「自社の商品をどうやってお客様へお届けするのがよいのか?」
このような疑問を持ったことはありませんか?
ビジネスや会社経営の世界では、どうしても商品そのものの差別化に焦点が向かいますが、商品の届け方も競合他社と差別化するポイントになるのです。
今回は流通チャネル政策を考える上で覚えておきたい、閉鎖型と開放型について解説していきます。
ぜひご自身の学習や、経営戦略にお役立てください。
1.チャネル政策とは
チャネル政策を考える前に、流通チャネルという言葉の意味をおさらいしてみましょう。
流通とは、商品が作り手から最終的な消費者に到達するまでの流れを指します。
また、流通の担い手(小売店や卸売業者等)をチャネルと呼びます。
そして、チャネルを利用した流通の型を流通チャネルと言います。
よく分からないという方は、生産者から消費者までの商品の流れ全体を流通チャネルと呼ぶ覚えてくれて構いません。
政策チャネルとは、この流通チャネルを自社の経営戦略に合わせて最適化する行為をさします。
流通チャネルには大まかに3種類の型がありますが、その型を選んだ上で開放型チャネル政策と閉鎖型チャネル政策のいずれかを選択していくことが望ましいのです。
ここでは3種類の流通チャネルをもう少し詳しく見ていきましょう。
1-1.流通チャネルの種類①直接販売流通チャネル
上の図は、これから説明する流通チャネルの種類をまとめた図です。
一番左は直接販売流通チャネルですが、これは製造者が消費者に直接販売するケースですね。
直接販売には消費者に商品の良さを直接説明できるというメリットがあります。
その反面、一社でまかないきれる消費者の数には限界があるので、商品の普及速度が遅くなってしまうというデメリットがあります。
1-2.流通チャネルの種類②中抜き流通チャネル
次は中抜き流通チャネルです。
製造者が直接小売店に商品を卸して販売してもらうケースですね。
直接販売に比べて商品の普及力が格段に増加します。
1-3.流通チャネルの種類③一般的流通チャネル
最後に、一般的な流通チャネルです。
その名の通り、ほとんどの物流の仕組みがこの流通チャネルを利用しています。
製造者と小売店の間に卸売業者(仲介業者)が入るのが特徴ですね。
ところで、卸売業者にはどのような役割があるのでしょうか?
卸売業者がおらず、製造者と小売店が直接取引していると、次のような状況になってしまいます。
各小売店が取り揃えたい商品に合わせて発注するので、お互いに情報や商品の管理が上手くできなくなってしまいます。
このように、製造者と小売店がひとつの卸売業者とのやり取りで済むため、情報や商品の管理がスムーズになります。
結果的に小売店の在庫不足などが減り、流通の効率化が図れるのです。
しかし、流通にかかわるチャネルが多くなると各企業が利益を取る分、最終的な販売価格が高くなってしまうというデメリットもあります。
2.開放型チャネル政策とは
さて、流通チャネルの基本的な仕組みについては理解してもらえたでしょうか。
ここからはチャネル政策と呼ばれる、チャネルの選択方法について説明していきます。
チャネル政策には主に開放型チャネル政策と閉鎖型チャネル政策の二つがあります。
まずは開放型チャネル政策から解説していきましょう。
開放型チャネル政策とは、卸売業者や小売業者を特定しないチャネル政策のことです。
つまり、基本的にはどんな卸売業者や小売業者に対しても、自社の商品の販売を許可するという販売方法なのです。
2-1.開放型チャネル政策のメリット
来る者拒まずの開放型チャネル政策には、普及率が格段に大きいというメリットがあります。
大量に商品を売りたい場合に適したチャネル政策と言えるでしょう。
一見するととても良い販売戦略のように思えますが、これにはデメリットがあります。
2-2.開放型チャネル政策のデメリット
開放型チャネル政策のデメリットは、商品のブランドイメージを保てなくなってしまうことです。
開放型チャネル政策では、小売店が多くなりすぎると、どうしても販売店の隅々まで目が届きません。
もし小売店で在庫が余りすぎて大幅値引きの「在庫一掃処分」なんでやられたら、ブランドイメージが大きく崩れてしまいます。
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また、万が一商品に不具合があってお客様が店舗に問い合わせても、店員の商品知識が不足していたために、お客様を納得させることができないという場合もあります。
これらは商品のブランドイメージを大きく損なってしまう行為です。
下手をしたら商品の悪評が世間に広がってしまうリスクがあるわけですね。
2-3.開放型チャネル政策の例
一般的な家電製品は、ほとんど開放型チャネル政策で販売されているといえますね。
例えばテレビやパソコンなどは、どの家電量販店に行っても同じような商品がお店に並んでいると思います。
これは家電メーカーが流通チャネルを限定していない、つまり開放型チャネル政策を取っているためです。
日本の家電メーカーがこのような開放型チャネル政策を取っている理由は、流通チャネルによってブランド価値が大きく損なわないと考えているためです。
逆にいうと、日本の家電メーカーはそれほどまでにブランド価値が大きいともいえますね。
しかし、近年では家電量販店も家電だけを販売するわけではなくなってきました。
おもちゃや時計・カバンなど様々な商品を取りそろえ、もはや”家電”量販店と呼んでいいのか疑わしいところがあります。
このような流通チャネルに家電の販売を任せ続けてよいものなのでしょうか?
日本の家電メーカーは開放型チャネル政策を見直す必要があるかもしれませんね。
3.閉鎖型チャネル政策とは
一方で閉鎖型チャネル政策とは、卸売業者や小売業者を少数に絞るチャネル政策のことです。
極端な話、卸売業者は1社だけ、小売店はコンビニのファミリーマートだけというふうに限定してしまうわけですね。
3-1.閉鎖型チャネル政策のメリット・デメリット
閉鎖型チャネル政策のメリット・デメリットは開放型と正反対です。
つまり、ブランドイメージを保ちやすいというメリットがある反面、
商品の普及力には欠けるというデメリットがあるのです。
3-2.閉鎖型チャネル政策の例
閉鎖型チャネル政策の例としては、パソコンやスマホメーカーのアップルが有名です。
アップルは自社商品のブランドイメージを保つために、自社が直接運営するアップルストアを展開しています。
全世界の店舗のレイアウトやシンプルな作りに統一させており、販売スタッフも商品の知識が十分にあります。
このように徹底して小売店舗を管理することによって、アップルはブランドイメージの向上を図ろうとしているんですね。
また、アップル製品は大手家電量販店でも購入が可能ですが、アップル製品は絶対に値引くことができません。
これもアップル側の意向で、値下げによるブランドイメージを下げないように販売店を管理しているのです。
アップルは閉鎖型チャネル政策を実行しながらも、商品の普及にも成功してる珍しい例だといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
政策チャネルとしては、普及力に向いた開放型チャネル政策と、ブランドイメージ向上に向いた閉鎖型チャネル政策があるのです。
また、両者の中間的な政策として選択的チャネル政策もあります。
自社の販売戦略に合わせて最適なチャネル政策を選択したいものですね。
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