにも短いので、その可能性は極めて低いと考えられます。
口述試験の場で思いついたベストな回答していただければ問題ないかと思いますので自信を持って答えましょう。
まとめ
というわけで、今回は口述試験対策について解説をしてみました。
試験前は合格率99%以上だから問題ないと思っていても、いざ筆記試験に合格すると、100%でないがゆえに不安になってしまう方が多いというのが実情です。
本番でうまく答えられずに、口述試験の合格発表までに不安な日々を過ごされる方も一定数いらっしゃるようなので、そうならないためにも、ぜひ最後の力を振り絞って、全力で対策した状態で臨んでいただければと思います。
ちなみに僕は今回ご紹介した内容を実践して、試験本番では追加質問もなく終えることができました。
試験後も間違いなく合格したという感触を得られましたので、この動画を皆さんにも、余裕でパスしていただきたいと思っています。
それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
口述試験、頑張ってきてください!
同じ診断士としてお会いできることを楽しみにしています。
さようなら!