一次試験対策

【競争戦略】差別化・コストリーダーシップ・集中戦略の違いを徹底解説!/企業経営理論/中小企業診断士試験対策

競争戦略_アイキャッチ
Pocket

はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回は「ポーターの競争戦略の基本」をテーマに解説していこうと思います。

この論点は、経営戦略論の中でも非常に重要な位置づけで、二次試験でも問われるテーマとなっています。

ポーターといえば、競争戦略の父とも言える存在で、彼が提唱した基本戦略を理解することで、企業の競争優位の築き方が見えてきます。

とはいえ、名前だけ聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実際にはとてもシンプルな分類となっていますので、この機会にしっかり押さえておきましょう。

YouTube動画でも解説中!

ポーターの競争戦略の基本とは?

今回学習するポーターの競争戦略の基本は、優位性とターゲットの2軸で企業戦略を整理する考え方です。

具体的には横軸に競争優位の源泉を、縦軸にターゲットを置きます。

ポーターの競争戦略の基本

競争優位の源泉の中身としては独自性か低コストか、ターゲットの中身としては市場全体か特定セグメントかの2つを置きます。

そして市場全体に対して独自性を打ち出していく戦略が差別化戦略、低コストを実現していくのがコストリーダーシップ戦略、そして特定セグメントを対象にするのが集中戦略と言われています。

基本的に企業の競争戦略はこの3つに分類できるというわけですね。
概要としては以上の通りですが、ここからは各戦略の中身について詳しく見ていきたいと思います。

差別化戦略とは?

まずは差別化戦略ですね。
差別化戦略とは価格以外の独自性により競争企業に対する優位性を築く戦略のことをいいます。

価格以外の独自性の中身としては、おおむね商品力、サービス力、ブランドイメージの3つに分類できますね。

差別化戦略とは?

この中で商品力が最もイメージしやすいかと思いますが、商品力は商品の品質や性能、デザインやパッケージなどで他の企業との明確な違いを打ち出し、顧客価値を提供するイメージですね。
例えば、ダイソンの掃除機の圧倒的な吸引力や、キヤノンのデジタルカメラの高性能などが有名な事例かと思います。

サービス力に関しては、アフターサービスや体験価値、コミュニティの形成などで差別化を図るイメージです。
例えば、エアコンのダイキンは24時間365日トラブル対応するということで、他の企業との差別化を図っています。

最後のブランドイメージに関しては、その企業やブランドの歴史、信頼、イメージなどで差別化を図っていくイメージですね。
例えばiPhoneを作っているApple社は、Macintosh PCやiPod、iPhoneなど革新的な商品を作る企業というイメージがありますし、実際そのような商品をこれまで作ってきました。
一度このような確固たるブランドイメージが築けると、多少商品力やサービス力が見劣りしても、所有することが一種のステータスになるということから、ブランドイメージももう一つの差別化の要素になります。

繰り返しになりますが、差別化戦略は価格以外の特性を打ち出すというところがポイントでしたので、試験本番ではその点にご注意いただければと思います。

コストリーダーシップ戦略とは?

続いてコストリーダーシップ戦略です。
コストリーダーシップ戦略は、競争企業よりも低いコストで生産する戦略のことをいいます。

コスト削減の方向性としては、規模の拡大や生産効率の改善、設計改善などがありますね。

コストリーダーシップ戦略とは?

規模の拡大とは規模の経済性、範囲の経済性、それから経験曲線効果などを得ることで、1単位あたりのコストを削減する形ですね。

一方、生産効率改善としては、生産プロセスの標準化やマニュアル化、設備導入による自動化などによって労働生産性の向上を通じてコスト削減を図るような取り組みです。

そして最後に設計改善としては、商品の設計そのものを見直して、使用部品数を削減してコスト削減を図るような形となりますね。

ここで挙げた他にも、土地の安い場所に出店してコストを抑えたり、サプライチェーンを最適化してコストを下げるなどの方法もありますが、まずはここに挙げた3つをイメージしていただければ、試験対応上は十分だと思います。

そしてコストリーダーシップはコストが低いことで優位性を得る戦略となりますが、必ずしも低価格で販売する必要はないという点がポイントです。
この点が試験で問われたこともありますので、念のため覚えておくようにしましょう。

集中戦略とは?

最後に集中戦略です。
集中戦略とは、市場内の特定セグメントにおいて差別化またはコスト面で競争優位を得る戦略のことをいいます。

具体的な例としては、ワークマン女子が集中戦略に当たるかと思います。
今は名前が変わって「Workman Colors」となっていますね。
これまで業務用の作業服が主力商品だったワークマンが、女性用に普段使いできる衣服を販売しています。

ここではファッション業界を機能性・デザイン性・価格の3つの区分で分類してみましょう。

集中戦略とは?

それぞれ高いか低いかという区分をつけていくと、合計8パターンが考えられますね。
このうちワークマン女子は、機能性・デザイン性ともに高く、お手頃価格で提供できるという独自のポジションを築いているとされています。

撥水・防水機能が優れていたり、防寒機能が優れていたり、UVカットや軽量な衣服など、特に業務用の作業服を作ってきたノウハウから、機能性に優れた商品を低価格で提供できるというのがワークマンの強みです。
衣服に機能面を求める女性というセグメントに対して、ターゲットを絞り込んだ戦略だといえますね。

現在は「Workman Colors」という名称に変更したことから、男性にもターゲットを広げ、
どちらかというと市場全体をターゲットとした差別化戦略に移行しているのかもしれませんね。

集中戦略は、特定のセグメントに対して経営資源を集中投下する戦略となりますので、中小企業が基本的に採用する戦略になります。
逆に市場全体を対象とした差別化戦略やコストリーダーシップ戦略は、中小企業には採用しづらいということですね。

また集中戦略で特定セグメントに支持されたとしても、大手企業がそのセグメントの魅力を認識して参入してきたら太刀打ちできません。

ですから、大手企業にとっては十分な利益が見込めず、魅力的に映らないセグメントを見つけられるか、万が一、大手企業が参入してきたとしても、自社の差別化要素が有効に機能して、顧客に支持され続ける独自性を打ち出せるかが、中小企業が持続的に生き残るためには重要となります。

この考え方については、二次試験を受ける上でも重要となりますので、覚えておくようにしましょう。

過去問を解いてみよう(平成28年度 第6問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

企業が競争優位を獲得するための競争戦略のひとつであるコスト・リーダーシップ戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア コスト・リーダーシップ戦略では、継続的に自社製品を購入する顧客を確保するために、ブランド・ロイヤルティを高めることが課題となり、企業の提供する付加価値が明確になっている。

イ コスト・リーダーシップ戦略は、市場成長率が安定してきて、製品ライフサイクルの成熟期以降に採用する戦略として適しており、企業が脱成熟をしていくうえで有益な戦略となる。

ウ コスト・リーダーシップ戦略は、多角化した企業において、シナジーの創出によるコスト削減を目指していく戦略であるので、事業間の関連性が高い企業の方が、優位性を得やすくなる。

エ コスト・リーダーシップ戦略を行う企業が、浸透価格政策をとると、自社の経験効果によるコスト低下のスピードは、競合他社よりもはやくなる。

オ コスト・リーダーシップ戦略を行っている企業は、特定モデルの専用工場を建設し、生産性の高い設備を導入しており、新しい市場ニーズへも迅速に対応できる。


コスト戦略に関して正しいものを選ぶ問題ですね。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。

選択肢ア
これは誤りですね。
ブランドロイヤリティを高めることが課題になるのは差別化戦略の方です。

選択肢イ
これも誤りです。
製品ライフサイクルにおける成熟期以降で有効になるのは、どちらかというと差別化戦略となります。

選択肢ウ
基本的にコストリーダーシップ戦略は、規模の経済性を追求することでコスト削減を図っていく戦略となりますので、誤りとなります。
この選択肢はやや悩ましい内容でしたので、試験本番であれば保留したい内容でしたね。

選択肢エ
浸透価格とは低価格政策を取るということですので、低価格を設定することでそれだけ販売数量が伸び、生産数も増えることになります。
その結果、経験効果の蓄積が競合他社よりも進み、コスト削減が実現できますので、この選択肢は正しい記述となります。
したがって、選択エがこの問題の正解となります。

選択肢オ
専用モデルの専用工場を持っているということは、その特定モデルの生産にしか対応できないということになりますので、新しい市場ニーズへの対応とは矛盾しています。
専用工場や専用設備を導入すると柔軟性が失われるという考え方は運営管理で学習することになりますが、企業経営理論でもこのような形で問われることがありますので覚えておいてください。

他の年度では差別化戦略や集中戦略に関しても問われたことがありますので、それぞれの戦略の違いは改めて確認して試験に臨むようにしていただければと思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した競争戦略の基本は、優位性とターゲットの2軸で企業戦略を整理しました。

ポーターの競争戦略の基本

具体的には市場全体に独自性を打ち出していく戦略が差別化戦略、低コストを打ち出すのがコストリーダーシップ戦略、特定セグメントを対象とするのが集中戦略といいます。

特に特定セグメントに独自性を打ち出していくのが差別化集中戦略、低コストを打ち出していくのがコスト集中戦略といいます。

二次試験対策としては、基本的に中小企業が採用する戦略は差別化集中戦略だということも併せて覚えておけばバッチリかと思います。

はい、というわけで今回は競争戦略の基本について確認して解説してみました。

僕も経営法務で英文問題対策セットといった商品を販売していますが、あれも集中戦略の1つといえますね。
いかに大手企業と競争しないかが、中小企業・個人事業主の生きる道となりますので、
中小企業診断士試験に合格して経営コンサルをする際にも意識していただければと思います。

Pocket

ABOUT ME
たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA