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官僚制の逆機能とは?組織サイクルモデルを解説します!/企業経営理論/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回は組織のライフサイクルモデルと官僚制組織をテーマに解説したいと思います。

論点自体はそこまで難しいものではありませんが、本試験では難しい問われ方をするので、過去問演習で手こずる方も多いかと思います。

この記事で内容をしっかりと理解した上で、一緒に過去問を解きながら理解を深めていただければと思います。

YouTube動画でも解説中!

組織のライフサイクルモデルとは?

今回学習する組織のライフサイクルモデルとは、組織の成長に対応して、組織の在り方の変化パターンを説明したモデル・考え方です。

組織は創業者によって起業された企業者段階から、企業が成長するにつれ、共同体段階、公式化段階、精巧化段階と組織の在り方が変化すると言います。

組織のサイクルモデルとは?

起業者段階
まだ会社ができたばかりなので、創業者が中心で経営が行われ、組織や社員を管理するという考え方に乏しく、その代わり意思決定が早いという特徴があります。

共同体段階
まだ会社ができたばかりなので、創業者が中心で経営が行われ、組織や社員を管理するという考え方に乏しく、その代わり意思決定が早いという特徴があります。

公式化段階
ルール・規律が整備され、社内外における手続きが重視されるようになります。
こうすることで、公平性の担保や効率化、責任の所在の明確化といったことができるようになるわけですね。
一方で、柔軟性が失われ、意思決定も遅くなってしまうというデメリットもあります。

精巧化段階
公式化段階の硬直的な状況を脱却するため、精巧化段階では、部門を細かく分割したり、プロジェクトチームを設立したり、組織文化を変革を図ったりすることで、柔軟性を確保する動きを取るようになります。

組織サイクルモデルは、以上のような流れで組織が発展していくとした理論なわけですね。
ご自身が務めている会社が当てはまる段階から覚えていくと、比較的頭に入りやすいかと思います。

官僚制組織と官僚制の逆機能

続いて、官僚制組織と官僚制の逆機能です。

官僚制組織とは、合理的で明確な役割や責任、正式なルール・手続きに基づいて運営される組織のことです。
先ほどの公式化段階での組織形態と考えていただいて差し支えないかと思います。

このような官僚制組織には特徴があります。

官僚制組織の特徴

組織構造はピラミッド型の階層的な組織構造で、専門化と分業による効率化、規則・手続きによるリスク回避が徹底されています。
また、文書による記録・伝達を行うことで、責任の所在も明確です。

ここで勘違いして欲しくなのは、官僚制組織それ自体は何も悪いことではありません。
特徴として挙げた各項目は、より良い組織運営の上では大切なことです。
ただし、この官僚制組織の考え方が過度に浸透してしまうと、弊害が生じます

その弊害を官僚制組織の逆機能というわけですね。
逆機能とは、デメリットのことです。

官僚制組織の逆機能

具体的には、規則にしたがった行動しか取れなくなる「訓練された無能」と呼ばれる社員が出現したり、規則順守が目的化してしまう「目的の置換」といった現象が生じてしまったりします。
端的に言うと、柔軟性・革新性が失われて、頑固おやじのような組織になってしまうわけですね。

このような逆機能を防ぐためには、どのようにすればよいのでしょうか?

官僚制の逆機能を克服するためには?

官僚制組織の逆機能を克服するためには、組織構造や業務プロセスの変革が必要だと言われています。

組織構造の変革としては、組織構造をフラットにしたり、マトリックス組織を導入したり、プロジェクトチームを編成することが有効だとされています。

組織構造の変革

プロジェクトチームは、特定の経営課題を解決するために、部門横断で専門化が集められたチームのことです。
プロジェクトが完了したら解散する一時的な小規模チームで、意思決定が早く、柔軟な対応が可能というメリットがあります。

業務プロセスの変革の面では、リエンジニアリングが代表的です。

業務プロセスの変革

リエンジニアリングとは、業務プロセスを抜本的に見直し、再構築することで、毎日出社必須だった勤務形態から、リモートワークを導入するといったイメージですね。

これだけでなく、煩雑な手続きを撤廃・簡略化することも逆機能の克服には重要です。
こういった業務プロセスの変革には、情報共有・情報活用の高度化やIT化が必要と言われています。

この辺りはやや細かいので、とにかく逆機能の克服には組織構造面・業務プロセス面での変革が必要だということを覚えておきましょう。

過去問を解いてみよう (平成28年度 第14問)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

官僚制の逆機能といわれる現象に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求める、グレシャムの法則。

イ 規則や手続きそのものを絶対視するような態度が、杓子定規な画一的対応を生み出す、形式主義。

ウ 組織全体の利益よりも、自分が所属する部局の利益を優先する、セクショナリズム。

エ 膨大な手続きと書類作成に煩わされる、繁文縟礼(はんぶんじょくれい)。

オ 本来は手段にすぎない規則や手続きが目的に転じてしまう、目的置換。


官僚制の逆機能に関する問題で、不適切なものを選びます。

答えは選択肢アで、官僚制の逆機能では、革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求めるのではなく、日常のルーティーンに忙殺されるあまり、革新的な取組ができないのです。

何も革新的な取組に抵抗する手段として、規則・規範の順守をしているわけではないというわけですね。
選択肢イからオは正しい記述ですので、改めて確認しておきましょう。

なお、グレシャムの法則や繁文縟礼 (はんぶんじょくれい) といった用語は、受験生を惑わせるための記載なので、個別に内容を確認して覚える必要はありません。
それ以外の記載で十分正誤判断できる内容となっています。

とはいえ、この問題は比較的難しいですね。
間違えてしまった方はあまり落ち込まず、逆機能の理解を深められたと前向きにとらえていただければと思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回は組織のサイクルモデルを学習しました。

組織サイクルモデルとは、組織の成長に対応して、組織の在り方の変化パターンを説明したモデルのことで、具体的には、企業の成長に合わせて起業者段階から精巧化段階を辿るのでしたね。

組織サイクルモデル_まとめ

公式化段階では、官僚制組織と呼ばれる組織形態となり、それが行き過ぎると官僚制の逆機能という様々な弊害が生れるため、精巧化段階では、組織構造や業務プロセスの変革によって、逆機能を克服するのでした。

この全体像を押さえておきながら、問題演習を繰り返して、正誤判定できる力を養っていただければと思います。

はい、というわけで、今回は組織のライフサイクルをテーマに解説してみました。

個人的にこの論点で面白いと感じている部分は、どのような組織であっても、一旦は官僚制組織を目指すべき組織として置かれている点です。

官僚制組織と聞くとネガティブなイメージしかないのですが、組織の効率的な運営なために必要な考え方が詰まっています。

逆機能が悪なので、メリット・デメリットをしっかりと切り分けて中小企業に助言できるようになりたいですね。

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ABOUT ME
たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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