はい、どうも中小企業診断士のたかぴーです!
今回はリーダーシップ論からアイオワ研究・オハイオ研究・ミシガン研究をテーマに解説していこうと思います。
このリーダーシップ論のあたりから企業経営理論の勉強がだんだんと面白味がなくなってくるので、苦手意識を持たれている方も多いかと思います。
リーダーシップ論は結論だけ覚えればよいとされてますが、今回は少しでも覚えやすくするために、あえて詳しく内容を解説してみたいと思います。
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いつ頃の研究内容か?
今回ご紹介するリーダーシップの研究は、1940年から1960年頃の研究です。
ちょうど第二次世界大戦前後にあたりますので、世界的に独裁的なリーダーが良いのか、民主的なリーダーが良いのかというのが盛んに議論されていた頃の研究となりますね。
ご想像の通り、結論としては民主的なリーダーの方が良いとされていますので、その前提をもとに各研究の内容を見ていきましょう。
アイオワ研究とは?
まずは、アイオア研究ですね。
こちらは、アメリカの心理学者のレビンがアイオワ大学で行った児童に対する実験です。
子供に対する実験というのはちょっと意外ですよね。
この研究では大学生をリーダー役において、子どもたちはお面づくりやちょっとした家具の製作、模型の飛行機造りなどの作業させました。
この実験ではリーダーのタイプを3つに分けています。
1つ目は独裁型のリーダーですね。
このリーダーは子供たちに明確に指示を出しながら作業を行わせます。
リーダーが強い口調で何もかも決めてしまうので、子供たちにストレスが溜まりますが、
不平不満をリーダーには言えません。
結果として、ストレスから子供同士の喧嘩が始まってなかなか作業が進まなかったといいます。
続いては放任型のリーダーですね。
静かに座って子供たちの作業を見守るタイプで、作業に対しては一切指示をしなかったそうです。
結果的に、子供達は作業をせずに部屋の中をうろつき始めてしまって、こちらも一向に作業が進まなかったということです。
いかにも子供らしい結果になりましたが、完全に自由にさせるのも良くないみたいですね。
最後は民主型のリーダーです。
このタイプのリーダーは、作業前に子供達とミーティングを行いました。
できるだけ子供たちに話を合わせて何をするかを子供たちに決めさせて、自分も一緒に作業をするタイプのリーダーです。
こうすることで、子どもたちは仲間意識とリーダーへの信頼と、高いモチベーションが生まれたといいます。
結果的にこのアイオワ研究では、民主型のリーダーシップが最も優れていると結論付けたわけですね。
考えてみたら当たり前の結論ですが、この時代はこのようなことを大真面目に実験して検証していたのですね。
オハイオ研究とは?
続いてオハイオ研究です。
こちらはアメリカの心理学者シャートルがオハイオ州立大学で行ったインタビュー調査となっています。
こちらでは軍隊や民間企業に所属する合計2万5,000人を対象としたインタビュー調査が行われました。
インターネットがないこの時代にしては、かなり大規模な調査ですね。
この調査で1,700以上のリーダーの行動パターンを抽出することに成功したわけですが、
この行動パターンは2種類に分けられるとしました。
具体的には「構造造り」と「配慮」です。
構造造りとは、部下の課題管理や組織の体制造りを重視するタイプのリーダーです。
部下を外部的な側面から管理するようなイメージですね。
一方、配慮とは、お互いの信頼関係や組織の人間関係を重視するようなリーダーです。
こちらは部下を内面的側面から管理するイメージです。
皆さんは、この2つのタイプのどちらがより優れていると思いますでしょうか?
ちょっとズルい気もしますが、オハイオ研究では、これら2つを両立させることが重要だとしました。
目標を管理するのも重要ですし、互いの人間関係を重視するのも重要だとしたわけですね。
個人的には、なかなか理想の高い研究結果となった印象です。
ミシガン研究とは?
最後にミシガン研究です。
今回紹介する中では、最も新しい研究ですね。
この研究は、アメリカの行動科学者リッカートがミシガン大学で生命保険会社のリーダーに数人に対して調査を行った研究です。
この研究では、組織の類型を4つに分けて考えました。
1つ目は独善的専制型と呼ばれています。
こちらは、部下への相談はほとんどなく、部下を意思決定に参加させない。
恐怖や懲罰で働かせるような組織ですね。
かなり独裁主義が強くて、ワンマン社長のイメージの組織となります。
続いて2つ目が温情的専制型ですね。
こちらは先ほどと比べると、部下をある程度信頼していて、部下は決められた範囲でだけ意思決定ができます。
報酬や懲罰をほのめかして動機付けを行うので、先ほどよりはマシですが、少し嫌味ったらしい上司がいるようなイメージですね。
3つ目が相談型です。
こちらは先ほどまでと比べるとより部下を大きく信頼していて、最終的な決定権はトップにありますが、日常的なオペレーションの多くが部下に権限委譲されています。
報酬と懲罰のバランスを上手く取りながら、部下を動機づけていくイメージですね。
日本企業の多くは、この相談型かもしれませんね。
最後に参加型です。
こちらはリーダーは部下を全面的に信頼していて、意思決定はトップだけで行われるものではなく、組織全体で行われます。
評価は全ての階層で差別なく行われるので、かなり公平性が保たれているようなイメージですね。
皆さんこの4つのタイプだと、どの会社に勤めたいでしょうか?
ほとんどの方が参加型の企業で勤めたいと思いますよね。
もちろん、ミシガン研究でも参加型の組織が最も望ましいと結論付けました。
改めて、先ほどの組織類型を図式化してみます。
上図の右から左に行くにつれて、独裁的で生産志向が強くなって、右に行くほど、民主的で従業員志向が強くなりますね。
先ほどまでの2つの研究と比較すると、独裁的な組織と民主的な組織に対して、グラデーションをつけながら評価した点で、ミシガン研究はより進んだ研究だったと言えるかと思います。
このミシガン研究は、参加型の組織で従業員志向型のリーダーが望ましいと結論づけています。
従業員が意思決定に参加できて、リーダーは人間関係重視でコミュニケーションが活発な組織が良いとしたわけですね。
現代人の我々からしても、違和感のない結論になっているかと思います。
ちなみに、参加型以外の組織類型については、試験対策上覚える必要は全くありませんので、雰囲気だけ押さえていただければと思います。
ゴロで覚える3つの研究結果
さて、ここまで3つの研究内容を詳しく見てきましたが、改めて内容をまとめてみたいと思います。
・アイオワ研究:民主型リーダーシップが望ましい
・オハイオ研究:構造造りと配慮の両立が大切
・ミシガン研究:参加型の組織で従業員志向型のリーダーが望ましい
試験対策上は、この3つの研究の結論だけ覚えていただければ充分です。
ですが、これを覚えるのが難しいから、この記事を見てくれているのですよね。
ですので、今回はオリジナルでゴロ合わせを作ってきましたので、ご紹介したいと思います。
この3つの覚え方は、
「あいみょんがお造り配って、ミサンガを従業員からプレゼント」
このように覚えていただければと思います。
歌手の「あいみょん」が魚のお造りをお客さんに配って、さらに従業員からミサンガをプレゼントされたようなイメージですね。
あいみょんの「あい」が、アイオワ研究の「アイ」、
あいみょんの「みょん」が、民主型の「民」を表しています。
また、お造り配っての「お」が、オハイオ研究の「オ」で、
「造り」と「配る」が、それぞれ「構造造り」と「配慮」を表しています。
最後に、ミサンガの「ミ」が、ミシガン研究の「ミ」、
「サンガ」が「参加型」、「従業員」はそのまま「従業員志向型のリーダー」を表しています。
ちょっと無理やり感もありますが、気に入っていただけたら使ってみてください。
とにかくこの結論だけはしっかりと覚えて、本番に臨むようにしましょう。
過去問を解いてみよう (平成22年度 第12問 改題)
それでは過去問を解いて、ここまでの内容を復習してみます。
リーダーシップの諸学説に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア アイオワ研究では、放任主義のリーダーが結果として従業員同士の結束を高め、生産性の高い組織であるとした。イ ミシガン研究では、リーダーシップ行動を生産志向型と従業員志向型の2つに分類し、従業員志向型のリーダーが好ましいと結論づけた。
ウ ブレイクとムートンによるマネジリアル・グリッドは、「構造造り」と「配慮」という軸でリーダーシップ特性を分類し、9-9型が最も高い成果を生むとした。
エ リッカートによる参加型リーダーシップでは、リーダーは部下の意思決定に積極的に参加し、影響力を行使することが重要であるとした。
中小企業診断士試験 企業経営理論 平成22年度 第12問 改題
✅選択肢ア
アイオワ研究では放任主義のリーダーが望ましいという記載がありますが、アイオワ研究で望ましいとされたのは民主型のリーダーでしたね。
ですので、選択肢アは誤りとなります。
✅選択肢イ
ミシガン研究では、従業員志向型のリーダーの好ましいと結論づけたとありますが、これはその通りでしたね。
正解は選択肢イとなりますが、念のため他の選択肢も見ていきましょう。
✅選択肢ウ
マネジリアル・グリッドは構造造りと配慮という軸でリーダーシップ特性を分類とありますが、この軸で分類をしたのはオハイオ研究でしたね。
マネジリアル・グリッドの内容が分からなくても、誤りであることが気づける選択肢でした。
✅選択肢エ
リッカートによる参加型リーダシップでは、リーダーは部下の意識決定に積極的に参加するとありますが、参加型のリーダーシップで望ましいとされるのは従業員志向型でしたよね。
参加型は最も民主的な組織で、リーダーは積極的に意思決定に参加するのではなく、従業員全員がコミュニケーションを取りながら、意思決定に参加する組織体制なのでした。
この問題の選択肢アとイは、僕が考えたオリジナルの選択肢で、選択肢ウとエは実際に出題があった内容です。
今回ご紹介した研究結果だけで解ける問題は少ないですが、覚えておくことで間違いなく役に立つと思うので、しっかりと復習していただければと思います。
まとめ
それでは今回のまとめです。
・アイオワ研究:民主型リーダーシップが望ましい
・オハイオ研究:構造造りと配慮の両立が大切
・ミシガン研究:参加型の組織で従業員志向型のリーダーが望ましい
繰り返しになりますが、試験対策上はこの3つの結論を覚えるだけで十分です。
覚え方として、
「あいみょんがお造り配って、ミサンガを従業員からプレゼント」
こちらをご紹介しましたので、役に立ちそうであれば、この語呂合わせを活用いただければと思います。
最後にアイオワ研究をした人物がレビンで、ミシガン研究はリッカートであるという点まで押さえられると、バッチリかと思います。
今回はリーダーシップに関する研究を、あえて詳しく解説してみました。
予備校などでは結論さえ覚えればよいので、中身については一切触れない学校が多いかと思います。
今回解説した研究内容を覚えておく必要はありませんが、知っておくだけでもリーダーシップ論に親近感が湧いて、記憶にも残りやすいかと思い、このような形をとっていました。
評判が良ければ、他のリーダーシップ論についても詳しく解説していきたいと思います。
それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次回の解説記事でお会いしましょう。勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!!