プロダクトポートフォリオマネジメントをわかりやすく解説

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今回はプロダクトポートフォリオマネジメント(Product portfolio management):PPMについて、できるだけわかりやすく解説していきます。

PPMは多くの事業を行っている企業を分析するためのフレームワークのひとつです。
数ある経営学の分析手法の中でも1・2位を争うほど有名ななのではないでしょうか?
それはPPM分析の誰にでもわかりやすく、作成が簡単で、分析から得られるデータが有用であるためだと考えられます。

今後当サイトではPPMによって様々な企業を分析していきたいので、この記事でPPMの内容を理解してもらえると嬉しいです。

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1.PPMとは

たかぴー
今回はプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント、通称PPMについて解説していくよ。
PPM分析は今まで勉強してきた内容がぎっしり詰まった分析手法だから、いい復習にもなると思うよ。

つかさ
うー、ちゃんと勉強した内容を思い出せるか自信がないです…。
そもそもPPMって何をするためのものなんですか?

たかぴー
うん、PPMは企業分析に用いる分析手法で、特に多角化経営をしている企業に有効なんだ。
これを編み出したボストンコンサルティングという会社は、PPMを用いた経営アドバイスでかなり儲けたと言われているよ笑

つかさ
大学の教授とかではなく、企業が生み出した分析方法なんですね!
それが経営学として扱われるなんて、すごい話ですね!

たかぴー
そうだね、それほどPPMは学問的にも優れているということなんだ。
それじゃあ、まずはPPMの概要を理解した上で、詳しい内容をみていくよ。
最後にはPPMのメリット・デメリットについても触れていくから、がんばろうね!

つかさ
はーい!
今日もよろしくお願いしまーす!

1-1.PPMの概要

PPMとは多角化企業を分析する為の手法のひとつで、各事業にどのように資源(ヒト・モノ・カネ)を配分するのかを決定することを目的としています

関連記事⇒経営資源とは

PPMでは自社の事業を4種類に分類します。

4つの事業分類
①問題時
②花形
③金のなる木
④負け犬

 

これらの事業区分は相対シェア市場成長率の2つを用いて分類していきます。

相対シェアとは、

自社の市場シェア ÷ 自社以外の最大競争相手の市場シェア

で求められる数値です。
要は、自社が市場シェアNo.1か、No.2以下なのかを表しています。

また、市場成長率は各事業の市場全体がどの程度のペースで市場が拡大しているかを表しています。
市場が縮小傾向にあるときは、マイナスの値になるわけですね。

これらをまとめると、下のような図が完成します。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

横軸に相対市場シェア、縦軸に市場成長率を置いていますね。
相対市場シェアは1.0を基準とし、市場成長率は分析対象によって基準が変わります。
また、円の大きさは売上規模を表しています。

この図に各事業部を落とし込むことによって、各事業部の状況と、自社の全体像が明らかになります。
そして、今後どのように経営を行っていくのが望ましいかを教えてくれるのです。

問題児、花形、金のなる木、負け犬にはそれぞれ特徴があるので、次のセッションで解説していきます。

 

1-2.PPM分析の前提・根拠

PPM分析はある2つの事柄を前提に置いています。
逆言うと、この前提が崩れてしまうとPPM分析は意味を成さなくなってしまうんですね。

PPM分析の前提
経験効果・規模の経済
製品ライフサイクル

 

経験効果・規模の経済

経験効果規模の経済とは、とにかく生産量が多ければそれだけ価格競争力が強くなるという理論です。
PPMではこれを根拠として、市場シェアが大きいほど価格競争力が強くなり、それだけ利益が生まれると考えているのです。

経験効果・規模の経済について詳しく知りたい方はこちら

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルは、製品は導入期成長期成熟期衰退期という過程を経て、いつかは市場から消えてしまうという理論です。
PPMの問題児・花形・金のなる木・負け犬はそれぞれ導入期・成長期・成熟期・衰退期に対応しています。

製品ライフサイクルについて詳しく知らい方はこちら

2.問題児の特徴と戦略

【画像】問題児

たかぴー
PPM分析の概要についてはわかってもらえたかな?
ここからは各分類についての説明をしていくよ。

つかさ
それぞれ特徴的な名前がつけられてますよね!
金のなる木とか、名前だけでどういう特徴があるか分かる気がします笑

たかぴー
うん、この名称のわかりやすさは理解を助けてくれるよね。
まずは、製品ライフサイクルの導入期~成長期にあたる問題児について説明しよう。

 

2-1.問題児の特徴

問題児は市場成長率が高いことから、製品ライフサイクルの導入期~成長期にあたります。
そして、市場シェアが業界No.2以下であれば、問題児になるんですね。

市場シェアを上げて、花形へと育てていきたいのですが、そのためには市場成長率以上に市場シェアを拡大する必要があります。
そこでは多額な資金が必要となるので、問題児の事業では利益が上がらない(もしくは赤字)という特徴があります。

問題児は育成すれば将来大物になる可能性があるので、未来への投資という位置づけにあります。

 

2-2.問題児の戦略

問題児に必要とされる戦略は「拡大」と「撤退」です。

問題児は将来企業を支える可能性のある、いわば市場という苗に植えられた種です。
水をあげなければ芽がでないように、問題児には積極的に投資を行う必要があります。

また、問題児に分類される事業が全て将来有望とは限りません。
自社の利益になる事業とそうではない事業を見極め、
初来性の高い事業にだけ投資し、残りは撤退するべきです。

3.花形の特徴と戦略

【画像】花形

たかぴー
次は花形について説明していくよ。
花形は市場シェアも相対シェアも高い分類だね。

つかさ
花形ってことは会社の中でも花形事業という事ですか?
たかぴー
そうだね、会社の中でも最も熱くて、注目を集めている事業に当たると思うよ。

つかさ
私も就職したら花形事業で仕事がしたいものですー!

3-1.花形の特徴

花形も問題児と同様、市場成長率が高いことから製品ライフサイクルの導入期~成長期にあたります。
そして、市場シェアが業界No.1であれば、花形になるんですね。

市場シェアが大きいため売上は大きいのですが、市場規模が拡大し続ける為、常に設備投資、販売促進活動などを行わなければなりません。
したがって、花形といえど利益は上がりにくいのが一般的です。

3-2.問題児の戦略

問題児の戦略目標は「市場シェアの維持」です。

製品ライフサイクルの理論から、市場規模の成長はいつかは止まります。
そうなると、大規模な設備投資等が必要なくなるので、莫大な利益を生む事業へ変化します。

それまでの間は、競合企業から市場シェアを奪われないために、徹底した市場シェアの維持を目標にするべきなのです。

4.金のなる木の特徴と戦略

【画像】金のなる木

たかぴー
次は金のなる木についてだ。
その名の通り、金のなる木からはどんどん利益が生まれてくるよ。

つかさ
市場シェアが高くて、大きな設備投資や販売促進をしなくてよいからでしょうか?

たかぴー
そうだね、金のなる木は非常に安定した利益が確保できることが特徴だよ。問題児、花形を経て、金のなる木まで成長させるのが、各事業の目標だといえるよね。

つかさ
大切に大切に育てた事業がいよいよ花を咲かせたわけですね!

4-1.金のなる木の特徴

金のなる木は市場成長率が低いことから製品ライフサイクルの成熟期~衰退期にあたります。
そして、市場シェアが業界No.1であれば、金のなる木になるんですね。

金のなる木では市場シェア率が高く、また市場規模の成長率が低いため大規模な設備投資などが不要なため、大きな利益を生み出します。
したがって、金のなる木で生み出される利益を、問題児や花形事業の設備投資へ回すことが出来ます。
このように、金のなる木は会社全体を支える大黒柱としての特徴があるのです。

4-2.金のなる木の戦略

金のなる木では会社全体の利益の源泉としての役割を担うため、「利益の最大化が期待されます。
その為、業界のリーダーとしての立場を守るために必要な投資を極力最低限に抑える必要があります。

もちろん投資を抑えすぎたために、業界No.1の地位を明け渡すことがあってはなりません。
しかし、だからといって金のなる木事業に投資をしすぎると、会社の中で利益を生み出す事業がなくなってしまうのです。

5.負け犬の特徴と戦略

【画像】負け犬

たかぴー
最後は負け犬だね。
市場の成長も止まり、市場シェアも大きくない事業がこれにあたるよ。

つかさ
その名の通り、負け犬というわけですね。
就職したら、このような事業部には入りたくないものです…。

たかぴー
確かに名称通りの事業部はちょっと嫌だけど、負け犬にも期待される役割はちゃんとあるんだよ。

5-1.負け犬の特徴

負け犬も金のなるきと同様、市場成長率が低いことから製品ライフサイクルの成熟期~衰退期にあたります。
そして、市場シェアが業界No.2以下であれば、負け犬になるんですね。

負け犬では市場自体が成熟してしまっているため、追加投資が必要とされませんが、市場シェアも小さいので利益が小さいのが特徴です。
競合企業からリーダーの座を奪うためには大規模な設備投資、販売促進が必要となりますが、市場の将来性を考えると得策ではありません。

しかし、決して問題児や花形に比べて利益が少ないわけではありません。
現状を維持するだけであれば、会社を支える柱になり得るのです。

5-2.負け犬の戦略

負け犬に必要とされる戦略は「利益の最大化」か「撤退」です。

特徴でも述べたように、負け犬でも利益が上がる場合があります。
その場合にはできるだけ投資を最小限に抑えて、利益率を高くし、他事業に投資する資金の調達源にするのです。

また、市場全体として縮小傾向にある場合は、潔く撤退を考えます。
なお、撤退するにしても雇用の問題、既存顧客の問題、あるいは他事業部との相乗効果があるなどの理由で撤退できない場合もあります。
その場合は長期的な撤退戦略を練る必要があるでしょう。

6.PPMのメリット・デメリット

たかぴー
ここまでで、PPMの各分類について理解してもらえたかな?
PPMで大切なのは、自社の各事業部がそれぞれどの分野に当てはまるのかを把握して、適切に資源配分を行っていくことなんだ。

つかさ
PPMはいわゆる全社戦略の手法のひとつというわけですね。
事業一つ一つを成功させる方法を考えることも大切ですが、このように事業ごとに優劣をつけることも必要なんですね。

たかぴー
そうだね、どの事業も永遠に存続し続けることはできないからね。
逆にこうした取捨選択をきちんと行える企業が、永続的に反映し続けることができるんだ。
最後に、PPMのメリット・デメリットについて触れていくよ。

つかさ
今のところメリットしか感じられないのですが、デメリットもあるんですね。

6-1.PPMのメリット

PPMのメリットは適切な「選択と集中」と「事業の拡大」を行うことができる点にあります。

PPMのフレームワークを通すと、自社の抱えている事業が黒字事業のみであることの危険性を示唆してくれます。
自社に黒字事業しかないということは、金のなる木か負け犬の事業部しかないということです。
つまり、自社の抱えている事業が全て市場の成熟期に入っているので、将来性がないのです。

もし自社にそのような事業しかないのであれば、積極的に問題児なる事業を始めるべきです。
事業の拡大

また、PPM分析を行うことで赤字の見方も変わります。

赤字事業になり得るのは、「問題児」と「負け犬」です。
問題児は将来の投資を行っている為の赤字で、負け犬は市場の衰退のための赤字なのです。
問題児にはさらなる投資を、負け犬には撤退が必要とされるでしょう。

このように、成長の見込みがある事業には投資を、衰退が明らかな事業からは撤退するべきなのです。
選択と集中

6-2.PPMの問題点・注意点

PPM分析は自社の状況を理解する上で、非常に有用な分析ツールです。

しかし、デメリットをきちんと認識していないと、誤った戦略を選択してしまう場合もあります。

PPMの問題点・注意点
①経験効果が働かない場合がある点
②製品ライフサイクルの段階を正確に判断できない点
③事業部間の相乗効果を考慮していない点

 

経験効果が働かない場合がある点

PPM分析は経験効果・規模の経済を前提にしています。
つまり、市場シェアが大きければ、それだけ価格競争力が上がり、利益をもたらすというのです。
しかし、この経験効果・規模の経済が働きにくい場合もあるのです。

このような場合、相対シェアが高く、金のなる木に分類されていても、必ずしも大きな利益が得られるわけではないのです。

製品ライフサイクルの段階を正確に判断できない点

各事業を分類する上で、市場成長率を基準としますが、この市場成長率はどのような期間で測るべきなのでしょうか?
1年?5年?それとも10年でしょうか?
このように市場成長率の定義はあいまいで、期間の取り方で分類も変わってくるのです。

また、一時的に市場成長率が落ち込んだ市場も、また伸びだすという場合も考えられます。

このように市場成長率は主観的な面も多く、分析者の”期待”に左右されやすいというデメリットがあるのです。

事業部間の相乗効果を考慮していない点

事業単体で見ると負け犬に分類され、赤字を垂れ流している事業でも、
他の事業と相乗効果が認められる場合は、その事業部を残しておくべきです。

例えば、任天堂はゲーム機とゲームソフトを製造している会社ですが、ゲーム機は製造原価を切る価格で販売し、ゲームソフトの収益で利益を上げるというビジネスモデルです。

ゲーム機単体だと赤字を垂れ流していますが、当然ゲーム機あってのゲームソフトだということを忘れてはいけません。PPM分析を単純に当てはめるとゲーム機事業は撤退すべきという誤った戦略を選択してしまう恐れがあります。

このように、各事業部間の相互関係も含めて戦略を考える必要があるのです。
上記の任天堂の例では、ゲーム機・ゲームソフトという製品単位ではなく、ゲーム事業全体として分析を行うべきかもしれませんね。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は全社戦略を考える上で、非常に有益な情報を与えてくれます。

しかし、分析で得られる情報は”ある程度”信頼できる反面、過信すると企業を誤った方法に導くでしょう。

PPM分析はあくまで全社の競争状況の概要をつかむために使用し、
その上で深い考察に進んでいくのが、望ましいプロセスとなるでしょう。

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