はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回はネットワークの基本論点について解説していこうと思います。
ネットワーク関連は、経営情報システムの試験でも頻出のテーマとなっており、特に無線LANやWANのセキュリティについては、実務においても役立ちます。
この動画を見れば、ネットワークの基礎をしっかりと押さえられる内容になっていますので、ぜひ最後までご視聴ください。
ネットワークの全体像
まずはネットワークの全体像を確認してみたいと思います。
ネットワークにおけるLANとは、限られた範囲内でPCや機器が接続されたネットワークのことで、LAN同士を繋いだものをWANといいます。
例えば、ある会社の本社では、様々なPCやサーバーがネットワークで接続されています。
このような限られた範囲内で機器が接続されているネットワークをLANと言います。

また、この会社では支社でも同じようにLANが構築されているとします。
この本社と支社のネットワークを、上図のように専用回線などでつなげたものをWANと言うわけですね。
WANを構築することで、本社から支社のネットワークやサーバーにアクセスできたり、逆に支社から本社にアクセスすることができるようになるわけです。
このネットワークを構築するために使用される接続媒体としては、より対線や光ファイバーなどがよく使われます。
より対線はいわゆるLANケーブルでよく使われるもので、光ファイバーは近年導入数を増やしている超高速通信を可能にする接続媒体です。
このような有線接続の他にもWi-FiやBluetooth、赤外線通信を行うIrDAや、タッチ決済を行う際に利用されるNFCなどの無線通信もよく利用されます。
最近では、無線通信が主流になってきており、試験でもよく出題されるところですので、この辺をさらに深掘っていきたいと思います。
無線LANの規格
無線LANの規格としては、Wi-FiとBluetoothがよく出題されます。
まずWi-FiについてはIEEE802.11シリーズの規格となっています。
ちなみにIEEEとは、通信規格に関する業界団体のようなものです。

IEEE802.11bからaxまで様々な規格が存在していますが、上図の左から右にいくにつれて、伝送速度が速く、新しい規格となっています。
周波数については、昔の規格では2.4GHzのみでしたが、最近のものは2.4GHzと5GHzなどが選べる形式が主流になってきています。
Wi-Fiで使われているアクセス制御方式はCSMA/CA方式が利用されています。
これは、常に他の端末がデータを送信中かを確認し、他の端末の送信完了まで待ってからデータを送信するような制御方式です。
端末同士が同時にデータを送信しようとすると、データ同士がぶつかってうまく送信できない場合があるため、このような方式をとっています。
細かいシリーズ名と周波数の対応づけを覚えるのは大変ですので、ここでは過去の規格では2.4GHzのみで、最近は5GHzも選べるようになっていること、それからアクセス制御方式としてCSMA/CA方式を利用していることだけは覚えておくようにしましょう。
続いてBluetoothです。
BluetoothはIEEE 802.15.1という規格となっています。

Bluetoothの周波数は2.4GHzです。
試験対策上、Bluetoothは、この周波数だけは覚えておくようにしましょう。
ちなみに、電子レンジの周波数は2.4GHzで、周波数が近い機器同士を同時に使用すると、お互いが干渉する可能性があります。
そのため、2.4GHzのWi-Fiを利用している際に電子レンジを使用すると、接続が不安定になったりします。
こういった干渉を避けるために5GHzが追加されたWi-Fi規格が登場しました。
また、Bluetoothに関しては、電子レンジなどの干渉を避けるために周波数ホッピング機能が搭載されています。
この機能を利用することで、電化製品利用中も接続が悪くなることを防いでいるわけですね。
このように電子レンジによる干渉についても過去に出題されたことがありますので、念のためチェックしておきましょう。
無線LANの接続形態
続いて、無線LANの接続形態についてです。
無線LANにおける端末同士の接続方法として、アドホックモードとインフラストラクチャーモードの2種類があります。
まずアドホックモードは、無線LAN端末同士が直接接続する方式のことをいいます。
例えば、パソコンとプリンターがWi-Fiを使って直接接続されているようなイメージです。
ちなみにアドホックとは「暫定的」という意味の言葉です。
一時的にパソコンと他の機器を直接接続して利用しているようなイメージを持っておきましょう。
続いてインフラストラクチャーモードは、アクセスポイントを介して接続する方式です。
具体的には、Wi-Fiルーターを経由してパソコンとプリンターを接続するようなイメージですね。
インフラは「基盤や設備」を表す言葉ですので、この場合のインフラはルーターを指していると覚えておきましょう。
ご自宅のプリンターをルーターと接続した記憶がある方は、インフラストラクチャーモードを利用していると考えてよろしいかと思います。
WANのセキュリティ
最後にWANのセキュリティについて解説します。
WANは、複数拠点のLANを接続したネットワークのことでしたが、拠点間を安全に通信するために専用線やVPNを利用することがあります。
まず専用線は、特定顧客専用の通信回線を指します。
先ほど、上記のようなネットワークのイメージ図を紹介しましたが、この2拠点間をつなぐ回線で自社専用のものを用意するようなイメージですね。
こうすることで、完全に自社専用のネットワークを構築でき、自社にしかアクセスできない環境を作ることができるため、非常に安全性が高いですが、高コストであることがデメリットとなります。
高いセキュリティが求められる大手金融機関やデータセンターなどが利用しているイメージですね。
一方で、VPNとは共用回線内の仮想的な専用回線を指します。
例えば、インターネットなどのオープンなネットワークの中で、トンネリングという技術を使って、赤線で示したように仮想的な専用線を用意するようなイメージです。
既に構築されている共用回線を利用するため、比較的安価に導入することができ、単純なオープンな回線と比較すると安全性も担保されるというメリットがあります。
セキュリティに対する意識が強い企業にお勤めの方は、会社のパソコンでインターネットに接続するときにVPNを使用しなければ、ネットが使えないような状態になっているかと思います。
VPNによる仮想的な専用回線を用いることで、インターネット経由でのサイバー攻撃から、自社ネットワークやPCを守っているわけですね。
過去問を解いてみよう (平成22年度 第7問)
それでは、ここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
ノートPCやモバイル機器を事業所内の様々な場所で利用してインターネットに接続したり、プリンタや共有ディスクを様々な場所から利用したりするなど、柔軟な情報設備利用を行いたい場合、無線LANを利用することも多い。この無線LANに関する記述として最も適切なものはどれか。
ア マウスやキーボードの接続に利用されるBluetoothは、無線LANが採用しているCSMA/CA方式のプロトコルを使用しているので、遠隔地にあるPCへのデータ入力や各種の操作が可能である。イ 無線LANではUHF帯の電波を利用しているので、地上デジタル放送の電波を利用して通信が可能である。
ウ 無線LANのアクセスポイント設置には、最低1つのIPアドレスが与えられた有線LANのノードが必要で、無線LANのアクセスポイント同士を中継して到達距離を延ばすことはできない。
エ 無線LANの通信方法にはPC等の機器同士が直接通信するアドホックモードと、アクセスポイントを介して機器同士が通信するインフラストラクチャモードがある。
無線LANに関して正しい記述を選ぶ問題ですね。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
✅選択肢ア
CSMA/CA方式を採用しているのはIEEE802.11であるWi-Fiでしたので、誤りとなります。
✅選択肢イ
無線LANで使用している周波数は、2.4GHzや5GHzでした。
地上波デジタル放送とは異なる周波数を利用しているため、誤りとなります。
✅選択肢ウ
これはブリッジタイプの機器を使うことで延長可能ですので誤りとなります。
ここはやや細かい知識でしたので、実際の試験対応上は、保留にしても良いかもしれませんね。
✅選択肢エ
これは正しい記述ですね。
したがって、この問題の正解は選択肢エとなります。
無線LANは皆さんも日常的に利用する通信手段ですので、今後も出題頻度は高いと予想しています。しっかりと復習しておきましょう。
過去問を解いてみよう (平成27年度 第10問)
今回はもう1問解いてみたいと思います。
近年、情報ネットワークが発展・普及し、その重要性はますます高まっている。そのようなネットワークに関する以下の文章の空欄A〜Dに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ある限られたエリアの限定的なネットワークである 「A」 から、別の 「A」 のユーザにアクセスしようとすれば、 「A」 同士をつなぐ 「B」 と呼ばれるネットワークが必要となる。一方、ユーザ同士を電話回線などを利用して単に結びつけるだけでなく、コード変換などのサービスも提供しようとしたのが 「C」 と呼ばれるサービスである。現在のネットワークの普及には、インターネットの登場が大きな影響を与えた。「B」 や 「C」 が提供する通信サービスもインターネットで代替できるようになり、安価かつ容易に広範囲な情報ネットワークを構築できるようになった。しかし、インターネットには通信のセキュリティの問題がある。遠隔の複数の拠点にまたがる組織の拠点間の通信セキュリティを高めるために利用できる技術として 「D」 などが知られている。
ア A:LAN B:WAN C:EDI D:IPS
イ A:LAN B:WAN C:VAN D:VPN
ウ A:WAN B:LAN C:EDI D:VPN
エ A:WAN B:LAN C:VAN D:IPS
ネットワークに関する用語の、穴埋め問題ですね。
まず空欄Aですが、「限定的なネットワークである」とありますので、ここには「LAN」が当てはまりますね。
また、LAN同士をつないでいるネットワークはWANと呼ばれるので、空欄Bには「WAN」が入ります。
次に、空欄Cですが、「コード変換などのサービスも提供するもの」とあります。
これは「VAN」が該当しますが、やや細かい論点なので、試験対応上は飛ばしてしまって良いかと思います。
最後に空欄Dですが、「拠点間の通信セキュリティを高めるために利用できる技術」とありますので、ここには「VPN」が入りますね。
「LAN」「WAN」「VPN」の3つの用語をしっかり押さえておけば、選択肢イが正解だと分かるかと思います。
用語の意味さえわかるだけで正解できるので、ぜひ正答しておきたい問題でしたね
まとめ
それでは最後にまとめです。
今回はネットワークの基礎用語について確認しました。
ある限定的な範囲で利用されるネットワークのことをLANと呼び、LAN同士をつないだものをWANと呼ぶのでしたね。
WANに関しては、セキュリティを強化するためにVPNが利用されることが多いです。

また、LANの接続方法には、有線接続と無線接続があり、Wi-FiやBluetoothがよく利用されています。
Wi-Fiの周波数は2.4GHzや5GHzが利用され、アクセス制御方式としてCSMA/CA方式が採用されています。
また、通信方法としては、アドホックモードとインフラストラクチャーモードがあることも押さえておきましょう。
Bluetoothについては、2.4GHzの周波数帯を利用しており、電子レンジなどの干渉を防ぐために周波数ホッピング機能が搭載されていることもポイントです。
まずは、このまとめに記載している基本概念をしっかり理解して、余裕があればさらに細かい技術や機器についても学んでいきましょう。
はい、というわけで、今回はネットワークに関する基礎論点について確認しました。
ネットワークで使用されるその他の機器や通信技術について、まだ解説しきれていない部分もあるので、別途ご自身でお持ちの教材などで確認してみてください。
ご要望があれば、そういった細かい論点についても解説動画を作成していきたいと考えていますので、よろしくお願いします。