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【逆選択・モラルハザード】情報の非対称性が招く2つの問題をわかりやすく解説!/経済学/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。
今回は「逆選択とモラルハザード」をテーマに解説していきたいと思います。

この論点は、情報の非対称性という考え方をベースに、保険や中古車市場など、身近な具体例とセットで出題されることが多い論点です。
用語だけを丸暗記してしまうと、問題文の状況設定が少し変わっただけで、どれが逆選択で、どれがモラルハザードなのか分からなくなってしまいます。

そこそこ出題頻度も高く、しっかりと内容を理解しておきたい論点ですので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

この記事でわかること

✓ 情報の非対称性の定義と特徴
✓ 逆選択の定義と特徴
✓ モラルハザードの定義と特徴
✓ 逆選択とモラルハザードの違い

YouTube動画でも解説中!

情報の非対称性とは?

今回学習する用語は、どちらも情報の非対称性に関する用語です。
情報の非対称性とは、取引主体のどちらか一方が、取引に関するすべての情報を持っていない状況のことを言います。

例えば、ある金融機関で、個人投資家が証券マンの話を聞いていたとしましょう。
この個人投資家は株投資に関する知識をほとんど持っていません。
一方、証券マンは信託報酬など金融商品に関する知識が豊富です。

持っている情報量があまりにも違うため、例えば証券マンが売り込みたい手数料の非常に高い投資信託を、さも利益が出るかのように投資家に説明して買ってもらう、なんてことが起こるわけですね。

情報の非対称性とは?

このように情報の非対称性が起こっていると、経済学の前提である「市場参加者がすべて合理的に判断できる」という条件が崩れてしまいます。
いわゆる「市場の失敗」と言われるような現象が起こるわけですね。

今回は、この情報の非対称性が起こっているときに、具体的にはどのようにして各取引主体が行動し、どんな問題が起こるのかを見ていきたいと思います。

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逆選択とは?

まずは逆選択です。
逆選択とは、質の悪い財が市場に出回る現象のことを言います。

例えば、あなたがフリマサイトのメルカリで、定価30,000円のスマートフォンを販売しようとしたとしましょう。
このスマートフォンは、使用済みでも良品であれば10,000円、傷などの欠陥があれば5,000円が相場だとします。

まず、あなたの持っているスマートフォンが良品だったとしたら、当然、良品だから10,000円でメルカリで販売しようとしますよね。
そのメルカリに掲載されている商品情報を見た購入者は、本当に良品なのかどうかという情報を持ち合わせていません。
もし不良品なら損をするから買うのをやめよう、といった判断をしてしまう可能性があります。

そうなると、いつまでたっても本当に良品である10,000円の商品は、そのままの価格では売れなくなってしまいます。
やがて出品を取りやめ、市場から良品が消えてしまいます。

逆選択とは?

一方、あなたがもう一つ持っているスマートフォンは傷ありで、5,000円で販売したとします。
そうすると購入者側は、傷ありなら妥当な価格ですし、もし思ったほど傷がなく良品であれば、むしろお得な買い物になるので、購入するという判断をするわけです。

こういった行動が行われると、粗悪品だけがメルカリで売れ、良品は全く市場に出回らない、といった状況が起こってしまいます。
このような状況のことを逆選択と言うわけですね。

逆選択のポイント

逆選択は、商品のに関する情報の非対称性によって、取引契約前に起こる現象

モラルハザードとは?

一方で、モラルハザードです。
モラルハザードは、契約後の行動が観察できないため、当初の想定とは異なる行動を起こすことを言います。

例えば、ある夫婦が保険の契約を検討していたとしましょう。
保険の営業マンはこう言いました。
「あなた方は健康そのものなので、万が一病気になっても、全額医療費を保証しますよ。」といった具合です。

そうすると、この夫婦は、「この保険に契約すると、どんな病気になっても金銭負担はなくなる」と考えます。
実際に保険に契約した夫婦は、もともと健康であったはずなのに、乱れた食生活や運動不足を起こすようになり、かえって病気がちになってしまいました。

モラルハザードとは?

健康だからという理由で契約できていたはずの保険も、当初とは前提が異なっていますよね。
このように、契約前と契約後で、当事者の意識や行動が変わってしまうことをモラルハザードと言うわけですね。

モラルハザードのポイント

モラルハザードは、行動に関する情報の非対称性によって、契約後に起こる現象

逆選択とモラルハザードの違い

それでは、ここまで解説した、逆選択とモラルハザードの違いについて、改めて確認しましょう。

情報の非対称性の観点では、逆選択は「商品の質」に関する非対称性で、モラルハザードは「行動」に関する非対称性です。

いつ発生するのかというと、逆選択は契約前、モラルハザードは契約後に起こります。
そして、これらの現象の防ぎ方については、逆選択はシグナリング、モラルハザードはインセンティブを与えることとされています。

逆選択とモラルハザードの違い

逆選択のシグナリングとは、例えば中古販売のスマートフォンに関して、長期保証を無償でつける、といったことを販売者側が行うことで、「この商品は問題ない」ということを購入者側に伝えることができます。
逆選択を防ぐには、とにかく販売者側が購入者側に、様々な形で情報を開示することが求められるわけですね。

一方、モラルハザードに関しては、万が一病気になっても医療費の一部は負担してもらう、といった対応方法が考えられます。
全額保障だと、全く病気や怪我に気をつけるというインセンティブが働かなくなってしまうので、現行の公的保険のように、医療費は3割負担にして少しは自身の懐が痛むように設計することで、モラルハザードを起こしにくくしているわけですね。

試験対策上は、逆選択とモラルハザードの違いをしっかりと押さえておくことが重要です。特に、「逆選択は契約前、モラルハザードは契約後に発生する」ということを押さえておけば、ほとんどの問題には対応できます。

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過去問を解いてみよう

それでは、ここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。
平成23年度 第15問の問題です。

逆選択に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 最低賃金制度が導入されると、労働需要が減少するという逆選択が発生する。

イ 自動車の事故保険では、保険金を受領する可能性が高い人ほど保険に加入するという逆選択が発生する。

ウ 乳幼児医療費の助成制度が充実するほど、乳幼児の医療費は増大しがちであるという逆選択が発生する。

エ 無名な企業が生産した商品は、それが良質であるとしても、有名でない企業が生産した商品と比べて人気が低くなるという逆選択が発生する。

それでは解説を始めます。
逆選択に関するものとして正しいものを選ぶ問題ですね。選択肢を1つずつ見ていきましょう。

まずは選択肢アです。
「最低賃金制度が導入されると、労働需要が減少するという逆選択が発生する」とありますが、これは誤りですね。
この内容は、特に情報の非対称性が発生しているとは言えず、単なる市場メカニズムによって労働需要が減少しているだけです。

次に選択肢イです。
「自動車の事故保険では、保険金を受領する可能性が高い人ほど保険に加入するという逆選択が発生する」とありますが、これは正しい記述です。

普段から運転に気をつけていて、名実ともにゴールドドライバーの方は、保険の必要性をあまり感じず、普段から運転に自信のない方、ペーパードライバーほど、運転に心配だから保険に入ろうとしますよね。
まさに、質の悪いものしか出回らなくなるという逆選択が起こっている事例と言えます。

念のため、他の選択肢も見ていきましょう。

続いて選択肢ウです。
「乳幼児医療費の助成制度が充実するほど、乳幼児の医療費は増大しがちであるという逆選択が発生する」とありますが、これはモラルハザードの説明となりますので誤りとなります。
子どもの医療費に関して助成が充実すると、例えば小さな話ですが、親が子どもの手洗いに関して無頓着になったりします。
そうすると、結局風邪を引く子どもが増えて、その分医療費が増大してしまう、ということが起こり得ます。
これは、まさにモラルハザードの現象を説明していると言えますね。

最後に選択肢エです。
「無名な企業が生産した商品は、それが良質であるとしても、有名でない企業が生産した商品と比べて人気が低くなるという逆選択が発生する」とありますが、これも誤りです。
単純にブランド力の差によって商品の売れ行きが変わるだけで、これも単なる市場メカニズムであると説明できます。

以上より、選択肢イがこの問題の正解となります。

逆選択がどういったものであるかをしっかりと理解しておかないと、正しい選択肢を選ぶのは少し難しい問題だったかもしれません。
他の年度でも、モラルハザードに関して正しいものを選ぶ問題や、逆選択やモラルハザードの防ぎ方として正しいものを選ぶ問題などが出題されていますので、ぜひ他の年度の問題にもチャレンジしてみてください。

まとめ

それでは最後にまとめです。
今回学習した用語は、情報の非対称性に関連する内容でした。
情報の非対称性とは、どちらか一方が取引に関するすべての情報を持っていない状況のことを言います。

その具体例として、逆選択とモラルハザードを学習しましたね。
逆選択は、質が悪いものが市場に出る現象のことで、モラルハザードは、当初の想定とは異なる行動を起こすことを言います。
さらに細かい違いに関しては、以下の一覧表の通りですので、この内容を押さえておけば、この論点に関してはバッチリかと思います。

逆選択とモラルハザード_まとめ

出題頻度もそこそこ高い論点ですし、一度理解してしまえば、そこまで難しい内容が問われるわけでもありません。
しっかりと内容を押さえて、確実に問題を解けるようにしておきましょう。

はい、というわけで、今回は逆選択とモラルハザードをテーマに解説をしました。

しっかりと内容を理解して、本試験でも自信を持って正解を導き出せるように準備しておきましょう。

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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士。 一次試験は全科目60点超の合計512点という高得点で突破、二次試験は2回連続で合計で240点以上を達成して合格。 合格後は、本業のデータ分析スキルを生かした過去問研究、法人営業経験を生かしたわかりやすい解説で受験者支援を実施中。 チャンネル登録者1.5万人超の「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」では、二次試験と中小企業経営・政策も解説。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com
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