本ページでは、たかぴーのオリジナル事例文①事例Ⅲの解答解説を行っています。
手元に与件文・解答例がある前提で記事を記載しておりますので、まだ購入してない方は下記リンクよりお買い求めください。
第1問
C社の強みを短い字数で複数書き出したい。
技術力や細かなニーズへの対応力など、C社の人材面・サービス面の強みの他、高品質や環境配慮製品などの商品面にも触れておきたい。
また、自社ECサイトの存在は既存顧客からの人気を集め、市場縮小の中でも売上維持に貢献していることから、C社の強みと考えられる。
以上、模範解答は、人材面・サービス面・商品面・流通面の観点で指摘した。
第2問
デジタル化・IT化ときたら、まずはDRINKのフレームワークを想起したい。
DRINKとは、以下の頭文字を取っている。
– D:データベース化
– R:リアルタイム化
– I:一元管理
– N:ネットワーク化
– K:共有化
IT化を進める際は、「データベースを構築し、情報を一元管理する。ネットワークを通じて情報をリアルタイムに共有する。」と良いとされている。
このフレームワークを基本としながら、C社の状況に合わせて回答を検討したい。
設問で問われているのは、”製品在庫および部品在庫”の最適化のためのデジタル化なので、それぞれの在庫について検討する必要がある。
まず、製品在庫については、与件文に「生産品目や在庫状況についての情報共有はいまだ紙ベースで行われている」と記載があるので、これらの情報はデジタル化したい。
さらに、受注情報もないと、今の在庫で対応できるか、また、どのくらい追加生産すべきか判断ができない。
同じ理屈で、部品在庫の面でも、部品在庫の状況や発注情報は必要であろう。また、生産計画の連携が無ければ、必要な分の部品発注もできない。
C社にも他にもデジタル化すべき情報はあるが、設問要求では、「在庫最適化のために優先的に整理すべき情報」としているので、模範解答では上記だけに限定している。
必要な社内活動については、DRINKのフレームワークに沿えば、大外しはしない。
「連携強化」の観点を盛り込みたいが、与件文では工場間・工程間の連携不足が指摘されているので、それぞれを明示して言及したい。
データベース化を行う際は、情報の整理・ルール化も重要である。
フォーマットを決めずに無秩序な形でデータが送られても、情報の受け手は上手く情報を拾えず、検索性も悪い。
さらに形だけ整えても、デジタル化に関する教育を実施しなければ、従業員の働き方は変わらずに終わる可能性が高い。
上記についても対応する必要がある。
第3問
シャープペンシル生産工程の課題・対応策を、”IoT対応の設備導入以外”の観点で述べる問題。
与件文には、「昨今のIoTやAIの進展に対応できておらず、データ収集や分析に時間を要している。」という問題の記載があるが、これに関連する問題は、設備導入で解決されると考えてよい。
その他にシャープペンシル生産工程の問題点を与件文から探してみると、「設備の段取り替えに時間がかかり、多品種少量生産への対応に苦慮」「ベテラン技術者の高齢化が進み、退職者が増えているため、品質のばらつきが課題」と記載がある。
ここで重要なのが、因果関係の把握である。
・(原因) 段取り替えの長期化 → (結果) 多品種少量生産へ苦慮
・(原因) ベテラン技術者の高齢化 → (結果) 品質のばらつき
上記の通りなので、課題は(結果)を解決すること、対応策は(原因)を解決する施策とまとめるとよい。
段取り時間削減は、外段取化、シングル段取り化など、考え得る手段を自由に記載して構わない (与件文に確信を突く記載がないため)。
ベテラン技術者の高齢化に対しては、既に育成プログラムが組まれているが、効果測定等ができていないため、これに対応する必要がある。
その他、可能な限り作業の標準化・マニュアル化を進め、OJTを実施することも若手の作業品質向上→品質ばらつき削減に対しては効果が見込める。
なお、育成プログラムにはOJTが含まれる可能性があるので、OJTの解答優先度は高いわけではない。
第4問
新製品開発について問われている。
与件文から関連のありそうな記載を探すと、自ずと回答の方向性が見えてくる。
・競合他社も同様にこの需要に着目しているため、自社ならではの独自性を出していきたいと考えている
→ C社の強みを活用することで、独自性を出すべきと考えられる
・試作品開発システムを導入し、製品開発期間の短縮を計画している
→ 市場ニーズが変化する中で、開発期間を短縮することで、試行錯誤の回数を増やす狙いと読み取れる。この取り組みは進めていくべきだろう。
さらに、新製品開発ときたら、「顧客ニーズの把握」 は脊髄反射レベルで想起したい。
その際、C社はECサイトで最終消費者との直接接点を持っているため、これも活用すべきだろう。
もちろん単に顧客ニーズを把握するだけでなく、製品開発にニーズを把握する方向で回答を作成したい。
第5問
まず、広く多角化戦略の利点・欠点を問われれていると解釈すると、売上拡大・経営リスク分散がメリットとして挙げられる。
逆にデメリットは経営資源が分散するすることであろう。もちろん失敗のリスクもあるので、この点も考慮する必要がある。
なお、正確にはこのグローバル化は新市場開拓戦略であるが、上記メリット・デメリットはそのまま当てはまるものと考えられる。加えて、シナジーが発揮できる可能性があることも利点として記載できそうだ。
妥当性の判定については、C社社長が開拓したいと考えてる時点で、「妥当性あり」寄りで考えたい (あくまで試験対策として)。
そもそもできない理由を挙げるとキリがないので、問題として成立しない、というのもある。
さて、妥当性は、「機会はあるのか」「その中で、C社の強みが生きるか」の観点で検討したい。
与件文には、「世界の文具製品市場は成長」していると記載があるので、外部環境としては良好だ。
また、「日本製ブランドに根強い人気がある」「海外展開においては、世界的に広がりを見せる環境配慮の取り組みに加え、国ごとに文具のニーズが異なるため、各国の状況に合わせてローカライズしていく必要がある。」と記載があるため、
「日本企業であるC社」が「細かなニーズへの対応力」を生かした「環境配慮型製品」を投入することで、C社の強みを生かして、独自のポジションを築くことができそうだ。
なお、模範解答で妥当性なしの根拠を挙げているが、これも海外展開できない理由として決して間違いではないため、加点される可能性はある。