株式会社ニコンの業績の状況をお探しではないでしょうか?
就職活動をしている方、株式投資を考えている方は、ニコンの将来性を少しでも詳しく知りたいですよね。
しかし、実際ホームページを見てみても、各事業がどれくらいの規模なのか、成長の見込みがあるのかなど、よくわかりませんよね。
そこで今回はニコンの事業内容と、成長性、利益率などをまとめてみました。
カメラ事業の印象が強いニコンですが、他にも成長の芽はあるのでしょうか?
1.ニコンの取り組む5つの事業
ニコンには取り組んでいる事業が5つあります。
- 映像事業
- 精機事業
- インストルメンツ事業
- メディカル事業
- その他事業
映像事業にはカメラが含まれているので、わたしたちにも馴染みが深いですよね。
他の事業に関しては、いわゆるBtoB事業なので、なかなか一般の消費者には中身が見えにくいものとなっています。
それでは、各事業部の中身を詳しく見ていきましょう。
事業部①映像事業
映像事業では次の商品を取り扱っています。
- カメラ
- 望遠鏡・双眼鏡
- ゴルフ用レーザー距離計
- その他カメラに関するアクセサリ・ソフトウェア
レンズをコアの技術として製品を展開しているみたいですね。
カメラ事業ではキヤノンに次いで業界No.2の座を誇っています。
では、映像事業の売上高推移はどのようになっているのでしょうか?
※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
売上高は2012年をピークに減少傾向にあるようですね。
デジタルカメラ出荷台数は2010年をピークに減少傾向にあるので、ニコンには2年遅れで業界の波がやってきたようです。
事業部②精機事業
精機事業では、次の商品を取り扱っています。
- 半導体装置…半導体を製造するための機械
- FPD装置…液晶パネルに光による映像を表示させる機械
FDPは「光」にかかわる技術なので、カメラ事業との相乗効果がありそうですね。
半導体装置を製造しているのは調べていて意外でした。
なんと、精密機器業界では国内売上高シェアが20.2%で業界No.1のようです!
カメラ以外にもしっかりとした基盤があったのですね。
そんな精機事業の売上高推移はどのようになっているのでしょうか?

※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
こちらは多少の浮き沈みがありつつも、徐々に減少傾向にあるようですね。
半導体装置に関して、オランダの会社に押されて近年赤字に転落しており、FDP装置が黒字を牽引しているようです。
売上規模としては映像事業と精機事業が大きいので、この2本が不調ではどうしてもニコン全体の業績が悪化してしまいます。
事業部③インストルメンツ事業
インストルメンツ事業では、次の商品を取り扱っています。
- 顕微鏡
- 細胞培養観察装置
- CNC画像測定システム
- 高精度非接触センサー3D計測システム
- X線/CT検査システム
- 高精度測量機
インストルメンツとは、「器具」「道具」などの意味があります。
主に医療・研究分野で利用される精密機器を開発しているようですね。
これらの製品も「光」を用いる技術が存分に応用されていますね。
それでは、インストルメンツ事業の売上高推移はどのようになっているのでしょうか?

※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
2013年から徐々に売上高を伸ばし、2014年には黒字化にも成功しているようですね。
今後もますます成長していくことが期待できるかもしれません。
事業部④医療事業
メディカル事業は2015年にイギリスのOptos社を買収して設立した新規事業です。
現在のところ「網膜画像診断機器」のみの取り扱いになっていますが、これから多くの製品が開発される予定となっているようです。
2015年度決算でのメディカル事業の業績は、売上高が180億円、営業利益が-46億円、営業利益率が-25%と、あまり良いスタートを切れたわけではないようです。
今後の成長に期待したいところですね。
事業部⑤その他事業
その他事業では、次のような商品を取り扱っています。
- 宇宙・天体機器
- 光学ガラス
- エンコーダ
- メガネレンズ
その他の事業でも、レンズや光の技術を応用した事業を展開しているようです。
ただし、ターゲットユーザーが他の事業部と異なるように見えますね。
新たな成長の芽を見つけるための事業部という位置づけなのでしょうか。
そんなその他事業の売上高推移はどのようになっているのでしょうか?

※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
こちらは売上高、利益率ともに年によって大きくバラつきがありますね。
安定した売上を確保する製品が少ないのが原因なのでしょう。
2.ニコンの将来性予測
さて、ここまでは事業部別の売上高・利益率の推移をみてきました。
主軸となる事業部は映像事業・精機事業で、どちらも近年売上高が減少傾向にあるようです。
逆に伸びてきているのはインストルメンツ事業で、医療事業とその他事業はまだ柱にはなりきれていないといったところでしょうか。
ここからは、もう少し全体的にニコンという会社を眺めてみようと思います。
全体売上高の推移
まずはニコンの全体売上高・利益率の推移を確認してみましょう。

※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
ご覧の通り、ニコンの売上高は2012年をピークに減少傾向にあるようですね。
これは映像事業部の売上高の推移と一致しています。売上高に占める映像事業部の割合がそれほど大きいということですね。
精機事業の不調も売上高の減少に影響を与えていそうです。
今のところニコンは大きな黒字を確保できていますが、徐々に収益が減少していくものと予測されます。
ニコンの事業ポートフォリオ
最後に、ニコンの事業ポートフォリオを確認してみましょう。
縦軸に売上高成長率、横軸に5年間の平均利益率を取っています。円の大きさは、2015年度の売上規模を表しています。

※ニコンHPのIR情報をもとに筆者が作成
こうして見ると、売上・利益の大半を占める精機事業、映像事業が既に衰退に向かっていることがわかりますね。
唯一成長傾向を示しているのが、インストルメンツ事業のみとなっていますが、まだまだ売上規模が小さいです。
映像事業はスマートフォンの影響で、ますます事業が縮小していくでしょう。
精機事業も、海外企業との競争によって先行きが不透明です。
ニコンは、早急にインストルメンツ事業の拡大を図るべきといえるでしょう。
さらに、新規に立ち上げた医療事業の成長と、その他事業から新たな柱となる製品を発掘できるかが、ニコンの存続にかかわりそうです。
まとめ:ニコンは今まさに変革を求められている!
いかがでしたでしょうか?
ニコンはカメラを中心とした映像事業、そして半導体装置を中心とした精機事業で安定した収益を上げてきた企業です。
しかし、近年その事業が逆境にさらされています。
カメラはスマートフォンの台頭、半導体装置はオランダの強力な競合企業によって縮小傾向にあるのです。
ニコンに今求めてられるのは、まさに変革といえるでしょう。
今までの事業に頼ったままではいけません。
一方で、今まで築き上げた光学技術に根ざした事業展開が望まれるでしょう。
映像事業、精機事業から新たな事業への橋渡しが上手くできなければ、近いうちにニコンは大きな収益減に見舞われるかもしれません。
投資家のみなさんは、主軸事業の成り行きとともに、新しい事業の成長を冷静に見極めるべきですね。
また、ニコンへの新卒希望者は、ぜひ新しい事業への意欲を示してほしいものです。
今更ニコンのカメラに重点を置いた自己アピールでは、興味を持ってもらえないかもしれません。
では!