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【貨幣乗数】信用創造と金融政策の基本を丁寧に解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

貨幣乗数_アイキャッチ
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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回はマネーサプライとマネタリーベース、そして貨幣乗数について解説していきたいと思います。

前回、LM曲線の論点で貨幣需要について学習しましたが、今回は貨幣供給側の話になりますね。
この論点は、暗記系と思われがちですが、意外と理解も重要です。

試験でもたびたび問われる内容ですので、ぜひこの機会にマスターいただければと思います。

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マネタリーベースとマネーサプライ

まずはマネタリーベースとマネーサプライについて学びましょう。
どちらも貨幣供給量を表す用語です。

まず、マネタリーベースとは、日銀が直接供給する通貨量のことです。
具体的には、流通現金と日銀当座預金の合計で表されますね。

マネタリーベースとは?

流通現金とは、日銀が発行する紙幣や硬貨のことです。
マネタリーベースの場合、この流通現金には民間銀行が保有している分も含まれます。
一方、日銀当座預金とは、民間銀行が日銀に預けたお金のことですね。

ちなみに、民間銀行が顧客から受け取った預金のうち、一定割合を日銀に預けることになっています。
この割合のことを、法定準備率といい、この後の解説にも出てきますので、覚えておいてください。

これらの流通現金と日銀当座預金を合計して、マネタリーベースというのですね。

一方、マネーサプライとは、金融部門から経済全体に供給された通貨のことです。

マネーサプライとは?

数式で表すと、流通現金+銀行預金で表されますね。

ここでの流通現金も先ほどと同じく、日銀が発行した紙幣・硬貨を指しますが、先ほどと違って民間銀行が保有している分は含まれません。
あくまで民間銀行から市場に回った流通現金量というわけですね。

また、銀行預金は民間銀行に預けられたお金のことです。
これらを合計してマネーサプライというわけですね。

マネタリーベースは日銀が供給したお金、マネーサプライは銀行が市場に供給したお金と整理しておくと、理解がしやすいかと思います。

また、流通現金の扱いが、マネタリーベースとマネーサプライで異なることにご注意ください。
今回の記事では、このマネタリーベースとマネーサプライの関係について学習していくことになります。

信用創造とは?

続いて信用創造です。
信用創造とは、預金が貸出によって何倍にも増える現象のことをいいます。

具体的なケースで考えてみましょう。
まず、日本銀行がある民間銀行Aに対して100万円を供給したとします。
そしてこの銀行は、日銀から受け取った100万円をそのまま町の八百屋さんに貸し出したとしましょう。

信用創造とは?(銀行A→八百屋)

そしてこの八百屋さんは、また違う銀行Bに対してこの100万円を預金したとします。
100万円を受け取った銀行Bは、法定準備金として日銀に10万円を預け入れます。
そして残った90万円を一般消費者である鈴木さんに貸し出したとしましょう。

信用創造とは?(銀行B→鈴木さん)

鈴木さんは、この90万円を使ってジュエリーショップでアクセサリーを購入したとします。
そしてジュエリーショップは、売り上げた90万円をまた別の銀行Cに預け入れます。
この銀行Cも法定準備率10%であるため、9万円を日銀に預け入れ、残りを手元に置いておいたとしましょう。

このケースの場合、マネタリーベースとマネーサプライがいくらになるか確認してみたいと思います。

マネタリーベースは、流通現金と日銀当座預金の合計でしたね。
このケースの場合、銀行Cが手元に残している81万円が流通現金となり、日銀当座預金は10万円と9万円があるので、これらを足して100万円と計算ができますね。

信用創造とは?(銀行C→中央銀行)

一方、マネーサプライは、青で表した銀行預金となりますので、100万円と90万円を足して190万円と計算ができます。
ご覧いただいてわかる通り、マネタリーベースよりもマネーサプライの方が大きくなっていることがわかりますね。
これは、銀行が顧客から預かったお金をまた別の顧客に貸し出して、どんどんと預金が増えているからに他なりません。

このようにして、預金が貸出によって何倍にも増加していく現象のことを「信用創造」といいます。

結果として、信用創造が起こることによって、マネタリーベースよりもマネーサプライの方が大きくなります

この信用創造が起こるプロセスと、結果的にマネタリーベースよりもマネーサプライの方が大きくなるということが、今回の論点でも最も重要な内容ですので、しっかりと理解して覚えるようにしてください。

貨幣乗数とは?

続いて貨幣乗数です。
貨幣乗数とは、マネーサプライがマネタリーベースの何倍かを表した数値です。

数式で表すと以下のようになりますね。

信用乗数の計算式

貨幣乗数 = マネーサプライ ÷ マネタリーベース

先ほど、信用創造によってマネーサプライはマネタリーベースよりも大きくなると言いましたが、実際に何倍になっているかを確認するための指標というわけですね。

また、試験対策上、貨幣乗数の大小は、マネーサプライの大小を表していると考えた方が、理解がしやすいです。
数式からわかるとおり、貨幣乗数が大きいということは、その分マネーサプライが大きいということを表します。

ここで、この貨幣乗数の計算式を変形してみたいと思います。
冒頭で確認した通り、マネタリーベースは流通現金と日銀当座預金の合計、マネーサプライは流通現金と銀行預金の合計なのでした。

ここで分母・分子をすべて銀行預金で割り算してみましょう。
そうすると、計算式はこのようになります。

貨幣乗数の計算式

ここで、銀行預金に対する流通現金の比率は「現金預金比率」、銀行預金に対する日銀当座預金の比率は、民間銀行が預かった預金のうち、どれくらいを日銀に預け入れるのかという「法定準備率」を表しています。

この計算式は(現金預金比率+1)÷(現金預金比率+準備率)と表すことができます。
この計算から次の2つのことが言えますね。

1つ目は、準備率が減ると貨幣乗数は増えるということです。
分母である準備率が増えると、貨幣乗数の数値が小さくなりますので、逆に準備率が減ると貨幣乗数は増えるということになります。

2つ目は、現金預金比率が減ると貨幣乗数が増えるということになります。
分母と分子に現金預金比率が含まれているので、これは直感的に読み取りにくいのですが、おすすめは準備率を0にして、現金預金比率に具体的な数値を置いてみることです。

準備率が0で現金預金比率が10である場合は、「10+0」分の「10+1」ですので、貨幣乗数は1.1となりますね。
一方で、準備率は0のままで、現金預金比率を1に減らすと、「1+0」分の「1+1」で、貨幣乗数は2と計算できます。
確かに現金預金比率が減ると貨幣乗数は増えるということが、計算式から導くことができます。

この計算式の導出プロセスは試験で問われることはありませんが、余裕のある方は数式を覚えておくと役に立ちます。

一方で、「こんな数式覚えたくない」という方は、先ほど学習した信用創造のプロセスから考えれば、理解しやすいかと思います。

先ほど確認した通り、準備率は銀行預金に対する日銀当座預金の割合なのでしたね。
つまり、民間銀行から日銀に対する預入金である10万円と9万円の金額を表していると考えてください。

貨幣乗数と信用創造

ここで準備率が増えるということは、日銀に対する預け入れ金額が増えるということになりますので、民間銀行が貸し出すことができる金額が減ることになりますね。
そうするとマネーサプライは減少していくと考えられますので、貨幣乗数は小さくなることがわかります。

一方で、現金預金比率は銀行預金に対する流通現金の割合なのでした。
ここで現金預金比率が減るということは、計算式を見てわかる通り、銀行の預金が増えるということです。
銀行の預金が増えるほど、銀行はまた別の人に貸し出すことができる金額が増えますので、マネーサプライが増えることになります。
ですので、銀行預金が増える、つまり現金預金比率が減ると、貨幣乗数が増えるということになるわけですね。

信用創造のプロセスからしっかりと理解していれば、貨幣乗数が増えるか減るかといったことも、
試験問題に応じて柔軟に考えることができるようになるかと思います。

中央銀行の金融政策

続いて中央銀行の金融政策です。
中央銀行、つまり日銀が貨幣供給量をコントロールするための政策を確認していきましょう。

1つ目は公開市場操作です。
こちらは、国債の売買を通じてマネタリーベースの量を操作する政策のことをいいます。
このとき、国債を購入することを買いオペレーションといいます。

公開市場操作とは?

日銀が国債を買い入れて現金を手渡すことになりますので、世の中に流れる貨幣量は増えることになりますね。

買いオペレーションを実施すると、マネタリーベースは増加することになります。
逆に国債を売却することを売りオペレーションといい、これを実行するとマネタリーベースが減少することになりますね。

続いて準備率操作です。
こちらは、先ほど説明した法定準備率を変更して、マネーサプライの量を操作する政策のことをいいます。

準備率操作とは?

先ほど確認した通り、法定準備率を減少させると貨幣乗数が増加するので、マネーサプライが増加するということになりますね。

中央銀行の金融政策は、公開市場操作・準備率操作・公定歩合操作の3つが市販のテキストには掲載されていますが、そのうち準備率操作と公定歩合操作は、実態としては現在ほとんど実行されることはなくなっていると言われています。

現在は、公開市場操作のみが日銀の金融政策として貨幣供給量コントロールの中心であると考えられています。

ですので、特に「買いオペを行うと貨幣供給量が増える」ということをしっかりと覚えていただければと思います。

過去問を解いてみよう (平成26年度 第9問)

それでは、ここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

マネーストックあるいはマネタリーベースに含まれるものとして最も適切なものはどれか。

ア 日銀当座預金はマネーストックに含まれる。

イ 日銀当座預金はマネタリーベースに含まれる。

ウ 預金取扱機関の保有現金はマネーストックに含まれる。

エ 預金取扱機関への預金はマネタリーベースに含まれる。


それでは解説を始めます。
マネーストックとマネタリーベースに関する問題ですね。
マネーストックは、マネーサプライと同じ意味です。

今回学習した通り、マネタリーベースは「流通現金+日銀当座預金」、マネーサプライは「流通現金+銀行預金」で表されるのでした。

選択肢アとイ
日銀当座預金がマネーストックとマネタリーベースのどちらに含まれるかを問われています。
もちろん、日銀当座預金はマネタリーベースに含まれるのでしたね。
したがって、この選択肢イがこの問題の正解となります。

念のため、他の選択肢も見てみましょう。

選択肢ウ
銀行自身が持っている現金はマネーサプライには含まれないので誤りです。

選択肢エ
これは民間が銀行に預けた預金のことであり、マネタリーベースには含まれません。
一方で、「預金取扱機関の預金」、つまり銀行が日銀に預けている当座預金はマネタリーベースに含まれます。

微妙な言い回しの違いではありますが、引っかからないように注意しましょう。

過去問を解いてみよう (令和3年度 第7問)

続いてもう1問、解いてみたいと思います。

貨幣乗数に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

a マネー・ストックが1単位増えると、マネタリー・ベースはその貨幣乗数倍だけ増加する。

b 金融機関の準備率が高くなると、貨幣乗数は小さくなる。

c 現金よりも預金で通貨を保有する傾向が高まると、貨幣乗数は小さくなり、
  マネタリー・ベースの増加に伴うマネー・ストックの増加の程度も小さくなる。

d 中央銀行は、マネタリー・ベースのコントロールを通じて、マネー・ストックを調整する。

〔解答群〕
ア aとb  イ aとc  ウ bとc  エ bとd  オ cとd


それでは解説を始めます。
今度は貨幣乗数に関する問題ですね。
選択肢を一つずつ見ていきましょう。

選択肢a
これは因果関係が逆ですね。
正しくは、「マネタリーベースが1単位増えると、マネーストックがその貨幣乗数倍だけ増加する」ですので、この選択肢は誤りです。

選択肢b
これは正しい記述ですね。
逆に、準備率が低くなると貨幣乗数は大きくなるのでした。

選択肢c
これは誤りです。
預金の割合が増えることで、信用創造の余地が大きくなり、貨幣乗数は大きくなるのでした。

選択肢d
これは正しいですね。
日銀は買いオペレーションを実行することでマネタリーベースを増加させ、結果的にマネーストックを調整します。

以上より、選択肢エがこの問題の正解となります。

このように、マネーサプライやマネタリーベースの違い、そして貨幣乗数に関する問題は、比較的高頻度で出題されますので、しっかりと復習しておきましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回は、マネーサプライとマネタリーベースについて学習しました。

それぞれ、民間銀行が保有する流通現金が含まれるのか含まれないのか、また日銀当座預金が含まれるのか、民間の銀行預金が含まれるのか、といった違いがある点を改めて確認しておきましょう。

また、貨幣乗数という考え方も学びました。
貨幣乗数は、マネーサプライがマネタリーベースの何倍かを表す指標で、
計算式を変形すると(現金預金比率+1)÷(現金預金比率+準備率)と表すことができます。

貨幣乗数_まとめ

この計算式を覚えるのが理想的ではありますが、頭がパンクしそうだという方は、信用創造のプロセスをしっかりと理解することで、十分に試験問題にも対応できるかと思います。

はい、というわけで、今回はをマネタリーベースとマネーサプライ、貨幣乗数をテーマに解説をしました。

暗記系の論点と思われがちですが、きちんと理解することで暗記の負担が減り、本試験でも言葉の言い回しにも惑わされず、正解を導き出せるようになります。

なんとなくで覚えてしまっていたという方も多いかと思いますので、この機会にぜひ内容をしっかりと理解して、自信を持って正解の選択肢を選べるように準備しておきましょう。

IS-LM分析_アイキャッチ
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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士。 一次試験は全科目60点超の合計512点という高得点で突破、二次試験は2回連続で合計で240点以上を達成して合格。 合格後は、本業のデータ分析スキルを生かした過去問研究、法人営業経験を生かしたわかりやすい解説で受験者支援を実施中。 チャンネル登録者1.5万人超の「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」では、二次試験と中小企業経営・政策も解説。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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