はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回は「商品の仕入方法」をテーマに解説していこうと思います。
この論点はそこまで出題頻度は高くありませんが、出題されたら確実に得点しておきたい論点です。
この動画を見ると、「仕入れ」と一口に言っても、そのやり方にはいくつかの分類があり、それぞれメリット・デメリットがあることが分かるとかと思います。
二次試験でも役立つ考え方が学べますので、ぜひ最後までご視聴ください。
様々な仕入方法の分類
それでは様々な仕入方法の分類を確認していきましょう。
大量仕入と当用仕入
まずは大量仕入と当用仕入です。
大量仕入とは、1回の仕入れで同じ商品を大量に仕入れる方法です。
商品の販売側にとっては、1度に大量に買ってくれる上客となるので、商品1個あたりの単価を下げる交渉を行いやすく、結果的に値引きが適用されるケースが多くなります。
その他、常に在庫がある状況を確保できるので、機会損失を防止できる、インフレ傾向の場合、先に仕入れておくことで原価を抑えたり、後から値上げを実施したりすることで、利益増加が見込める、といったメリットがありますね。
一方で当用仕入とは、必要な数だけ都度少量ずつ仕入れる方法です。
大量仕入とは異なり、需要やニーズの変化に柔軟に対応できたり、適正在庫を確保することで在庫保管費用を削減できたり、商品回転率を安定させやすい、といったメリットがあります。
どちらの仕入方法にもメリット・デメリットがありますので、特定の売れ筋商品は大量仕入でコスト削減を図り、それ以外の商品は当用仕入で柔軟性を確保するといったハイブリット方式を採用するのが現実的かもしれませんね。
集中仕入と分散仕入
続いて集中仕入と分散仕入です。
集中仕入とは、仕入先企業を1社~数社に限定して仕入れる方法です。
仕入先を限定するということは、1社から大量に仕入れることになりますので、大量仕入のメリットを享受できます。
仕入先からも良好な関係を築きやすいため、売れ筋商品を優先的に確保してもらえたりします。
また、仕入先管理が楽になるため、仕入計画も立てやすく、その分で費用削減も図れますね。
一方、分散仕入とは、仕入先企業を可能な限り幅広く取り、複数社から仕入れる方法です。
多くの仕入先を確保できるため、特定の仕入先から仕入れることができなくなっても、他の仕入先から仕入れることができます。
また、特定の仕入先しか取り扱っていない商品を仕入れることができるため、品揃えの選択肢が豊富になるというメリットもありますね。
こちらもメリット・デメリットがありますが、仕入先を集中するということは、悪く言うと特定の仕入先に依存しているということにもなります。
診断士二次試験では依存を嫌う傾向があるので、できるだけ仕入先を分散して経営リスクを下げる方向の回答が求められやすいです。
もちろん最終的には事例企業の状況次第ではありますが、このような考え方も頭の片隅に置いていただければと思います。
共同仕入と単独仕入
続いて、共同仕入と単独仕入です。
共同仕入とは、複数の小売業者が協力して一緒に仕入活動を行う方法です。
複数の会社が一緒になって特定の仕入先から大量に商品を仕入れますので、大量仕入のメリットを享受できます。
また、仕入活動の過程で協力会社のノウハウ活動が期待できたり、協力会社との関係性向上が見込め、新しいビジネスに発展する可能性もあります。
一方、単独仕入とは、自社単独で仕入活動を行う方法です。
共同仕入では協力会社の意向を踏まえる必要がありますが、単独仕入では自社の仕入れたい商品を自由に決められ、仕入計画やスケジュールも自社だけの采配で決められます。
共同仕入を実現するために、業種・地域ごとに事業協同組合が設立されているケースはよく見かけますね。
交渉力が弱い中小企業が力を合わせることで、大企業と対等に交渉できるケースもありますので、特に共同仕入は中小企業診断士として知っておきたい考え方です。
所有権や契約による仕入れ方法の分類
最後に所有権や契約による仕入れ方法の分類を確認しましょう。
通常、小売店が商品を仕入れる際は、買取仕入であることが多いです。
その名の通り、商品を卸売業者から買い取るかたちの仕入形態です。
一方で、委託仕入と消化仕入の2つの仕入形態がありますので、そちらも学習しましょう。
委託仕入は、卸が小売店に商品販売を委託する際の仕入形態です。
| 内容 | 所有権 | メリット | |
| 委託仕入 | 卸が小売店に商品販売を 委託する際の仕入形態 | 商品が販売されたら 卸から直接消費者に移転 | 在庫リスク・仕入計上なしで販売手数料を獲得 (粗利率が高い) |
重要なのは所有権の考え方ですね。
委託仕入では、商品が販売されたら、卸から直接、消費者に所有権が移転します。
小売店は商品を店に並べている間も、販売した後も、一切所有権を持つことがないわけですね。
このような委託仕入には、小売店側は在庫リスクがなく、仕入高を計上せずに、卸業者から販売手数料という形で収入を得ることができます。
リスクが低く、高い利益率を確保できる仕入形態というわけですね。
一方、消化仕入は、商品が販売された分だけ仕入が計上される仕入形態です。
| 内容 | 所有権 | メリット | |
| 消化仕入 (売上仕入) | 商品が販売された分だけ 仕入が計上される仕入形態 | 商品販売と同時に 卸から小売店、 小売店から消費者に移転 | 在庫リスクなしで 売上高を計上できる (売上高規模の最大化) |
所有権は、商品販売と同時に卸から小売店、そして小売店から消費者に移転します。
このとき、販売したと同時に仕入高も小売店に計上されことになります。
商品を陳列している間、所有権は卸にありますが、販売したと同時に小売店に一度所有権が移転する点が特徴ですね。
消化仕入も在庫リスクがなく、販売手数料という形ではなく、仕入高に利益を乗せた金額を乗せた形で売上高を計上できますので、委託仕入と比べると売上高の規模を大きくしやすいという特長があります。
どちらの仕入方法も商品が売れるまでは卸に所有権があり、もし商品が売れ残れば卸に返却できるので、小売業者にとっては在庫リスクを著しく下げることができることが最大のメリットですね。
それぞれの内容を理解した上で、所有権の移転の仕方が異なる点を押さえていただければバッチリかと思います。
過去問を解いてみよう (平成28年度 第27問)
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
小売店の商品仕入に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 委託仕入では、一定期間店頭で販売し、売れ残った商品だけ小売店が買い取る。
イ 委託仕入では、商品の販売価格は原則として小売店が自由に設定する。
ウ 委託仕入において、店頭在庫の所有権は小売店にある。
エ 消化仕入では、商品の販売時に小売店に所有権が移転する。
オ 消化仕入をすると、小売店の廃棄ロスが発生しやすい。
委託仕入と消化仕入に関する問題ですね。
選択肢をひとつずつ見ていきましょう。
✅選択肢ア
売れ残り商品は卸に返却ができるので誤りですね。
✅選択肢イ
価格は卸・メーカーが決定しますので誤りです。
委託仕入という名称から、「卸の代わりに販売代行している」ということが理解できていれば、価格を自由に決められないことに気づけたかと思います。
✅選択肢ウ
所有権は卸にあるので誤りですね。
✅選択肢エ
確かに消化仕入は、販売と同時に卸から小売店に所有権が移転し、その後で消費者に移転するのでした。
選択肢エは正しい選択肢ですね。
✅選択肢オ
消化仕入も売れ残りは卸などに返却可能ですので、誤りですね。
というわけで、選択肢エがこの問題の正解となります。
以上の通り、この論点は知ってさえいれば比較的簡単な問題が出題されるので、ぜひ得点に繋げていただきたいですね。
間違えてしまった方は、よく復習しておきましょう。
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回は様々な仕入方法を解説しましたが、一次試験対策として優先的に押さえていただきたいのは、委託仕入と消化仕入です。

どちらも小売店側には在庫リスクがないこと、所有権の移転の仕方が異なること、委託仕入は販売手数料を受け取ることを覚えていただければ十分かと思います。
それ以外の仕入方法は名称を聞けば内容は簡単に想起できるかと思いますが、それぞれのメリット・デメリットは二次試験対策としては覚えておきたいので、一次試験合格後に改めて確認いただければと思います。
はい、というわけで、今回は商品の仕入方法をテーマに解説してみました。
受験生は理解が難しい論点の攻略に意識が向かいがちですが、このような簡単な論点でいかに取りこぼさずに得点を積み上げるかが重要です。
難しい問題も簡単な問題も得点は同じですからね。
この動画をご覧の方は、ぜひ本試験の得点源にしていただければと思います。






