はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです!
今回は都市計画法から用途地域の制限について解説していきたいと思います。
運営管理の中で最も難しい論点と言っても過言ではないですが、直近10年で3回も出題があったので、完全に捨て問にするのももったいないです。
今回は中小企業診断士試験に必要最低限の内容をギュッとまとめてきました。
現時点で確認できる平成19年以降の全ての本試験問題に対応できる内容に仕上げています。
この記事の解説で解けない問題が出てきたら、綺麗サッパリに捨て問にしてよいかと思います。おそらくどの受験生も解けないはずです。
細かい用語説明はいらないから、制限地域の覚え方だけ知りたい!
という方は、まとめパートに覚え方を用途地域ごとの制限をまとめてますので、メニュー一覧から飛んで、そこだけご覧ください。
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13種類の地位区分と用途制限
まず最初に、今回学習する用途地域とは、そもそも何なのかということを説明したいと思います。
次の画像は渋谷区の用途別の区分を示した地図です。地図に色が付けられているのが分かるかと思います。
例えば緑色は住居地域、紫色は商業地域というように区分けされています。
この区分けされた地域1つ1つを「用途地域」と呼んでいて、この区分は全部で13種類あります。
13種類の用途地域には建てられる建築物の制限が決まっていて、以下の表にあるように、かなり細かく規定されています。
市販のテキストにはこの表だけが記載されていて、これを見ただけで捨て問にする方も多いかと思います。表の内容を全て覚える必要はないので、一緒に勉強していきましょう。
商業地域の種類
まずは商業系の地域から説明していきます。
商業系の地域は、最も制限が緩い地域で、基本的に何でも建てて大丈夫と思ってください。商業系の用途地域は2つあります。
1つ目は近隣商業地域ですね。
これは街によくある商店街やアーケード街のようなイメージです。日用品の買い物ができるエリアで、お店や会社はもちろん、映画館も建てることができます。
2つ目は商業地域です。
こちらは大きなターミナル駅の周辺というイメージです。
大規模施設が立ち並ぶエリアで、今回ご紹介する13種類の用途地域で、唯一、個室付き浴場、つまり大人のお店を出店してもOKとされています。
13種類の用途地域の中で、一番制限が緩いイメージを持っていただければと思います。
商業系地域の建築物制限
そんな商業系地域の建築物には、どのような制限があるのか見ていきましょう。
まず、近隣商業地域も商業地域も、建物の面積制限はありません。
違いは、キャバレー・料理店・ナイトクラブを立てられるかどうかです。
近隣商業地域はこのようなお店の出店はNGなのに対して、商業地域はOKとされていますね。
ここでは、どちらも面積制限はないという点と、出店OKなお店の違いだけ覚えていただければと思います。
工業系地域の種類
続いて、工業系の地域を見ていきましょう。
工業系地域はその名の通り、工場立地が中心で、比較的制限が緩い地域というイメージです。
工業系地域には3つの区分がありますので、一つ一つ見ていきましょう。
1つ目は準工業地帯ですね。
これは住宅地にある町工場のようなイメージです。住宅地を歩いていると、たまに大きめな倉庫や、ちょっとした工場なんかを見かけることがありますよね。
あのようなエリアが準工業地帯に含まれるようです。
住宅がありますので、危険性の少ない工場が立地できるエリアとされています。
2つ目は工業地域です。
これはタワーマンションや工場が並ぶ湾岸地域のイメージです。この地域では、高層マンションや大規模工場が立地されてることが多いみたいですね。
3つ目は工業専用地域です。
ここは専用と付いているだけあって、ほぼ工場しかない地域となっています。
工場からの排気ガスもありますし、さまざまな化学薬品等を使った生産がされているので、危険性が高く、住宅などが建てることができないエリアとなっています。
仕事がない限り、普段の生活で近づくことは無いエリアですね。
工業系地域の建築物制限
そんな工業系地域の建築物には、どのような制限があるのでしょうか?
まず、準工業地域ですが、こちらは面積制限がありません。
キャバレーや料理店、ナイトクラブも出店OKとされています。
続いて、工業地域ですね。
こちらは1万㎡以内の店舗や事務所を建てることができます。
もっと平たく言うと、大きなお店や会社などが建てることができて、工業地域でありながらも、パチンコやカラオケの出店もOKとされています。
最後に工業専用地域ですね。
この地域は基本的には工場以外建ててはいけないとされています。
とにかく危ない地域なので、住宅はもちろんですし、その他のお店も出店してはいけないとされています。
工業専用地域を覚えるのは簡単ですね。
準工業地域と工業地域の違いは少し時間をかけて、頑張って覚えるようにしましょう。
住居系地域の種類
最後に住居系の地域を見ていきます。ここから、難易度がグッと上がります。
住居系の地域は、住宅を中心に設計されていて、住民の生活環境を守るために厳しい制限がされている地域です。
こちも一つ一つ見ていきたいと思います。
まず1つ目が、第一種・第二種低層住居専用地域ですね。
細かく言うと、一種と二種で違うのですが、説明の便宜上、1つにまとめさせていただきました。
こちらは低層と付いているだけあって、厳しい高さ制限のある閑静な住宅街のイメージです。駅からは少し距離があって、とにかく静かという特徴があります。
さらに第一種低層住居専用地域はコンビニすら出店NGなので、静かな生活の代わりに、少し不便なイメージですね。
続いてが第一種・第二種中高層住居専用地域です。
こちらは中高層と付いているので、マンションも建てられる住宅街ですね。
このエリアには病院やちょっとした商業施設も建てられるので、低層住居地域と比べると、利便性が高くなります。
続いて第一種・第二種住居地域ですね。
こちらは大きめなお店や商業施設が立ち並ぶ地域となっています。
ホテルやパチンコ・カラオケ、大きなスーパーマーケットなど、生活に便利なお店が多く、夜も明るいので、女性も安心して暮らせるようなエリアですね。
この住居地域という割には、住宅街のイメージからは少し遠いかもしれませんね。
続いて準住居地域です。
こちらは国道などの大通り沿いの地域となります。
自動車ディーラーやな大きな飲食店が立ち並ぶエリアと言われて思い当たる場所が皆さんにもあるのではないでしょうか。
ああいったところが、準住居地域に当たるようです。
車移動がメインな人たちにとっては、便利な地域となりますよね。
住居系の最後は田園住居地域です。
こちらは低層の戸建て住宅で、農業をすることができる地域です。
最初に説明した低層住居専用地域と同じくらい厳しい制限がありますが、農業することもできますし、小さな直売所や農家レストランなどを建てることができるエリアとなっています。
こちらは2018年から新しく設けられた用途地域のようですね。
住居系地域の建築物制限
それでは住居系地域の建築物制限について見ていきましょう。
まず、面積制限は150㎡から1万㎡まで、5つの区分があります。
用途地域は、専用低層・専用中高層・そして何もついてない無印の三種類があって、それぞれ第一種と第二種がありますね。
この面積の数字と用途地域の並びさえ覚えれば、後は簡単です。
制限については、グレーがNG、黄色が出店OKな面積となっています。
表を細かく見てみると、一番上の専用低層第一種は、お店系の建物は何も建てられないのが分かると思います。
低層の第二種から、150㎡以下の小さな店舗がOKとなって、そこから階段状に徐々に面積が増えていますね。
1つずつOKな面積が増えているので、形としては覚えやすいかと思います。
ちなみにこの表で出店OKなのは、その面積以内の店舗・事務所となっていますが、一番下の第二種住居地域だけは、パチンコやカラオケも出店できます。
それから、先ほどご紹介した準住居地域は第2種住居地域と同じ制限となっています。
また、田園住居地域は500㎡以内の農産物直売所と農業レストランのみ出店できますので、ここまで覚えられれば完璧ですね。
ちょっと覚えるのは大変かもしれませんが、冒頭でご紹介した細かい表を覚えるより、かなりマシになってるかと思いますので、試験本番まで少しずつでもよいので、頑張って覚えていきましょう。
過去問を解いてみよう(令和4年度 第24問)
都市計画法および建築基準法で定められている用途地域と建築物に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、各記述における面積はその用途に供する部分の床面積の合計を意味する。
ア 近隣商業地域には、100㎡(1階建て)の料理店を出店することができる。
イ 工業地域には、15,000㎡の店舗を出店することができる。
ウ 第一種住居地域には、500㎡(2階建て)のカラオケボックスを出店することができる。
エ 田園住居地域には、300㎡(1階建て)の農産物直売所を出店することができる。
中小企業診断士試験 運営管理 令和4年度 第24問
それでは過去問を解いて復習してみたいと思います。
用途地域ごとに出店できる建物の面積と、その種類を聞いている問題ですね。
まずは選択肢アです。
近隣商業地域には、100㎡の料理店を出店できるとありますが、まず、近隣商業地域は面積制限がありませんので、この面積は問題ありませんね。
その次の料理店についてですが、この用途地域はキャバレーや料理店、ナイトクラブが出店NGでしたので、選択肢アは誤りとなります。
続いて選択肢イですね。
工業地域には15,000㎡の店舗を出店できるとありますが、工業地域に出店できるのは1万㎡以下の店舗でしたので、面積の部分が誤りとなります。
続いて選択肢ウです。
第一種住居住居地域には、500㎡のカラオケボックスを出店できるとありますが、この地域には3,000㎡まで OKなので、面積は問題ありませんね。
一方、パチンコとカラオケはNGなので、この部分が誤りとなります。
最後に選択肢エです。
田園住居地域には、300㎡の農産物直売所を出店できるとありますが、この地域は500㎡以下が面積制限ですので、面積は問題ありませんし、また、農産物直売所・農業レストランのみ出店できるエリアでしたので、出店する内容も問題なさそうです。
ということで、選択肢エが正解となりますね。
この令和4年の問題が、最近の中では最も難しかったと思います。
選択肢アの料理店と飲食店の見分けがつく受験生がほとんどいなかったため、多くの受験生が、この中で一番制限の緩い近隣商業地域の選択肢を選んでしまったと思います。ちなみに、料理店は調べてみると料亭が代表のようで、飲食店とは区別されているみたいですね。
今回解説した内容で、全ての選択肢を網羅できていますので、間違えてしまった方は、改めて復習していただければと思います。
まとめ
それでは今回学習した内容をまとめていきたいと思います。
商業系・工業系地域の用途地域制限まとめ
まずは商業系と工業系地域ですね。
合計5つの区分がありまして、上記画像の上に行くほど制限が緩く、下に行くほど制限が厳しくなっています。
まず、商業地域・準工業地域、近隣商業地域は、いずれも面積制限がありませんでした。
このうち商業地域と準工業地域はキャバレーや料理店、ナイトクラブも出店OKで、近隣商業地域だけは出店NGとなっていましたね。
ちなみに、その他の店舗・事務所はOKです。
それから工業地域は1万㎡の施設を建てることができて、上のキャバレー系はNGですが、パチンコやカラオケまでなら出店OKなのでしたね。
最後に工業専用地域は工場以外は建ててはいけないのでした。
この論点を勉強する際は、まずは、この商業系と工業系をしっかり押さえていただければと思います。ここを覚えておくだけで、選択肢の半分は消去できるので、それだけです正答率がグッと上がるかと思います。
住居系地域の用途制限地域まとめ
最後は住居系ですね。
ここは覚えるのが大変ですので、少し優先度が落ちますが、決して覚えられない内容ではないかと思います。
面積については、左から順に3桁が2つ、4桁が2つ、5桁が1つとなっていて、左から順に15・50・15・30・100と呪文のように唱えて頑張って覚えましょう。
区分については一番上が最も制限の厳しい専用低層地域で、そこから下に行くほど制限が緩くなっているので、この順番を覚えるのはそこまで難しくないと思います。
表の横と縦の項目を埋められたら、あとはOKとNGの境目を階段状に塗り潰すだけですね。
ここまでで十分ではありますが、更に完璧に仕上げたい方は、以下3点を覚えれば完璧ですね。
1) 第2種住居地域はパチンコやカラオケもOKである
2) 準住居地域も同じ制限である
3) 田園住居地域は500㎡以内の農産物直売所や農業レストランが出店できる
ちなみに、中小企業診断士の試験対策上は、それぞれの用途地域の特徴についてはイメージだけ持ってもらえれば、詳しい中身まで覚えておく必要はありません。
この制限だけ覚えていただければと思います。
運営管理の試験本番では、ド忘れしてしまう前に、まずはこの論点からサッと解いてしまうのをお勧めします。僕も受験生時代はそのようにしていました。
いかがでしたでしょうか?
今回は診断士受験生向けに内容をギュッとまとめてみました。
この記事で皆さんが試験本番に得点できることを祈っています!
それではここまでご視聴いただき、ありがとうございました。
励みになりますので、コメントやYouTubeチャンネルへ登録していただけれると嬉しいです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!