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【実施権】専用実施権・通常実施権の違いを比較表で一気に整理!特許の活用方法もわかりやすく解説/経営法務/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回は「専用実施権と通常実施権」をテーマに解説していこうと思います。

前回の記事では、特許権とは何か、どういう要件を満たすと特許が認められるのか、そして出願から権利取得までの流れについて解説しました。今回はその続きとなるテーマで、特許権を取得した後に、その権利をどう活用するか、特に他人に使わせる「実施権」の仕組みに焦点を当てて解説していきます。

試験でもよく出題されている論点なのですが、一度仕組みを理解してしまえば、そこまで難しいものではありませんので、この記事一本でしっかりとマスターしていきましょう。

この記事でわかること

✓ 専用実施権と通常実施権の決定的な違い
✓ 設定登録・自己実施・差止請求の比較
✓ 通常実施権3種類と当然対抗制度
✓ 令和3年度第10問の解き方

▶ 動画でサクッと理解する(約12分)

特許権の活用方法

まず最初に、特許権を取得した後の活用方法を整理しておきたいと思います。取得した特許権は、自分で使う以外にも活用方法がありますので、その種類を確認していきましょう。

まず最初にご紹介するのは、「自ら実施する」という最もシンプルな方法ですね。自社製品の製造・販売に特許技術を使って、競合他社との差別化を図るというわけです。

2つ目は特許権の移転、譲渡ですね。特許権を売ったり、相続や合併によって他の人や会社に引き継いでもらうこともできます。

ここでひとつ覚えておいていただきたいのが、特許権の移転の効力は「登録」の手続きをして初めて発生するということです。登録してはじめて有効になるというわけですね。

そして3つ目が、今回のメインテーマである「実施権のライセンス」です。他人に特許発明を使わせることの対価として、ロイヤリティ、いわゆる使用料を受け取るという活用方法です。

この実施権には、専用実施権と通常実施権の2種類があって、この違いが試験で繰り返し問われているということになります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

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専用実施権とは?

まずは専用実施権ですね。専用実施権とは、設定した範囲の中で特許発明を独占・排他的に使える権利のことです。

特許権者が専用実施者に対して、その特許の設定登録を行うことで、専用実施者だけが特許を実施できるようになるという仕組みですね。

ここで重要ポイントを3つ確認しておきましょう。

1点目は、期間・地域・実施する技術の範囲内であれば、専用実施権者はその特許を排他独占的に利用できるようになります。

2点目は、設定の方法についてです。専用実施権を設定するためには、当事者間の契約に加えて、「設定登録」という手続きが必要になります。この設定登録が、専用実施権の効力発生要件ということになります。

3点目は、第三者が無断で実施した場合に、差止請求と損害賠償請求の両方ができるということです。これは通常実施権との重要な違いですので、後の比較表でも改めて確認します。

⚠ 最重要ポイント

設定した範囲では、「特許権者であっても実施できない」。自分で発明したのに、自分で使えなくなるというわけです。

ここは直感に反する点かと思います。考えてみれば当然のことで、専用実施権者に独占的な権利を与えているわけですから、発明者であっても割り込めないということです。

試験ではここが引っかけとして使われることがありますので、よく覚えておきましょう。

通常実施権とは?

続いて、通常実施権を見ていきましょう。通常実施権は、設定範囲内で特許発明を使える権利ですが、専用実施権とは違い、独占性がありません

通常実施権には3種類があります。

1つ目は「許諾による通常実施権」です。これは特許権者との契約によって設定される最も一般的な形態で、設定登録は不要です。

また、特許権者は通常実施権を許諾した後も、自分の特許発明を実施し続けることができます。さらに、同じ特許について複数の人に重複して通常実施権を許諾することも可能です。

2つ目は「法定通常実施権」です。これは当事者間の契約ではなく、法律で定められた一定の要件を満たすことによって発生する通常実施権のことです。

代表的なものとして、職務発明の場合に使用者が取得する通常実施権と、先使用権というものがあります。先使用権とは、特許出願より前からその特許発明を実施していた人が、引き続き実施できる権利のことです。

3つ目は「裁定通常実施権」です。これは特許庁長官や経済産業大臣の裁定によって強制的に設定される通常実施権です。特許権者が3年以上特許発明を実施していない場合や、公共の利益のために必要な場合などに発動されることがあります。

そして、これら3種類の通常実施権に共通する非常に重要なルールが「当然対抗制度」です。通常実施権者は、大元の特許権が第三者に譲渡された後も、引き続き、通常実施権によりその特許発明を実施し続けることができるという制度です。

登録不要でも権利が守られる、というのが当然対抗制度のポイントですね。この辺りは、解説されると「まぁそうだよね」と思える内容ですが、本試験であえて突っ込まれると悩んでしまうかと思いますので、しっかりと確認しておいてください。

専用実施権と通常実施権の比較

それでは、専用実施権と通常実施権について、改めて比較表で整理してみましょう。ここまで解説できなかった部分についても触れていきたいと思います。

基本的には、専用実施権は強力な権利であるため、厳格に管理されているといった観点で見ていくと、記憶にも残りやすいと思います。

まず「独占性」についてです。専用実施権はあり、通常実施権はなし、ということになります。また、特許権者の自己実施や重複ライセンスは専用実施権では認められていません。

そして、第三者による特許実施について、専用実施権者は差止・賠償請求できますが、通常実施権者はできませんね。ここまで強力な権利を専用実施権者には認めているため、専用実施権には「設定登録」という手続きが必要ということになります。

また、「ライセンサー」、つまり実施権を設定・許諾できる人の範囲については、専用実施権は特許権者のみ設定できます。一方、通常実施権は特許権者だけでなく、専用実施権者も許諾することができます。

ただし、専用実施権者が通常実施権を許諾する場合には、特許権者の承諾が必要という点は覚えておきましょう。

参考までにロイヤリティ水準ですが、専用実施権のほうが独占的である分、高額になる傾向があります。

この比較表を丸暗記しようとすると大変ですが、専用実施権は「独占的」だからこそ、すべての条件が厳しくなる、という方向で理解すると覚えやすいかと思います。独占的だから登録も必要で、重複もダメ・特許権者の実施もダメ。でもその分、差止もできるし、ロイヤリティも高いと、このセットで理解しておいてください。

過去問を解いてみよう(令和3年度 第10問)

それでは、ここまでの内容を、過去問を解いて確認してみましょう。

特許権に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 他人の特許権又は専用実施権を侵害しても、その侵害の行為について過失があったものと推定されない。

イ 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得なければ、特許発明の実施をすることができない。

ウ 特許権について専用実施権を設定した場合には、特許権者は専用実施権者が専有する範囲について業として特許発明の実施をすることができない。

エ 特許権の存続期間は、登録の日から20年をもって終了する。

特許権に関する記述として、正しい記述を選ぶ問題ですね。選択肢アから見ていきましょう。

選択肢ア「他人の特許権または専用実施権を侵害しても、その侵害の行為について過失があったものと推定されない」とありますが、特許法では、侵害行為があった場合、「過失があったものと推定する」という過失推定規定が設けられています。ですので、推定されない、という選択肢アの記述は誤りということになります。

続いて選択肢イです。「特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得なければ、特許発明の実施をすることができない」とあります。

特許権の共有については、また次の機会に解説しますが、特許権が共有の場合、自ら実施することについては他の共有者の同意は不要となります。同意が必要なのは、持分の譲渡や実施権の設定・許諾をする場合で、実施そのものは自由というのが正しい内容ですので、選択肢イは誤りということになります。

続いて選択肢ウです。「特許権について専用実施権を設定した場合には、特許権者は専用実施権者が専有する範囲について業として特許発明の実施をすることができない」とありますが、これは先ほど解説した通り、まさに専用実施権の最重要ポイントですね。

設定した範囲では、特許権者であっても実施できない、という内容と一致します。ということで、選択肢ウは正しい記述ですね。

最後に選択肢エです。「特許権の存続期間は、登録の日から20年をもって終了する」という記述です。特許権の存続期間は「出願の日から20年」です。登録の日からではなく、出願の日からという点が誤りで、選択肢エは誤りということになります。

この辺りは前回の動画で解説していますので、間違えてしまった方は、前回の記事を確認しておいてください。

というわけで、この問題の正解は選択肢ウでした。

このくらいの難易度であれば、専用実施権の基本を理解していれば確実に正答しておきたいところですね。選択肢イも試験でよく使われる引っかけパターンです。この機会に、共有の場合は「実施は自由・処分には同意が必要」ということは覚えておいていただければと思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。今回は、専用実施権と通常実施権について解説しました。

繰り返しになりますが、この2つの違いを覚えるコツは「専用実施権=独占的」という点から考えることです。独占的だから登録が必要、独占的だから特許権者の自己実施も不可、独占的だから差止もできる。この流れで理解しておけば、細かい論点も自然に思い出せるようになるということになります。

試験では、選択肢のひとつひとつの正誤を丁寧に判断する問題が多く出題されています。経営法務は出題範囲が広く、苦手意識を持つ方も多い科目ですが、今回扱った実施権の論点は出題頻度が高く、内容も一度理解してしまえばそれほど難しくありません。確実に得点源にしていきましょう。

今回の記事のベースとなる、特許の登録要件や出願手続きについては、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士。 一次試験は全科目60点超の合計512点という高得点で突破、二次試験は2回連続で合計で240点以上を達成して合格。 合格後は、本業のデータ分析スキルを生かした過去問研究、法人営業経験を生かしたわかりやすい解説で受験者支援を実施中。 チャンネル登録者1.5万人超の「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」では、二次試験と中小企業経営・政策も解説。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com