「お客さんが早く納品して欲しいらしいから、仕入先にネゴっておいて」
上司からこのようにお願いされた場合、どうすればよいのでしょうか?
「ネゴる」という言葉を知らなくても、文脈から仕入れ先に早く納品してくれるようにお願いすればよいのはわかるかと思います。
でも、「ネゴる」の意味をちゃんと知っておくには越したことはありませんよね。
あとになって
「ちゃんとネゴっておけって言ったろ!!」
と上司に怒られても、
「ネゴってどういう意味でしょうか?」
なんて聞けませんしね。まぁ相手に伝わる言葉を使わない方にも問題ありですが…
さて、「ネゴ」とは「ネゴシエーション」の略語です。
今回はこのネゴシエーションの意味や使い方について解説していこうと思います。
1.ネゴシエーションとは?
ネゴシエーションとは交渉のことです。
つまり、「ネゴる」というような動詞形で使われた場合は、交渉するという意味になるわけですね。
冒頭の
「お客さんが早く納品して欲しいらしいから、仕入先にネゴっておいて」
というのは、
「お客さんが早く納品して欲しいらしいから、仕入先に交渉しておいて」
という意味になるわけです。
交渉という以上、ただお願いするよりも難しい話し合いになることが予想されます。
ネゴシエーションをする際は気を引き締めて臨むようにしましょう。
2.ネゴシエーションの使い方
ビジネスの現場で「ネゴシエーション」と丁寧に言うことは少ないです。
というより、僕の経験上聞いたことがありません。
先程から何度も使っているように「ネゴ」という名詞として使ったり、「ネゴる」というように動詞のように使ったりするのが一般的です。
日本語で「交渉する」って言えばいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かにその通りですが、「交渉する」というと堅苦しくて難しいイメージが持たれるのに対して、「ネゴる」というと少し表現が柔らかくなる印象があります。
ただし、あくまで本人の捉え方次第なので、
と思われる方が多いかもしれませんね笑
3.ネゴシエーションの勘違い
ビジネスはネゴシエーション(交渉)の連続だと言えるかもしれません。
上司、部下、お客様、仕入先などの取引先と毎日のようにネゴシエーション(交渉)を行っている方も多いかと思います。
ただし勘違いして欲しくないのですが、ネゴシエーション(交渉)はこちらの要求を押し付けるわけでも、相手の要求を全て受け入れるわけでもないということです。
本来のネゴシエーションは
- お互い険悪な関係にならない
- お互いにとってメリットがある
- 話し合うことで効率が上がる
このような条件を満たすように、話し合いで落としどころを見つけていく作業なのです。
言い換えれば、お互いにとってちょうど良い妥協点を見つけるということですね。
どちらかが損をするようなネゴシエーションは、交渉とは呼べないのです。
4.ネゴシエーションの方法
最後に、ネゴシエーションを上手に行う方法について考えていきたいと思います。
ネゴシエーションの基本は
- 相手の気持ちや主張をしっかりと理解する
- こちらの主張とその根拠をわかりやすく伝える
- 譲れない部分を明確にし、粘り強く話し合う
以上が基本となります。
相手の話を聞かずに自分の主張を貫いても、交渉は平行の一途をたどるでしょう。
また、相手の言いなりになってもいけません。きちんと自分の要求は相手に伝えるようにしましょう。
ここまでやって初めてネゴシエーションのスタートラインに立ったと言えます。
うまくまとまらない交渉は、どちらかの要望に応えると、どちらかが損をする場合です。
そのような場合は、相手の要求も自分の要求も満たすような第三のアイデアを見つけるようにしましょう。
例えば以下のような逸話があります。
―ある男は海外に旅行に行きました。
旅行も終盤に差しかかり、お土産を買おうと地元で有名なガラス細工の職人を訪ねました。
職人は喜んで依頼を引き受け、この男のために最高のガラス細工を作ることを約束したのです。数日経って、男が職人のもとを訪ねると、そこには見事なガラス細工が出来上がっていました。
男は大喜びし、職人からガラス細工を購入しようとしましたが、職人は売ろうとしません。職人曰く、まだ完成してはいないと言うのです。素人からすると素晴らしいガラス細工なのですが、職人からすると納得できないというのですね。
男が完成までどれくらいかかるのか尋ねると、もう数日かかるというのです。
男の帰りの飛行機は翌日にせまっていました。数日も待っていられません。男は今すぐにでも売ってほしいと要求しましたが、職人は数日待ってくれるまでは渡せないと要求します。
さて、ここからが交渉というわけですね。
結果として、男はその日のうちにガラス細工を手に入れることに成功しました。
男は職人に対して次のように言ったのです。
「私はあなたのように自分の仕事に誇りを持っている人に会ったのは初めてです。
この感動をいつまでも覚えておきたい。そのためにぜひこの”未完成のガラス細工”を譲ってほしいのです。
私の故郷の仲間たちは、きっとこのガラス細工に惚れ惚れすることでしょう。
そこで私は必ず、『この国にはこのような素晴らしいガラス細工を未完成だとするほど、プライドを持って仕事をする職人がいる』と伝え続けたいと思います。
そのためにはこのガラス細工を未完成のまま持ち帰らなければならないのです。」
この話では、男は自分の要求通りガラス細工を手に入れることに成功しています。
職人も自分の仕事のプライドを守ることに成功しました。
この話のポイントは、職人の”真の要求”を見極めることです。
この場合は職人の仕事への誇り・こだわりですね。
男の提案は、見事に職人のプライドを傷つけることなくガラス細工を渡す理由を提示したのです。
このように、相手の真の思いを汲み取り、新しいアイデアを提案するのが、上手なネゴシエーションの方法なのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ネゴシエーションは交渉という意味のある言葉です。
よく「ネゴ」とか「ネゴる」とか言われるのは、ネゴシエーションを略した言い方なのですね。
ネゴシエーションは相手と自分の主張の妥協点を見出す作業です。
相手の主張をよく聞き、自分の主張もわかりやすく伝えられる必要があるわけですね。
コミュニケーションの基本とも言えますが、ネゴシエーションが上手く出来ると、優秀な人材として会社から重宝されることでしょう。
ぜひ、自分自身の交渉術を鍛えるように訓練してみてください。
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ではっ!