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債券価格の計算方法をわかりやすく解説します!/財務会計/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。

今回は債券価格の計算方法をテーマに解説していこうと思います。

この論点は、現在価値の考え方さえ理解すれば、それほど難しい内容ではありません。

そこまで出題頻度の高い論点ではありませんが、もし出題された場合に確実に得点できるように対策していきましょう。

YouTube動画でも解説中

債券とは?

今回学習する債券とは、利息と元本の支払いが契約で約束されている金融商品のことです。

例えば、ある会社が資金を集めたいときに債券が発行されます。
会社が発行する債券は、特に社債と言いますね。

債券とは?

例えばこの債券が、もし100万円を貸してくれたら、毎年3万円の利息を払って、3年後に100万円を返しますという内容だったとしましょう。

このとき、毎年支払う3万円のことを利息と呼び、3年後に返す100万円を元本や償還価格といいます。

会社は株式を発行して資金を集めることもできますが、投資家にとっては不確実性の高い投資です。
一方、債券は会社が倒産しない限り、利息も元本も保証されている投資なので、確実性が高いという特徴があります。

逆に企業側からすると、確実に支払う必要がある負債となりますので、株式と債券のメリット・デメリットを比較しながら、資金調達方法を検討する必要があるわけですね。

債券の種類

債券の種類には、利付債と割引債の2種類があります。

利付債とは、利息があり、満期に償還価格を受け取る債券のことをいいます。
先ほど例に出したのが、まさに利付債ですね。

利付債とは?

100万円を貸してくれたら、毎年3万円の利息を支払って、3年後に100万円の償還価格も支払うようなケースが利付債です。

一方で割引債とは、利息がなく、満期に償還価格を受け取る債券となります。

割引債とは?

例えば100万円を貸してくれたら、3年後に1,10万円にして返すというケースが割引債ですね。
利息の支払いはありませんが、償還価格が最初に貸し出す金額よりも大きいので、これはこれで投資家にとって魅力がありますね。

債券の種類は、利息があるかないかの2種類で分かれているということを、最低限覚えておいてください。

債券価格の計算方法

それでは本題の、債券価格の計算方法について解説したいと思います。
債券価格を計算するには、現在価値の考え方を理解しておく必要があります。
そこで、簡単に現在価値について説明したいと思います。

現在価値とは?

現在価値とは、将来もらえるお金を現時点の価値に計算し直した金額のことを言います。

例えば、1年後、2年後にそれぞれ100万円の収益が見込めるとして、割引率を10%と設定すると、この収益を現在価値に割り戻すには、1年後については100万円×$\frac{1}{1+10%}$、2年後は、100万円×$\frac{1}{1+10%}$2をそれぞれ掛けてから足し合わせることで、現在価値を計算できます。

現在価値の考え方

もし仮に100万円の収益がn年後まで続くとしたら、現在価値は100万円×$\frac{1}{1+10%}$nになるまで、各年の収益を割引率を用いて現在価値に割り戻すのでしたね。

この辺りがよくわからないという方は、過去記事で現在価値の計算方法を解説していますので、そちらを確認してみてください。

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現在価値を用いた債券価格の計算法

ここからは現在価値の考え方を用いて、実際に債券価格を計算してみましょう。


結論から言うと、債券価格は支払い金額の現在価値に設定することになります。

このケース問題を図で表してみると、1年後から3年後に、青色で表した利息3万円を受け取り、3年後には100万円を受け取ることになります。
最終利回りは5%にしたいということなので、これを割引率に利用します。

債券価格の計算方法

以上の内容を計算式で表してみましょう。

債券価格の計算式

100万円×$\frac{1}{1+5%}$+100万円×$\frac{1}{1+5%}$2+(3万円+100万円)×$\frac{1}{1+5%}$3

3年後は利息と償還金額の支払いがある点に注意しましょう。

これらを全て足し合わせると、現在価値は945,535円になりますので、これが債券価格になるというわけですね。

つまりこの債券は、945,535円を貸してくれたら、毎年3万円の利息を支払って、3年後に100万円を支払うという内容になります。

債券利回りの考え方

投資家から見ると、約94万円を払うと3年後には合計109万円になって戻ってくるので、年利5%の成長が見込める投資先であると考えることができます。
一方で企業側からすると、資本コスト5%で約94万円を調達できると言うわけですね。

投資家からすると、この会社が倒産しない限り、年利5%で資産を増加させることができますので、もちろんリスクはありますが、銀行に預金として預けておくより魅力的ということになるわけです。

金利が上がると債券価格はどうなる?

最後に、金利が上がると債券価格はどうなるのか、ということについて確認しておきましょう。
先ほどの例で、今度は最終利回りが5%から10%に引き上げたとしましょう。

結論からいうと、金利が上がると債券価格は減少することになります。

図で確認してみると、利息が3万円、償還金額が100万円という点は先ほどまでと同じですね。

債券価格の計算方法

現在価値を計算する計算式を描いてみると、最終利回りが上がったことで割引率が変化します。

債券価格の計算式

100万円×$\frac{1}{1+10%}$+100万円×$\frac{1}{1+10%}$2+(3万円+100万円)×$\frac{1}{1+10%}$3

計算すると、現在価値は825,920円となりますので、先ほどの最終利回り5%のときの債券価格94万円と比較すると、金額が下がっていることが読み取れます。

このように金利が上がると割引率が増加して、結果的に現在価値が下がるので、債券価格も下がるということになります。

ここ最近のニュースを見ていると、アメリカの中央銀行は金利引き下げ傾向、日本の中央銀行は利上げ傾向なので、理論的にはアメリカの債券価格は増加し、日本の債券価格は減少する可能性があると考えることができますね。

もちろん様々な要因も絡みますので、この通りにはいかない場合もありますが、こういった理論を押さえながらニュースを見てみると、普段のニュースがより面白く見られるようになると思います。

過去問を解いてみよう (平成30年度 第13問)

それではここまでの内容を過去問を解いて復習してみましょう。

A社は、額面100万円の社債(償還までの期間が3年、クーポン・レート3%(年1回払い))を発行しようと考えている。現在、複利最終利回りは2.0%と予想される。このとき、A社の社債の価格はおよそいくらと考えられるか。最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、複利現価係数と年金現価係数は以下のものを使用すること。

財務会計_過去問_平成30年度 第13問

[解答群]
ア 98万円  イ 100万円  ウ 103万円  エ 105万円


社債の価格を求める問題ですね。
額面が100万円でクーポンレートは3%とありますので、利息は100万円の3%で3万円、
満期にもらえる償還金額は額面の100万円であると読み取れますね。

図にして表してみると以下のようになります。

債券価格の計算方法

毎年3万円の利息がもらえて、3年後には100万円がもらえるというわけですね。

債券価格は現在価値を計算すれば良いのですが、このとき複利現価係数と年金現価係数を使用するようにと指示されています。
用いる現価係数は2%のものを利用するようにしましょう。

3万円の毎年の利息には年金現価係数の3年目の値である2.883をかけて、3年後にもらえる100万円に対しては3年後の複利現価係数である0.942をかけてあげます。

債券価格の計算式

債券価格 = 3万円 × 2.883 + 100万円 × 0.942

後はこれを計算するだけですね。

債券価格は1,028,490円と計算ができます。
解答群の中で最も近いのは、選択肢ウの103万円となりますね。
これがこの問題の答えとなります。

複利現価係数や年金現価係数の扱いに慣れておくこと、債券価格は現在価値を計算するということを押さえておけば、それほど難しい問題ではなかったかと思います。
間違えてしまった方はよく復習しておきましょう。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した債券価格は、支払い金額の現在価値に設定するのでした。

債券の種類には、利付債と割引債の2種類がありますが、基本的に出題されるのは利付債の方です。
毎年利息の支払いがあって、満期に償還金額が払い戻されるというタイプの債券でしたね。

債券価格は支払い金額の現在価値を計算するので、毎年の利息を現在価値に割り戻しつつ、最終的な満期については利息と償還金額の合計を現在価値に割り戻す必要があります。

債券価格の計算方法_まとめ

この辺は計算式を丸暗記しようとするのではなく、現在価値の考え方をしっかりと理解しておく方が重要です。

現在価値に関しては他の論点でも頻繁に出てきますので、早めにマスターいただけばと思います。

はい、というわけで今回は債券価格の計算方法をテーマに解説してみました。

考え方さえわかってしまえば、それほど難しい論点ではないことが分かったかと思います。
計算問題としてだけではなく、文章問題として出題される可能性もありますので、この機会にしっかりと理解を深めていただければと思います。


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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士の会社員。 YouTubeチャンネル 「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」を運営中。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com

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