はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は「PERT・アローダイヤグラム」をテーマに解説していきたいと思います。
アローダイヤグラムの書き方は一度マスターしてしまえばそこまで難しくはないのですが、特に独学者の方にとっては、テキストを読んでいてもなかなか取り付きにくい論点かと思います。
この記事ではできるだけ丁寧に作成手順を解説したうえで、最後に過去問を実際に解いてみたいと思いますので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
✓ PERT・アローダイヤグラムの基本と書き方の手順
✓ クリティカルパス(最長経路)を最短で見つける方法
✓ 平成30年度第6問の解法ステップ
PERT・アローダイヤグラムとは?
まず、PERT(Program Evaluation and Review Technique)とは、順序関係のある複数作業を効率よく実施するためのスケジュール手法と定義されています。重要なのは「順序関係のある複数作業」というところで、これは次のセクションで詳しく説明しようと思います。
そしてこのPERTを実施する際に用いられる表記方法が「アローダイヤグラム」と呼ばれる、以下のような図となります。

診断士試験では、これらの用語の定義そのものについて問われることはないので、ここはなんとなくの雰囲気さえ押さえておけば大丈夫です。続いて、黄色の線で引いた「順序関係のある複数作業」について詳しく見ていきましょう。
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順序関係のある複数作業とは?
PERTに関する問題では、よく以下のような表が与えられます。このAからGの作業を終わらせることが1つのプロジェクトだと考えてください。

表の中身を見てみますと、作業名・先行作業・期間がそれぞれ示されていますね。「先行作業」とは、その作業を始めるために終わっていなければいけない作業のことで、例えば作業Cについて見てみると、先行作業がAとなっています。つまり、作業Cを始めるためには先に作業Aが終わっていなければならない、ということを表しています。
このように作業と作業の間に順序関係があるプロジェクトを効率的に行うために、PERTを用いてスケジュール管理を行います。試験問題では、このプロジェクトを完成するために合計何日かかるのか、ということが主に問われます。とはいえ、この表を眺めているだけではなかなか答えられないですよね。そこで登場するのが、アローダイヤグラムです。

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それでは先ほどの表をもとに、アローダイヤグラムを書いてみましょう。まず最初に、起点となる1つの丸を描きます。この丸の中の番号は重要ではないので、書いた順番に番号を振ると良いでしょう。
次に表に目を通してみますと、先行作業のない作業として、AとBがあることがわかります。そこで、先ほど書いた丸1から矢印を2本引いて、矢印の横に作業名と日数を記入します。矢印の先にはまた丸を描き、便宜上また番号を振ります。

続いて表の作業Cについて見てみると、先行作業がAとなっています。これは作業Aが終わっていることを表しているので、丸2から矢印を引いて、矢印の横に作業名と日数を記入し、先にはまた丸を描きます。同じ要領で、表の作業Dについては先行作業がBなので、丸3から矢印を1本引き、同じように作業名と日数を書きます。

ここまでは割と単純作業に思えるのではないでしょうか。ここからが少し注意していただきたいポイントです。
作業Fについて見てみますと、先行作業がCとDの2つとなっています。これはCとDの両方の作業が終わっていないと、作業Fは始められないということを表しています。これまでの手順に従うと、CとDの作業が終わっていることを表している丸4と丸5から、それぞれ矢印を引いて作業Fを書きたくなりますよね。

ただ、こうして書くと、作業CとDの両方が終わらないとFが始められないのか少し読み取りにくいですし、F6日が図の中に2回表記されているのも違和感がありますよね。なので、この書き方は正しくありません。
こうした現象を防ぐために、先に書いた丸4と丸5を1つにまとめる必要があります。1つにまとめると以下のようになります。

こうすることで、CとDが終わっていないとFが開始できないことが読み取りやすいですし、F6日についても図の中に1つ書くだけで済むようになりました。
最後に作業Gの先行作業がEなので、丸6から矢印を引っ張ります。これ以上作業がない場合は1つの丸に集約させるので、矢印の向かう方向は丸7となります。ここまでやってようやく、表に書かれている内容をアローダイヤグラムに落とし込むことができました。
ただ、問題はこのプロジェクトを完成するには最低何日かかるのかということでしたよね。次に、この問題について考えていきましょう。
プロジェクト完了までの最低日数は?
先ほど描いたアローダイヤグラムを拡大してみました。

さて、問題のプロジェクト完成までの最低日数を別の表現に置き換えて考えてみると、先ほど描いたアローダイヤグラムの丸1から丸7に至るまでで最も日数がかかる経路を探すことで、プロジェクト完了に最低何日かかるかに答えられそうです。
市販のテキストではこの経路を見つけるために、「最早着手日」と「最遅着手日」というような考え方を使うのですが、面倒な上に正直わかりにくかったため、僕はダイレクトにその経路を見つける方法をとっていたので、今回はその手法をみなさんにご紹介したいと思います。
丸の上に、その作業が始められる最も早い日数を順に書き加えていく。経路が複数ある場合は大きい方を採用する。
→ 最終丸の値が、プロジェクト全体の最低所要日数となる。
実際にやってみましょう。まず丸1には初日なのでゼロを書きます。丸2にはAの日数の3、同様に丸3にはBの日数の5を書きます。

次に丸4ですが、上の経路(丸2+作業Cの3日)を足した6と書きたいところですが、下側の経路(丸3+作業Dの6日)を足した11の方が大きいので、ここでは11を採用します。この11というのは、次に控えている作業Fを始めるためには最低11日はかかるということを表しています。
同様にして丸6は、丸2の3にEの日数を足した値を記入します。

最後の丸7は、丸4の11とFの6日を足した17が、丸6とGの4日を足した値より大きいため、17を採用します。そして、プロジェクトを完成させるためには最低17日かかるということが分かりました。
そして、ピンク色で表したもっとも日数がかかる経路のことを「クリティカルパス」と呼びます。
過去問を解いてみよう(平成30年度 第6問)
ここからは、実際の過去問を解いていきたいと思います。平成30年度の第6問でPERTの問題が出題されました。
下表に示される作業AからFで構成されるプロジェクトについて、PERTを用いて日程管理をすることに関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ア このプロジェクトのアローダイヤグラムを作成するためにはダミーが2本必要である。
イ このプロジェクトの所要日数は8日である。
ウ このプロジェクトの所要日数を1日縮めるためには作業Fを1日短縮すればよい。
エ 作業Eを最も早く始められるのは6日後である。
各選択肢は後ほど検討するとして、まずはアローダイヤグラムを書いてみましょう。先ほどまでと同様に、起点となる丸1を書き、先行作業なしが2つあるので矢印を2本引き、それぞれA3日とB4日と書きます。
続いて作業Cと作業Dの先行作業がAとなっていて、CとDはそれぞれその後の作業Eの先行作業にもなっているので、丸2から線を2本引いて、C3日とD2日と書けばよさそうですね。
でもこれだと実はまずいのです。

実はアローダイヤグラム作成のルールとして「1つの丸から並行して、同じ丸に矢印を向けてはいけない」というものがあるのです。これを避けるためには「ダミー」というものを用います。

丸2から丸4に対しては矢印を引き、丸4から丸5に対しては点線の矢印を引きました。この点線の矢印のことを「ダミー」と言い、ダミーは作業日数がゼロであると考えます。こうすることで、同じ丸から並行して2本の矢印を書くことを避けることができました。
それでは次の作業に移りたいところですが、作業Eの先行作業には作業Bも含まれるので、丸3と丸5も1つにまとめられそうですね。このように作業途中で気付いてやり直すというのはPERTの問題では頻繁に発生するので、何度も問題を解いて慣れるようにしましょう。

ここまでくれば、あとは簡単ですね。作業Eは先行作業がCとDなので丸4から矢印を伸ばし、作業Fは先行作業がDなので丸3から矢印を伸ばして丸5を終着点とすれば、アローダイヤグラムは完成です。
続いて、先ほど書いたアローダイヤグラムでクリティカルパスを把握します。丸1から丸2に対してはA3日、丸1から丸3に対してはB4日かかります。続いて丸4に対する経路は3つありますが、丸2の3日にC3日を足した6日が他の経路と比べて最も大きくなります。最後に丸5に至る経路は丸3からと丸4からがありますが、丸4からの6日に作業Eの3日を足した9日が最大になることがわかります。

こうしてピンク色で書かれた経路がクリティカルパスであり、このプロジェクトを完成させるには9日間を要することが分かりました。それでは、ここまでの内容を踏まえて選択肢を検討していきましょう。
✅ 選択肢ア:このプロジェクトのアローダイヤグラムを作成するためにはダミーが2本必要である
→ ダミーは1本しかないのでバツです。
✅ 選択肢イ:このプロジェクトの所要日数は8日である
→ 所要日数は9日間でしたのでバツになります。
✅ 選択肢ウ:このプロジェクトの所要日数を1日縮めるためには作業Fを1日短縮すればよい
→ 作業Fはクリティカルパス上の作業ではないのでバツです。逆に、クリティカルパス上の作業を1日短縮すれば、プロジェクトの期間も1日縮まることになりますので覚えておきましょう。
✅ 選択肢エ:作業Eを最も早く始められるのは6日後である
→ 作業Eは作業C完了後の6日後から作業開始なのでマルとなり、この問題の正解はエになります。
以上のように、PERTの問題は「アローダイヤグラムを書く」→「クリティカルパスを把握する」→「選択肢を検討する」の順で解くと比較的スムーズに解くことができます。
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まとめ
それでは本日の内容をまとめておきましょう。
PERT・アローダイヤグラムは、順序関係のある複数作業を効率よく実施するためのスケジュール手法で、試験では「プロジェクトの所要日数」や「クリティカルパス上の作業特定」がよく問われます。
① 起点となる丸1を書き、先行作業のない作業から矢印を引く
② 先行作業が2つある作業は、2つの丸を1つにまとめる
③ 1つの丸から並行して同じ丸に矢印を向けない(並行になる場合は「ダミー=点線・所要0日」で逃がす)
クリティカルパスの見つけ方は、丸の上にその作業が始められる「最も早い日数」を順に書き加え、最終丸の値が最大となる経路を選ぶだけ。これがプロジェクト全体の所要日数を決定する経路となります。
試験対策上は、クリティカルパス上の作業が遅れればプロジェクト全体も同日数遅れ、短縮できればプロジェクト全体も同じだけ短縮できるという性質を覚えておくことが特に重要です。
アローダイヤグラムは、一度しっかり手順を押さえてしまえばそこまで難しい論点ではありません。実際に与えられた表から一発でキレイなアローダイヤグラムを書くことは難しいので、複数の問題を繰り返し解いて、手を動かしながら覚えるのがおすすめです。それではまた次回お会いしましょう。
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