はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は、令和3年度の二次筆記試験・事例Ⅳを解説していきたいと思います。
先に少しだけ自分の話をしますと、僕はこの令和3年度の事例Ⅳを、本番で87点獲得できました。とはいえ全問正解したわけではなく、第2問設問3は白紙、設問2も計算結果は間違いという状態でしたので、どこで得点し、どこを捨てるかという立ち回りが結果を大きく左右する事例です。
この記事では各設問の解法はもちろん、確実に取りたい問題と手を付けない方がよい問題の見極めについても触れていきます。なお、必ずご自身で問題演習をしてから読み進めていただければと思います。
D社の事業概要
まずはD社の事業概要です。D社は地方都市で食品スーパーマーケット事業を中核として展開する企業で、資本金4,500万円・従業員1,200名(パート・アルバイト含む)、本社のある地方都市を中心に15店舗のチェーン展開を行っています。
創業90年以上の歴史の中で、常に地元産の商品にこだわり、地元密着をセールスポイントとして経営してきた企業ですね。この経営スタイルによって地元住民を中心に一定数の固定客を取り込み、経営状況も安定していました。
ところが2000年代に入ってからは、地元住民の高齢化や人口減少に加え、コンビニエンスストアの増加、郊外型ショッピングセンターの進出、大手資本と提携した同業他社による低価格・大量販売の影響によって顧客獲得競争に苦戦を強いられ、徐々に収益性も圧迫されてきている、という状況です。

今回のD社は、フルセルフレジの導入を検討しているのがひとつの軸になっています。レジ待ち時間の解消による顧客サービスの向上、業務効率化による人件費削減、それから新型コロナウイルス感染症の影響による非接触型レジへの要望の高まりが背景にありますね。
なお、D社が現在保有しているレジは全店舗合計で150台。その内訳は有人レジ30台、セミセルフレジ100台、フルセルフレジ20台です。今回の第2問で問われるのは、このうちセミセルフレジ100台をどうするかという判断になります。
その他にも外食事業、ネット通販事業、移動販売事業を展開していて、移動販売事業は期待された成果が出せず不採算事業となっているようです。この移動販売事業は、高齢化が進行している地域で自身で買い物に出かけることができない高齢者に対して、小型トラックで販売を行うものですね。トラックはすべてD社が保有する車両で、高齢化が進んでいるエリアを担当する店舗の従業員が運転・販売業務を担っています。
さらにD社は、地元への地域貢献と自社ブランドによる商品開発を兼ねた新事業にも着手しています。自治体との共同事業として、廃校となった旧小学校の校舎をリノベーションして魚種Xの陸上養殖を行うというものですね。
財務面の規模感も押さえておきましょう。D社の売上高は約165億円、総資産は約68億円です。事例Ⅳは、事例Ⅰ〜Ⅲと比べて企業規模が大きいことが多いので、金額の桁を読み間違えないよう注意したいところです。
ここまでを整理すると、「フルセルフレジへの取替投資」「魚種Xの養殖事業」「不採算の移動販売事業」という3つのテーマが、そのまま第2問・第3問・第4問に対応しているのがわかります。第1問の経営分析でD社の財務的な立ち位置を押さえたうえで、各テーマに切り込んでいく構成ですね。それでは、ここから各設問を順番に解説していきます。


