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GDPとは?NDP・GNIなどその他指標との違いを解説します!/経済学/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回はGDPをテーマに解説していこうと思います。
これまでミクロ経済を中心に解説してきましたが、今回からマクロ経済を本格的に扱っていきたいと思います。

マクロ経済では、GDPをいかに増やすかということを大きな目的として考えますので、今回はマクロ経済の基礎中の基礎というわけですね。

とはいえ、今回解説する内容は、試験に問われる内容が含まれますので、しっかりと押さえていただければと思います。

YouTube動画でも解説中!

GDPとは?

まず、GDP・国内総生産とは、国内で生み出された付加価値の合計額と定義されています。

例えば、千切りキャベツの例を見てみると、農家さんがキャベツの生産を行い、加工業者が千切りに加工し、最終的にスーパーマーケットで販売されるという流れをたどります。

GDPの例

このとき、農家さんは育てたキャベツ1玉を50円で加工業者に提供していたとしましょう。

加工業者はこの50円に対して30円上乗せして80円でスーパーマーケットに提供していたとします。
そしてスーパーはこの80円に、さらに20円の利益を上乗せして、最終的に100円で千切りキャベツを販売していたとしましょう。

GDPの考え方

このとき、赤色で示した金額が、各事業者が生み出した付加価値であると考えます。

この付加価値の合計、すなわち国内のすべての業者・業種が生み出した付加価値の合計が、GDP・国内総生産であるというわけですね。

付加価値の合計額は、最終消費金額の合計であると考えることができます。
最終消費物である千切りキャベツには、それまで生み出されてきた付加価値の金額がすべて含まれているためですね。

このGDPが国の豊かさを図る経済指標として、最もよく使われているものとなります。

GDPに含まれる項目 (帰属計算)

先ほど解説したGDPには、実際に取引されていなくてもGDPの計算に含める場合と、含めない場合があります。
このGDPに含まれるものを計算ことを、帰属計算と言います
具体的にGDPに含まれるものを見ていきましょう。

GDP計算に含まれるもの

まずは持ち家ですね。
持ち家を購入すると、基本的に家賃は発生はしませんが、毎月・毎年家賃が発生しているものとしてGDPの計算に含めます。
算出方法としては、同じ立地で、同じような間取りの賃貸物件の家賃を参考にしながら金額を決定しているようです。

続いては自家消費です。
農家さんが自身で生産した作物は、仮に市場で取引されていなくても、生産活動を行ったこと自体には変わりがありませんので、GDPの計算に含めます。

最後に警察などといった公共サービスですね。
公共サービスは確かに無料で使えるものが多いですが、間違いなく付加価値を生んでいる経済活動と考えられますので、こういったものもGDPに含まれるわけです。

一方、GDPの計算に含まれないものもあります。

GDP計算に含まれないもの

1つ目は家事労働ですね。
家事は立派な労働ですので、経済的価値を生んでいると考えることもでき、実際GDPに含めるべきだという考え方もあるようですが、現在のところは計算に含まれていません。

これは公平な評価が難しいということが理由のひとつになっているようです。
例えば家庭によっては、料理をする家庭もあれば、中食・外食で済ませる家庭もありますし、掃除についても掃除機をかけるだけで済ませる場合もあれば、しっかり雑巾がけまでする家庭もあります。
このように、一口に家事といっても、家庭によって家事の範囲やそのクオリティにも違いがあります。
こういったものを一つ一つ正確に把握するのは難しいので、GDPの計算には含まないと考えられます。

もう一つが中古品の売買収入ですね。
例えばメルカリでiPhoneを売ったとしても、その収入はGDPには含めないというわけです。
既に生産されたiPhoneを中古で売り出しても、特に新たな付加価値を生んでいないためと考えられるからです。

ただし注意点として、家事労働については家事代行サービスといったサービスはGDPに含まれます。
また、中古品の売買についてもメルカリのような仲介業者に支払う手数料についてはGDPの計算に含めます。

この帰属計算は頻出論点のひとつですので、この機会に整理して覚えておきましょう。

NDPとは?

続いてNDP・国内純生産です。
NDPはGDPのうち、固定資本減耗を差し引いたものをいいます。

固定資産減耗は、財務・会計における減価償却費のような概念ですね。
例えば、新築で買った家も年数が経過するごとに経年劣化していってしまいます。

NDPとは?

このように建物や設備といった資産は、時間が経過するにつれて経済的価値が失われ、いずれは使用することができなくなると考えることができます。

NDPはこうした固定資本減耗をGDPから差し引いた値となるわけですね。
こうすることで、より経済の実態を正確に把握できるというわけです。

GNI・NNIとは?

続いてGNI・国民総所得とNNI・国民純所得について見ていきたいと思います。

GNIは国民が国内外で受け取った所得の合計額を表します。

GDPは日本国内における生産額の話でしたが、GNIは日本国民がどれだけ稼いだかということを表す指標です。

GNIとは?

領土単位の話から人単位の話に変わるわけですね。

具体的には、GNIはGDPに海外からの所得受け取りを足して、海外への所得支払いを差し引いて計算します。

海外からの所得受け取りとは、日本人が海外で稼いだ分で、ここから外国人が日本国内で稼いだ分を差し引くというわけですね。

こうすることで、日本国民が日本国内と海外で稼いだ所得を計算できるというわけです。

さらにNNI・国民純所得に関しては、このGNIの値から、先ほど解説した固定資本減耗を差し引いて求めます。

NNIの方がより実態として国民所得を計算できるというわけですね。

各用語の覚え方

ここまで解説した各用語の覚え方をご紹介したいと思います。
GDP・NDP・GNI・NNIの4つがありましたね。

これらの用語は、日本語で書かれていればある程度意味がわかりますが、アルファベットだけで表現されると何が何だかわかりませんよね。
この略語が、何の英単語の略称なのかを見ていくと、ある程度覚えやすいかと思います。

GDPに関しては、Gross Domestic Productの略です。

GDP

GDP=Gross(総合) Domestic(国内) Product (製品・生産)

Grossは総合、Domesticは国内、Productは製品を表す英単語です。
ですので、GDPは国内総生産ということで、国内で生産されたすべての付加価値の合計を表しているわけです。

続いて、NDPはNet Domestic Productの頭文字を取った用語です。

NDP

NDP=Net(正味・実質) Domestic(国内) Product (生産)

後半のDomestic ProductはGDPと同じように国内生産を表していますね。
違いはGrossなのかNetなのかの違いです。このNetというのは、正味・実質という意味を表した言葉です。

よく商品・製品の価格を販売代理店と会話する時に、Gross金額、Net金額といった表現を使うことがありますが、そのGrossとNetの考え方自体は同じです。

NDPはGDPから固定資本減耗を差し引いた金額ですので、実質的な国内生産の値ということでNet Domestic Productという名称が付けられているようです。

続いてGNIに関してはGross National Incomeの略語です。

GNI

GNI=Gross(総合) National(国民) Income (収入・所得)

Nationalは国民、Incomeは収入・所得を表した単語ですね。
つまり、国民所得の総額という意味になるわけです。

最後にNNIに関してはNet National Incomeということで、ここでもNetという言葉が使われていますね。

NNI

NNI=Net(正味・実質) National(国民) Income (収入・所得)

実質的な国民所得ということで、NNIはGNIから固定資本減耗を差し引いています。

こうしてみると、GrossなのかNetなのか、Domestic ProductなのかNational Incomeなのかの違いなので、それぞれの意味を理解しながら4つの用語を覚えておくと、問題が出題された際も、応用が効きやすいかと思います。

過去問を解いてみよう (平成23年度 第1問)

それではここまでの内容を踏まえ、過去問を解いて復習してみたいと思います。

GDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)の関係について、次の式の空欄にあてはまる最も適切なものを下記の解答群から選べ。

GDP = GNP + □

[解答群]
ア 海外からの要素所得受取 – 海外への要素所得支払
イ 海外への要素所得支払 – 海外からの要素所得受取
ウ 固定資本減耗 + 間接税 – 補助金
エ 固定資本減耗 + 補助金 – 間接税


GDPとGNPの関係について答える問題ですね。

まずGNPについては、GNIと同じものだと考えていただいてよろしいかと思います。
先ほど解説した通り、GNIはGDPに海外からの所得受け取りを足して、海外への所得支払いを引いて求めます。

この式を変形すると、GDPはGNIから海外からの所得受け取りを差し引いて、海外への所得支払いを足し上げれば求められるという計算式に変形できます。

この式を表しているのは選択肢イですので、こちらがこの問題の正解となります。

しっかりと計算式を書き出さないと正解できない、少し意地悪な問題でした。
選択肢アを選んでしまった方は及第点ですが、選択肢ウ・エを選んでしまった方は、もう一度動画を見直した方が良いかもしれません。

過去問を解いてみよう (平成29年度 第3問)

今回はもう1問解いてみましょう。

国内総生産(GDP)に含まれるものとして、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 株価の上昇
b 警察や消防などの公共サービスの提供
c 農家の自家消費
d 中古住宅の購入

[解答群]
ア aとb  イ aとc  ウ bとc  エ bとd  オ cとd


国内総生産に含まれるものを選ぶ問題です。

GDPに含まれるかどうかは、付加価値を生んでいるものかどうかで判断しましょう。
選択肢aの株価の上昇については、単に価格が上がっただけですので、特に付加価値を生んでいませんね。

選択肢dの中古住宅の購入も、既に生産された住宅を中古で購入しているだけですので、付加価値を生んでいるとはみなせません。

一方、選択肢の公共サービスの提供や、農家の自家消費は付加価値を生んでいるものとなりますので、選択肢ウがこの問題の正解となります。

このGDPに含まれるものを選ぶ問題は近年かなりの頻出論点となっていますので、考え方を含めてよく確認しておきましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。

今回はGDPからNNIまで4つの用語を解説しました。

GDP_まとめ

固定資本減耗を含むか含まないか、日本国内という領土を基準に考えるか、日本人という人を基準に考えるかという切り口がありますので、それぞれ内容を理解しながら用語を覚えていただければと思います。

それからGDPの計算に含めるものについても解説しましたね。

繰り返しになりますが、付加価値を生むのかどうか、そして公平に評価できるものなのかという基準と照らし合わせながら各項目を判断できるようにしておきましょう。

はい、というわけで今回はGDPをテーマに解説しました。

GDPは、途中の解説で触れたように、国の豊かさを図る上で重要な経済指標です。
日本政府はGDPを引き上げることが国民の豊かさにつながると信じて、さまざまな政策を打ち出しています。

今後解説予定のマクロ経済学の各種論点も、基本的にはいかにGDPを引き上げるかということをテーマにさまざまな考え方が展開されていきますので、このことを念頭に置きながら各論点を学習していただければと思います。

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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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