マーケティングの勉強をしていると必ず出てくるのが、マーケティングミックスの4Pと4Cです。
「4Pは供給者目線で、4Cはお客様目線!」
なんて説明をよくされますが、具体的に何がどう違うのかしっくりこないという方も多いのではないでしょうか?
僕自身、視点を変えるだけなら、わざわざ理論としてわける必要がないでは?と思います。
名前も似てるし、紛らわしいのでどっちかひとつに統一してほしいですよね!
そこで今回はマーケティングミックス4Pと4Cの違いを具体的に考えてみました!
1.そもそもマーケティングミックスの4Pと4Cってなに?
このブログは経営学の入門者向けに書いていますので、念のためマーケティングミックスと4P、4Cについて軽く説明をしておきます。
では早速マーケティングミックスから。
マーケティングミックスとは、ものを売る際に検討すべき項目のことです。
ではモノを売る際に検討すべき項目とは具体的になにを指すのでしょうか?
- なにを売るのか?
- いくらで売るのか?
- どうやって売るのか?
- 商品情報をどうやって伝えるのか?
以上のような項目を、モノを売る際には考えないといけませんね。
このようなさまざまな検討項目をマーケティングミックスとよぶのです。
そのマーケティングミックスの代表例として、4Pと4Cがあるわけですね。
それでは4Pと4Cについて詳しくみていきましょう。
1-1.4Pとは
4Pとは、マーケティングミックスのうち「お客様に何を、どうのように、いくらで売るか」という検討項目に焦点をあてたフレームワークです。
先に挙げた、
- なにを売るのか?(Product)
- いくらで売るのか?(Price)
- どうやって売るのか?(Place)
- 商品情報をどうやって伝えるのか?(Promotion)
を考えることこそ、4P戦略といえるのです。
それぞれの項目を徹底的に考え抜くことによって、商品を広く世間に行き渡らせることができるのです。
4Pのそれぞれの項目をどのように考えればよいか、詳しく知りたい方は過去の記事をご参照ください。
過去記事⇒4P戦略の目的と使い方をわかりやすく解説
1-2.4Cとは
4Cとは、4Pを顧客目線で考えることです。
検討する項目は同じなのですが、視点が変わるのです。
お客様はモノの購入を考えるとき、
- なにを買うか?(Customer Value)
- いくらで買うか?(Cost)
- どこから買うか?(Convenience)
- どこから商品情報を仕入れるか?(Communication)
以上の項目を検討します。
4Pでは売り手側の一方通行で、お客様目線に立っていません。近年、徹底してお客様目線で商品戦略を打ち立てられた企業の成功が目立ったため、4Pから発展して4Cという概念が誕生したのです。
と、ここまでがよく書籍や、他のサイトで語られる4Pと4Cの説明ですね。
しかし、
そう思われる方も多いはずです。なんだか釈然としないですよね。
そこで次に、4Pと4Cでどのような違いが生まれるのか、具体的に考えていこうと思います。
1-3.4Cの誤訳
よく勉強している方ならお気づきかと思いますが、僕の4Cの説明はいわゆる教科書的な説明と少しちがいます。
通常の4Cの説明では
- Customer Value⇒顧客価値
- Cost⇒顧客にとっての経費
- Convenience⇒顧客利便性
- Communication⇒顧客とのコミュニケーション
と、訳されていることが多いのですが、僕はこの説明が、とにかくわかりにくくて大嫌いです。
というのも、4Cの「Customer Value/Cost/Convenience/Communication」という英語表記につられすぎだと思うのです。
とくにCommunicationの解釈をそのまま「コミュニケーション」としている事例なんて目も当てられません。
営業マンとのコミュニケーションならわかりますが、広告とのコミュニケーションなんて言われても意味が分かりませんよね?
Communicationは「情報の仕入れ方」と訳さないと、本来の意味を置き去りにしてしまいます。
そもそも「4P」に合わせる形で無理やり「4C」という形にしたのが、間違いだと思います。
Customer Valueなんて無理やり感がハンパありません。顧客価値?なにそれ?みたいな。
Convinienceも直訳したら「利便性」です。それこそ利便性なんて顧客価値に含まれるはずですよね?
英語表記に惑わされないで、きちんと用語の本質を理解しようとすると、4Pと4Cの違いが見えてくるはずです。
2.4Pと4Cの違いを事例で解説
最後に4Pと4Cの違いについて考えてみましょう。
4Pと4Cでは、マーケティングミックスにおける同じ項目について検討していました。
これらの項目を4P(生産者目線)と4C(お客様目線)で考えていった際に、どのような違いが生まれるかを具体的にみていきます。
今回はテレビの製造を行っているメーカーと、購入を検討しているお客様の事例を考えみましょう。
2-1.4Pで考えるマーケティング
4Pは
- なにを売るのか?(Product)
- いくらで売るのか?(Price)
- どうやって売るのか?(Place)
- 商品情報をどうやって伝えるのか?(Promotion)
を検討するのでしたね。
これに沿ってメーカーが考えたマーケティング戦略が次の通りです。
まずは製品だけど、やっぱりうちは日本企業だし、日本企業といえば技術力だよねー。
うん、まずはとにかく高画質に映る4Kテレビを作って売ろう!
価格は4Kテレビだから安く売ってもしょうがないな。20万円くらいでも富裕層だったら買ってくれるでしょ!
流通はやっぱり家電量販店だな。昔からこれでやってきたし、これ以外の選択肢は考えられないね。
宣伝についてはテキトーにテレビ広告打っておけばみんな見てくれるでしょ!
よーし検討終わり!これでわが社もボロ儲けだな!!
実際ここまでひどいメーカーは存在しませんが、これくらいの方がわかりやすいでしょう。
4Pではお客様が何を求めているか?という問いが一切出てこないのがわかると思います。
2-2.4Cで考えるマーケティング
4Cは
- なにを買うか?(Customer Value)
- いくらで買うか?(Cost)
- どこから買うか?(Convenience)
- どこから商品情報を仕入れるか?(Communication)
を検討するのでした。
お客様がどのようにテレビを購入するかをみていきましょう。
とはいっても、最近テレビみないからなぁ。
まぁテレビなんてまともに映ればなんでもいいかな!
値段も安ければ安い方がいいよね。予算は3万円くらいでさがそーっと!
お店に買いに行くのも面倒だからネットショッピングでいいや。
でもネットだと少しこわいから、2chとYahoo知恵袋でおススメ商品チェックしておこうかなー。
この人はこの人で、失敗しないか心配になりますが、いかにも現代的な購買行動だと思います。
2-3.4Pと4Cで生まれるマーケティング戦略の違い
上でみてきたように、メーカーの思惑と、実際のお客様の考えでは、かなりギャップがあるように見えますよね。
ここで両者の違いをまとめてみましょう。
ご覧のように、製品・価格・流通・宣伝のどれを取っても完全にずれています。
もし市場全体がこのようなニーズを持っているのなら、このメーカーの発売しようとしているテレビは1台も売れずに消えていくことになるでしょう。
ここまでくれば4Pと4Cの違いがわかりますよね?
4Pと4Cでは検討するべき項目が同じでした。
しかし、
検討する項目が同じでも、視点が変わるだけで、売れるかどうかが決まるのです。
なぜなら、買う商品を決めるのはあくまでお客様自身だからです。
これが4Pではなく、4Cでマーケティング戦略を練る必要がある最大の理由ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
4Pと4Cはたしかに名前も似ているし、内容までほとんど同じものです。
しかし、4Pで立てるマーケティング戦略と、4Cで立てるマーケティング戦略では、全くちがう戦略が立てられてしまうのです。
いうまでもなく、商品を多く売っていくためには4Cで検討したほうがよさそうですよね。
この記事で少しでもみなさんのモヤモヤが解消されたなら幸いです。
では!
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