はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は「フローショップ・ジョンソン法」をテーマに解説していきたいと思います。
前回お話ししたPERT(アローダイヤグラム)と同じく、ジョンソン法もスケジューリング手法の一つです。テキストを読んでも理解できないシリーズの1つかと思いますので、この記事を読んでやり方をマスターしていただければと思います。
✓ フローショップとジョブショップの違い(工場レイアウトのイメージ)
✓ ジョンソン法を使った最適な作業順序の決め方
✓ 総作業時間の算出方法と待ち時間が発生するケースの解き方
過去問:令和元年度 第9問
今回は実際に令和元年度に出題された問題をベースに、ジョンソン法のやり方を解説していこうと思います。まずは問題文があり、その下に以下のような表が与えられ、解答群はアからエまで並んでいました。
下表は、3つのジョブを2つの工程で加工するときの各ジョブの処理時間(時間)を示している。第1工程→第2工程の順にすべてのジョブが加工される場合、すべてのジョブを完了するまでの時間を最小にするには、どのような順序でジョブを投入したらよいか。最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ア J1 → J2 → J3
イ J2 → J1 → J3
ウ J2 → J3 → J1
エ J3 → J2 → J1
問題を解く際は、まず何を聞かれているかを把握することが大切です。ここでは「表で示された処理を行う際、生産を開始してすべてのジョブを完了するまでの時間を最小にする順序」を聞かれていることがわかりますね。
また、聞きなれない言葉として「フローショップ」という単語があります。まずはこの単語の意味を詳しく見ていきましょう。
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フローショップとジョブショップの違い
フローショップとよく対比される言葉として「ジョブショップ」というものがあります。この機会に合わせて概念を理解していきましょう。
まずはテキスト的な用語解説を見ていきましょう。

フローショップとは、すべてのジョブについて実行されるべき作業順序が同じもので、その作業順序に従って機械が配置されている多段階生産システムと書かれています。

一方ジョブショップは、機械設備や配置の利用順序が異なる多数のジョブを対象とし加工を行う工場(または製作の形態)と記載されています。
はっきり言って、正直どちらもよく分かりませんよね。ただ、2つの記載内容を見比べてみると、フローショップは「作業順序に従って機械が配置」、ジョブショップは「機械設備や配置の利用順序は異なる」という点に違いがありそうです。
まとめると、これら2つは工場のレイアウトの違いを表していて、
フローショップは「機械が加工順序に従って配置されている工場」、
ジョブショップは「機械が機能ごとに配置されている工場」だと読み取ることができます。
これだけだとまだわかりにくいと思うので、具体的な例を見ていきましょう。

まずフローショップについて「カット野菜工場」の事例を考えていきましょう。この工場では「野菜を切る工程」と「袋詰めする工程」の2つしかなく、ジョブ対象のキャベツ・レタス・白菜は全てこの工程順序で加工されるので、機械もこの順序で加工できるように固定されています。これがフローショップの工場レイアウトのイメージです。

一方でジョブショップについては「食品加工工場」の事例を考えていきましょう。この工場では「切る・小麦粉をつける・揚げる・煮る」といった作業ができる機械が、用途別にまとまって配置されています。
ジョブ対象として「エビフライ・とんかつ・カレー」があるとしましょう。これらのジョブをこなすことを考えてみると、エビフライは小麦粉をつけて揚げる工程に、とんかつは肉を切ってから小麦粉をつけて揚げる工程に、カレーは材料を切って煮込む工程に進みます。
このように作る内容によって工程順序がバラバラな時には、フローショップのように機械がベルトコンベアでひとつなぎになっているのではなく、「切る・揚げる」といった機能ごとに機械が配置されていた方が柔軟に対応できます。このような工場レイアウトをジョブショップと言うわけですね。
さて、先ほどの過去問に戻ってみましょう。与えられた表を先ほどのカット野菜工場に当てはめて考えてみると、第1工程は「野菜を切る」、第2工程は「袋詰めする」といったように置き換えられ、J1〜J3のジョブはキャベツ・レタス・白菜に置き換えて読んでみると、やろうとしていることのイメージがつきやすいのではないでしょうか。

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ここからは、ジョンソン法を使った作業手順の決め方を解説していきます。
① すべての処理時間の中から最小のものを探す
② 選んだものが第1工程なら「前」へ、第2工程なら「後」へ並べる
③ 残ったジョブで①②を繰り返す
実際にやってみましょう。まず最初に、すべての処理時間から最小のものを探します。表の中から探してみると、第1工程のJ3が1時間ともっとも短いのでこれが該当しますね。

続いて、選択したものが第1工程なら「前」、第2工程であれば「後ろ」へ並べます。先ほど選択したJ3は第1工程ですので、一番最初に行う作業だと判断できます。

以上の作業を繰り返し行えば、作業手順が自動的に決まります。J3の作業は最初に決まったのでグレーアウトさせて、残った中で最も処理時間が短いのは第2工程のJ1(2時間)であることがわかります。第2工程は「後ろ」に並べる必要があるので、J1が最後に行う作業だと判断できます。

最後に余ったJ2が2番目に行う作業だと判断できるので、総作業時間が最小となる作業手順は「J3 → J2 → J1」と求めることができました。
先ほどの過去問に戻ってみると、この並び順になっているのは選択肢エなので、これが正解であると判断できますね。
この過去問はジョンソン法で解くことさえ判断できればかなり易しい問題ですが、ジョンソン法の定番問題として「最小順序で生産が完了するまでの時間」を答えさせる問題もあります。
最小順序で生産が完了するまでの時間は?
先ほどの過去問を使って、こちらの問題も考えてみましょう。イメージしやすいように、野菜カット工場の事例にあてはめています。数字は変えていないので、白菜→レタス→キャベツの順序で生産を行うと総作業時間が最小になることがわかっています。

この時の総作業時間は図を描いて考えるとわかりやすいです。まず、工程は「野菜を切る」「袋詰めする」の2つがあるんでしたね。表から白菜を切る工程は1時間かかることがわかります。

野菜を切り終わったら袋詰めするので、1時間経過後に白菜の袋詰めを6時間かけて行います。この時、野菜を切る工程は遊ばせていると時間がもったいないので、次のジョブであるレタスを切る工程を5時間かけて行います。

白菜の袋詰めが終わった頃にはレタスを切る工程は終わっているので、そのままレタスの袋詰め作業を4時間かけて行います。野菜を切る工程はまた手が空くので、レタスを切り終わった時点でキャベツを切る工程を3時間かけて行います。

最後にキャベツの袋詰め作業が終われば、すべての作業が完了したことになります。こうして作図すると、赤の矢印で示した長さが総作業時間であると判断できます。

この時間を求めてみると、野菜を切っていた1時間に袋詰めに要したそれぞれの時間(6+4+3)を足し合わせた、合計13時間が総作業時間であると求めることができます。
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【応用問題】待ち時間が発生するケース
最後に応用問題として、待ち時間が発生するケースを確認してみましょう。先ほどまでレタスを切る作業は5時間でしたが、これが7時間に増えるケースを考えてみます。
この場合でも、作業手順自体には変化はありません。総作業時間を確認するために、同じ手順で作図をしてみましょう。

レタスを切る作業までは先ほどまでと同様です。ここで白菜の袋詰め作業が終わった時点でレタスの袋詰め作業を開始したいところですが、レタスを切る工程がまだ終わっていないので袋詰め作業を始めることができません。

なので、レタスがすべて切り終わってからレタスの袋詰め作業を開始することになります。結果として、赤字で示したように袋詰め工程で1時間の待ち時間が発生することになります。

その後、キャベツを切る工程と袋詰め工程を記載したら、作図結果は以下のようになります。

作図結果から総作業時間を計算してみましょう。計算式を見てみると、待ち時間である1時間分だけ作業時間が延びるので、合計作業時間は14時間となります。
このように、フローショップが他の作業について(待ち時間も含めて)きちんと理解していないと引っかかってしまう問題も時折出題されますので、この応用問題まで解けるようになっていることが望ましいです。逆に言うと、ここまでできるとジョンソン法はマスターしたといえるでしょう。
まとめ
それでは本日の内容をまとめておきましょう。
✓ フローショップ:機械が加工順序に従って配置されている工場(例:カット野菜工場)
✓ ジョブショップ:機械が機能ごとに配置されている工場(例:食品加工工場)
① すべての処理時間から最小のものを選ぶ
② 第1工程なら「前」、第2工程なら「後ろ」に並べる
③ 残ったジョブで①②を繰り返す
総作業時間を求める問題では、第1工程の一番最初の作業時間を計算に含め忘れないように注意しましょう。また、応用問題として、第2工程が前のジョブの完了を待たされる「待ち時間」が発生するケースもあるので、図を描いて丁寧に時間を計算する練習が有効です。
ジョンソン法は一度やり方を覚えてしまえばそこまで難しいものでもないので、出題されたらぜひ得点したい論点の一つです。また、途中で解説したフローショップとジョブショップの違いについてもよく出題される論点ですので、この機会にイメージを持ってもらえると、問題への対応力がグッと上がるかと思います。それではまた次回お会いしましょう。
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