はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は、令和3年度の二次筆記試験・事例Ⅰの過去問について、解説していきたいと思います。
事例Ⅰは、組織・人事をテーマにした事例です。今回のA社は、印刷工場を持たずに印刷業務のディレクションのみを行う「ファブレス型」の印刷会社で、美術印刷への特化や、広告制作業への多角化、そして3代目への事業承継がポイントになる事例でした。まだ問題を解いていないという方は、ぜひ一度ご自身で解いてから読み進めていただくと、より理解が深まるかと思います。
A社の事業概要
まずは、A社がどのような会社なのかを確認していきましょう。A社は印刷業を営む企業ですが、自社で印刷工場を持たず、印刷業務のディレクションのみを行う「ファブレス型」の企業であるのが大きな特徴です。
具体的には、割り付けやデザイン、紙やインクといった仕様を決めたうえで、製版・印刷・製本などの各工程を専門の協力企業に手配・指示していく、というスタイルですね。そして、高品質・高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野に特化することで、収益を上げているようです。
また、A社は新規事業として広告制作業も行っています。こちらはWeb制作とコンテンツ制作を主体とした事業ですね。ただ、この広告制作業は印刷業の既存顧客向けにサービスを提供しているものの、新規獲得のための営業ができておらず、いまひとつ業績が上がっていないという状況でした。

それでは、この企業について詳しく分析していきましょう。
SWOT分析と課題の把握
まずはSWOT分析で、A社の強みと弱みを明らかにしていきます。
まず強みですね。A社の強みは、顧客の細かいニーズに対応できる分業体制を築けている点です。そしてその分業体制の中で、A社は各工程を調整するディレクション力に長けている企業だと言えます。この力を生かして他社とうまく連携することで、高度で手間のかかる小ロット印刷や出版に対応できているわけですね。
また、プログラミングの専門知識を持つ人材を採用したという記述もありました。さらに、3代目の広告代理店時代の人脈や知見も、A社にとっての強みだと考えられます。
続いて弱みです。弱みとしては、新事業で案件の獲得ができていない点、営業への資源投入が困難である点、そして各工程のオペレーションを外部に依存している点が挙げられるかと思います。
このあたりが、各設問の解答根拠として利用する項目になりますので、ご自身で抜き出すことができたか、改めて確認してみてください。

続いて、機会・脅威と課題の抽出です。今回は機会にあたる記載がほとんど無かったのですが、一つ挙げるとしたらデジタル化の進行があるかと思います。A社はこの機会を生かすために、プログラム人材を採用したり、広告制作事業に乗り出したりしていると読み取ることができますね。
続いて脅威です。まず最大の脅威としては、印刷技術のデジタル化や技術革新によって、小ロット化・低価格化が進行し、新規参入が容易になっている点が挙げられます。また、新事業である中小企業向けの広告制作については、競合が激しいという状況でした。
そして課題としては、新規事業を既存顧客に訴求するために、新規の需要を創造していくことが挙げられました。

それでは、以上のSWOT分析を踏まえながら、ここから各設問を順番に解説していきます。


