中小企業診断士のたかぴーです。
今回はブランド戦略について解説していきたいと思います。
ブランド戦略は一次試験だけでなく、二次試験でも問われる可能性のある論点となっております。
ブランド戦略の分類は、新製品を投入する際、新しいブランド名を付けるか、新しい製品カテゴリーに投入するかで4つに分類が可能です。
本記事では、具体的な事例を紹介していますので、ぜひ事例とともに覚えていただければと思います。
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4つのブランド戦略とは?
今回学習する4つのブランド戦略とは、製品を市場に投入する際におけるブランド名の決め方の分類のことを言います。
具体的な分類については、使用するブランド名と、投入する新製品の製品カテゴリーによって分類ができます。
まず使用するブランド名が既存のものか新規のものか、そして新製品を既存の製品カテゴリーに投入するか、新規の製品カテゴリーに投入するかで変わってきます。
- ライン拡張
既存のブランド名を使って、既存の製品カテゴリーに新商品に投入する際のブランド戦略 - ブランド拡張
既存のブランド名で新規の製品カテゴリーに投入する戦略 - マルチブランド
新しいブランド名を使って、既存の製品カテゴリーに投入する戦略 - 新ブランド
新しいブランド名を使って、新規の製品カテゴリーに投入する戦略
上記画像の分類表は市販のテキストに載っているものとは違い、あえて複雑な書き方をしていますが、もし気に入っていただければ、この形で覚えていただければと思います。
ここからは、それぞれのブランド戦略について具体的な事例について見ていきましょう。
ライン拡張とは?
まずはライン拡張からです。
ライン拡張とは、既に成功したブランド名を使って、既存の製品カテゴリに新製品を投入することを言うのでしたね。
具体的な事例としては、カップヌードルがイメージしやすいかと思います。
カップヌードルはすでに成功したカップヌードルというブランド名を使って、カップ麺という製品カテゴリーに次々と新商品を投入していますね。
このように味や香り、サイズなどを変えながら、既存の製品カテゴリーに既存のブランド名を使って新商品を投入することをライン拡張というわけですね。
どんどんと商品ラインナップが拡張していくので、「ライン拡張」と言うのだと覚えていただければと思います。
ブランド拡張とは?
続いてブランド拡張です。
ブランド拡張は既に成功したブランド名を使って、新規の製品カテゴリーに新製品を投入することを言います。
診断士受験生の皆さんにとっては、TACがイメージしやすいかと思います。
TACというのは、もともと資格の学校として始まったブランドですが、皆さんのお手元にもTAC出版の何かしらのテキストや過去問などがあるかと思います。
このように、今まで行っていた製品やサービスとは異なるカテゴリーに、今まで使ってきたTACというブランドを使うようなことをブランド拡張というわけですね。
どんどんとブランドを使う領域が拡大しているので、「ブランド拡張」と言うのだと覚えていただければと思います。
マルチブランドとは?
続いてマルチブランドです。
マルチブランドは、新しいブランド名を使って、既存の製品カテゴリーに製品を投入することでした。
イメージしやすいのはサッポロビールですね。
サッポロはビールという製品カテゴリーに対して、サッポロ黒ラベルという製品とエビスという製品の2つを投入しています。
このように同じ会社が、同じ製品カテゴリーに製品を投入する時に、全く異なるブランド名を付けることをマルチブランドというわけですね。
こうすることで2つのビールは全く異なる性質を持つということが、消費者にも伝わりやすくなるというメリットがありますね。
同じ製品カテゴリーで複数のブランド名があるということを、「マルチブランド」と言うのだと覚えていただければと思います。
新ブランドとは?
最後に新ブランドです。
新ブランドは新しいブランド名を使って、新規の製品カテゴリーに新製品を投入することを言います。
こちらの具体例はSONYのXperiaとBRAVIAを思い浮かべてもらえればと思います。
これらは同じソニー製品ではありますが、一方はスマートフォンにXperia、テレビにBRAVIAというブランド名をつけています。
新ブランドでは今まで育ててきた、ブランド力を使えないというデメリットはありますが、
ブランド同士が相互に干渉し合わなくても済むという側面もあります。
マルチブランドも新ブランドも、新しいブランド名を付けるわけですが、新ブランドと名の付くものは、このパターンであるということをくれぐれも覚えておきましょう。
過去問を解いてみよう (平成26年度 第31問 改題)
それでは、ここまでの内容を復習過去問を解いて復習してみましょう。
多くの消費者の支持を得ることのできたブランドをどのように管理し、成長させていくかは、企業収益を左右する重要な課題である。ブランド開発戦略として説明されているように、例えば同じブランド名を用いて、同じカテゴリーに形、色、サイズ、フレーバーなどを変えた製品を導入する「A」や異なるカテゴリーの新製品を導入する「B」がとられる。
中小企業診断士試験 企業経営理論 平成26年度 第31問 改題
同一ブランドでのさらなる市場浸透策が難しいと判断される場合には、同じカテゴリーに新ブランドを展開する「C」や、他社との共同開発という形をとり、自社のブランド名と他社の人気ブランド名の2つを同一製品で用いる「D」が検討される。
【候補】
・ブランド拡張
・マルチブランド
・ライン拡張
・ライセンス・ブランド
・新ブランド
・コ・ブランディング
空欄のAから順番に見ていきましょう。
同じブランド名を用いて、同じカテゴリーに形、色、サイズ、フレーバーなどを変えた製品を投入するというのは、ライン拡張(空欄A)となります。
また、同じブランド名を異なるカテゴリーの新製品を投入するのは、ブランド拡張(空欄B)と言うのでしたね。
さらに空欄Cについて、同じカテゴリーに新ブランドを展開するのはサッポロビールの例でありました通り、マルチブランド(空欄C)と言います。
最後の空欄Dは今回解説した内容から外れますね。
他社との共同開発という形を取り、自社のブランドと他社の人気ブランド名の2つを同一製品で用いることは、コ・ブランディング(空欄D)と言います。
こちらの用語も試験でよく問われやすいので、この機会に覚えておきましょう。
この候補の中で、ブランド拡張とライン拡張が特に似ていて、マルチブランドも、後日解説するダブルブランドとよく似ているので、混同に要注意です。
何度か問題を解きながら、復習していただければと思います。
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回学習したブランド戦略は、製品を市場に投入する際における、ブランド名の決め方の分類でした。
具体的な分類方法は上の表の通りで、ライン拡張の具体例としてはカップルヌードル、ブランド拡張はTAC、マルチブランドはサッポロ黒ラベルとエビス、新ブランドはXperiaとBRAVIAを紹介しました。
各用語と事例をセットで覚えておくと、いざという時に思い出しやすいかと思います。
というわけで、今回は4つのブランド戦略を解説してみました。
内容としては至ってシンプルではありますが、試験で問われやすい論点ですので、よく復習していただければと思います。
普段の生活でもこれらのブランドを見ることがあったら、どのブランド戦略に当てはめるか思い出してみるのも良い復習になるのでおススメですね。
それでは今回の解説記事はここまでとしたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次回の解説記事でお会いしましょう。勉強頑張ってください!応援しています。さようなら!!