はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回は「運営管理」の中でも、毎年必ずと言っていいほど出題される超・重要論点、「定量発注方式」と「定期発注方式」をテーマに解説していきたいと思います。
この論点は、テキストを開くといきなりグラフや計算式が複数出てきて、それだけで「うわ、難しそう……」と拒絶反応が出てしまう方も多いのではないでしょうか。
ですが、安心してください。一度理解してしまえば、そこまで難しい内容ではありません。
この記事では、複雑な数式に惑わされず、基本的なイメージを図解で整理した上で、計算式の内容も丁寧に説明していきます。
定量発注方式とは?
定量発注方式とは、在庫量が一定量まで減少したら、あらかじめ決めた量を発注する方式のことです。別名「発注点方式」とも呼ばれます。
横軸に時間経過を、縦軸に在庫量を取った在庫推移グラフで確認してみましょう。
現在の在庫量が100個だったとして、時間経過とともに在庫量が減っていき、50個になった時点で発注をかけたとします。
発注したらすぐに商品が届くわけではないので、それまでの期間も在庫が減り続け、商品が届くと再び在庫量は100個になります。
定量発注方式では、このような形で在庫減少と発注を繰り返し行います。

このグラフに登場する主要な用語を整理しておきましょう。
- 発注点:発注のトリガーとなる在庫量。今回のケースでは50個。
- 調達期間(調達リードタイム):発注から実際に商品が届くまでの期間。
- 発注量:あらかじめ決めた発注数量。経済的発注量を用いることが多い。
- 安全在庫:需要量・調達期間の不確実性を吸収するための在庫。
発注点と安全在庫の求め方
続いて、発注点と安全在庫の求め方を確認しましょう。
発注点 = 調達期間 × 1日あたりの平均需要量 + 安全在庫
グラフで確認すると、まずベースに安全在庫が存在しています。
そして、発注点と安全在庫の差分が「調達期間中に減少する在庫量」であり、これが計算式の「調達期間 × 1日あたりの平均需要量」にあたります。

調達期間が4日、1日あたりの需要量が5個、安全在庫が30個とすると、発注点 = 4日 × 5個 + 30個 = 50個と求められます。
続いて、安全在庫の計算式です。
安全在庫 = √調達期間 × 需要量の標準偏差 × 安全係数
各要素の意味を確認してみましょう。

- 調達期間:発注してから在庫が届くまでの期間。長いほど在庫リスクが上がる。
- 需要量の標準偏差:1日あたりの販売数量のバラつき。バラつきが大きいほど在庫リスクが上がる。
- 安全係数:欠品をどのくらい防ぎたいかの度合い。心配なら90%など高い値に、欠品に寛容なら10%など低い値に設定する。
調達期間4日・標準偏差20個・安全係数75%とすると、安全在庫 = √4 × 20個 × 75% = 30個と求められます。
試験対策としては、各要素の値が大きくなるほど、発注点は高く・安全在庫は多くなるというイメージを持っておくことが重要です。
定期発注方式とは?
定期発注方式とは、一定期間ごとに需要予測に基づいて発注する方式です。
この方式の特徴は、「発注する時期」は決まっていますが、「発注する量」は毎回バラバラだということです。
たとえば毎週月曜日に発注すると決めていたとしましょう。発注のたびに在庫量は変わるので、そのときの在庫量に応じた量を発注することになります。

定期発注方式で登場する用語を整理しておきましょう。
- 調達期間・安全在庫:定量発注方式と同じ意味。
- 発注サイクル:今回の発注から次回の発注までの期間(月曜から次の月曜まで)。
- 在庫調整期間:今回の発注から、次回の発注が納品されるまでの期間。今回発注した在庫でこの期間の在庫をやりくりする必要がある。
定期発注方式の発注量の求め方
発注量 = 在庫調整期間の需要量 - (現在の在庫量 + 発注残) + 安全在庫
図解を使いながら確認してみましょう。

在庫調整期間の需要量が100個(=次回納品までの消費量)に対し、現在の在庫量が10個・発注残が50個(=発注済みだがまだ届いていない在庫)とすると、不足分は40個です。
ここに不測の事態への備えとして安全在庫30個を加えた70個が、今回の発注量となります。
計算式は複雑に見えますが、考え方は「必要な在庫量から、すでに持っている・来る予定の在庫を引いて、安全在庫を足す」というシンプルなロジックです。丸暗記よりも、この考え方を理解しておきましょう。
各計算式まとめ
ここまで解説した計算式を改めて確認してみましょう。発注方式まわりで重要な計算式は以下の4つです。

計算式を丸暗記しようとするのではなく、計算式の成り立ちから理解することを強くオススメします。
そうすることで、いざ計算式をど忘れしても、試験問題に対応できるケースが増えます。
発注方式ごとのメリット・デメリット
続いて、発注方式ごとのメリット・デメリットを確認しましょう。試験対策上の優先度は落ちますが、実務上は覚えておきたい内容です。

定量発注方式の最大のメリットは「運用が簡単」なことです。発注点だけ見ていればよいので、一度仕組みを作れば自動化しやすいです。
一方、需要変動が激しいものや調達期間が長いものには対応しにくいのがデメリットです。
定期発注方式は毎回需要予測を行うため、精度の高い管理が可能で、需要変動が激しい商品にも対応できます。
デメリットは、毎回棚卸しや予測計算が必要で手間がかかること、また安全在庫が多めになりがちな点です。
過去問を解いてみよう
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
在庫管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 定期発注方式を採用している場合、発注から納品までの調達期間のみを変更して長くすると、発注量を減らすことができる。
イ 定期発注方式を採用している場合、発注間隔のみを変更して長くすると、安全在庫を減らすことができる。
ウ 定量発注方式を採用している場合、安全在庫のみを変更して増やすと、発注点は低くなる。
エ 定量発注方式を採用している場合、発注点のみを変更して高くすると、発注から納品までの調達期間を長くすることができる。
オ 定量発注方式を採用している場合、発注量のみを変更して増やすと、発注点に基づく発注間隔は長くなる。
正解は「オ」です。選択肢をひとつずつ見ていきましょう。
✅ 選択肢ア
調達期間が長いと消費量も増えるため、たくさん発注が必要となります。発注量を減らすことはできないので、誤りです。
✅ 選択肢イ
発注間隔が長くなれば不測の事態のリスクが上がるため、安全在庫はむしろ増加します。誤りです。
✅ 選択肢ウ
発注点 = 調達期間 × 1日あたり平均需要量 + 安全在庫なので、安全在庫を増やすと発注点も高くなります。誤りです。
✅ 選択肢エ
発注点を高くしても、商品が早く届くようになるわけではありません。誤りです。
✅ 選択肢オ
発注量を増やすと、在庫がなくなるまでの期間が長くなるので、発注間隔は長くなります。正しい記述です。
計算式を覚えていると楽に解けますが、今回解説した考え方が理解できていれば対応できる問題でしたね。
この手の問題は毎年のように出題されていますので、ぜひ他の年度のものもチャレンジしてみてください。
まとめ
今回は、発注量が毎回一定である「定量発注方式」と、発注間隔が毎回一定である「定期発注方式」を解説しました。

試験対策上は、グラフを描きながら両者の違いを説明できるレベルになるとベストです。
各項目の計算式は、考え方の理解に重点を置いていただき、計算式自体は無理に覚える必要はありません。過去問を解きながら理解を深めていただければと思います。
診断士試験は覚える範囲が広いですが、こうして一つ一つの論点を「なぜそうなるのか?」と理解していけば、必ず合格圏内に手が届きます。引き続き、一緒に頑張っていきましょう!



