はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は令和7年度二次試験の事例Ⅰについて、解説していきたいと思います。
令和7年度の事例Ⅰは、木材加工会社が知育玩具の新規事業に挑戦するという事例でした。例年と比べると、問題数が1問少なかったり、企業理念の再定義が問われたりと、変化球が投げられた年度と言えます。
とはいえ、落ち着いて対応することで、十分に60点を超える得点はもぎ取れる内容だったと思います。今回の記事では、全体像の確認から各問題の解説まで、一つひとつ丁寧に解説していきますので、必ずご自身で実際に過去問演習をした後に、ご覧いただければと思います。
事例文の全体像の確認
まずは全体像を確認してみましょう。今回のA社は、「自然から頂いた木を、生活する人々が豊かになるよう社会にお返しする」という経営理念を掲げた、社員30名、売上約8億円の木材加工会社で、3つの事業を営んでいます。

まず主力の内装材事業です。県産木材を使った内装材を製造・販売しており、いわゆるBtoBのビジネスですね。木材加工技術が評価され、内装材分野で高い評価を得てきました。ただし現在は、市場の競争激化や公共案件の不安定さから、収益性に陰りが見え始めています。
X事業はオーダーメイド家具や木製ペンを、工場併設の直営店や県のアンテナショップで販売する、実験的な消費者向け事業です。社長の子息が担当しており、規模は小さいながらも、BtoCの接点をここで持っていたのがポイントですね。
そして今回の主役となる新規事業が木製知育玩具です。ターゲットは教育熱心な20代から40代の子育て家庭で、直営店・アンテナショップに加えて、大手ECサイトにも出店しています。
以上の内容を踏まえて、詳しく状況を分析していきたいと思います。
SWOT分析
それではいつも通りSWOT分析ですね。まずは強みと弱みです。

何といっても、内装材分野で高い評価を得てきた木材加工技術があります。ささくれを防ぐ滑らかな加工や、口に入れても安全な塗料のノウハウは、玩具づくりにそのまま活きる強みですね。
それから、既存事業・X事業で築いてきた消費者との様々な接点、経営学を学んだ子息の知見も強みと言えます。
さらに見逃せないのが、地域とのつながりです。木材を安定確保できる林業家・製材所とのネットワーク、実証実験やPRで協力してくれる県や地元大学との良好な関係、小ロット多品種の生産に対応できる地域の木工職人との関係と、実に多くのネットワークを持っています。
続いて弱みです。内装材事業に売上を依存しており、その収益性に陰りが見えています。また、新規事業の必要性が社員に浸透していません。さらに、人材不足で、子息に続く次世代リーダーも育っていない状況です。
この「社員の未浸透」と「次世代リーダー未育成」は、後半の設問でそのまま解決対象になります。
続いて機会・脅威です。

機会としては、自然素材・国産材への関心の高まり、子育て世代の安心・安全な素材へのニーズ、木育ニーズの増加、そして林業関係の公的団体・同業者・大学の活動が活発なことが挙げられます。
脅威としては、内装材市場の競争激化、公共案件の不安定さ、知育玩具市場に既存の競合が多数いることがあります。
また、今回は与件文に課題も明示されていました。新たな収益の柱となる新規事業を模索することが、知育玩具事業を推進する根拠になっています。そして、社員の配置・育成制度の見直しですね。


