はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回はRASISをテーマに解説していこうと思います。
RASISは、システムの信頼性や可用性を評価するための重要な考え方です。
経営情報システムでは比較的出題頻度の高い論点で、一部の内容は運営管理でも過去取り上げられています。
ぜひこの機会にマスターしていただければと思います。
RASISとは?
RASISとは、システムの品質を評価する5つの要素の頭文字を取った用語です。
具体的には、信頼性・可用性・保守性・完全性・安全性の5つの観点から品質を評価します。
RASISは、これら5つの要素の頭文字を取っているわけですね。
各観点の詳細と、評価指標は以下の通りです。

完全性の一貫性を保っているとは、例えば、AさんからBさんに100万円を送金した時に、
Aさんの口座からは100万円が引き落とされているのに、Bさんの口座には100万円が振り込まれていない、といったことが起こらないようにするイメージですね。
このような不整合が頻繁に起こってしまうと、システムとして使い物になりませんので、品質評価の基準の一つとなるわけです。
さて、これでRASISの内容は分かったと思いますが、英語が得意な方でないと、なかなか各要素を覚えるのは大変だと思います。
そんな方は、「他の信頼性も勘案」と覚えていただければと思います。
”他”は保守性と可用性、”信頼性”はそのまま信頼性、”勘案”は完全性と安全性の頭文字を取っています。
日本語の方が覚えやすいという方は、参考にしてみてください。
それではここからは、信頼性・可用性・保守性の評価指標について詳しく確認していきたいと思います。
平均故障間動作時間と平均修復時間
まずは平均故障間動作時間と平均修復時間です。
先ほど学習した通り、信頼性と保守性を評価する指標ですね。
平均故障間動作時間は、システムの復旧から次の故障が発生するまでの平均時間を表します。
具体的な計算式は、使用時間の合計÷故障回数ですね。
故障回数1回あたりの平均使用時間とご理解いただけばと思います。
一方、平均修復時間はシステムが故障してから修理が完了するまでの平均時間です。
こちらは修理時間の合計÷故障回数で計算できますね。
「平均修復時間」という名称からも、こちらは違和感なく覚えられるかと思います。
厄介なのは、アルファベット表記だけで出題されるケースですね。
そんなときのために、MTTRのRは、修理を意味する「Repair」のRと覚えていただければと思います。
テキストによっては、「Mean Time To Restoration」の頭文字として説明される場合もありますが、RepairのRでの方が覚えやすいかと思います。
過去問でも、アルファベット表記だけで選択させる問題が出題されたことがありますので、ぜひ、この2つの用語は見分けが付くように対策してくださいね。
稼働率の計算方法
最後に、稼働率の計算方法を確認しましょう。
稼働率とは、システムの全運転時間に対する稼働時間の割合を表します。
具体的な計算式は、MTBF÷(MTBF+MTTR)で計算できます。
先ほど、MTBFとMTTRの見分け方をお伝えしましたので、計算式を見てもギリギリ理解できるかと思いますが、ちょっとわかりにくいですよね。
稼働率は、図に表してみると理解がしやすいです。

今、平均故障間動作時間が70分間、平均修理時間が30分だったとします。
平均故障間動作時間は平均稼働時間、平均修理時間は平均停止時間と置き替えることができます。
稼働率は、全体時間のうち、何%システムが稼働しているか?ということを計算するものですので、全体100分のうち、稼働しているのは70分なので、稼働率は70%と計算できるわけですね。
計算式を丸暗記するのもいいですが、稼働率は図を描いてから計算した方がミスが少なくて済むかと思います。
ぜひ、内容を理解してから試験に臨むようにしましょう。
過去問を解いてみよう (令和元年度 第13問)
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
ある中小企業では、情報システムの導入を検討している。最終的に、2つの情報システム(AとB)を比較検討することになり、それぞれのRASIS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性、Integrity:保全性、Security:安全性)に注目することにした。
このとき、情報システムAの平均故障間隔(MTBF)は480 時間、平均修理時間(MTTR)は20時間であった。
一方、情報システムBの平均故障間隔は532時間、平均修理時間は28時間であった。
これら2つのシステムのRASISに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 安全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
イ 可用性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
ウ 信頼性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
エ 保全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
RASISの評価指標を計算する問題ですね。
選択肢には4つの要素が記載されています。
信頼性はMTBF、可用性は稼働率で評価できるのでしたね。
MTBFは問題文に与えられていますが、稼働率は計算する必要がありそうです。
システムAはMTBFが480時間、MTTRが20時間ですので、稼働率は96%、システムBはMTBFが532時間、MTTRが28時間ですので、稼働率は95%となります。
選択肢にある他の要素として、保全性がありますが、これは完全性のことを指しています。
保守性であればMTTRで評価できるのですが、保全性・完全性はシステムの一貫性に関する評価項目ですので、問題文から与えられた情報からは評価できません。
また、安全性は災害やセキュリティに関する耐性に関する評価項目ですので、こちらも問題文の情報では判断できないです。
以上を踏まえて選択肢を見てみると、選択肢アの安全性に関しては評価できず、選択肢イの稼働率はシステムAの方が優れているので、正しい選択肢となります。
また、選択肢ウの信頼性はシステムBの方が優れていて、選択肢エの保全性は評価できない、となります。
最後の選択肢エを保守性と読み違えてMTTRで評価すると、確かにシステムAが優れているということになりますので、ここで引っかかってしまった方もいるかと思います。
完全性は保全性と言うこともありますし、また、完全性も機密性と表現することもあります。
やや細かい知識ではありますが、RASISは出題頻度を踏まえても確実に得点したい論点となりますので、言い換えまでしっかりと覚えて試験に臨みたいところです。
過去問を解いてみよう (令和4年度 第21問)
今回はもう1問解いてみましょう。
情報システムの信頼性や性能を正しく評価することは重要である。情報システムの評価に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 可用性とは、高い稼働率を維持できることを意味し、ターンアラウンドタイムで測定する。
b 完全性とは、データが矛盾を起こさずに一貫性を保っていることを意味する。
c スループットとは、単位時間当たりに処理できる処理件数を意味する。
d レスポンスタイムとは、システムに処理要求を送ってから結果の出力が終了するまでの時間を意味する。
e RASIS とは、可用性・完全性・機密性の3つを指している。
選択肢をひとつずつ見ていきましょう。
✅選択肢a
可用性は稼働率で評価しますので、これは誤りですね。
ターンアラウンドタイムはまた別の機会に解説しますが、ジョブ投入から結果取得までの総所要時間を表す指標です。
✅選択肢b
これは正しい記述ですね。
まさに完全性の定義が記載されています。
✅選択肢c
これも正しい記述です。
スループットは「処理能力」を表す指標で、単位時間あたりに処理できるトランザクション数やジョブ件数をカウントします。
✅選択肢d
レスポンスタイムは要求を送ってから、その応答が始まるまでの時間を意味しますので、誤りとなります。
✅選択肢e
RASISは、この他に保守性・信頼性の5つを含んだ評価ですので、誤りです。
以上から、選択肢ウがこの問題の正解となりますね。
今回学習した内容以外の用語説明も含まれていましたが、少なくともRASISに関する説明は確実に正誤判断できるようにしましょう。
選択肢bが正しいとわかるだけで、50%の確率で正解できる問題でした。
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回学習したRASISは、システムの品質を評価する5つの要素の頭文字を取った用語なのでしたね。
その5つの要素と具体的な評価指標はご覧の通りです。

完全性は保全性、安全性は機密性と表現する場合もあることも、念のため覚えておきましょう。
5つの要素は”他の信頼性も勘案”と覚えると良いのでしたね。
言い換えまでカバーできていませんが、暗記に役立つと思いますので、参考にしていただけばと思います。
はい、というわけで、今回はRASISをテーマに解説してみました。
用語の説明や指標の計算など、幅広く問われる論点ではありますが、内容自体はそこまで難しくありませんので、出題されたら確実に得点に繋げたい論点です。
この記事を参考に、ぜひ試験本番ではしっかりと得点源にしてくださいね。




