一次試験対策

【ストップウォッチ法】内掛け法と外掛け法の違いをボックス図で解説!/運営管理/中小企業診断士試験対策

ストップウォッチ法・内掛け法と外掛け法アイキャッチ
Pocket

はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!

今回はストップウォッチ法から内掛け法と外掛け法の違いについて説明していきたいと思います。

数式が覚えにくいので、苦手とされている方も多いのではないかと思いますが、

この記事ででバッチリ理解できると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

YouTube動画でも解説中!

市販のテキストに掲載されている数式

市販のテキストには内掛け法と外掛け法の計算式が次のような形で記載されているかと思います。

余裕率標準時間
内掛け法$\frac{余裕時間}{余裕時間+正味時間}$正味時間×$\frac{1}{1-余裕率}$
外掛け法$\frac{余裕時間}{正味時間}$正味時間 × (1+ 余裕率)

テキストとにはなぜこの計算式になのかというの解説がないので、結局この計算式を丸暗記しようとするのですが、なかなか覚えられない方が多いかと思います。

診断士の試験は覚えることが膨大にあるので、全て丸暗記しようとするとかなり大変です。

今回はこの計算式を丸暗記しないで、どうしてこの計算式が導きられるのかを理解することで、自分で計算式を導けるようになることをゴールとしたいと思います。

時間研究とは?

今回学習するストップウォッチ法は作業測定方法のうち、時間研究に含まれます

作業測定の体系図

時間研究は作業単位ごとに作業時間を測定して標準時間を設定することで、作業の効率化を図っていくための研究です。

各作業ごとに標準的にかかる時間を設定することで、ひとりひとりの作業が早いのか、遅いのかが判断できるようにするわけですね。

作業測定方法はストップウォッチ法の他にも色々あるのですが、そちらはまた次の機会に解説できればと思います。

標準時間とは?

時間研究では標準時間を設定します。
標準時間とは、一人前の作業者が標準の速さで作業を行うときに必要な時間と定義されています。
その作業の達人でもなければ、新人さんではないところがポイントですね。

標準時間とは?

標準時間に含まれる内容としては、主体作業と準備段取り作業の2つがあって、それぞれ正味時間と余裕時間で分けられます。

主体作業の正味時間には生産に直結する作業が含まれていて、その主体作業のうち、不規則で偶発的な作業が余裕時間に含まれます。

一方、準備段取り作業は1ロットごとに発生する準備作業のことで、このうち偶発的な作業が余裕時間に含まれます。

そして、これら全ての作業時間を合計したものが標準時間となってます。

その作業を行うのに必要な全ての時間の合計が標準時間だというイメージを持っていただければと思います。

ストップウォッチ法とレイティング係数の考え方

標準時間を計算する具体的な手法として、ストップウォッチ法があります。

ストップウォッチ法は標準時間を設定するために、実際の作業をストップウォッチで計測する方法ですね。

ストップウォッチで実際に計測した時間を、画像の青い箱で表してみます。

標準時間の内訳

ストップウォッチ法では、これを正味時間としないで、レイティング係数と呼ばれる係数を掛けた補正時間を足し引きします。
観測時間とこの補正時間の合計が、正味時間となるわけですね。
そして、正味時間に余裕時間を足し合わせると、標準時間となります。

ここでレイティング係数の考え方についても、確認しておきましょう。

レイティング係数の考え方

もし仮に、作業者の作業スピードが早い場合、作業が早く終わるので、観測時間は短くなります。これを標準的な作業スピードに戻すには、レイティング係数は100%以上である必要があります。例えば、作業時間が100秒だった時に、レイティング係数の150%を掛けて150秒にするようなイメージですね。

逆に作業が遅い場合は観測時間が長くなりますので、レイティング係数は100%以下の値を取ります。

このレイティング係数の考え方だけで試験問題の選択肢になったこともありましたので、覚えておきましょう。

内掛け法による余裕率・標準時間の求め方

それでは、内掛け法による余裕率と標準時間の求め方について解説していきたいと思います。
具体的な数値で確認するために、こちらの表を使っていきましょう。

まず、この表から正味時間を計算してみましょう。

主体作業50分
レイティング係数120%
全計測回数100回
余裕回数20回


正味時間は観測時間にレイティング係数をかければ良いので、以下のように計算できますね。

正味時間の計算

正味時間
= 観測時間 × レイティング係数
= 50分 × 120%
= 60分

ここから余裕率と標準時間を考えていきたいと思います。

内掛け法と外掛け法で、余裕率の定義が違います。
まずは、内掛け法の考え方を確認してみましょう。

左側が余裕時間と正味時間、右側が標準時間となるボックス図を書いてみました。

内掛け法のボックス図

この図からも、正味時間と余裕時間の合計が、標準時間になっていることが読み取れます。

まず余裕時間は、余裕の計測回数は20回で、その時間はわかりません。

一方、標準時間は、計測回数が100回で、この時間もわからないのでX分と置きました。

余裕時間と正味時間の合計が正味時間ですので、正味時間の計測回数は80回、正味時間は先ほど計算した通り60分だとわかっています。

内掛け法では、余裕時間は標準時間の内側であると考えます
ですので、余裕率は全計測回数の100回のうち、20回が余裕であったと考えて、20%と計算できます。

内掛け法の余裕率計算

余裕時間と正味時間を足すと標準時間になりますので、正味時間は残りの80%で、標準時間が100%と考えられるわけですね。

この割合がわかれば、標準時間を計算することができます。

内掛け法の標準時間計算

今、正味時間の割合は80%で、時間は60分だと計算ができました。
これを比率で80%:60分と表現してみましょう。
同じように、標準時間に関しては100%:X分とおくことができますね。

比の計算をする時は、外側と内側をそれぞれ掛け合わせれば良いのでした。
それぞれ掛け合わせると、0.8X=60となりまして、標準時間Xは75分と導くことができます。

外掛け法による余裕率・標準時間の求め方

外掛け法についても、同じようにボックスを書いて考えてみましょう。

外掛け法のボックス図

ボックスの中身は先ほどまでと同じですね。

外掛け法においては、余裕時間は正味時間の外側であると考えます

ですので、余裕率を計算するときは、分母に正味時間の80回を置いて、分子に余裕時間の20回置きます。
これを計算すると、余裕率は25%と計算ができます。

外掛け法の余裕率計算

この時、正味時間は残りの75%ではなくて、正味時間は100%であると考えます。
内掛け法も外掛け法も、あくまで分母を100%とするわけですね。ですので、標準時間はこれらを足し合わせて125%となります。
この点だけが感覚的ではないので、最初は少し苦戦するかもしれません。

ここまで来れば、標準時間の求め方は先ほどと同じです。

外掛け法の標準時間計算

正味時間については100%:60分で、標準時間は125%:X分とできますので、内側と外側を掛け合わせます。
これを計算すると、標準時間Xは75分と計算できます。

内掛け法でも外掛け法でも、標準時間は変わらないことを確認いただければと思います。
変わるのは余裕率だけですね。

僕がオススメする標準時間の計算の方法は、このようにボックス図を書いてから余裕率を計算して、それから比の計算によって標準時間を算出する方法です。

一度考え方がわかれば、わざわざ計算式を丸暗記しなくても対応できるようになりますなりますので、実際に問題を解きながら理解するようにしてください。

過去問を解いてみよう (平成29年度 第16問)

それでは確認過去問解いて、実戦での対応を確認してみましょう。

ある作業者が第1作業として穴あけ作業、第2作業として曲げ作業を行う金属加工工程において、時間分析とワークサンプリングを実施した。時間分析は正味時間を計測する目的で行われ、延べ500回の計測の中で余裕に該当するサンプルが50個得られた。この工程で1個の部品を製造するための標準時間 (分/個) を求めよ。

作業内容レイティング前の
平均作業時間 (分/個)
レイティング値
穴あけ作業1.2110
曲げ作業1.580

標準時間を求める問題ですね。まずは、表から正味時間を求める必要があります。

正味時間の計算

穴あけ正味時間
= 作業時間1.2分 × レイティング値1.1 = 1.32分

曲げ正味時間
= 作業時間1.5分 × レイティング値0.8 = 1.2分

正味時間合計
= 穴あけ正味時間1.32分 + 曲げ正味時間1.2分
= 2.52分

正味時間は観測時間×レイティング係数で求められますので、穴あけ作業の正味時間は1.2 ×1.1で1.32分、曲げ作業の正味時間は1.5分×0.8で1.2分と計算できます。
ですので正味時間の合計は、2.52分と求められますね。

正味時間が分かったら、今度は余裕率を求めて、標準時間を計算します。
ここでは内掛け法を使って解いてみたいと思います。

運営管理過去問(平成29年度 第16問)_計算過程

ボックス図を書いてみると、設問文から余裕は50個、延べ計測回数は500個と読み取れます。標準時間はX分と置いておきましょう。

標準時間は余裕時間と正味時間の合計なので、正味時間のサンプルは450個、正味時間は先ほど求めた2.52分とわかりますね。
ここまでわかれば、余裕率を求めることができますね。

内掛け法では、余裕は標準時間の内側と考えるので、余裕率は、余裕の50回÷標準時間の500個で割り返すと求められます。
これを計算すると、余裕率は10%ですね。
そうすると、正味時間は残りの90%だとわかります。
ここまでわかれば、標準時間の計算できますね。

正味時間は90%:2.52分、標準時間は100%:X分と置けます。
比の計算は内側の掛け算と外側の掛け算が等しくなるので、0.9X=2.52分となりまして、これを解くと標準時間Xは2.8分と求めることができました
これがこの問題の答えですね。

単純に標準時間を計算する問題では、内掛け法の方が分かりやすいかと思います。
この論点を極めたい方は、外掛け法でも同じ答えになるか、ご自身で確認してみてください。

まとめ

それでは最後にまとめです。

内掛け法まとめ

内掛け法では、余裕時間は標準時間の内側だと考えるのでしたね。
ボックス図を描いて、余裕率をαと置くと、標準時間が100%、正味時間は100%-余裕率αと考えるのが、内掛け法です。

余裕率の計算では、余裕時間÷標準時間で求めることができます。

テキスト的には標準時間は正味時間+余裕時間で表していますね。
意味は同じなので、覚えやすい方で覚えておきましょう。
内掛け法では、分母が標準時間なのがポイントです。

標準時間を計算する際は、比の計算で考えるのでした。
正味時間と標準時間の比を方程式で表して、外側と内側を掛け合わせるのでしたね。

これを解くと、標準時間は正味時間÷100%ー余裕率と表すことができます。
これが内掛け法の標準時間の公式となりますね。

外掛け法についても改めて確認しておきましょう。

外掛け法まとめ

外掛け法では、余裕時間は正味時間の外側だと考えるのでした。

ボックス図を描いて、余裕率をαと置くと、正味時間が100%、標準時間は100%+余裕率αと考えるのが、外掛け法です。

余裕率の計算では、余裕時間÷正味時間で求めます。
内掛け法では分母を標準時間としましたが、外掛け法では分母を正味時間とすのがポイントでした。

標準時間の計算は先ほどと一緒ですね。
正味時間と標準時間の比を方程式で表して、外側と内側を掛け合わせます。

これを計算すると、標準時間は正味時間×100%+余裕率と表すことができます。
これが外掛け法の標準時間の公式ですね。

内掛け・外掛け法の公式を答えさせる問題が出題されることがありますが、公式の丸暗記ができない方は、今の手順で公式を導く練習をしてみてください。

僕は受験生時代にこの手順を覚えていましたので、受験から1年以上経った今でも、何も見ずに標準時間を求めることができます。
ちょっと回りくどいようですが、理解すると一生使える知識になりますので、是非、今回ご紹介したやり方を参考にしてみてください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
勉強頑張ってください!応援しています!!

おススメのテキスト
中小企業診断士試験におススメなテキスト・問題集をご紹介します! 中小企業診断士のたかぴーです。今回は中小企業診断士試験対策におススメのテキストと問題集をご紹介していきたいと思います。僕自身が利用して...
Pocket

ABOUT ME
たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA