はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は令和6年度二次試験の事例Ⅰについて、解説していきたいと思います。
事例Ⅰは、組織・人事に関するテーマが中心となっており、例年通り、戦略面・組織面の分析や施策立案に関する問題が出題されました。
問題の難易度としては決して易しくはありませんが、出題の意図を正しく読み取ることで、得点につなげることができます。今回の記事では、全体像の確認から各問題の解説まで、一つひとつ丁寧に解説していきますので、必ずご自身で実際に過去問演習をした後に、ご覧いただければと思います。
事例文の全体像の確認
まずは全体像を確認してみましょう。今回の事例は、事業面、システム面、組織・人材面の3つの切り口で整理するとわかりやすいです。そしてそれぞれの切り口について、過去・現在がどのような状態だったかを確認していきましょう。

まず事業面に関しては、地元密着・高品質な物流サービスを提供する事業者でしたね。それから、ニーズを収集して協力会に共有する仕組みもあります。また、流通加工や温度・湿度管理が可能な倉庫を保有しているのも特徴的ですね。
このような特徴を今でも持ちつつ、現在では首都圏での受注処理効率化や在庫管理のノウハウも獲得しています。サードパーティーロジスティクスの競争激化という情報はあるものの、A社は今のところ事業面では好調と言えますね。
続いて、システム面です。A社は紙ベースでの受注管理を行っていて、情報システムが高コストかつ首都圏事業部には適合しないのでした。そういった状況を受けて、首都圏には情報システム部を設立したのでしたね。
それから組織・人材面においては、事業部間の連携がなく、旧態依然の組織体質、それから人事処遇面の不満が出ているような状況です。このような中でA社は2代目社長が就任し、情報システムに知見のある長男を採用したのでした。ただ一方で、人手不足が深刻化しています。
上の表の中で色付けした内容については、今でもA社の問題として残っている項目となりますね。このような状況の中で、A社をより良い方向に導くための診断・助言が求められているというのが、事例Ⅰの全体像となります。
SWOT分析
それではSWOT分析をしていきましょう。まずはA社の強みと弱みです。

強みの事業面においては、顧客ニーズにきめ細かく対応する地元密着型の高品質なサービスを行っており、ニーズを収集し、協力会に共有する仕組みがあります。また、流通加工や温度・湿度管理が可能な倉庫を保有していて、首都圏では受注処理効率化や在庫管理ノウハウを獲得しているのでした。
また人材面においては、従業員たちの強い地元志向があり、大手物流企業で物流企画・営業を経験した長女や、大手情報システム会社で物流システム構築を経験した長男がいます。
続いて弱みです。事業面においては、紙の伝票管理など受注管理面が非効率で、顧客の新規開拓力が弱い状態です。また、県内・首都圏事業部の業務連携がされておらず、Z社が要望する適正在庫管理・商品補充に対応できていません。
さらに、情報システムが高コストかつ、首都圏事業部の物流ノウハウにも適合していない状態です。これは首都圏事業部で情報システム部が設立されたことで一部状況が改善されていると思われますが、県内事業部でも同じような問題が起こる可能性があるので、弱みとして残しています。
それから組織・制度面においては、県内事業部は年功序列で古い慣習が残っており、人事処遇制度に不満が出ている状態です。
続いて機会・脅威です。

機会については、県外との輸送引き合いが増加傾向で、首都圏での物流需要が大きい状況です。またZ社からの引き合いがあるというのも機会に分類できるでしょう。
続いて脅威です。大手物流企業が中心のサードパーティーロジスティクス事業者との競争が激化しており、運送事業者の人手不足が深刻化している状況です。
また、課題も明示されていましたね。受注管理や在庫管理の高度化、それから物流の多様化や複雑化への対応が課題として示されていました。
与件文を読んだ段階でこのように強み・弱み・機会・脅威を整理できると、問題への対応もしやすくなるかと思いますので、参考にしてみてください。それではここから、各設問を1問ずつ解説していきます。


