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【ベンチャーの関門】魔の川・死の谷・ダーウィンの海を解説します!/企業経営理論/中小企業診断士試験対策

魔の川・死の谷・ダーウィンの海アイキャッチ
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はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!

今回はベンチャー企業の関門と呼ばれる、魔の川・死の谷・ダーウィンの海について解説していこうと思います。

基礎的な論点ではありますが、それゆえに出題されたら確実に正答しておきたい論点となります。 この論点は、各用語の内容を正しく理解しておくだけで十分です。 対応策まで覚える必要はないので、サクッと内容を覚えて他の論点の勉強に時間をかけるようにしましょう。

YouTube動画でも解説中!

ベンチャー企業の関門とは?

まずはベンチャー企業の関門についてです。

ベンチャー企業には様々な定義がありますが、一般的には成長意欲の強い起業家による、何らかの新規性を持っている企業であるとされています。

このベンチャー企業が市場で成功を収めるには、シード期・スタートアップ期・急成長期・安定成長期というステップを踏むとされています。

ベンチャー企業の関門

シード期は起業までの期間、スタートアップ期は事業が軌道に乗るまでの期間、急成長期は事業規模が急拡大する期間、そして最後の安定成長期は市場が成熟して、規模拡大が鈍化する期間とされてますね。

このようなステップの中でシード期とスタートアップ期の間には、大きな壁があるとされています。
なかなか事業を軌道に乗せることができないというわけですね。
この壁が「ベンチャー企業が直面する3つの関門」と呼ばれています。

それではこの関門の具体的な内容を見ていきましょう。

魔の川とは?

まずは魔の川です。デビルリバーとも言われていますね。
こちらは基礎研究の結果が製品開発に結びつかない状態のことを言います。

例えばあるベンチャー企業の研究開発で、ゴム素材に電気を通す技術が開発されたとしましょう。
皆さんは、この技術を使ってどんな商品が作れると思いますでしょうか?
ちょっとすぐには使い道が思い浮かばないですよね。

魔の川(デビルリバー)とは?

せっかく基礎研究で見つかった技術などが商品化に結びつかないことを魔の川・デビルリバーというわけですね。

どんなに素晴らしい研究成果であっても、必ずしも商品化に結びつかないということを覚えておきましょう。

死の谷とは?

続いて死の谷です。デスバレーとも呼ばれていますね。
こちらは開発した製品で事業化する際に、人材や資金が不足するという状態です。

例えば、あるベンチャー企業が今までにない画期的なVRゴーグルを開発したとしましょう。

このVRゴーグルを実際に製造して販売するためには、製造するための工場だったり、売り場のための流通経路だったり、商品PRのための広告宣伝費などが必要となりますよね。

せっかくいい製品が作れたとしても、ベンチャー企業のように人や資金が不足している企業では、発売にこぎつけるための経営資源が足りなくて、事業化できないことがあるわけです。

死の谷(デスバレー)とは?

このような障壁を死の谷と言います。

ダーウィンの海とは?

最後にダーウィンの海です。
こちらは事業化した後も競合製品との激しい競争にさらされる状態を言います。

ベンチャー企業ではないのですが、楽天モバイルがイメージしやすいかもしれません。

楽天モバイルは今までにない基地局の設置方法を開発して、通信事業に新規参入してきましたが、ドコモ・au・ソフトバンクといった既存企業と激しい競争を繰り広げていて、なかなか黒字化できていない事業をとなっていますよね。

企業認知度も資金も十分にある楽天ですらこのような状況なのですから、経営資源が乏しいベンチャー企業がダーウィンの海を突破するのは相当難しいことがわかりますね。

各用語の整理と覚え方

それでは各用語の整理と覚え方を見ていきましょう。
ベンチャー企業には3つの関門があるのでしたね。

  • 1つ目は魔の川で、製品化ができないという関門
  • 2つ目は死の谷で、事業化できないという関門
  • 3つ目はダーウィンの海で、競争に勝てないという関門

一つ一つの用語はそこまで難しくないのですが、用語の名称と意味を入れ違いで覚えてしまうと大変です。
そこでいざという時のために、語呂合わせを考えてきました。

覚え方としては、「間瀬は指示を妥協しない」と覚えておきましょう。
完璧主義者の間瀬さんは、指示出しにおいても厳しいイメージですね。

魔の川・死の谷・ダーウィンの海の覚え方

間瀬の「間」は魔の川の「魔」、間瀬の「瀬」は製品化の「製」を表しています。
同じように、指示は死の谷の「死」と事業化の「事」、妥協はダーウィンの海の「ダ」と競争の「競」を表しています。

どうしても忘れてしまうという方は、この語呂合わせと一緒に覚えておくと良いでしょう。
知り合いに間瀬さんがいる方は、より覚えやすいかもしれませんね。

過去問を解いてみよう (平成30年度 第12問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習をしてみましょう。

技術開発型ベンチャー企業が企業から事業展開で直面する障壁には、通常、以下【A欄】にあるダーウィンの海、デビルリバー(魔の川)、デスバレー(死の谷)と呼ばれるものがある。これらの障壁は【B欄】のように説明できるが、その回避には【C欄】に例示したような対応策が求められる。【A欄】、【B欄】、【C欄】の適切な組み合わせを答えよ。

【A:障壁名】 a ダーウィンの海  b デビルリバー  c デスバレー

【B:障壁の内容】
①応用研究と商品開発ないし事業化との間に存在する資金や人材の不足などという障壁

②開発商品を事業化して軌道に乗せる際、既存商品や他企業との激烈な競争に直面するという障壁

③技術シーズ志向の研究のような基礎研究からニーズ志向の応用 (開発) 研究に至る際の障壁

【C:対応策】
ⅰ 大手企業とのアライアンスやファブレス生産に取り組み、生産、販売、マーケティング、アフターサービスが一体となった体制などによって回避を試みる。

ⅱ 基礎技術や高い要素技術を必要とする領域は大学に任せ、TLOを活用して連携を積極的に行うことなどによって回避を試みる。

ⅲ 所有している特許権や意匠権などの知的所有権のうち、一部の専用実施権を第三者企業に付与することや、 社内プロジェクトメンバーについての担当の入れ替え、メンバーの権限付与の見直しなどによって回避を試みる。

中小企業診断士試験 企業経営理論 平成30年度 第12問


各用語の内容と、その対応策の紐付けについて聞かれている問題ですね。

まずは障壁の内容を見ていきましょう。

①は、商品開発と事業化との間に存在する資金や人材不足についての障壁とあります。
事業化できないという障壁はデスバレー・死の谷を表しているのでした。

続いて②は、事業化して軌道に乗せる際、激烈な競争に直面するとありますが、こちらはダーウィンの海ですね。
競争にさらされるという表現から、すぐに選ぶことができるかと思います。

最後の③は、基礎研究から開発研究に至る際の障壁とあります。
こちらはデビルリバー・魔の川だとわかりますね。
製品化できないのは魔の川を表しているのでした。

用語と内容の紐づけはそこまで難しくないかと思います。

続いて対応策です。こちらはちょっと難しいかもしれません。

ⅰは大手企業とのアライアンスやファブレス生産に取り組み、生産、販売、マーケティング、アフターサービスが一体となった体制などによって回避を試みるとあります。
外部企業を利用して生産からアフターサービスまでの体制を構築しているので、事業化への対応のようにも思えるのですが、作問者の意図としては、ダーウィンの海に対する対策としているようです。
大手企業との連携によって競争優位性を確保しようとしていると読むわけですね。

続いてⅱでは、基礎技術や高い要素技術を必要とする領域は大学に任せて、積極的な連携を行うとあります。
こちらは基礎研究に関する内容ですので、デビルリバーへの対応策と読み取れますね。

最後のⅲは、知的所有権のうち、一部の専用実施権を第三者企業に付与したり、プロジェクトメンバーの入れ替えや権限付与によって回避を試みるとあります。
専用実施権の付与によってロイヤリティ収入を得たり、プロジェクトメンバーへのテコ入れで人材面の問題を解決できますので、デスバレーの問題となっていた資金・人材への対応策であると読み取れますね。

解説は以上となりますが、きちんと紐づけができましたでしょうか?
この問題は対応策がやや難しいですが、実際の試験問題は選択式で、障壁名と障壁の内容さえ紐づけできれば正解できる内容となっていました。
また、デビルリバーの内容が③で、対応策がⅱだと判断できるだけでも正解できます。

用語の意味さえ分かっていれば解ける場合が多いので、出題されたらしっかりと点数をもぎ取りましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。

今回はベンチャー企業が直面する3つの関門として、魔の川・死の谷・ダーウィンの海を学びました。
まずはそれぞれの内容を正確に覚えるようにしましょう。

試験問題では対応策を聞かれることがありますが、対応策自体は無数に考えられますので、一つ一つ覚えるのではなくて、問題文に記載されている対応策と用語の内容に矛盾がないかを、その場で判断するのが現実的かと思います。

ベンチャー企業に限らず、新規事業を立ち上げる際に付きまとう障壁となりますので、
実務上でも頭に入れておきたい考え方でしたね。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています!!

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