はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は経営情報システムから、「OSI基本参照モデル」をテーマに解説していきたいと思います。
OSI基本参照モデルは、ネットワーク全体を理解するための「地図」のようなもので、ここを押さえておけば、このあとに続く個別のプロトコルの話も頭に入ってきやすくなります。そういう意味で、まず最初に押さえておきたい、土台となる論点ですね。
内容自体は、図を使って一つひとつ整理していけば、そこまで難しいものではありません。この記事でも図解を交えながら丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
✓ プロトコルと「階層化」の考え方
✓ OSI基本参照モデルの7階層
✓ 各層とネットワーク機器の対応(リピータ〜ゲートウェイ)
✓ OSIモデルとTCP/IPの関係
プロトコルとは?
まず、すべての前提となる「プロトコル」という言葉から説明します。プロトコルとは、一言でいうと「通信規約」、つまり通信のルールのことですね。
パソコンやスマホの機種やOSが違っても、お互いに通信できるようにするための、世界共通のお約束、とイメージしていただければと思います。

例えば道路でも、それぞれが自分勝手なルールで車を走らせると、すぐに事故を起こしたり、なかなか前に進めず、目的地にたどり着けませんよね。
たとえ車種が違っても、電気自動車とガソリン車が混在していても、みんなが同じルールを守っているからこそ、事故なく目的地にたどり着けます。通信の世界でもこれと同じで、プロトコルがあるからこそ、情報が目的の場所にたどり着けるわけですね。
そして、ここでポイントになるのが「階層化」という考え方です。通信に必要な機能を、役割ごとにいくつかの層に分けて整理する、という発想ですね。
役割分担をしておくことで、一部の技術が新しくなっても、その層だけを差し替えればよく、全体を一から作り直す必要がなくなります。OSI基本参照モデルでは、プロトコルを階層化することで、情報がスムーズかつ確実に目的地までたどり着けるようにしているわけですね。
OSI基本参照モデルとは?
それでは本題のOSI基本参照モデルです。OSI基本参照モデルとは、コンピュータが通信を行う際の通信機能を、階層化して整理した考え方のことです。
具体的には、次のような7階建てで役割分担しています。ちなみに、ISO・国際標準化機構が策定したもので、これはあくまで「モデル」、つまり理想形の設計図です。

中身を軽く見ていきましょう。一番下の第1層が物理層で、物理的にどうつなぐかを担当します。第2層がデータリンク層で、同じLANの中でどう通信するか。第3層がネットワーク層で、LANとLANをどう中継するか。
第4層がトランスポート層で、通信の信頼性をどう確保するか。第5層がセッション層で、通信の開始から終了までの管理。第6層がプレゼンテーション層で、データの形式を定義します。そして一番上の第7層がアプリケーション層で、具体的なサービスの提供、ということになります。
7つもあると身構えてしまうかもしれませんが、全部を完璧に暗記する必要はありません。名称から、それぞれが「どんな役割の係なのか」というイメージを押さえていただければ十分です。
ネットワーク接続機器とOSI層の対応
続いて、ネットワーク機器と、先ほどのOSI層の対応関係を見ていきましょう。機器ごとに「OSIのどの層まで対応しているか」が違っています。
まず一番シンプルなのがリピータ(リピータハブ)です。これは第1層の物理層だけに対応する機器で、弱くなった電気信号を増幅して中継するだけの装置です。

次がブリッジ(スイッチングハブ)ですね。こちらは第1層と第2層、物理層とデータリンク層に対応します。データリンク層の宛先情報であるMACアドレスを見て、データフレームと呼ばれるデータのかたまりを中継する装置です。

続いてルータです。ルータは第1層から第3層、ネットワーク層まで対応します。ネットワーク層のプロトコルであるIPアドレスをもとに、データパケットを中継する装置ですね。

そして一番高機能なのがゲートウェイで、こちらは第1層から第7層、すべての層に対応します。トランスポート層以上で、プロトコルそのものが異なるLAN同士をつなぐ、という役割を担います。

ここで1つ、大事な考え方があります。上の層にたどり着くには、必ず下の階層を通る必要がある、という点です。
たとえばルータは3階のIPアドレスを見て配送先を決めますが、その階の情報にたどり着くには、まず1階で電気信号を受け取り、2階でフレームを開いてからでないと、中のIPアドレスは読み取れない、ということですね。
この各層と機器の対応関係は試験でも問われますので、考え方とあわせて覚えていただければと思います。

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OSI基本参照モデルとTCP/IPの関係
さて、ここまでOSI基本参照モデルを見てきましたが、これはあくまでモデル、理想形だとお伝えしました。実際の現場で使われているのは、TCP/IPと呼ばれる仕組みです。
OSIが7階層の「理想の設計図」だとすると、TCP/IPは、その設計図をもとに実際に動いている「現実の工場」のようなイメージですね。そして、TCP/IPは7層ではなく、次のように4階層に整理されています。

TCP/IPの各層の説明も図に記載していますが、試験対策上、この内容を押さえる優先度はやや低めです。また、OSIの7階層とTCP/IPの4階層の正確な対応関係まで、無理に覚える必要はありません。
ここでは、「OSIは理想形で、実際は4階層で運用されているんだ」という理解で十分です。この後にご紹介するプロトコルの中身を押さえることに注力した方が、得点の観点では効率が良いかと思います。
TCP/IPで使用されているプロトコル
では、実際に使われているTCP/IPの中身である、プロトコルを一覧で見てみましょう。TCP/IPでは、数多くのプロトコルが使われています。
先ほどの4階層に当てはめて整理すると、次のようになります。

ご覧の通り、本当に数多くのプロトコルが使用されており、このどれもが出題される可能性があります。ただ、この記事ですべてを解説すると混乱してしまうと思いますので、個別の中身については、また別の記事で丁寧に解説していきます。
今回は、「TCP/IPという仕組みの中に、層ごとに、これだけのプロトコルが住んでいるんだな」という全体像をつかんでいただければ十分です。
過去問を解いてみよう(令和5年度 第12問)
LANを構成するために必要な装置に関する以下のa~eの記述とその装置名の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a OSI基本参照モデルの物理層で電気信号を中継する装置。
b OSI基本参照モデルのデータリンク層の宛先情報を参照してデータフレームを中継する装置。
c OSI基本参照モデルのネットワーク層のプロトコルに基づいてデータパケットを中継する装置。
d OSI基本参照モデルのトランスポート層以上で使用されるプロトコルが異なるLAN同士を接続する装置。
e 無線LANを構成する機器の1つで、コンピュータなどの端末からの接続要求を受け付けてネットワークに中継する装置。〔解答群〕
ア a:ブリッジ b:リピータ c:ルータ d:ゲートウェイ e:アクセスポイント
イ a:リピータ b:アクセスポイント c:ゲートウェイ d:ルータ e:ブリッジ
ウ a:リピータ b:ブリッジ c:ルータ d:ゲートウェイ e:アクセスポイント
エ a:リピータ b:ルータ c:ゲートウェイ d:ブリッジ e:アクセスポイント
オ a:ルータ b:ブリッジ c:アクセスポイント d:ゲートウェイ e:リピータ
それでは、a〜eの記述を1つずつ、装置と結びつけていきましょう。
記述a:「物理層で電気信号を中継する装置」。物理層である第1層で、信号をそのまま中継するだけの機器はリピータですね。
記述b:「データリンク層の宛先情報を参照して、データフレームを中継する装置」。データリンク層の宛先情報といえば、MACアドレスのことです。MACアドレスを見てデータフレームを中継するのはブリッジ(スイッチングハブ)ですね。
記述c:「ネットワーク層のプロトコルに基づいて、データパケットを中継する装置」。ネットワーク層のプロトコルはIPアドレスを指します。それをもとにパケットを中継するのはルータでしたね。
記述d:「トランスポート層以上で使用されるプロトコルが異なるLAN同士を接続する装置」。トランスポート層より上まで対応して、プロトコルそのものが違うLAN同士をつなぐのは、一番高機能なゲートウェイでしたね。
記述e:「無線LANを構成する機器の1つで、端末からの接続要求を受け付けてネットワークに中継する装置」。これは、無線LANの親機にあたるアクセスポイントのことですね。
これらを正しく組み合わせているのは、a:リピータ、b:ブリッジ、c:ルータ、d:ゲートウェイ、e:アクセスポイントとなっている、選択肢ウがこの問題の正解となります。
この問題は、まさに今回学習した内容がそのまま問われています。機器の役割さえわかっていれば解ける問題ですが、過去には機器とOSI層の対応関係まで踏み込んで問われたこともあります。少なくとも、各機器の役割はしっかり押さえて試験に臨みましょう。
まとめ
それでは最後に、今回のまとめです。今回はOSI基本参照モデルについて学習しました。

通信機能の設計図がOSI基本参照モデルで、実務で実際に使われているのがTCP/IPなのでしたね。OSIは7階層の理想の設計図、TCP/IPはそれを現実に落とし込んだ4階層、という関係でした。
そして、それぞれの層には対応するネットワーク機器があり、TCP/IPの各層には、数多くのプロトコルが存在している、ということを確認してきました。
この論点は取っつきにくいうえに覚えることも多く、苦手意識を持たれる方が多いと思います。ですがまずは、「パソコンやスマホでちゃんと通信するために、いろいろとルールを定めているんだな」という全体像を押さえるところから始めていただければと思います。
次回以降、より詳細なプロトコルの内容も解説していきます。ぜひ過去問とこの記事を相互に確認しながら、理解を深めていただければと思います。
それでは今回の記事はここまでとしたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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