はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は「モデリング技法」をテーマに解説していきたいと思います。
DFDやE-R図、UMLのクラス図やシーケンス図など、覚える図がたくさんあって苦手意識を持たれている方も多いのではないでしょうか。ですが実は、それぞれの図が「何を記述するか」を正確に押さえれば、十分に得点源にできる論点です。
この記事一本で、モデリング技法の全体像をスッキリ整理していきましょう。ぜひ最後までお読みください。
✓ DFD・E-R図・UMLの違いと使い分け
✓ UML代表5図(クラス・ユースケース等)の役割
✓ クラス図とE-R図の見分け方
✓ 令和3年度第14問の解き方
モデリング技法の全体像
まず、今回学習するモデリング技法とは何かを確認しましょう。モデリング技法とは、システムの設計図を描くための表記方法のことです。
設計図にはいくつかのアプローチがあるのですが、大きく3つに分類できます。

1つ目はPOA、プロセス中心のアプローチです。こちらはデータの「流れ」に着目して設計図を描くアプローチで、対応する図式化技法がDFDとなります。
2つ目はDOA、データ中心のアプローチです。こちらはデータの「構造」に着目して設計図を描くアプローチで、対応する図式化技法がE-R図ですね。
3つ目はOOA、オブジェクト指向アプローチです。こちらはデータと処理をまとめて扱うアプローチで、対応する図式化技法がUMLとなります。
正直、試験対策上、この辺りは聞き流してもらって構いません。システムの設計図には大きく分けると3種類あるんだなという程度の理解で十分です。これから説明する、具体的な設計図の内容をしっかりと押さえるようにしましょう。

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DFDとは?
それではDFDから内容を確認しましょう。DFDとは、Data Flow Diagramの略で、データの流れと処理の関係を表す図のことです。
DFDで使う記号は次の4つです。記号の具体的な意味を理解するというより、DFDでは、4つの記号でデータの流れを表すということが分かっていればOKです。

実際にDFDの記号を使って表したシステム図が以下の通りです。

顧客が□で表されていますので、これがデータの発生源を表しているわけですね。そこから矢印で表されているのが、データの流れです。
顧客から注文データが流れて、受注入力が行われていますが、受注入力は○で表されているので、データ加工を表しています。受注入力した情報は受注ファイルに流れていますが、これは二重線で表されているのでデータベースを表しています。
以上の通り、この図を見ると、顧客の注文が受注入力プロセスで処理されて、受注データとして受注ファイルに蓄積され、さらに在庫確認プロセスで在庫ファイルを参照する、という流れが読み取れるわけです。
DFDでは、このようにデータがどこからどのように流れていくのか、ということに着目して設計図として起こしています。

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続いてE-R図です。E-R図は、エンティティとリレーションシップでデータ構造を表す図です。
聞きなれない言葉が出てきたので、ここで心が折れる人が多いと思いますが、安心してください。そこまで難しい話ではありません。要は2つの関係性を表した図だと思ってもらえれば大丈夫です。
まず、E-R図を構成する要素は3つあります。

エンティティは、ヒトやモノの集まりを表します。社員、部署、商品といったものが該当しますね。
次にリレーションシップは、エンティティ間の関連を表します。「所属する」や「購入する」といった関係のことです。
最後にアトリビュートは、エンティティの属性です。社員番号や氏名といった、エンティティが持つ情報のことですね。
実際に図で表してみると、以下のような形になります。

社員と部署が「所属する」というリレーションシップでつながっています。この社員と部署がエンティティと言われるもので、関係性を示したい対象物です。要は、右側の部署に社員が所属しているという関係性を表しています。
社員の下の社員番号・氏名・役職が、その社員の属性を示すアトリビュートというわけですね。
ここで「n」と「1」という数字が書かれていますが、これは多重度と呼ばれるもので、エンティティ間の数量関係を示しています。この例では、1つの部署に対して複数の社員が所属する「n対1」の関係を表しているわけですね。
多重度には「1対1」「多 対 1」「多 対 多」の3つのパターンがありますので、念のため押さえておきましょう。
UMLとは?
さて、ここからは本題のUMLについて解説していきます。UMLとは、Unified Modeling Languageの略で、オブジェクト指向開発における統一的な設計図の表記法です。

以前はオブジェクト指向の設計表記法が50以上も乱立していたのですが、1997年にOMGという業界団体が標準として認定したことで、1つに統一されました。これによって、共通の設計図を使ってコミュニケーションができるようになったわけですね。
また、UMLはあくまで表記法であって、開発手法ではありません。つまり、図の書き方のルールを定めているだけで、どの開発工程でどの図を使うべきかまでを示したものではないというわけです。この辺りはふーん、と聞き流してもらって構いません。
UMLには多くの図がありますが、今回は試験で問われやすい5つのダイアグラムに絞って解説したいと思います。

こちらの表で示した通り、大きくシステムの「構造」を表す図と「振る舞い」を表す図に分類できます。構造を表す図はクラス図、振る舞いを表す図はユースケース図・シーケンス図・アクティビティ図・ステートマシーン図の4つですね。詳しい内容を、それぞれ見ていきましょう。
ユースケース図とクラス図
まずはユースケース図とクラス図です。ユースケース図はシステムの機能、クラス図はデータ構造を示した図です。
まずはユースケース図ですね。こちらは、システムが提供する機能を、ユーザ視点で記述する図です。具体的には、以下のような形ですね。

図書館管理システムに対して、利用者が「本を検索する」「本を貸し出す」といった機能を利用し、職員が「蔵書を登録する」「返却を処理する」といった機能を利用する関係が描かれていますね。
左右の棒人間をアクター、楕円で囲まれた部分をユースケース、全体を囲む四角をシステム境界と呼びます。この辺りの細かい用語は押さえる必要はありませんので、ユースケース図は「システムの機能」を記述する図であるという点をしっかりと覚えておきましょう。
続いてクラス図です。クラス図は、概念間の関連を記述する図で、E-R図とほぼ同じです。具体的には、以下のような形です。

社員クラスと部署クラスが所属という関係で結ばれています。各クラスには、社員IDや氏名などの属性が記載されている点も、E-R図と同じですね。
E-R図との違いは、クラス図ではデータだけでなく、そのシステムで行う「操作」も記述できる点です。社員クラスに「部署を異動する()」という操作が書かれていることが分かるかと思います。この部分が社員クラスで行われる操作を表しています。
ちなみに、操作の末尾に付いている()は、それが処理であることを示す記号です。
クラス図で試験上押さえておきたいのが、多重度の読み方です。社員側に「0..*」、部署側に「1」と書かれています。
まず、部署側の「1」は、社員から見て「必ず1つの部署に所属する」という意味で、社員側の「0..*」は、部署から見て「0人以上の社員が所属する」という意味ですね。つまり、社員は必ず1つの部署に所属しているが、1人も所属していない部署が存在する場合がある、ということを表しています。
各数値の記号と組み合わせの読み取り方は、図中グレーで書いた通りですので、余裕のある方は押さえていただければと思います。
シーケンス図・アクティビティ図・ステートマシーン図
続いて残りの3つの図を確認しましょう。シーケンス図は時系列のオブジェクト間の相互作用、アクティビティ図が実行順序、ステートマシーン図は状態遷移を表した図です。
まずシーケンス図から確認しましょう。シーケンス図は、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列に記述する図です。具体的には、以下のような形ですね。

顧客・注文・商品という3つのオブジェクトが並んでいます。オブジェクトとは、データのかたまりというイメージで大丈夫です。
ここでは、顧客データが注文データに「合計金額取得()」を依頼し、注文データが商品データに「単価取得()」を依頼するという流れが上から下に描かれています。細長いボックスは活性区間と呼ばれ、そのオブジェクトが処理中であることを示しています。
以上のように、シーケンス図では、オブジェクトと呼ばれるデータ間で、どのように相互作用が行われ、時系列で処理が進んでいくのかを記述しています。
次にアクティビティ図です。アクティビティ図は、業務や処理の実行順序を記述する図で、いわばUMLのフローチャートです。具体的には、以下のような形ですね。

メールを確認して、新着があれば返事を書く、なければ削除する、という処理の流れが描かれています。
最後にステートマシーン図です。ステートマシーン図は、オブジェクトの状態と遷移を記述する図です。状態遷移図とも呼ばれますね。具体的には、以下のような形です。

ここでは、ECサイトの注文から配送までのシステムの状態遷移を表しています。注文が「注文受付」→「支払い待ち」→「発送準備中」→「配送中」と、状態が変化していく様子が描かれていますね。
アクティビティ図やステートマシーン図は、図を見ればすぐに内容を理解できる簡単なものです。試験では名称を見ただけで、どんな図であったかを思い出せることが重要ですので、ぜひ図の名称と内容を紐づけて覚えておきましょう。
過去問を解いてみよう(令和3年度 第14問)
それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
UMLのダイアグラムに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア アクティビティ図は、対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現するダイアグラムである。
イ オブジェクト図は、概念・事物・事象とそれらの間にある関連を表現する。
ウ シーケンス図は、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列的に表現するダイアグラムである。
エ ステートマシーン図は、活動の流れや業務の手順を表現する。
オ ユースケース図は、システム内部の振る舞いを表現するためのもので、オブジェクトごとの状態遷移を表現する。
UMLのダイアグラムに関する問題ですね。選択肢を1つずつ見ていきましょう。
まず選択肢アです。「アクティビティ図は、対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現するダイアグラムである」とありますが、システムと利用者のやり取りを表現するのはユースケース図ですね。アクティビティ図は処理の実行順序を記述する図ですので、選択肢アは誤りです。
続いて選択肢イです。「オブジェクト図は、概念・事物・事象とそれらの間にある関連を表現する」とありますが、これはクラス図の説明です。オブジェクト図は、ある時点のオブジェクト間の具体的な関係を表現する図ですので、選択肢イも誤りとなります。
次に選択肢ウです。「シーケンス図は、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列的に表現するダイアグラムである」とありますが、これはまさにシーケンス図の説明そのものですね。選択肢ウは正しい記述です。
念のため、残りの選択肢も確認しておきましょう。選択肢エでは「ステートマシーン図は、活動の流れや業務の手順を表現する」とありますが、活動の流れや業務の手順を表現するのはアクティビティ図ですので、誤りです。
最後に選択肢オです。「ユースケース図は、システム内部の振る舞いを表現するためのもので、オブジェクトごとの状態遷移を表現する」とありますが、状態遷移を表現するのはステートマシーン図ですね。ユースケース図はシステムの機能を記述する図ですので、選択肢オも誤りです。
というわけで、選択肢ウがこの問題の正解となります。
ご覧の通り、各図の説明を入れ替えて出題するパターンが典型ですので、どの図が何を記述するかをセットで覚えておくことが重要ですね。ぜひ他の年度の過去問にもチャレンジして、理解を深めていただければと思います。
まとめ
それでは最後にまとめです。今回は、DFD・E-R図・UMLの各ダイアグラムについて解説してきました。

試験対策上最も重要なのは、「分類」「図の名前」「何を記述するか」の3点をセットで確認することです。表に全体像を整理していますので、こちらをしっかり確認しておきましょう。
この論点は、丸暗記で済ませるのではなく、それぞれの図がどんな場面で使われるのか、何を表現しているのかをイメージしながら覚えていただくと、応用問題にも対応しやすくなります。
図の種類が多くて圧倒されてしまいがちな論点ではありますが、今回解説した5つのUML図を中心に押さえておけば、試験対策としては十分だと思います。あとは過去問を繰り返し解いて、各図の違いを瞬時に判断できるようにしておきましょう。
今回登場したE-R図やクラス図と密接に関連する論点として、データベースの「正規化」があります。第1〜第3正規形までを図解で解説していますので、合わせてご覧ください。

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