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生産関数とは?平均生産物と限界生産物の違いを解説!/経済学/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回は生産関数をテーマに解説していこうと思います。
この論点は経済学の中でも非常に出題頻度が高い一方で、問題の難易度はそこまで高くないことが多いです。
出題されたら確実に正答しておきたい論点となりますので、この機会にしっかりと内容を押さえておきましょう。

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生産関数とは?

今回学習する生産関数とは、生産要素の投入と生産量の関係は表すグラフのことをいいます。

具体的には、横軸に生産要素の投入量を、縦軸に生産量を取ると、これら2つの関係は以下のようなグラフで表されます。

生産関数とは?

生産要素はそのままの意味で、生産に必要な要素を表します。
例えば生産に必要な労働力や原材料、機械設備などといったイメージですね。

グラフを見ると、生産要素を投入するほど、追加的な生産量は少なくなっているように見えますが、この辺をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

平均生産物とは?

平均生産物とは、生産要素1つあたりの平均生産量を言います。
要は生産関数における生産量の平均値を求めるというわけですね。

先ほどのグラフを用いながら内容を確認していきましょう。
例えば今、生産要素として労働者を3人投入し、製品が12個生産できたとしましょう。

平均生産物とは?

この時の平均生産物は、3人で12個生産出来ているので、12個÷ 3人で、一人あたりは4個生産していることになりますね。
同じように、生産要素を9人投下して、生産量が18個であった場合を考えてみると、18個÷9人で2個と計算できます。

平均生産物の計算
  • 12個÷3人=4個
  • 18個÷9人=2個

生産要素の投入量が3人と9人の場合を比較すると、一人当たりの生産量は3人の方が多いことが読み取れます。

ここで重要な考え方を1つ示したいと思います。
この平均生産物の大きさは、原点と各生産量の点を結んだ直線の傾きの大きさとして表されます。

平均生産物の大きさ

例えば生産要素投入量が3人の場合の平均生産物は、赤線での傾きで表され、9人の時は青線での傾きで表されます。
この傾きの大きさが平均生産物の大きさを表しているというわけですね。

確かに赤と青を比べると、赤の方が傾きは大きく、平均生産物が大きいということが読み取れますね。
この観点は試験問題を解く際に役立ちますので、必ず覚えてきましょう。

限界生産物とは?

限界生産物は、生産要素を1つ増加させたときに増加する生産量と定義されています。
こちらもグラフで内容を確認してみましょう。

例えば今、生産要素として3人を投入して、12個の製品が生産できていたとします。
ここに労働者をもう1人追加した時、生産量は15個となったとしましょう。

限界生産物とは?

この時、生産要素を1つ追加したときに増加する生産量は、3個であると読み取れます。
この+3個が限界生産物となるわけです。

ここでさらに労働者を1人追加すると、生産量は17個となって、追加的な生産量は+2個となりました。

限界生産物の逓減

限界生産物は+3個から+2個に減りましたので、生産要素を増やしていくことで限界生産物はだんだんと減っていくということが読み取りますね。

ここで、また1つ重要な考え方を示したいと思います。
先ほど平均生産物は原点を通る直線の傾きで表されると説明しましたが、限界生産物の大きさは生産関数の各点を取る接線の傾きの大きさで表されます。

限界生産物の大きさ

例えば生産要素が3人の時の接線の傾きは、赤の直線のように表され、5人の時は青の直線のように表されます。
この時の各接線の傾きの大きさを比べてみると、青の直線よりも赤の直線の方が大きいので、生産要素が3人の時の方が、限界生産物は大きいということが読み取れるわけですね。

この接線を引いて限界生産物の大きさを判断するという考え方も、試験対応上は非常に重要となりますので、この機会にぜひ覚えておきましょう。

ちなみに、経済学においては限界○○と出てきたら、どこに接線を引いて考えることが多いです。
限界=接線と覚えていただき、各用語ごとにどこに接線を引くかをその都度確認していただければと思います。

また、先ほど確認した通り、限界生産物は生産要素の投入量を増やすごとに、だんだんと減っていっていますよね。
経済学では、だんだんと減っていくことを収穫逓減という言い回しをします。
この用語も本試験で問われることがありますので覚えておくようにしましょう。

利潤最大化条件

生産関数における利潤最大条件は、限界生産物価値=要素価格となるような生産要素の投入量です。

これだけだと何を言ってるかわからないと思うので、用語の定義から確認したいと思います。

用語の定義
  • 要素価格
    生産要素1つ増加させたとき増加する費用
  • 限界生産物価値
    生産要素1つ増加させたとき増加する収入

どちらも金額を表す用語であるということがわかりますね。

さらに理解を深めるために、具体的な数字を使いながら確認してみましょう。
今、人材の仕入単価が100万円、販売価格が30万円であったとします。
また、生産要素が投入量が3人の時は12個生産できていて、雇用数を一人増やして4人にすると、15個生産できるケースを考えてみましょう。

生産関数における利潤最大化条件

まず要素価格に関しては、生産要素の投入量は1人増えただけですので、1人×仕入単価の100万円で、要素価格は100万円と計算できます。

一方で、生産要素を1つ増加したときに増加する生産量である限界生産物は、今回は+3個と読み取れますね。
ですので、限界生産物価値は3個×販売単価30万円で+90万円と計算ができます。

生産関数における要素価格と限界生産物価値の計算方法は以上の手順で行うわけですね。

そして、最初にお伝えした通り、生産関数における利潤最大化条件は、この限界生産物価値と要素価格が等しくなるまで生産要素を投入するべきだとなります。

追加的に発生する費用と収入が等しくなって、これ以上生産要素投入しても、利益が出なくなるところまでは生産すべきだと言うことを主張しているわけですね。
使用される用語が聞きなれないだけで、言っている事はそこまで難しいことではないということがわかるかと思います。

過去問を解いてみよう(平成26年度 第13問 設問1)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

下図の形状をした生産関数について答えよ。ただし、ここでの生産に投入される要素は労働のみであり、その投入量はゼロより大きいものとする。以下の図に関する説明として最も適切なものはどれか。

経済学_過去問(平成26年度 第13問 設問1)

ア この生産関数では、限界生産物は労働の投入量が増加するほど大きくなる。

イ この生産関数では、ある労働の投入量のもとで平均生産物は限界生産物よりも大きい。

ウ この生産関数では、平均生産物は労働の投入量が増加するほど大きくなる。

エ この生産関数は、収穫一定であることを示している。

中小企業診断士試験 経済学 (平成26年度 第13問 設問1)


図から読み取れる内容を答える問題ですね。

✅選択肢ア
この生産関数では、限界生産物は労働の投入量が増加するほど大きくなるとあります。
限界生産物は生産関数の各点を通る接線の傾きの大きさで表されるのでしたね。

経済学_過去問(平成26年度 第13問 設問1)_選択肢ア

適当なところに2本の接線を引いてみますと、赤と緑の直線のように表されます。
2つの接線を比べてみると、緑の方が傾きが小さいので、限界生産物は労働の投入量が増加するほど小さくなっていることが読み取れます。
ですので、選択肢アは誤りということになりますね。

✅選択肢イ
この生産関数では、ある労働の投入量のもとで平均生産物は限界生産物よりも大きいとあります。
平均生産物の大きさは、原点を通る直線の傾きの大きさで判断できるようでしたね。

経済学_過去問(平成26年度 第13問 設問1)_選択肢イ

先ほどの赤の接線の労働量における平均生産物を、原点を通る青の直線で表してみたいと思います。
この時、赤の接線の青の直線の傾きを比較してみると、青の直線の方が傾きが大きいことがわかりますね。
ですので、平均生産物は限界生産物よりも大きいとする、選択肢イが正しい記述であると読み取れます。

✅選択肢ウ
この生産関数では、平均生産物は労働の投入量が増加するほど大きくなるとあります。
平均生産物同士の比較について聞かれていますので、図にもう1本原点を通る直線を引いてみましょう。

経済学_過去問(平成26年度 第13問 設問1)_選択肢ウ

青と紫の直線を比較すると、青の方が傾きが大きいのですね。
ですので、平均生産物に関しても労働の投入量が増加するほど小さくなることが読み取れますので、選択肢ウも誤りであることがわかります。

✅選択肢エ
この生産関数は収穫一定であるとあります。
生産関数において限界生産物がだんだんと小さくなることを、収穫逓減というのでした。
ですので、選択肢エも誤りとなります。

生産関数は、平均生産物や限界生産物という用語の意味を押さえた上で、その大きさが原点を通る直線や、各点を通る接線の傾きの大きさで表されるということさえ覚えておけば、簡単に解ける問題が非常に多いです。
問題のレパートリーは様々ありますので、ぜひ他の過去問についてもチャレンジしてみてください。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回は様々な用語を確認しました。

用語の定義
  • 平均生産物:生産要素1つあたりの平均生産量
  • 限界生産:生産要素1つ増加させたとき増加する生産量
  • 要素価格:生産要素1つ増加させたとき増加する費用
  • 限界生産物価値:生産要素1つ増加させたとき増加する収入

平均生産物とは、生産要素1つあたりの平均生産量を表すのでした。
生産要素の投入量を横軸に、縦軸に生産量をとると、生産関数は曲線で表され、平均生産物は原点を通る直線の傾きの大きさで表されるのでしたね。

また、限界生産物とは、生産要素を1つ増加させたときに増加する生産量を表す用語で、限界生産物の大きさは生産関数の各点を通る接線の傾きの大きさで表されるようでした。

生産関数_まとめ

また、要素価格は生産要素を1つ増加させたときに増加する費用のことで、限界生産物価値は収入を表すのでした。
名称が似た用語が多いので紛らわしく感じられるかもしれませんが、要素価格は、仕入れである生産要素に関わるお金なので費用を表し、限界生産物価値は、生産量を表す限界生産物に関するお金なので収入であると、整理しておくと忘れにくいかと思います。

はい、というわけで今回は生産関数について解説をしてみました。
あまり聞き慣れない用語が並んでいるので、苦手意識を持たれていた方も多いかと思いますが、一度理解してしまえばそこまで難しいことをしているわけではないことが分かるかと思います。

最後のまとめに書いてある内容をしっかりと理解できれば十分に本試験で対応できる力が身に付くかと思いますので、問題演習にチャレンジしてみて、もしわからなければ繰り返しこの動画を見て復習してみてください。

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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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