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AD-AS分析を図解で完全攻略!古典派vsケインズ派の政策効果まで丸わかり/経済学・経済政策/中小企業診断士試験対策

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はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回はAD-AS分析をテーマに解説していきたいと思います。

この記事でわかること

✓ AD-AS分析の枠組み(均衡物価水準と均衡国民所得)
✓ 古典派・ケインズ派それぞれの政策効果の違い
✓ デマンドプル/コストプッシュインフレーションの違い
✓ 令和4年度第7問設問2の解き方

▶ 動画でサクッと理解する(約12分)

これまでAD曲線AS曲線を個別に解説してきましたが、今回はいよいよ2つの曲線を合わせて、政策の効果を分析していきます。前回までの内容が理解できていれば、そこまで難しいものではありませんので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

前回までの復習

まずは前回までの復習です。AD曲線は右下がりで、AS曲線は古典派であれば垂直、ケインズ派であれば最初が右上がりなのでした。

AS曲線は流派によって異なる形状になるのが特徴的ですね。この違いは、非自発的失業が発生するかどうかの違いによるものです。ケインズ派の方が、非自発的失業が発生すると考えるのでした。

また、AD曲線は総需要曲線と呼ばれ、「その物価のとき、経済全体でどれくらいの需要があるか」をGDPで表していて、AS曲線は総供給曲線と呼ばれ、「その物価のとき、経済全体でどれくらいの供給量があるか」をGDPで表したグラフとなっています。

ここまでが前回までの記事で解説した内容でした。今回はこの2つの曲線を合わせて分析を行っていきます。

なお、AD曲線とAS曲線の導出過程を理解していることを前提に解説しますので、この辺りに自信がないという方は、AD曲線の記事AS曲線の記事で復習してからこの記事に戻ってきていただければと思います。

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AD-AS分析とは?

それでは本題のAD-AS分析です。AD-AS分析では、AD曲線とAS曲線の交点で、物価水準と国民所得が決定します

縦軸に物価水準を、横軸に国民所得をとって、AD曲線とAS曲線を描いてみます。

ここで、この2つの曲線が交わる点が均衡点となり、この物価が均衡物価水準、国民所得が均衡国民所得となります。

ちなみに、IS-LM分析では、縦軸が利子率、横軸が国民所得でしたが、AD-AS分析では、縦軸が物価水準、横軸が国民所得となります。

AD-AS分析は、IS-LM分析の内容に、さらに労働市場を加えた、より広い視野での分析だと理解していただければよいかと思います。それでは、この枠組みを使って、政策を行ったときにどのような効果があるのかを確認していきましょう。

政策の効果:古典派のケース

まずは古典派のケースです。古典派の場合、拡張的な政策を行っても、国民所得への影響はありません

グラフを使って確認してみましょう。今、AS曲線が垂直に描かれていて、AD曲線との交点で物価水準が1000円であったとします。

ここで、政府支出の増加や金融緩和などの拡張的な政策を行うと、前回までの解説で確認した通り、AD曲線は右方向にシフトします。交点が上方向にスライドしましたね。

ここで、AS曲線が垂直ですので、均衡国民所得の水準は変わりません。一方、交点が上方向に変わったので、物価は1000円から1500円に増加しています。
このケースでは、物価が1000円から1500円に上昇しただけで、国民所得は全く変化していないということになります。

つまり古典派の考え方では、どれだけ拡張的な政策を行ったとしても、物価が上がるだけで国民所得には影響がないということになります。

この背景にあるのが、「セイの法則」です。セイの法則とは、「供給はそれ自身に等しい需要を生み出す」という考え方で、国民所得は供給側のAS曲線で決まるのであって、需要側であるAD曲線をいくらシフトさせても意味がないという考え方です。
古典派の考え方に従うと、需要を喚起させる政策は意味がない、ということをしっかりと覚えておきましょう。

政策の効果:ケインズ派のケース

続いてケインズ派のケースです。ケインズ派の場合、非自発的失業が発生している局面では、拡張的な政策は国民所得を増やす効果を持ちます

こちらもグラフで見てみましょう。ケインズ派のAS曲線は、途中まで右上がりで、完全雇用の水準から垂直になる形をしていたのでした。

今、物価が1000円、国民所得が2兆円に決まっていたとしましょう。この状態ではまだ完全雇用に達していないので、非自発的失業が発生しているわけですね。

ここで拡張的な政策を行い、AD曲線を右方向にシフトさせると、新しい均衡点では物価が1500円に上昇していますが、国民所得も2兆円から3兆円に増加しています。

古典派のケースでは国民所得が全く変化しなかったのに対して、ケインズ派のケースでは国民所得が増えているわけですね。これはAS曲線が右上がりの部分で交差しているからこそ、政策効果が現れるということです。

ただし、完全雇用が達成された局面では拡張的な政策は物価を上げるだけで、国民所得が増えるわけではない点には注意しましょう。これは完全雇用が達成されれば、AS曲線は垂直になるので、先ほどの古典派と同じロジックで国民所得が増えない、という結論になります。

ケインズ派の考え方だとしても、何でもかんでも政府が拡張政策を打てば成功する、というわけではないのが面白いですね。試験では、「ケインズ派の考え方に従うと、いかなる場合でも拡張的政策が有効である。」といったような選択肢が出てきたら注意しましょう。

インフレーションの種類

最後に、インフレーションの種類について確認しましょう。インフレーションには、発生原因によって2つの種類があります。デマンドプルインフレとコストプッシュインフレですね。

まずはデマンドプルインフレです。これは需要側が原因で発生するインフレで、拡張的な財政政策や減税などによってAD曲線が右にシフトすることで、物価が上昇する現象です。AD曲線が右にシフトすると、物価が上がると同時にGDPも増加しています。

次にコストプッシュインフレです。これは供給側が原因で発生するインフレで、原材料費の上昇やエネルギー価格の高騰などによってAS曲線が左にシフトすることで、物価が上昇する現象です。こちらは物価が上がると同時にGDPは減少していることがわかりますね。

このように、インフレにはGDPを増やす良いインフレと、悪いインフレがあるわけです。ここ最近の日本では、コストプッシュ型のインフレが発生していると言われていますが、それがなぜ経済に悪影響を及ぼすのか、ここまで付いてこられてきた方はよく分かると思います。経済ニュースで話されている内容が、理論的にも理解できるようになるのが、経済学の面白いところですね。

ちなみに、このコストプッシュインフレによって、不況とインフレが同時に発生する現象のことを「スタグフレーション」と呼びます。1970年代のオイルショックがスタグフレーションの代表例として知られています。

試験対策上は、拡張的な財政政策や原材料費の高騰などの要素が、AD曲線・AS曲線のどちらを、どの方向にシフトさせるのか、そしてその結果、物価やGDPが上がるのか、下がるのかが読み取れることが重要ですので、よく確認しておいてください。

過去問を解いてみよう(令和4年度 第7問 設問2)

それではここまでの内容を、過去問を解いて復習してみましょう。

下記の図をもとに、AD-AS分析として最も適切なものはどれか。

右下がりのAD曲線と垂直なAS曲線が描かれていますので、これは古典派モデルのAD-AS分析の問題ですね。

まず選択肢ア。「政府支出の増加は、総需要を変化させないが、総供給を増加させる」とあります。政府支出の増加は、AD曲線を右にシフトさせますので、総需要は変化しますよね。「総需要を変化させない」という部分が誤りですので、選択肢アは誤りです。

次に選択肢イ。「政府支出の増加は、物価水準の下落を通じて、実質GDPを増加させる」とあります。古典派のケースでは、AD曲線が右にシフトし、物価は上昇するのであって、下落はしません。したがって、選択肢イも誤りですね。

続いて選択肢ウ。「名目貨幣供給の増加は、物価と名目賃金率を同率で引き上げ、実質GDPには影響を与えない」とあります。古典派では名目賃金が物価と連動して伸縮的に変化するのでした。名目貨幣供給を増やすとAD曲線が右にシフトしますが、AS曲線が垂直なので均衡国民所得は変わりません。物価が上昇し、それに伴って名目賃金も同率で上昇するため、実質的な影響はないということになります。ここは悩ましい選択肢だったかと思いますが、選択肢ウは正しい記述ですね。

最後に選択肢エ。「名目貨幣供給の増加は、実質貨幣供給を一定に保つように物価を引き上げるとともに、実質GDPを増加させる」とあります。前半の「実質貨幣供給を一定に保つように物価を引き上げる」という部分は正しいのですが、「実質GDPを増加させる」という部分が誤りですね。古典派ではAS曲線が垂直なので、実質GDPは変化しません。

というわけで、選択肢ウがこの問題の正解となります。

ちょっと正解選択肢の正誤が難しかったかと思いますが、①古典派の場合はGDPを増加させることはない、②政府支出の増加で総需要が変化する、という2点を押さえておけば、消去法で正解を導けた問題と思います。

まとめ

それでは最後にまとめです。今回はAD-AS分析について学習しました。

AD-AS分析では、AD曲線とAS曲線の交点で均衡物価水準と均衡国民所得が決まるのでしたね。

古典派のケースでは、AS曲線が垂直のため、拡張的な政策を行っても国民所得は変化せず、物価だけが上がるのでした。

一方ケインズ派のケースでは、非自発的失業が存在する局面であれば、拡張的な政策で国民所得を増やすことができるのでしたね。ただし完全雇用に達した後は古典派と同じ結論になるという点も重要なポイントでした。

試験対策としては、どのようなときにAD曲線・AS曲線がシフトするのか。その結果、物価やGDPが上がるのか、下がるのかが読み取れることが重要です。

ここまでの内容は、丸暗記するのではなく、グラフがどう動いて何が起こるのかを自分で説明できるようなってください。考え方を理解していれば応用問題にも対応できるようになりますので、ぜひこの機会に理解を深めておきましょう。

この論点は、IS-LM分析の発展形として、物価水準まで含めたマクロ経済の全体像を捉える非常に重要な内容です。古典派とケインズ派の違いをグラフで理解できるようになると、経済政策に対する見方がぐっと深まりますので、ぜひ皆さんもこの論点をマスターしていただければと思います。

それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました!

AS曲線(総供給曲線)を図解で徹底解説!古典派・ケインズ派の違いまで丸わかり/経済学・経済政策/中小企業診断士試験対策 はいどうも、中小企業診断士のたかぴーです。今回はAS曲線、総供給曲線をテーマに解説していきたいと思います。 この記事でわ...
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たかぴー
自己紹介:中小企業診断士。 一次試験は全科目60点超の合計512点という高得点で突破、二次試験は2回連続で合計で240点以上を達成して合格。 合格後は、本業のデータ分析スキルを生かした過去問研究、法人営業経験を生かしたわかりやすい解説で受験者支援を実施中。 チャンネル登録者1.5万人超の「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」では、二次試験と中小企業経営・政策も解説。 趣味:ジム・筋トレ、旅行、YouTube、ブログ 連絡先:takapi.channel@gmail.com